家を売るタイミングに正解はある?家を売る際に注意したい6つのポイント

住宅を売るタイミングは、高く売れるかどうかだけではなく、買い手がつきやすいかも考慮に入れる必要があります。住み替え時期を柔軟に決められるならば、少しでも条件の良い時に売却したいものです。今回は、住宅を売るタイミングについて特に注意したい6つのポイントについて、まとめました。

家を売るタイミングに正解はある?家を売る際に注意したい6つのポイント

不動産相場

不動産相場

平成初めのバブル崩壊以降、土地神話は崩れ不動産は値下がりしているというイメージを持っている人も多いかもしれません。
しかし、首都圏の不動産相場は2014年のアベノミクス以降力強く上昇しています。オリンピックの開催に合わせて、いたるところで不動産再開発が進んだことで建設費が上昇した結果、不動産価格が高騰しました。

国土交通省による不動産価格指数では、2010年平均を100とした場合、2021年7月時点の指数は、住宅総合が122.4、マンションが167.7となっています。

【参照】国土交通省:不動産価格指数(住宅) 詳しくはこちら

首都圏の不動産は高止まりの傾向

特に首都圏の新築マンションの平均価格はバブル期に迫る勢いです。コロナショックで短期の下落を見せたもののすぐに回復しました。それどころか、家で過ごす時間が長くなって住宅に目を向けられることが多くなったことから、住宅市場はさらなる活況を見せ、2021年現在も不動産市況は高止まりしています。現在不動産は、格好の売り時といえそうです。

不動産市況は、金融緩和や経済市況の影響を受けやすく、周期的に変化します。公示地価や基準地価などの公的な調査のほか、新築マンション平均販売価格や契約率が民間の調査機関から発表されているため、不動産のプロでなくても不動産市況をざっくりと判断することは可能です。これらの情報をキャッチすることで、売買のタイミングを計るのもよいでしょう。

築年数

築年数

所有している建物の築年数によって価格は大きく変わってきます。また、築年数のかなり古い物件は買い手がつきにくくなる傾向にあります。
高く売りたいならば、築年数の新しいうちに売却するのに越したことはありません。とはいえ、価格の下落には一定の傾向があるので、それを押さえておくとタイミングを計るのに役立つでしょう。

一戸建ての場合、築年数が5年から10年程度までは下落のスピードが速めです。これは新築の物件価格は市場価値に価格が若干上乗せされており(新築プレミアム)、築年数を経るごとに市場価格に近づいていくためだと考えられています。
築10年から20年までは、築年数に応じて価格が下落していきますが、当初より下落のスピードは緩やかになります。
マンションの場合は、価格の下落のスピードは比較的緩やかなのが特徴です。

築年数は20年を過ぎると一戸建てとマンションで大きな違いあり

注目すべきは、築20年を過ぎた建物における木造一戸建てとマンションとの違いです。日本では、戸建ての中古市場が未成熟であるために、20年を過ぎた木造一戸建てはほとんど価値のないものと見なされています。解体してしまって更地で売却したほうが、買い手がつきやすいほどです。

一方でRC・SRC造のマンションは、築20年を過ぎたものでも一定の価値を有するものとして取引されています。
当初から住み替えを考えて住宅を購入したのであれば、早いうちに売却を考えることも選択肢の一つと言えるでしょう。

ライフスタイルの変化

ライフスタイルの変化

子供が独立したためにコンパクトな住まいで十分になった、老後の生活に備えて駅近で利便性の良いところに引っ越したいなど、ライフスタイルが変化したときは住宅を売却する良いタイミングとなります。

老朽化した住宅を売却してしまったほうが住宅の維持費を抑えられるケースもありますし、住宅の修繕など維持していく手間から解放されることになります。また、コンパクトな住まいにして住宅費を節約することで、生活を豊かにしようとするという人も見かけられます。
資産価値のある住宅を所有していて、住宅ローンの返済が進んでいれば、住み替えについても柔軟に考えられるでしょう。

税金

税金

住宅を売却して利益が出るような場合には、譲渡所得税の確定申告を忘れずに行う必要があります。

この譲渡所得税は所有期間によって税率が異なります。
まず、売却した日を含む年の1月1日時点において所有期間が5年以下の不動産の譲渡所得税の税率は39.63%です。
(所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%=39.63%)

一方、所有期間が5年を超える場合の税率は20.315%です。
(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%=20.315%)

なお、復興特別所得税が0.63%や0.315%など細かい数字になっているのは、それぞれの所得税額(30%、15%)の2.1%であるためです。復興特別所得税は、2037年まで課税されることになっています。
上記の通り、5年を超すかどうかで税率が2倍近く違いますので、譲渡所得が発生する場合は注意が必要です。もう少し待てば5年を超えるなら、売却を延期したほうがよいかもしれません。

また居住用建物を、10年を超えて保有するなど一定の要件を満たす場合には、譲渡所得のうち6,000万円までの部分について軽減税率(14.21%)が適用されます。

さらに、マイホーム(別荘などは含まない)を売却したときには、所有期間に関わらず3,000万円の特別控除を受けられるため、多額の譲渡所得が発生するケースはそう多くありません。とはいえ、住宅を売却して利益が出る場合には、譲渡所得税も高額になりがちです。税理士などの専門家に相談しつつ売却時期を判断したほうが賢明です。

【参照】国税庁:土地や建物を売ったとき 詳しくはこちら

住宅ローン金利

住宅ローン金利

住宅ローン金利が低いと住宅の購入意欲が高まります。これは中古住宅についても同じです。したがって、住宅ローン金利が低いうちに自宅を売却してしまうことも検討できるでしょう。
代表的な住宅ローンである「フラット35」の最低金利は1.330%(2021年11月現在)と歴史的な低水準となっています。そのため、不動産相場が値上がりしていても住宅ローンの月々の返済額は抑えられているのです。

【参照】フラット35 ご利用条件 詳しくはこちら

このような時期は住宅を購入したい人が市場にたくさんいるために、買い手がつきやすい傾向があります。

売却しないほうが良いタイミング

売却しないほうが良いタイミング

これまで紹介したように、住宅売却のタイミングは不動産市況や金利動向など経済市況に関わるものから、税制、築年数やライフスタイルの変化など個人的な事情が関わるものまで多岐にわたります。

市況が悪かったとしても一概に売却しないほうが良いというわけではなく、個人の事情によっては今が売却のベストタイミングということもあるでしょう。
しかし、売却時期について柔軟に考えられるにもかかわらず、拙速に住宅売却を検討するのは禁物です。不動産市況が底をついているときや適用される税制が変わるようなときは、慎重に考えるべきといえます。

まとめ

住宅を売却する時期を誤ると、思ったよりも低い売却価格で売らざるを得なかったり、買い手がつかず住み替えが実現しなかったりすることもあります。不動産市況や金利動向は売却価格や買い手の見つけやすさに直接影響を与えますが、築年数や個人のライフスタイルなどもタイミングを計る判断材料になるものです。

住宅を売却する目的は人それぞれ異なりますので、いつが売却のベストタイミングかについても人それぞれです。住宅売却の際には、今回紹介した売却タイミングを計る6項目を1つずつじっくり検討することで、自分にとってのベストタイミングを見極めていきましょう。

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