3000万円から始める資産運用の第一歩!分散投資と長期投資がカギ

3,000万円の資産運用では、投資元本が大きい分、高いリターンが期待できますが、運用を誤ると大きな損失が発生してしまいかねません。本記事では、3,000万円で資産運用を始める時のポイントやおすすめの運用方法を解説します。分散投資でリスクを抑え、長期投資で複利効果を得ながら投資を成功させましょう。

3000万円から始める資産運用の第一歩!分散投資と長期投資がカギ

3000万円から始める資産運用の第一歩

3000万円から始める資産運用の第一歩

3,000万円の資産を運用をしてみたいと考えてはいるものの、何から着手すればよいかわからない方も多いのではないでしょうか。そこで、ここでは3,000万円の資産を運用する前に知っておきたいポイントを解説します。

3000万円の資産価値とは?

金融広報中央委員会の調査によると、3,000万円以上の金融資産を保有している世帯の割合は以下の通りです。

二人以上世帯 単身世帯
20歳代 1.8% 0.9%
30歳代 2.8% 4.1%
40歳代 6.7% 9.1%
50歳代 14.3% 15.8%
60歳代 25.6% 23.6%
70歳代 22.5% 22.4%
全体 15.2% 13.4%

【参考】金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和4年調査結果」詳しくはこちら

調査結果をみると、二人以上世帯と単身世帯のどちらも、3,000万円の金融資産を保有している世帯は少数派であることが分かります。一方、年齢が高くなるにしたがって、3,000万円の金融資産を保有する世帯の割合は増加している傾向にあります。

20歳代や30歳代など若い年代で3,000万円の資産を保有する人が少ないのは、お金を貯めるのに時間がかかるからにほかなりません。例えば、毎月10万円ずつ積み立てていったとしても、3,000万円を貯めるためには25年かかります。

3,000万円の資産を元手に運用すると、大きなリターンが期待できるでしょう。例えば、期待できる利回りが4%である場合、投資元本が300万円であれば得られる利益は12万円ですが、3,000万円であれば120万円となります。

一方で、運用元本が大きい分、多額の損失が発生する可能性もあります。3,000万円という多額かつ貴重な資産を運用する時は、大きな損失が発生しないよう慎重に運用方法を決めることが大切です。

資産運用の目的を明確にする

3,000万円を運用する時は、まず運用目的を明確にしましょう。運用目的の例は、以下の通りです。

・定年退職を迎えるまでに老後資金を準備する
・子供や孫に援助するための資金を準備する
・旅行やレジャーなどの趣味を楽しむための資金を準備する など

運用目的が明確になっていないと、損失が発生した時にモチベーションが低下して運用を止めてしまい、貴重な資産が減ってしまうかもしれません。また、目標金額や運用に充てられる期間も決められないため、運用方法や資産配分などを判断するのが難しくなります。

そのため、資産運用を始める時は「なぜ運用をするのか」「いつまでにいくらが必要なのか」を考えることが大切です。

自分のリスク許容度を理解する

リスク許容度とは、簡単にいえば「どれだけの損失までを受け入れることができるのか」を表す度合いのことです。年齢や運用経験、保有資産、自分自身の性格など、さまざまな要素でリスク許容度は異なります。

例えば、年齢が若い人はリスク許容度が高い傾向にあります。年齢が若いと、運用に当てられる期間を長く取ることができ、損失が発生しても挽回しやすいためです。

高いリターンが期待できる投資対象は、基本的にリスクも高くなります。
リスク許容度をよく検討せずに、ハイリスク・ハイリターンの金融商品に投資をしてしまうと、耐えられないほどの損失が発生して、運用が中断してしまうかもしれません。

3,000万円で資産運用を始める時は、どの程度の損失まで受け入れられるのかを考えたうえで、自分自身に合った運用方法を選ぶことが大切です。

資産3000万円のおすすめの運用方法

資産3000万円のおすすめの運用方法

3,000万円の資産を運用する時は、どのような方法を選べばよいのでしょうか。主な選択肢としては、以下が挙げられます。

・投資信託
・株式投資
・不動産投資
・ヘッジファンド
・債券(個人向け国債・社債)
・定期預金

それぞれの特徴や投資するメリットを解説します。

投資信託

投資信託は、金融商品の一種です。投資家から集めた資金を1つにまとめ、商品(ファンド)の運用方針にしたがって、国内外の株式や債券などで運用されます。運用先を選定するのは、資産運用のプロであるファンドマネージャーです。

