一般的な家庭の貯蓄額はどのくらい?年齢別の貯蓄額も比較

お金は貯めたいと思っているけれど、今の貯蓄の額がほかの人と比べて多いのか少ないのかが気になる方も多いのではないでしょうか。一般的な家庭の貯蓄額、年代別の貯蓄額と比較して、貯蓄の目安や増やすためのコツを考えてみましょう。

一般的な家庭の貯蓄額はどのくらい?年齢別の貯蓄額も比較

国民全体の平均貯蓄額は1世帯あたり1,200万円超

国民全体の平均貯蓄額は1世帯あたり1,200万円超

厚生労働省が発表した「2019年国民生活基礎調査の概況」によると「貯蓄がある」と答えた世帯が81.9%で、平均貯蓄額は1,213万2,000円となっています。

【参考】厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況(各種世帯の所得等の状況)」詳しくはこちら

年代があがるごとに貯蓄は増える

年代があがるごとに貯蓄は増える

次に厚生労働省が実施した同調査から、年齢別の貯蓄額を見てみましょう。60代までは年代ごとに貯蓄額が積み増しされています。50代以上から貯蓄額が急増していますが、これは貯蓄年数の長さだけではなくこの世代では相続が発生したり、また60代以上では、退職金が支給されたりするなどの影響だと考えられます。

■世帯主の年齢別の1世帯当たりの平均貯蓄額

年齢 平均貯蓄額
29歳以下 179万8,000円
30歳~39歳 530万円
40歳~49歳 650万9,000円
50歳~59歳 1,075万4,000円
60歳~69歳 1,461万7,000円
70歳以上 1,233万5,000円

【参考】厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況(各種世帯の所得等の状況)」詳しくはこちら

貯蓄がゼロの家庭は13%!?家庭環境でも貯蓄額に違いが

貯蓄がゼロの家庭は13%!?家庭環境でも貯蓄額に違いが

金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」で収入の中から貯蓄に回す人の割合を年代別に見てみると、下記の表のようになりました。ほとんどの世代で収入の10%程度を貯蓄に回していることがわかります。

年間手取り収入からの貯蓄割合※

年代 貯蓄割合
20代 16%
30代 14%
40代 12%
50代 13%
60代 11%
70歳以上 9%

※臨時収入を含む

【参考】金融広報中央委員会「知るぽると」「家計の金融行動に関する世論調査「二人以上世帯調査」(令和3年以降)各種分類別データ(令和4年)per22201.xlsx」詳しくはこちら

また、厚生労働省の「平成28年国民生活基礎調査の概況」によると「貯蓄がない」と答えた世帯が13.4%ありました。
内訳は、母子世帯が31.8%と突出し、貯蓄がある世帯でも50万円未満という回答が9.9%となっていて、家庭の状況により貯蓄の有無や額に違いがあることがわかります。

世帯の形態による貯蓄の状況

貯蓄 全世帯 高齢者世帯 母子世帯
貯蓄がない 13.4% 14.3% 31.8%
貯蓄がある 81.9% 80.1% 65.0%
貯蓄が50万円未満 4.6% 4.0% 9.9%

【参考】厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況(各種世帯の所得等の状況)」詳しくはこちら

無理のない貯蓄で将来に備えよう

無理のない貯蓄で将来に備えよう

貯蓄は将来の生活設計のためにも必要なものです。
ただ、生活の質を極端に落としてまでの貯蓄は本末転倒で、無理のない貯蓄をすることが大切です。世代別の収入から貯蓄に回す割合が10%程度と紹介しましたが、毎月収入の10%を貯蓄できれば、単純計算で1年で1ヶ月分の収入以上、10年続ければ年収1年分の貯蓄ができるので、コツコツと貯蓄をすることは重要です。

とはいっても、なかなか無駄な支出を抑えられず、貯蓄の習慣化ができないという方もいるかもしれません。そうした方には一定額を天引きなどの形で貯蓄枠として確保して、貯蓄を習慣化する方法が有効です。

メリットがたくさん「財形貯蓄」

そこでおすすめなのは「財形貯蓄」です。財形貯蓄とは会社が提携している金融機関に、給与から天引きの形で会社を通してお金を預ける貯蓄制度です。
財形貯蓄には以下の種類があります。

財形貯蓄の種類

種類 特徴
一般財形貯蓄 賃金から天引きされ貯蓄される制度。使途や年齢の制限はない。
財形年金貯蓄 55歳未満が加入でき、60歳以降に年金として支給される財形貯蓄の制度。利子の非課税措置のメリットがある。
財形住宅貯蓄 マイホームの購入を目的とした財形貯蓄の制度。利子の非課税措置のメリットがある。

財形貯蓄は、貯蓄の習慣化以外にもメリットがあります。それは「財形持家転貸融資制度」です。
財形持家転貸融資制度とは、財形貯蓄を行っている人がそれまでに貯蓄した額に応じた住宅ローンを借りることができる制度で、一般財形貯蓄を行っている人にも適用され、財形貯蓄を1年以上継続していて、残高が50万円以上あれば、残高の10倍まで融資を受けることが可能です。上限は4,000万円、住宅購入価格の80%まで借り入れが可能な制度で、将来の住宅取得でも有利になることがあります。
財形貯蓄制度を勤務先が採用していない方向けには、銀行の自動振替サービスがあります。多くが少額からの振替が可能で、毎月決まった金額を自動で貯蓄専用口座に振り替えてくれるので、天引きと同じく習慣化しやすくなります。

資産形成も視野に入れて

資産形成も視野に入れて

また、ある程度の資金があれば、資産形成のために投資を考えることも選択肢に入ります。収入と支出をチェックして、月間や年間の収支を確認します。その中から、今すぐに必要なお金を除いて、ある程度のリスクをとってもよい金額を投資に回すことを検討するのです。

例えば現在では、国が制度として導入した投資信託などの分配金・譲渡益等が非課税になるNISA(少額投資非課税制度)があり、非課税の投資枠が設定されています。まとまった資金がないという方向けの「つみたてNISA」では少額からの積立も可能です。
またNISAは、2024年から新NISAへと制度の内容が変わります。制限のあった非課税期間はなくなり恒久化され、非課税の投資枠も拡大されます。より使いやすくなった新NISAも、ぜひ活用してみてください。
また、将来受け取る年金を補完するものとして、確定拠出年金(DC)を企業が導入しているのであればその活用を、もし導入していないのであれば、iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用することも検討してみてはいかがでしょうか。掛金が全額所得控除され、運用益も非課税、受け取る時にも大きな控除がある制度で、元本保証の定期預金も運用の選択肢とすることができます。いずれも国が「貯蓄から資産形成へ」の流れを作るために制度化したものです。

まとめ

自分の保有する貯蓄額を全体と比較し、もし少ないようであればどのように貯蓄をしていくべきかを考える必要があります。
貯蓄を習慣化するためには天引きなどの形で貯蓄枠を確保することが有効です。
資産形成に関してはNISAや確定拠出年金などの制度を上手に使うことも考えてみてはいかがでしょうか。

ご留意事項
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