積立預金(貯金)と定期預金は何が違う?メリット・デメリット・注意点を解説

積立預金と定期預金は金融機関にお金を預け入れて運用する預金商品ですが、預入方法や金利、解約ルール、預入期間などに違いがあります。この記事では、積立預金と定期預金の違いやメリット・デメリットを解説します。自分に合った資産運用方法で、将来のライフイベントや老後の資金に備えましょう。

積立預金(貯金)と定期預金は何が違う?メリット・デメリット・注意点を解説

積立預金と定期預金の違い

積立預金と定期預金の違い

積立預金と定期預金は、いずれも銀行などの金融機関で運用できる代表的な預金商品です。
しかし、預入方法や金利、解約ルール、預入期間など、さまざまな点で違いがあります。ここでは、積立預金と定期預金の概要や両者の主な違いについて解説します。

積立預金とは

積立預金とは、金融機関に一定期間にわたって少しずつお金を積み立てていく預金のことです。毎月一定金額を積み立て、満期日にまとめて受け取る仕組みです。
金融機関によって積立金額や預入期間、金利、払戻しルールなどが異なるため、自分に合った積立預金を選ぶことが大切です。

積立預金の主な種類

種類 内容
積立定期預金 一定期間にわたって定期的に一定額を預け入れていく定期預金の一種。金利が通常の普通預金より高く、毎月や半年ごとなど、定期的に少しずつ預金を積み立てられる。
財形貯蓄 給与から一定額を天引きし、提携している金融機関に積み立てる方法。一般の普通預金よりも高い金利が適用されるほか、給与から天引きされるので確実に貯金できる。
社内預金(※) 企業が従業員から預かった預金を運用する制度。社内預金の下限利率は厚生労働省によって定められており、2024年3月時点での下限利率は年0.5%となっている。

(※)勤務先によっては社内預金制度がないケースもある

定期預金とは

定期預金とは、銀行や信用金庫などの金融機関に一括でお金を預け入れ、満期時に元金と利息を受け取る預金のことです。預入金額はおおむね1円以上1円単位で、預入期間は一般的に1ヶ月から10年ほどです。

また、積立預金、定期預金ともに預金保険制度の対象です。預け入れた元本は保証されているほか、預入先の金融機関が経営破たんした場合でも、一人1金融機関1,000万円とその利息までは保護されます。

定期預金の主な種類

種類 内容
一般定期預金 最も一般的な定期預金で、満期時に一括で元利金を受け取れる。預入期間も短期(1ヶ月)から長期(10年)まで幅広く用意されている。
大口定期預金 一定額(1,000万円)以上の大口資金を預ける。一般的な定期預金より金利が高く設定されており、保有資産に余裕がある方に向いている。
積立定期預金 定期預金ではあるものの、一括ではなく定期的に一定額を預け入れていく積立式の定期預金。金利が通常の普通預金より高く、毎月や半年ごとなど、定期的に少しずつ預金を積み立てられる。

預入方法の違い

積立預金と定期預金とでは、預入方法と金額に以下のような違いがあります。

預入方法 預入金額目安
積立預金 毎月決まった額を預け入れる 1,000円以上で1,000円単位
定期預金 まとまったお金を一度に預け入れる 1円以上から1円単位

積立預金は、毎月決まった額を預け入れますが、期間中に自由に預入額を増減できるタイプの商品が存在します。
一方、定期預金は原則として、預入期間中に金額を増やしたり、一部引き出したりすることができません。
そのため、預入方法を柔軟に変更したいかや、一度預けたら一定期間は何もせず置いておきたいかによって、預金方法を選ぶとよいでしょう。

金利の違い

一般的に、定期預金の方が積立預金に比べて金利水準が高い傾向にあります。
その理由として、定期預金に一度預けられたお金は一定期間は金額の増減をせずに預けたままになることが前提なので、銀行は安定した運用ができるためです。
とはいえ、昨今では金利が総じて低水準な状況が続いていることもあり、積立預金と定期預金の金利差は縮小傾向にあります。金融機関によって適用金利は異なるため、あらかじめ最新の金利水準をきちんと確認するようにしましょう。

引き出し制限や解約ルールの違い

積立預金は、預入期間中でも払い戻し(解約)ができる商品が多くみられます。また、一部払い戻しをしても、残りは継続して運用可能です。

一方、定期預金は原則として、期間満了日まで払い戻し(解約)ができません。やむを得ず中途解約する場合、通常の利率よりも低い解約利率が適用される点に注意が必要です。また、基本的に一部解約はできず、全額解約となることが多いです。

預入期間の違い

金融機関によって預入期間は異なりますが、積立預金では最短で半年〜1年程度の短期から、長期の5年〜10年まで幅広い期間が設定されています。積立預金は長期の資金運用を前提としているため、預入期間が長く設定されている傾向にあるといえるでしょう。
また、積立期間が満了した後であっても、満期日までの据え置き期間があるのも特徴です。

