投資信託はどんな仕組み?メリット・デメリットを踏まえ資産運用しよう

投資信託は少額から長期で積み立て、分散投資もできる金融商品ですが、その仕組みは意外と説明できないもの。この記事では、投資信託の仕組みをもとにメリット・デメリットを解説します。株式投資との違いや投資信託の注意点も参考にしながら、自分にあった資産運用を行いましょう。

投資信託はどんな仕組み?メリット・デメリットを踏まえ資産運用しよう

投資信託とは?

投資信託とは?

投資信託は、たくさんの投資家から集めたお金を大きな資金として1つにまとめ、運用の専門家である「ファンドマネージャー」が国内外の株式や債券、不動産などへ投資します。その運用で生まれた利益を投資家に分配する金融商品です。

投資信託の仕組み

投資信託の基本的な仕組みは、下図のとおりです。

投資信託の仕組み

販売会社

投資信託の販売を担うのが、銀行や証券会社などの役割です。投資家は、申込金として販売会社へ資金を預けます。

信託銀行

投資家から集められた資金を管理するのが、信託銀行の役割です。また、運用会社の指図を受け、金融市場にて株式や債券の購入・売却の決済を行うのも信託銀行になります。

運用会社

保管された資金の運用方針を指図するのが、運用会社の役割です。資金の投資先をどこにするのかなど、具体的な投資判断を行います。

投資信託のメリット

投資信託のメリット

次に、投資信託のメリットについて考えてみましょう。主に次の4点が挙げられます。

①少額から手軽に始められる

株式投資では、銘柄によっては数十万円の資金が必要なこともありますが、投資信託なら少額から手軽に始められます。最低購入額は、金融機関や購入方法(窓口・インターネット)によって異なりますが、1,000円から1万円程度で購入でき、なかには100円や500円から購入できるところもあります。

②運用を専門家に任せられる

株式投資では、銘柄選び、資金の配分、売却のタイミングなどすべて一人で手掛ける必要がありますが、投資信託であれば、投資の専門家がそれら一連の作業を代行してくれます。
また、投資信託には、有名な日経平均やTOPIXに連動するものから、アラブやトルコなど国や地域に投資できるもの、金やプラチナなどのコモディティを対象にしたものなどさまざまな商品が用意されています。自分ではなかなか買えない珍しいものも、投資信託であれば購入しやすいという点はメリットです。

③複数銘柄が組み込まれているため分散投資になる

投資では、複数の銘柄を購入する分散投資が大切だといわれています。ある銘柄が値下がりしても別の銘柄が値上がりすれば、資産全体として資産が減ってしまうリスクの軽減が可能になるからです。

投資信託には、国内外の株式・債券・不動産など、複数の資産で運用する商品もあるので分散投資に適しています。また、日本株式のみを扱う投資信託でも、複数銘柄に投資する場合は分散投資になります。

④分配金を受け取ることができる

投資信託であっても、通常の株式と同様に分配金を受け取れるものがあります。
基本的に、分配金は現金で受け取るのではなく、再投資という形をとって投資信託を買い増すことで、投資の効果を高めるといわれています。これを複利といいます。
複利の効果を利用することによって、さらに得られる利益を増やすことができるでしょう。

投資信託のデメリット

投資信託のデメリット

投資信託のデメリットも押さえておきましょう。

①元本保証はない

株式や債券に投資する仕組みのため、投資信託に元本保証はありません。基準価額(投資信託の値段)は企業業績や国内外の経済・政治情勢などに影響を受け、毎日変動します。購入時よりも値下がりして元本割れがあることも、念頭に置きましょう。

②タイムリーな売買はできない

通常の投資信託では、株式のように値動きを見ながらのタイムリーな売買はできません。投資信託の基準価額は、その日の売買の申込みが締め切られた後に決まるため、売買を申し込んだ段階では基準価額を知ることはできない仕組みになっています。

③手数料などのコストがかかる

投資信託には手数料なども必要です。購入する際の「購入時手数料」、運用時の「信託報酬」、換金時の「信託財産留保額」といった費用があります。最近では、購入時手数料や信託財産留保額のない投資信託もあるので、購入前に必要なコストを目論見書などで確認するようにしましょう。

投資信託の種類

投資信託の種類

投資信託の種類はさまざまであり、次のように分類することができます。
商品を選ぶ際は、以下のそれぞれの分類を組み合わせることで、自分の傾向に合った投資信託を選びましょう。