個人が運用先を選ぶために必要な経済や金融などの専門知識・手法を身につけるのは、難しいかもしれません。その点、投資信託であれば、投資の知識が豊富な専門家が代わりに資金を運用するため、投資に自信がない人や投資初心者でも始めやすいといえます。

また投資信託は、投資から小口のお金をまとめて大きな資金とし、株式や債券などさまざまな資産で運用される仕組みであるため、分散投資がしやすいといえます。
複数の個別銘柄に分散投資をすると、リスクを軽減する効果が期待できますが、銘柄の選定に時間がかかるだけでなく、投資した資産の管理も大変になるでしょう。

投資信託であれば、資金の運用は運用会社、投資した資産の保管・管理は信託銀行に任せることができるため、銘柄の選定や資産の管理にかかる手間を省けます。
加えて、1,000〜10,000円程度の少ない資金で投資できるため、最初からまとまった金額を投じることに抵抗がある方でも手軽に分散投資を始めることが可能です。

株式投資

株式投資は、企業が発行する株式に投資をする方法です。株式に投資をすると、発行先の企業が得た利益の一部を配当金として還元してもらえます。

また、将来的に企業の株価が上がった時に売却をすると、売却益を得ることが可能です。将来的に成長が見込まれる企業に投資をすれば、大きな利益を得ることができるでしょう。

ただし、株式投資は大きな利益が期待できる一方で、多額の損失が発生する可能性もあります。企業の財務状況や経済の動向などを分析して、投資する銘柄は慎重に見極める必要があります。

不動産投資

不動産投資は、賃貸用のマンションやアパートなどを取得して、第三者に貸し出して賃料収入を得る投資方法です。また、将来的に物件の価格が上昇していれば、売却をすることで売却益を得ることも可能です。

マンションやアパートなどの投資用物件を購入するためには、数千万円ほどの資金が必要になることがあります。そのため、投資家の多くは金融機関から融資を受けて、投資用の不動産を取得します。

会社員として安定した収入があるのであれば、3,000万円の1部を頭金として不動産投資ローンを組むことで、投資用不動産を所得することが可能でしょう。ワンルームマンションや中古の戸建物件であれば、3000万円で購入できるものもあります。

不動産投資を始める際は、安定した賃貸需要が見込める物件に投資をすることが大切です。賃貸需要が見込まれなければ、入居者が決まらずに家賃収入が得られないためです。立地や周辺の住環境、人口の推移などさまざまな情報をもとに、賃貸需要がある物件を探しましょう。

より少ない金額で不動産投資を始めたいのであれば、REIT(不動産投資信託)に投資する方法もあります。REITは、投資家から集められた資金でオフィスビルや商業施設、マンションなどに投資をする商品です。

ヘッジファンド

ヘッジファンドとは、市場が上がった時だけでなく、下がった時も利益を追求することを目的としたファンドのことです。

通常の投資信託は、相場が一方向に動いた時のみ、利益が出るように設計されているものがほとんどです。一方のヘッジファンドは、さまざまな運用方法を用いて、相場が下がった時にも利益が出るように運用されます。

ヘッジファンドの運用資金は、金融機関をはじめとした機関投資家や富裕層からの私募によって集められます。通常の投資信託とは異なり金融機関で投資できるわけではなく、また最低投資金額も2,000万円程度と高額です。

また、ヘッジファンドにもリスクはあるため、損失が発生する可能性はあります。ヘッジファンドに投資をする際は、運用方針や運用方法などをよく確認し、仕組みをよく理解することが大切です。

債券(個人向け国債・社債)

債券とは、国や企業が投資家から資金を借り入れる際に発行する有価証券のことです。国が発行する債券は「国債」といいます。また、企業が発行する債券は「社債」といいます。