定期預金の場合は最短1ヶ月から10年単位で期間を設定できるケースが大半です。定期預金は、その時々の金利に合わせて臨機応変に期間を決められるため、目的に合わせて設定するとよいでしょう。

積立預金のメリット・デメリット

積立預金のメリット・デメリット

ここでは、積立預金のメリット・デメリットについて、具体的に解説していきます。少額から預金を始めたい方や自由度の高い管理をしたい方は、しっかりチェックしておきましょう。

積立預金のメリット

積立預金は、最低預入額が数千円程度と少額から始められるので、初心者でも資金運用のハードルが低い点が大きなメリットです。
また、毎月一定額を自動で積み立てられるため、計画的に資産形成を行うことができるでしょう。積立額も途中変更が可能であることから、余裕のある時に増額できるのはもちろん、積立額が負担になってきた際は金額を減らすことも可能です。

積立額から途中で自由に引き出すことができる商品もあるので、急に資金が必要になった場合に、一部を引き出すこともできます。

積立預金のデメリットや注意点

積立預金のデメリットは、積立預金の金利は一般的に低く設定されていることが多く、長期的にみて実質的な資産価値が目減りしてしまう恐れがある点です。
また、積立預金は基本的に長期の預け入れを前提としており、満期日前に払い戻しを受けづらいことから、緊急時の資金としては適していません。あくまでも余裕資金で運用することが大切です。

定期預金のメリット・デメリット

定期預金のメリット・デメリット

ここでは定期預金のメリット・デメリットについて、具体的に解説していきます。まとまったお金を預けて金利を得たい方はしっかりとチェックしておきましょう。

定期預金のメリット

定期預金は、積立預金よりも高めの金利が設定されており、大口定期預金になればより高い金利が期待できる点がメリットです。
1口が1,000万円以上の大口定期預金では、金融機関と預金者との間で金利を決められる場合もあります。
また、普通預金とセットした総合口座にすることができ、預入残高の90%で金融機関が定める最高限度額まで融資が受けられます。この場合の利息は、一般的に預入金利に0.5%を上乗せしたものとなります。

定期預金のデメリットや注意点

定期預金は積立預金と異なり、最初に預け入れる際にある程度まとまった金額が必要となります。預入期間も決めたあとは柔軟に変更できないことから、積立預金に比べて自由度が低い点はデメリットといえるでしょう。
また、原則として満期日前に解約することはできず、やむを得ない事情で中途解約をする場合はあらかじめ定められた金利よりも低い解約利率が適用されてしまいます。運用目的や資金の活用予定に合っているかどうか、前もってきちんと検討することが大切です。

積立預金が向いている人、定期預金が向いている人

積立預金が向いている人、定期預金が向いている人

積立預金と定期預金は、それぞれの特徴から向いている人が異なります。ここでは、積立預金と定期預金がそれぞれ向いている人について解説します。

積立預金が向いている人

現在資産が少額しかなく、これから資産形成をしたい人には積立預金がおすすめです。毎月定期的に積み立てる仕組みを作っておけば、無理なく資産形成を行うことができるでしょう。
積み立てた金額の元本を確保しながら、結婚資金や子供の教育資金、住宅を購入するための頭金・諸費用、老後資金など、ライフステージに応じて生じる資金の準備を始める時に適しています。

定期預金が向いている人

ある程度まとまった資産を保有している人は、定期預金がおすすめです。まとめて預け入れをすることで、積立預金や普通預金と比較して高い利回りで運用できる場合があります。「普通預金に預け入れしておくと、つい使ってしまう」という人は、中途解約に制限が設けられている定期預金に預けておくことにより、安易な引出しに歯止めをかけることができるでしょう。
また、前述のように、普通預金とセットした総合口座としておけば、カードローンより低い利息で不意な出費に備えることができます。

定期預金を検討される方はiDeCoのような私的年金制度を利用するのもおすすめです。途中解約や引き出しがしにくく、老後の資産形成のために活用できるでしょう。元本割れのリスクはゼロではありませんが、定期預金より高い利益が見込める点や運用益が非課税になる点、税制優遇が受けられる点などのメリットがあります。

まとめ

まとめ

積立預金と定期預金とでは、預入方法や金利、解約ルール、預入期間など、さまざまな点で違いがあります。そのため、積立預金が向いている人もいれば、定期預金が向いている人もいます。

これから資産形成を実践していく人や、安全性の高い金融商品を活用したい人にとっては、この2つの商品は資産運用の基本となる金融商品といえるでしょう。それぞれの特徴を踏まえたうえで、自身の運用目的や資金の活用予定に見合った方法を選択することが大切です。

ご留意事項
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