失業保険と扶養のどっちがお得?退職前に知っておくべき給付金と扶養の関係

これから退職予定で、失業保険を受給しようか、また配偶者の扶養に入ろうか迷っている方もいるのではないでしょうか。失業保険を受けながら扶養に入ることは条件が揃えば可能なケースもありますが基本的には難しいため、ご自身に適した方法を理解することが重要です。本記事ではそれぞれの選択肢のメリット・デメリットについてご紹介します。

失業保険と扶養のどっちがお得?退職前に知っておくべき給付金と扶養の関係

まずは失業保険と扶養の条件を確認

まずは失業保険と扶養の条件を確認

まずは、失業保険と扶養制度の仕組みについて理解しておきましょう。ここではそれぞれの特徴について述べていきます。また受け取っていた給与額などによっては扶養に入ることが難しい場合もあるのです。これらについても解説していきます。

失業保険の基本

失業保険の基本

失業保険は、正しくは雇用保険(基本手当)と言います。給付は、失業者の生活の安定と就業や職業訓練を促進する目的で作られた制度です。

失業保険の給付の条件

正社員・アルバイトなど雇用形態に関わらず給与から雇用保険を支払い、かつ被保険者期間が離職前2年間のうちに12ヶ月以上あることが給付の条件です。ただし、退職理由が会社側の事由(倒産など)や契約期間の延長ができない場合などは離職前1年間のうち6ヶ月です。

給付までの手続きや受給期間

退職すると会社から送られてくる離職票をハローワークに持参し、その他の必要書類とともに給付の申請をします。給付金を受け取るまでに、自己都合で退職した場合は待機期間(受給手続きから失業したまま7日間)の後、さらに給付制限期間(※)が2ヶ月設定(5年間に2回まで、5年間で3回目は3ヶ月)されています。会社が倒産した、または解雇されたなどで失業した場合は待機期間の後すぐに支給されます。支給期間は一般の離職者の場合は、被保険者期間によって90日、120日、150日となっていますが、倒産・解雇などによる退職であれば被保険者期間や年齢によって、最長で330日まで支給されます。


※会社を自己都合で退職した場合、雇用保険(基本手当)の受給手続日から原則として7日経過した日の翌日から2か月間雇用保険(基本手当)を受給できない期間があり、これを「給付制限」といいます。

実際の給付金額の計算方法

厚生労働省によると給付金額は、給与が平均で月額20万円程度だと月額13万5,000円程度になるとしています。これは(離職前6ヶ月の給与の総支給額の合計÷180)×給付率から算出されており、60歳以上になると給付率が変わることに注意が必要です。また65歳以上では高年齢被保険者という扱いとなり、失業した場合は高年齢求職者給付金を受け取ることになります。

扶養制度の基本

扶養制度の基本

扶養制度は、大きく2つの意味を持ちます。1つ目は配偶者の被扶養者となることで年金制度では第3号被保険者となり個別の負担がなくなる、また健康保険で被扶養者として保険給付を受けられるようになります。

2つ目は、税制上の控除が受けられる点です。アルバイトなどの給与収入が103万円以下の場合は配偶者控除を、103万円〜201万6,000円未満の場合は配偶者特別控除が該当します。

扶養に入るための条件

これらの扶養制度に加入するためには年収が130万円未満であることに加え、被保険者の年収の2分の1未満であることが必須条件です。年収は扶養加入時の見込み額を見られるため、例えば7月に加入する時点で収入が130万円以上ある場合でも、加入時から1年間の収入の見込み額が130万円未満であれば加入することが可能となります。

失業保険の受給中に扶養に入ることは難しい

ここで、気になるのが失業保険を受給している間に扶養に入ることができるかという点です。受給要件や配偶者が加入している健康保険組合の規定で認められている場合には可能ですが、失業保険の目的が次の就業など働く意思を確認した上で支援するものであり、収入がないとして扶養に入ることと目的が相反するため、同時に行うことは難しいといえます。

また、基本手当を受け取りながら扶養には入れた場合でも、失業保険の基本手当日額が3,612円以上(60歳以上であれば5,000円以上)ある場合は扶養に入ることができないと定められています。

【参考】厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」 詳しくはこちら
【参考】厚生労働省「健康保険制度に関係するよくあるご質問Q&A(一般の方向け)A」詳しくはこちら

退職後の選択肢、失業保険と扶養のそれぞれのメリット・デメリット

退職後の選択肢、失業保険と扶養のそれぞれのメリット・デメリット

それでは、退職後にどのように手続きを進めていけばお得になるのでしょうか。ここでは3つの選択肢についてそれぞれのメリット・デメリットを挙げていきます。

①失業保険の未支給期間は扶養に入る

失業保険を受け取るまでには、自己都合で退職した場合など2ヶ月ほどの給付制限期間が発生します。この期間だけ扶養に入る方法があります。ただし、失業保険の給付が開始された時点で改めて扶養から外す必要があります。

メリットとしては、待機期間の年金や健康保険といった社会保険料の個別負担がなくなることです。デメリットとしては、扶養に入る、扶養から外すといった手続きが煩雑であることです。失業保険の受給が終わった時点で扶養に入る場合は、再度手続きをしなければなりません。

②失業保険を受給した後扶養に入る

失業保険は、一般的に90〜150日間支給されます。それらの給付が全て完了した後に扶養に入る方法です。メリットとして①と比較すると、失業保険の給付開始された時期の扶養に関する手続き等はありませんが、給付期間中は働く意思があるとして、定期的にハローワークで求職活動を行って認定を受ける必要があります。

デメリットとしては、年金や健康保険といった社会保険料が自己負担となる点です。ご自身の失業保険は総額でいくら受け取れるのかを計算し、総合的にみて失業保険を受け取った方がお得なのかを事前に知っておくことが重要です。

③退職後にすぐに扶養に入る

失業保険を受け取らず退職後すぐに扶養に入るパターンも選択肢の1つです。メリットとしては、扶養に入ることで社会保険料の自己負担がなくなり、後の配偶者控除が受けられる可能性が高くなることです。また、年間収入が103万円未満となるように調整すれば、扶養に入り続けたまま新たにアルバイトなどで働けます。

デメリットとしては、失業保険が受け取れないことです。退職前にある程度の収入を得ており、退職後から扶養に入るまでの基本手当の受給額と社会保険料の自己負担分によっては、失業保険を受け取った上で、扶養に入る方がお得になることがあります。ただ、これには配偶者控除など税制との兼ね合いもあるので、事前に調べておいた方がよいでしょう。

まとめ

まとめ

失業保険は給付金が受け取れる一方で、扶養に入っていない間の社会保険料が自己負担になります。扶養に入る条件を満たすためには、失業保険を受け取らないのも1つの選択肢です。いずれにしても、今後どのような働き方をしたいのかなども含めて、十分に検討してから手続きするようにしてください。

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