特例なども活用しよう!空き家を売却する方法やかかる費用・税金など

空き家問題は、倒壊の危険や防犯面において深刻な問題をもたらしています。空き家の所有者がリスクを回避するには、売却してしまうのが簡便な方法です。今回は空き家を売却する方法や注意点、優遇税制についてまとめています。利用しない空き家を処分するときには、ぜひ参考にしてみてください。

特例なども活用しよう!空き家を売却する方法やかかる費用・税金など

空き家を売却する方法

空き家を売却する方法

空き家を売却する方法としては、そのまま売却するか、更地にして売却するかの2種類が考えられます。それぞれの方法について手続きや費用を見ていきましょう。

【方法①】そのまま売却する

建物があるままだと、なかなか買い手が付かないと言われることがあります。ただ、築年数が浅い場合や、既にリフォームなどを行っていてすぐに住めるような家の場合はその限りではありません。そのままでも売れるだけでなく、建物が付加価値となって高く売却できる可能性もあります。

そのまま売却する場合には、まず不動産会社に売却の相談をします。不動産会社は売買の仲介として買主を探し、契約・引渡までのサポートを行います。
不動産会社の中には、土地・建物の買取業務を行っているところもあります。不動産会社自身が買主となるため、早期に売買できるメリットがあります。しかし、市場価格よりやや割引された価格で売買されることが多いようです。仲介でなかなか買い手が付かなかった場合は、相談してみるのも良いでしょう。

【方法②】更地にして売却する

更地で売却する場合には、建物解体業者に建物を撤去してもらい、そのあと土地の売却について不動産会社に相談するのが一般的です。
もっとも、建設会社や解体業者とつながりのある不動産会社も多く、建物の解体・撤去、売却を一貫して不動産会社に依頼できる場合もあります。
更地での売却は、解体費用がかかるというデメリットはありますが、その分土地売買価格が高めに設定される傾向にあります。また、一般的には更地のほうが買い手を見つけやすいと言われています。

空き家の売却にかかる費用・税金

空き家の売却にかかる費用・税金

空き家を売却するときには、解体費用や修繕費用などの実質的な負担以外に、次のような諸費用がかかります。

・登記費用
・測量費用
・仲介手数料
・解体費用
・譲渡所得税
・印紙税

出典 

以下でそれぞれ見てみましょう。

登記費用

売買時の所有権移転登記費用は買主が負担します。しかし、古くからある土地・建物の場合には相続登記がなされていないなど、登記が実態を正しく反映していないこともあります。現在の所有者に登記しなおしてから買主に移転登記しなければならず、別途、登記費用が発生します。また、土地建物を担保に金融機関から借入している場合には、抵当権の抹消登記費用も必要です。

測量費用

売買時には、特に土地の面積が正確かについて問題になります。そのまま売買することもできますが、隣地との境界を確定し測量しなおしてから売買したほうが、信頼性も高まり買主を見つけやすくなります。このとき、土地家屋調査士に境界確定・測量費用を支払います。

仲介手数料

土地・建物の売買は専門的な知識が必要であるため、宅建業を行う不動産会社や宅地建物取引士に買主探しから契約・引渡までの仲介を依頼します。契約・引渡時に物件価格の3%プラス6万円(税抜)を上限として宅建業者に支払います。物件価格が400万円以下の場合の売主が支払う仲介手数料は18万円(税抜)です。

解体費用

更地にして売却する場合には、建物の解体・撤去費用がかかります。費用は床面積によって異なります。木造一戸建ての場合、解体費用の相場は坪3万円から5万円です。

譲渡所得税

不動産を売却して利益が出た場合には、譲渡所得として確定申告し、納税する必要があります。譲渡所得税には所得税と住民税、それに復興特別所得税が含まれ、税率は所有期間によって異なります。売却した日を含む年の1月1日現在において、所有期間が5年以下の場合の税率は39.63%、5年を超える場合の税率は20.315%です。

印紙税

印紙税とは、不動産売買契約書に印紙を貼付することによって納税する税金です。印紙税額は不動産の売買金額によって異なります。例として売買金額が2,000万円の場合の印紙税額は1万円です。

空き家を売却するなら特例を活用しよう!