債券に投資をすると満期(償還日)を迎えるまで、定期的に利子を受け取ることができます。満期日を迎えると額面金額(債券の券面に記載されている金額)を払い戻してもらえる仕組みです。

債券を発行する国や企業が破綻しない限り、利子の支払いと額面金額の払い戻しが約束されます。そのため、債券は比較的ローリスクローリターンの金融商品といわれています。
より堅実に3,000万円を運用していきたいのであれば、国債や経営が安定している企業の社債などに投資をするとよいでしょう。

定期預金

定期預金とは、預け入れの期間を半年や1年などに設定する預金のことです。満期を迎えるまで、基本的に口座からお金を引き出すことはできませんが、普通預金よりも高い金利がつきます。

定期預金の主な魅力は「預金保険制度」による元本保証がある点です。預け入れ先の金融機関が経営破綻したとしても、預金者一人につき1,000万円までの元本と破綻日までの利息が保証されます。

一方で、普通預金よりも金利が高いとはいえ、昨今の日本の低金利の影響により、定期預金口座のみに3,000万円を預けていてもほとんど増えていかないでしょう。

ある程度の運用収益を得ていきたいのであれば、3,000万円のすべてを定期預金に預けるのではなく、​株式や投資信託などリスクのある金融商品も併用することをおすすめします。

3000万円の資産運用を成功させるコツ

3000万円の資産運用を成功させるコツ

3,000万円の資産運用を成功させるためには、以下の点を意識するとよいでしょう。

・分散投資でリスクを抑えた安全運用
・長期投資で複利効果を活用する
・NISAやiDeCoの税制優遇制度を活用する

1つずつ解説します。

分散投資でリスクを抑えた安全運用

3,000万円を運用する時、1つの投資対象に集中投資をするのはおすすめできません。投資先の価格が下落した時の影響を受けやすくなるためです。

例えば、将来的な成長が期待できる企業の株式に、3,000万円の資産をすべて投資したとしましょう。その企業の業績が悪化して株価が下がった時、大きな損失が生じてしまいかねません。

そこで資産運用をする際に意識したいのが「分散投資」です。複数の投資対象に分散して投資をすることで、リスクを軽減する効果が期待できます。
また「株式と債券」「株式と不動産」のように、値動きが異なる投資対象に分散して投資をすると、リスクの軽減効果が得られやすくなるといわれています。

例えば、3,000万円の資産を株式1,500万円、国債1,500万円に分けて投資をしたとしましょう。株価が1,300万円に下がったとしても、国債の価格が1,700万円に上昇していれば、運用資産すべての価格は3,000万円のままとなり、損失を抑えることが可能です。

長期投資で複利効果を活用する

3,000万円の資産を運用する時は、長期投資を意識するとよいでしょう。時間をかけてじっくりと資産を運用することで、複利効果が働きやすくなります。

複利効果とは、運用で得られた利益を再投資した時に得られる効果のことです。複利効果が働くと、利益がさらなる利益を生み、資産が雪だるま式に増えていきます。

投資の期間が長ければ長いほど、複利効果を高められる可能性があります。例えば、1,000万円を年利4%で運用できると、投資期間が2年であると運用結果は約1,081.6万円ですが、期間が20年であれば約2,191.1万円まで増やすことが可能です。

長期投資をしたからといって、必ずしも利益が生じるとは限りません。とはいえ、短期間で資金を利益を得ようとリスクが高い運用商品を選ぶことで、多額の損失が生じる可能性があります。

また、短期的に大きく値上がりをする投資先を見極めるのは、資産運用の経験者でも困難です。3,000万円で資産運用を始める時は、複利効果が期待できる長期投資を心がけ、焦らず着実に増やしていくことが重要です。

NISAやiDeCoを活用する

金融商品から得られた分配金や配当金、売却益には約20%の税金が課せられます。課せられる利益の分だけ、手元に残る金額は少なくなります。そこで活用したいのが「NISA」です。

