副業の収入も「雑所得」?今さら聞けない雑所得の仕組みや控除を解説!

会社員が副業で収入を得ると、「雑所得」として確定申告しなければならない場合があることをご存じですか?今回は雑所得の概要や、確定申告する際のルールや注意点、控除額などについて解説します。

副業の収入も「雑所得」?今さら聞けない雑所得の仕組みや控除を解説!

雑所得とは?

雑所得とは?

雑所得の種類

雑所得は、所得税法で定められた以下の8つの所得のいずれにも該当しない所得のことを指します。

1.給与所得
2.利子所得
3.配当所得
4.不動産所得
5.事業所得
6.退職所得
7.山林所得
8.譲渡所得及び一時所得

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したがって、雑所得には具体的に以下のような所得が該当することになります。

<雑所得の例>
 ・公的年金
 ・副業による所得(執筆業でない人が得た原稿料、講師業でない人が得た講演料など)
 ・シェアリングエコノミー(民泊、カーシェアなど)で得た所得
 ・ネットオークションやフリマアプリで得た所得
 ・先物取引やFX取引、仮想通貨取引で得た所得

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副業のアルバイト代は雑所得?

例えば会社員が週末の休みを利用して、別の企業でアルバイトをして給与を得た場合は、副業による所得であっても雑所得ではなく「給与所得」になります。しかし、個人的に依頼された原稿を書いて原稿料をもらった場合や、講演会の講師をして講演料を得た場合、インターネットで商品を売って利益を得た場合などは「雑所得」となります。

なお、事業として成立するほどの規模で副業を手掛けている場合、その副業を通じて得た所得は「雑所得」ではなく、「事業所得」として認められる場合もあります。

いずれの場合も、所得を計算する際には、所得=収入ではないことに注意が必要です。例えば、7万円で仕入れた商品をフリマアプリで販売し、10万円の売り上げを得た場合の「所得」は10万円(収入)から7万円(経費)を差し引いた3万円となります。

副業で得た雑所得の確定申告は、いくらから必要?

副業で得た雑所得の確定申告は、いくらから必要?

原則として会社員で給与所得を得ている人は勤務先の会社が本人に代わって年末調整などの税務処理を行うため、本人が確定申告をする必要はありませんが、原則として年間20万円を超える雑所得を得た場合は確定申告をする必要があります。逆に言うと、給与所得者で雑所得が20万円以下(かつ、その他の所得がない)の人は原則として確定申告をしなくても良いということです。

雑所得20万円を超えても確定申告が不要な人

公的年金も雑所得のひとつですが、公的年金の受給額が400万円以下で、かつ、公的年金以外の所得が20万円以下の場合は、確定申告をしなくても良いことになっています。

雑所得20万円以下でも申告が必要な人

所得税の計算にあたって「雑所得が20万円以下で申告不要」とされるのは、年末調整をした給与所得者のうち、一定の条件を満たす人のみであり、次に該当する人は雑所得が20万円以下でも確定申告をする必要があります。なお、確定申告をする場合は、20万円以上であるか否かにかかわらず、必ず雑所得についても用紙に記入して申告しなくてはなりません。

・フリーランスまたは個人事業主
フリーランスまたは個人事業主で収入から経費を差し引いた後の所得が年間38万円以上の人は確定申告をしなくてはならず、その際に雑所得についても(20万円以下か否かにかかわらず)申告しなくてはなりません。

・給与の収入金額が年間2,000万円を超えている人
給与所得が2,000万円を超えると年末調整を行わないことになっているため、確定申告が必要になります。

・同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けた人

・災害減免法により、給与について所得税等の源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた人

・給与の支払を受ける際に所得税等を源泉徴収されていない人

・退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人

・医療費控除、住宅ローン控除を受ける予定の人

雑所得20万円以下でも住民税の申告は必要!

なお、20万円以下の雑所得の申告免除が認められているのは所得税についてのみであり、住民税については認められていません。つまり、雑所得が20万円以下であっても、住民税の申告は必要だということです。

そもそも、住民税の税額は年末調整や確定申告によって確定した所得税額をもとに算出され、翌年に課税(給与から天引き)される仕組みになっています。年末調整や所得税の確定申告をしていれば、原則として住民税の申告は必要ありませんが、年末調整や所得税の確定申告がなされていない場合は、住民税額が算出できないことになってしまいます。雑所得が20万円以下の場合で所得税の申告をしない場合も、住民税については雑所得を申告しなくてはならないことに注意しましょう。

雑所得における必要経費はどこまで入る?

雑所得における必要経費はどこまで入る?

当然ながら、雑所得が多ければ多いほど、所得税の納税額は高くなります。少しでも税負担を軽くするためにも、所得を得るのにかかった必要経費はしっかり計上したいものです。では、この場合の「必要経費」として、どのようなものが認められるのでしょうか?

