定年退職後も確定申告は必要?退職後の手続きとは

定年退職して年金生活になれば、今まで会社が手続きしてくれていたお金の管理を自分で行わなければなりません。場合によっては確定申告が必要になるため、あらかじめここで知識を身に着けておくことをおすすめします。

定年退職後も確定申告は必要?退職後の手続きとは

定年退職の場合、基本は確定申告は不要

定年退職の場合、基本は確定申告は不要

定年退職する場合、退職金を受け取ることで、確定申告が必要なのか心配な方もいらっしゃるでしょう。基本的には勤務先が適切な手続きを行うため、退職所得について個人が確定申告をする必要はありません。会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出することで、納めるべき所得税を過不足なく精算してくれます。

通常は、退職前に会社で必要書類を揃えて所定の手続きを促してくれますので心配には及びません。ただし、退職金以外の所得に関しては退職した年の年末調整を会社で行っていない場合や給与以外の所得がある場合など、一定の条件に当てはまる人は、確定申告が必要なケースがあります。詳しくは以下に解説します。

定年退職後でも確定申告が必要な場合

定年退職後でも確定申告が必要な場合

退職金については、会社が手続きを行ってくれるため確定申告は不要です。ただし、以下の1から4のケースに該当する場合は、個人で確定申告の手続きが必要です。

1. 年の途中で退職した場合

年の途中の退職とは、会社で年末調整の手続きができなかった場合を指します。月々の給与は所得税が源泉徴収されていますが、あくまでも概算であり、年末に各種の控除を計上して正しい年税額を算定します。多くの場合、所得税を払い過ぎているため年末調整により還付金として精算します。

この処理をすることにより、給与所得者は原則として確定申告の必要がありません。しかし、年末調整を受けられなかった場合は、税金を納めすぎている可能性があります。

そのままでは、税金の還付が受けられないばかりか、翌年の住民税や社会保険料が高くなってしまうかもしれません。定年後、無職で年金以外の収入がない場合、住民税や社会保険料が重くのしかかってくることも考えられます。そのため、自分で確定申告をして所得税を正しく計算し直す必要があるのです。

再就職した場合は不要になる

退職後、年内に再就職した場合は、前の会社でもらった源泉徴収票を再就職先に提出します。これにより、新しい会社で合算して年末調整してもらえますので、自分で確定申告する必要はありません。

いずれにしろ、源泉徴収票は、再就職するにしても確定申告するにしても必要になりますので、うっかり捨てないようにしましょう。もし見当たらない場合は、以前の会社に再発行を依頼してください。

2. 年金が多い

定年退職して年金受給者となった場合は、公的年金等に係る確定申告不要制度により、原則として確定申告は不要です。ただし、1月から12月までの公的年金等の合計収入が400万円を超える場合は、所得税の確定申告が必要です。

公的年金等の合計収入が400万円以下の場合でも、以下の3に該当する人は、確定申告が必要です。また、公的年金等に係る雑所得から所得控除を差し引いても残額がある場合も確定申告が必要です。

3. 年金以外の所得が20万円を超える

公的年金等の合計収入が400万円以下の場合でも、公的年金等に係る雑所得以外に20万円を超える所得がある場合は、確定申告が必要です。この場合の所得とは、生命保険や共済から支給される個人年金または満期返戻金、給与所得などです。

4. 控除などを受ける場合

定年退職後に再就職や年金受給中などで所得税が源泉徴収されている場合、以下の要件に該当する人は、確定申告で還付手続きをすることにより所得税が返還される場合があります。1月から12月までの1年間に、自分もしくは生計を一にする家族が支払った合計の医療費が10万円を超える場合は、医療費控除の対象になります。

住宅ローンを組んでマイホームを取得したときやリフォームなどを行ったときも、所定の要件を満たせば住宅借入金等特別控除の対象となり、所得税の還付が受けられます。また、自然災害や火災、盗難等の不慮の災害に遭ったときも、雑損控除が適用されます。

ただし、詐欺や恐喝などは対象外で雑損控除は認められません。この制度は年金受給者に限らず給与所得者や個人事業主も対象とする一般的な制度です。住居の取得や改修、病気や災害などで多額の出費があった場合、所定の要件を満たせば、確定申告で税金の一部が戻ってきます。

申告手続きの方法

申告手続きの方法

1月1日から同年12月31日までの所得に対する確定申告は、原則として翌年の2月15日頃から3月15日頃までの間に手続きをします。過去には新型コロナの感染対策などで期間が延長されたこともありましたが、基本的にはこの1ヶ月の間に確定申告書を提出することになります。提出は、所轄の税務署や自治体の特設コーナーなどで受け付けています。

また、郵送や国税電子申告・納税システムのe-Taxを利用してインターネットでの手続きも可能です。ただし、住宅ローンや医療費控除などの還付申告手続きなら、該当する年の翌年1月1日から5年の間の手続きが有効です。

つまり、過去に高額の医療費を支払ったり、盗難にあったりしたときは、5年を経過していなければ手続き次第で税金が返ってくる可能性があります。ただし、保険などで補填できた分は差し引いて申告することになりますので注意してください。

確定申告に必要な書類は、会社や公的年金等の機関が発行した源泉徴収票、保険会社や金融機関から届いた控除証明書、確定申告書Aです。確定申告書の用紙は、税務署や確定申告特設コーナーなどで準備しています。

また、国税庁のホームページからダウンロードして印刷して使うこともできます。インターネット申告の場合は、用紙不要です。

医療費控除を受ける場合は、医療機関や薬局、ドラッグストア等が発行した領収書、交通費の領収書、電車やバスなど領収書が発行されない場合は通院日のメモ書きなどを用意しましょう。記入方法は、国税庁のホームページにある「記載方法の手引き」などで確認できます。

税理士などが常駐する相談会場などでは記入の指導が受けられます。e-Taxなら、画面の指示に従って入力を進めるだけです。

初回は、用語などがわからないと難しいと感じるかもしれませんが、要領さえ覚えれば次年度からはインターネット申告にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。仮に間違った申告をしてしまったとしてもあとから修正申告が可能です。

定年退職後は住民税の支払いや各種の手続きにも注意

定年退職後は住民税の支払いや各種の手続きにも注意

定年退職をして無職となってからは、今まで会社が行ってくれていた手続き関係を自分でやらなければなりません。手続きをうっかり忘れていると、期限までにまとまった金額を一度に支払わなければならないケースもあるため、気をつけたいものです。

定年退職後は住民税を自分で納めなくてはいけません。そのうち自治体から納付書が郵送されてきますので、期限までに納付しましょう。

65歳未満の定年退職者なら、再就職先を探すまでの間、失業保険の給付が受けられます。無保険期間をなくすため、健康保険をどうするかについても検討しておく必要があります。

まとめ

まとめ

定年退職後は、タイミングや条件次第で確定申告が必要になることがあります。年末調整をせずに退職して年内に再就職しない場合は、翌年の確定申告によって納め過ぎた所得税が還付されるかもしれません。

確定申告は慣れないと面倒に感じるかもしれませんが、一度経験しておくと所得税の仕組みが理解でき、次回からは簡単に申告できるでしょう。

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