NISAは、一定金額までの新規投資で得られた利益に、税金が課せられなくなる制度です。年間で新規投資できる金額は、一般NISAが120万円、つみたてNISAが40万円となります。
非課税で運用できる期間は、一般NISAが5年間、つみたてNISAが20年間です。

また、2024年1月からは新しいNISAが開始される予定です。新しいNISAでは、現行のNISAと比較して、年間投資枠が増えるだけでなく、非課税保有期間は無期限に延長されます。

老後資金を準備するために、3,000万円を運用するのであれば「iDeCo」を活用するのも1つの方法です。iDeCoは、掛金を拠出して投資信託や保険商品などで運用して、将来の年金を準備することができる私的年金制度です。

iDeCoでは、掛金の運用で得られた分配金や利息などに税金がかかりません。
また、掛金の全額が所得控除の対象です。1年間で支払った掛金と同じ金額が所得から差し引かれて所得税や住民税が計算されるため、税負担の軽減効果が期待できます。

3000万円を一括投資しても大丈夫?

3000万円を一括投資しても大丈夫?

一括投資のメリットとしては、上昇局面に強いことが挙げられます。株式や投資信託などの価格が上昇している局面で3,000万円の資金を一括で投資できれば、短期間で大きな利益を上げることも可能でしょう。

一方で、下落局面で資金を一括投資してしまうと大きな損失が発生してしまいかねません。そのため、一括投資をする場合は上昇局面を正確に見極めることが重要となります。

とはいえ、上昇局面を正確に見極めるのは投資の専門家でも困難です。特に、資産運用の経験が浅い人が、金融商品の上昇局面を見極めて3,000万円を一括で投資するのは現実的ではないでしょう。
より堅実に運用をしていきたいのであれば、3,000万円を一括で投資するのではなく、金額や期間を分けて投資することをおすすめします。

まずはポートフォリオを組んでみよう

まずはポートフォリオを組んでみよう

資産運用を始める時は、ポートフォリオを組みます。ポートフォリオとは保有する金融商品の具体的な組み合わせのことです。

ポートフォリオを組むためには、目標金額や運用に充てられる期間、リスク許容度などをもとに、運用資産の配分(アセットアロケーション)を考えます。

例えば、50代で老後資金の準備を目的に3,000万円の資産運用を始める場合、アセットアロケーションの例は以下の通りです。

・国内株式:15%
・外国株式:15%
・国内債券:30%
・外国債券:30%
・不動産(REIT):10%

50代から老後資金の準備を目的に資産運用を始める場合、株式の比率を高くすると老後生活が始まった時に大きな損失が発生してしまう可能性があります。そのため、株式だけでなくリスクが低い債券の割合を増やして、堅実な運用をするのがよいでしょう。

年齢が若い時は、運用期間を長く取りやすいためリスクが高い株式の割合を増やしてもよいでしょう。年齢を重ね、老後生活が近づくにしたがって、安全資産といわれる債券の割合を増やしていくのが、基本的な考え方となります。

3,000万円ほどの資産があれば、株式や債券の個別銘柄に投資をすることも可能でしょう。
一方で、分散投資によるリスク軽減効果を高めたい人や、資産運用の経験があまりなく個別銘柄を選ぶのが難しい場合は、投資対象に株式や債券が組み入れられた投資信託を選ぶとよいでしょう。

まとめ

3,000万円の資産を運用する時は、まず運用目的を明確にしましょう。そのうえで目標金額や運用に充てられる期間などを決めることで、より自分自身に合っていると考えられる運用方法を選択することができます。

また、運用方法を選ぶ時は、年齢や運用経験、保有資産などをもとに、自分自身のリスク許容度を考えることも大切です。運用する方法を決めるのが難しい時は、銀行や信託銀行など資産運用の専門家に相談するとよいでしょう。

ご留意事項
  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は執筆時点のものです。また、本稿は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者及び三菱UFJ信託銀行が保証するものではありません。
  • 本稿に掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、三菱UFJ信託銀行は一切責任を負いません。
  • 本稿に掲載の情報に関するご質問には執筆者及び三菱UFJ信託銀行はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

RANKING

この記事もおすすめ