購入後もかかり続けるマンションの固定資産税はいくら?

マンションを購入するとさまざまな税金がかかります。今回はその中でも特に「固定資産税」にクローズアップ。固定資産税の概要や計算方法、お得な軽減措置などについてご紹介しましょう。

購入後もかかり続けるマンションの固定資産税はいくら?

固定資産税だけじゃない?マンションを買うとかかる税金とは

固定資産税だけじゃない?マンションを買うとかかる税金とは

まずは、マンション購入に関わる税金についておさらいしておきましょう。
マンションには「購入時」、「所有期間」、「売却時」の3つのタイミングで、それぞれ主に次のような税金がかかります。固定資産税は、マンションを所有している期間中に所有者に課される税金です。

① 購入時にかかる税金
印紙税(不動産の売買契約書などの文書に課される国税。文書に印紙を貼付して納める)
登録免許税(登記簿に所有権や抵当権を登記するときに納める国税)
不動産取得税(不動産を取得した後に都道府県に納める地方税)

② 所有期間中にかかる税金
固定資産税(不動産を所有している人に課される地方税)
都市計画税(市街化区域内に不動産を所有している人に課される地方税)
所得税(不動産を貸すなどして収益を得た場合に納める国税)

③ 売却時にかかる税金
所得税(売却により収益を得た場合にかかる国税)
住民税(売却により収益を得た場合にかかる地方税)

そもそも固定資産税とは?

そもそも固定資産税とは?

固定資産税は、毎年1月1日時点でマンションや土地などの不動産を所有している人に、その不動産が所在する市町村(東京23区の場合は都)から課される地方税です。いったん不動産を所有したら、その不動産を所有しなくなるまで毎年課税され、仮に年の途中で売却するなどして所有権がなくなったとしても、1月1日現在の所有者として市町村の固定資産税課税台帳に登録されている者が、その年度の固定資産税を納めることになります。固定資産税の納付は、毎年4月~6月ごろに市町村から送られてくる納付書に従って、原則年に4回に分けて行うことになっていますが、市町村によっては一括納入ができるところもあります。

都市計画税がプラスされることも

なお、所有する不動産が市街化区域内にある場合は、固定資産税とあわせて都市計画税が課されます。都市計画税とは、都市計画事業・土地区画整理事業の費用に充てることを目的とした税金のことで、固定資産税と同じく、その不動産を1月1日現在所有している人に課されます。したがって、市街化区域内にマンションを購入した場合、マンションにかかる固定資産税と都市計画税を毎年支払わねばならないということになります。都市計画税がかかる可能性もあるため、気になる方は、購入を検討しているマンションが市街化区域内にあるかどうか、仲介の不動産業者や行政の窓口で確認しておくとよいでしょう。

固定資産税の計算方法は?

固定資産税の計算方法は?

固定資産税の納税額は、原則として以下の計算式で求めることとされています。

固定資産税額=固定資産税評価額(評価額)✕1.4%

固定資産税評価額は、固定資産税を決める際の基準となる評価額のことで、各市町村(東京23区は都)が3年に1度、固定資産税評価基準に基づいて個別に確認・評価・決定しています。一般的には新築の建物は請負工事金額の50%~60%くらい、土地の場合は時価の70%くらいが固定資産税評価額とされることが多いと言われています。ただし、個々の土地の形状や建物の築年数、構造などによって評価額が異なるので、一概には言えません。

これから購入しようとするマンションの固定資産税評価額を知りたい場合、そのマンションが中古マンションであればすでに固定資産税評価額は算出されているので、仲介不動産業者に確認することができます。一方、まだ建物自体が完成していない新築マンションの場合は評価がされていないため、正確な評価額を知ることはできません。不動産業者に依頼して周辺の類似物件の評価額を調べてもらい、目安として頭に入れておくと良いでしょう。

なお、すでに所有しているマンションの固定資産税評価額を知りたい場合は、市町村役場の担当窓口に所有者本人が本人確認書類を持参して、本人確認が取れれば固定資産税評価証明書を入手することができます。過去に固定資産税を納めたことがある場合は、前年度の納税通知書の課税明細書に固定資産税評価額が明記されています。