国税庁では、雑所得の金額を計算する上で必要経費に算入できる金額を次のふたつに定義しています。

1. 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
2. その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

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すなわち必要経費とは、雑所得を得るために直接要した費用のことであり、商品の仕入代金など収入に直接関連する費用のほか、通信費や交通費など営業活動等に要した費用も含まれます。
例えば、副業として自宅でネットオークションに出品して雑所得を得た場合、必要経費として認められる経費には以下のようなものがあります。

・商品の原価(仕入れ代、材料代、製作費など)
例えば製作費2000円で作ったアクセサリーを販売した場合、製作費2,000円が必要経費として認められます。
 
・パソコン代
オークションに出品するのに使ったパソコンの購入代金も必要経費として計上できます。ただし、パソコンなど業務に使う機械類は購入価格全額を1度に計上することはできず、購入金額を「法定耐用年数(パソコンの場合は4年)」で割った金額を1年間の経費として計上します。したがって、たとえば10万円で購入したパソコンの場合は、10万円÷4=2.5万円を1年分の経費として計上することができます。

・通信代、電気代
ネットオークションで商品を販売するのに使ったインターネットの接続料金や電気代、電話代も必要経費に計上することができます。

・送料
販売した商品を発送するのにかかる送料も経費に計上できます。

・撮影代金
販売する商品をより良く見せるためにプロのカメラマンに頼んで商品を撮影した場合の費用も、経費として計上できます。

・飲食代
販売する商品の仕入れ先との打ち合わせや接待で使った飲食代も、経費として計上できます。

・交通費
商品の仕入れや商談で使った交通費も経費として計上できます。

なお、ひとつの支出が生活費と仕事上の必要経費の両方にかかわってしまうことがあります。例えば、住居として借りているマンションの1室で副業のための作業をした場合、その部屋の家賃や水道光熱費などは生活費であると同時に仕事上の必要経費でもあることになります。
こういった支出は「家事関連費」と呼ばれ、業務記録や領収書などに基づいて、所得を得るのに直接必要だったことが明らかに区分できる場合のみ、その区分にかかる費用が必要経費として認められます。

例えば、100平米(家賃20万円)の自宅マンションの1室(25平米)を、1ヶ月のうち15日のみ副業で使用した場合は、副業に使った部屋の面積(25/100平米)と時間分(15/30日)の家賃が必要経費として認められるので、2万5,000円(20万円×25/100×15/30=2万5,000円)を必要経費として計上できます。

いずれの場合も税務調査が入った時などに支出の裏付けがしっかりできるよう、経費として支払った支出の領収書は必ず保管しておく、業務時間や場所を記録しておく習慣をつけるようにしましょう。

経費として計上できないものは?

なお、以下の支出は必要経費として認められないので注意が必要です。

・生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃など
・生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給与賃金(青色事業専従者給与は除く)
・所得税や住民税
・罰金、科料及び過料など

雑所得の控除額は?

雑所得の控除額は?

所得には、他の所得と合算されて課税される「総合課税」の対象となるものと、個別に課税される「分離課税」の対象になるものがあり、雑所得は「総合課税」の対象です。したがって雑所得がある場合は給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求め、以下の計算式で納税する所得税額を計算します。

(総所得金額-所得控除など)×税率=所得税額

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「所得控除」は、税額を計算する前の所得から控除が適用され、所得税額は、総所得金額から所得税控除を差し引いた金額に税率をかけて計算します。そのため所得控除の金額がすべて税額から差し引かれるわけではありません。また、所得税は所得の金額に応じた累進税率を採用していることから、適用される税率に応じて結果的に控除される金額が変わってきます。

「税額控除」は、所得控除を差し引いた後の金額(課税所得金額)に、税率をかけて計算した税額から直接、控除が適用されます。そのため計算された所得税額を最大として、控除の金額がすべて税額から差し引かれます。

所得控除には、基礎控除(38万円)や公的年金控除、医療費控除などがあります。そのほか、住宅ローン控除、ふるさと納税の寄付額のうち2,000円を超える部分の控除などは税額控除にあたり、要件を満たせば、確定申告によって控除を受けられることになっています。

雑所得にかかる税率は?

先にも述べた通り、雑所得は総合課税の対象であり、雑所得のみを対象とした税率は設けられていません。雑所得については、他の所得と合算した課税所得金額に税率を乗じて所得税額が算出されることになります。なお、税率は課税所得金額に応じて、下表のとおり定められています。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超
330万円以下
10% 9万7,500円
330万円超
695万円以下
20% 42万7,500円
695万円超
900万円以下
23% 63万6,000円
900万円超
1,800万円以下
33% 153万6,000円
1,800万円超 40% 279万6,000円

【参考】国税庁ホームページ「No.2260 所得税の税率」詳しくはこちら

したがって、課税される金額が500万円の場合は、「500万円×20%−42万7,500円=57万2,500円」が所得税額ということになります。

副業サラリーマンAさんの所得税計算

では、サラリーマンのAさんが副業で1年間に100万円の雑所得を得た場合、所得税がいくらになるのかを試算してみましょう。

Aさんの属性

・扶養家族:なし
・給与所得:500万円
・雑所得:100万円
・不動産所得:120万円
・住宅ローン控除10万円

Aさんに課される所得税の計算

Aさんの総所得金額=500万円+100万円+120万円=720万円

総所得金額が720万円の場合、税率は23%で控除額は63万6000円なので、所得税額は、以下になります。

720万円×23%−63万6,000円=102万円

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ここから税額控除である住宅ローン控除10万円を差し引いた金額=92万円が申告納税額ということになります。

申告納税額=102万円−10万円(住宅ローン控除)=92万円

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まとめ

原則として副業で得た所得は雑所得に分類され、年間20万円を超えると所得税が課されます。副業を解禁する企業が増えていることもあり、今後は会社員でも雑所得について確定申告をする人が増えてくるとみられています。
納税の義務は必ず果たさないといけませんが、少しでも税負担を減らすためには、「所得=収入−必要経費」であることを忘れず、所得を得るのに使った必要経費については領収書を保存する、取引や業務の記録を付けるなどして、支出の記録を残しておくように心がけましょう。

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