空き家を売却するなら特例を活用しよう!

空き家売却時にはさまざまな税金がかかってきますが、特に相続で空き家を取得した場合にはいくつかの優遇税制が用意されています。適用要件についての詳細はかなり複雑ですので、税理士などの専門家に相談してみましょう。

特例① 相続した空き家に使える特別控除

相続によって被相続人(死亡した人)が住んでいた空き家を取得し売却した場合において、一定の要件を満たせば、譲渡所得から3,000万円まで控除することができます。

譲渡所得は売買金額から取得費、譲渡費用を差し引いて計算しますが、相続の場合、取得費は被相続人が不動産を取得したときにかかった購入代金や費用を引き継ぐものとされています。取得費が不明の場合には、売買金額の5%を取得費とみなすことができます。
譲渡所得は高額になりがちですが、特別控除を活用することで譲渡所得税を軽減できるのです。

特例② マイホームを売却する際の特例

空き家の売買とは直接関係ありませんが、実はマイホームを売却するときにも、譲渡所得から3,000万円の特別控除が受けられる場合があります。

所有期間が10年を超えるなど要件を満たせば、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分については14.21%の軽減税率が適用されます。

特例③ 相続した空き家の取得費加算の特例

相続した空き家を売却したときの譲渡所得税の計算における取得費について、相続税の申告期限から3年を経過するまでに売却するなど一定の要件を満たす場合には、相続税の一部を取得費に加算できます。これにより、譲渡所得を抑えられます。

空き家を売却する際の注意点

空き家を売却する際の注意点

空き家はかなり古い土地・建物であることが多いことから、一般的な不動産の売買に比べて手間や費用がかさんでくることもあります。
特に、以下の点については慎重に手続きを進めましょう。

自分で売る場合は要注意!

不動産の売買については、個人間で行うことも法的には可能です。しかし、不動産の売買には専門的知識が不可欠です。買主の探索から契約書類の作成、登記手続きなど、どれをとっても手間がかかります。

また不慣れなことから、売買の成立まで時間がかかってしまうといった懸念もあります。すべてを自分で行うと、どこかに不備があるかもしれません。後々トラブルに発展することを避けるためにも、不動産会社に仲介に入ってもらうのが無難です。

不動産業者の選定

不動産業者にも得手、不得手があります。全国ネットワークを持つ大手企業は保証や手厚いサービスを用意していますが、地元密着の不動産会社にも地元の情報がよく集まってくるなどのアドバンテージがあります。

また地方の物件になると、大手企業よりも土地勘ある地元の不動産会社のほうが扱ってもらいやすい傾向があります。
複数の会社に相談してみて、対応を比較検討しつつ依頼する不動産業者を選定しましょう。

売却時・売却後のトラブルを回避する

特に相続で取得した不動産は関係者が多く、法律関係が複雑になりがちです。また、隣地の所有者も長い年月を経て変わっている場合など、境界がよくわからなくなっているかもしれません。

事前に登記や境界をしっかりと確認し、必要に応じて弁護士・司法書士や土地家屋調査士に調査を依頼すれば、売却時・売却後のトラブルを未然に防げるでしょう。

まとめ

空き家の放置は、風水害や地震の際に倒壊するなど、人命に関わる損害を生じさせる可能性があります。その責任は所有者に降りかかってくるため、早急の対応が必要です。
先祖代々受け継がれてきた不動産を手放すのは抵抗があるかもしれませんが、利用しないのであれば売却を決断することも一策です。

空き家を売却するときには、今回紹介した注意点をふまえつつ、一人で悩まずに専門家に相談しながら手続きを進めましょう。

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