投資対象の地域

投資信託の投資対象の地域は、大きく3つに分けられます。

・国内・・・主な投資収益が国内の資産から得られるもの
・海外・・・主な投資収益が海外の資産から得られるもの
・内外・・・主な投資収益が国内及び海外の資産から得られるもの

投資対象の資産

投資対象の資産とは、投資信託を通じて何を購入するかという分類になります。
こちらは大きく5つに分けることができます。

・株式・・・主な投資収益が株式から得られるもの
・債券・・・主な投資収益が債券から得られるもの
・不動産投信(リート)・・・主な投資収益が、不動産投資信託及び不動産投資法人から得られるもの
・その他資産・・・主な投資収益が上記以外の資産から得られるもの
・資産複合・・・主な投資収益が上記の複数の資産から得られるもの

運用方法

投資信託の運用方法は、運用の基準となる「ベンチマーク」を上回ることを目指して運用する「アクティブ運用」と、ベンチマークに連動して運用する「パッシブ運用」の2つに大きく分けられます。

・アクティブ運用・・・ベンチマークを上回る高いリターンが期待できる一方で、信託報酬などの手数料が高く設定されています。
・パッシブ運用・・・ベンチマークに連動した運用を行うため、アクティブ運用に比べて商品の選定に手間がかからず、信託報酬が低い傾向にあります。

独立区分

投資信託の独立区分には3つの分類があります。

・MMF(マネー・マネージメント・ファンド)・・・国内外の公社債や、短期の金融機関を中心に運用する公社債投資信託で、30日以内に解約すると信託財産留保額がかかる
・MRF(マネー・リザーブ・ファンド)・・・安全性の高い国内外の公社債や、短期の金融機関を中心に運用する公社債投資信託
・ETF(上場投資信託)・・・日経平均株価やTOPIXなどの指標に連動し、証券取引所に上場しているもの

投資信託の始め方

投資信託の始め方

投資信託を始めるためには、まず銀行や証券会社で専用口座を開設する必要があります。口座開設の方法は金融機関によって異なりますが、一般的に次のような流れになります。

1:インターネットや窓口などで口座開設の申込書を請求
2:金融機関から申込み関連書類を入手
3:必要事項を記入・捺印し、必要書類を添えて提出
4:口座開設完了

出典 

開設には、本人確認書類(免許証、健康保険証など)のほかに、個人番号のわかるもの(マイナンバーカードや通知カード)も必要になりますので、事前に準備しましょう。

また、口座の開設が完了したら、実際に購入してみましょう。
金融機関によって異なりますが、100〜1,000円程度の少額から積立購入が可能です。値下がりが心配な人なら、少額で始めてみて値動きを見ながら徐々に増額していく方法がおすすめです。

投資信託を行う際の注意点

投資信託を行う際の注意点

「卵を1つのかごに盛るな」という投資の格言があるように、1つの資産に集中させると、その資産が値下がりした時に大きな損失を出すことになります。資産の価格変動リスクを軽減するのに大切なのが分散投資です。

1つの投資信託だけでも分散投資効果はありますが、よりリスクを分散させたい場合、株式のみで運用する投資信託だけでなく、債券を中心としたもの、さまざまな国や地域に投資するものなどを選ぶとよいでしょう。いくつかの投資信託を購入することで、さらに資産全体の価格変動を抑える効果が期待できます。

また、定期的に一定額で購入する「ドルコスト平均法」と呼ばれる投資手法も分散投資に有効です。定額購入のため、価格が低い時は購入量が多く、高い時には購入量が少なくなることで購入価格が平準化され、価格変動リスクの軽減につながります。投資信託の積立購入は、まさに「ドルコスト平均法」を活用した資産運用です。

投資信託を始めるなら、税制優遇のある「つみたてNISA」を検討してみましょう。
つみたてNISAで用意されるのは、金融庁が基準を設け、それをクリアした投資信託で、「手数料がない」「信託報酬が一定額以下」など、コストの低さが特徴です。
また、金融商品の利益には約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAでは、年間で元本の運用益に対して一定額が非課税のため、お得に利益を受け取ることができます。

まとめ

投資信託は、たくさんの投資家から集めたお金を大きな資金として1つにまとめ、運用の専門家である「ファンドマネージャー」が国内外の株式や債券、不動産などへ投資する金融商品です。その運用で生まれた利益が投資家に分配されます。
少額から手軽に始められ、リスク分散も簡単に行うことができるうえ、多忙な人でもプロに運用を任せられるため最小限の手間ですみます。メリット・デメリットを押さえたうえで、つみたてNISAなどの税制優遇も利用しながら、資産形成に役立てましょう。

ご留意事項
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