一定の条件を満たすマンションには軽減措置も

一定の条件を満たすマンションには軽減措置も

なお、2022年3月31日までに新築された住宅は、120㎡(課税床面積)までの部分について、以下の通り3年間または5年間にわたって固定資産税が2分の1に軽減される特例措置が取られています。
なお、中古で購入した場合も、この軽減措置に残り期間がある場合は、新たに購入した者が軽減措置を引き継いで受けることができます。

【新築住宅の特例措置期間】
・3階建以上の耐火構造・準耐火構造住宅:新築後5年間(認定長期優良住宅は7年間)
・上記以外の一般住宅:新築後3年間(認定長期優良住宅は5年間)

3階建以上の耐火構造・準耐火構造住宅に該当する新築マンションは新築後5年間(長期優良住宅に認定されている場合は7年間)にわたって、固定資産税が2分の1に軽減されることになります。

ローンが終わっても固定資産税はかかる?

住宅ローンを借りてマンションを購入した場合、住宅ローンが終われば返済分の負担はなくなります。しかし、固定資産税は土地の固定資産税評価額が30万円以下、建物の固定資産税評価額が20万円以下にならない限り非課税にはならないので、原則としてマンションを所有している限り固定資産税の納税義務がなくなることはありません。

もっとも、固定資産税評価額は3年に1度の評価替え時に、建築後の経過年数による価値の減少率・「経年原価補正率」を乗じるので、原則として建物部分は築年数が増すごとに評価額が下がり、建物にかかる固定資産税の税額も下がっていきます。ただし、新築マンションの場合は築後5年を過ぎると、固定資産税が2分の1に減額される新築住宅への軽減特例が適用されなくなるので、固定資産税の納税額が増える時期があることに注意が必要です。

実際にかかる固定資産税を新築・中古で計算!

実際にかかる固定資産税を新築・中古で計算!

では、実際に築年数が増すごとに固定資産税納税額がどう変わっていくのか、東京都内にある専有面積100㎡のマンションの新築時、築10年時、築25年時を例に確認していきましょう。

新築時 ※専有面積が100㎡で固定資産税評価額(課税標準)が2,000万円の新築マンションの場合

上述のとおり、新築マンションは床面積120㎡までの部分に関して、築後5年間にわたって固定資産税が2分の1に軽減されます。したがって、固定資産税額は以下の式で求めることができます。

新築時の固定資産税納税額=2,000万円×1.4%×1/2=14万円

築10年のマンションの固定資産税

東京都が定める築後10年の「経年原価補正率」(非木造建物)は、0.7397です(2018年度)。新築時に2,000万円だったこのマンションの固定資産税評価額は、10年後には1,479万4,000円(=2,000万円✕0.7397)に下がることになります。したがって、築10年時の固定資産納税額は20万7,116円です。固定資産税が2分の1に減額される新築住宅への軽減特例の適用期間(5年間)が過ぎているため、新築時よりも固定資産税納税額が上がってしまうことがわかります。

築10年時の固定資産税納税額=2,000万円✕0.7397✕1.4%=20万7,116円

築25年のマンションの固定資産税

東京都が定める築後25年の「経年原価補正率」(非木造建物)は0.3992です(2018年度※)。新築時に2,000万円だったこのマンションの固定資産税評価額は、25年後には798万4,000円(=2,000万円✕0.3992)に下がることになります。したがって、築25年時の固定資産税納税額は11万1,776円です。

築25年時の固定資産税納税額=2,000万円✕0.3992✕1.4%=11万1,776円

【出典】 東京都法務局「経年原価補正率」 詳しくはこちら

おわりに

一般的に築後20年を過ぎたあたりから、マンションの固定資産税納税額が下がり始めるとされています。ただし、土地の固定資産税評価額が30万円以下、建物の固定資産税評価額が20万円以下にならない限り固定資産税は非課税になりません。住宅ローンの返済が終わっても、毎年1月1日時点で所有している限り、固定資産税の納税義務がなくなることはないのです。マンションを所有している人は、定年退職して収入が大きく減っても、固定資産税は毎年支払い続けなくてはならないことを考慮して、老後の生活資金計画を立てるようにしてください。

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