年金生活の親を扶養に入れるメリット・デメリットや条件や注意点は?

税法や健康保険により適用条件が異なりますが、年金を受給している親を扶養家族として迎えると、年収500万円の方の場合、所得税は11.6万円、住民税は4.5万円ほど節税になる場合があります。ただし、条件により逆に負担が増えるケースもあります。本記事では、年金受給者の親を扶養に入れるメリットとデメリット、注意点を解説します。

年金生活の親を扶養に入れるメリット・デメリットや条件や注意点は?

親を扶養家族にできる?

親を扶養家族にできる?

結論から言うと、親を扶養家族にするには条件があります。扶養家族とは、所得税や社会保険などの面で、税控除が受けられたり、本人が保険料を納めていなくても加入者と同じ扱いを受けられたりする仕組みです。一般的にいうところの扶養には、税法、健康保険、年金の3種類があります。これらは一定の条件を満たせば被扶養者になることが可能ですが、それぞれに条件が違います。
このうち年金は、厚生年金の配偶者に対する扶養を指すので今回は対象外となります。そのため、年金受給者の親を扶養に入れるかどうかを検討している場合は、所得控除に関する税法と、医療・介護費に関する健康保険の仕組みを理解しましょう。以下では、この2種類の扶養について解説していきます。

2つの扶養では、以下の3つが主なポイントです。

- 生計をともにしているか
- 親の収入
- 親の年齢


扶養家族に入れるには、基本的に生計を同一にしていることが求められます。ただし、必ずしも同居している必要はありません。入院・療養や、勤務の事情などで別居していても、生計をともにしていれば認められます。

高齢の親を扶養家族にするときのポイントは、親の年金収入や年齢です。それぞれ税法と健康保険で以下のように基準が設けられています。

税法

- 所得上限は年38万円。また、年金所得は一部控除して計算される仕組みもあります。
- 16歳未満は被扶養者になれません。

健康保険

- 所得上限は年130万(60歳以上は年180万円)。
- 75歳以上は被扶養者になれません。

親が扶養に入るメリット・デメリット

親が扶養に入るメリット・デメリット

年金受給者の親を扶養に入れる際には、メリットとデメリットがあります。順番に解説していきましょう。

親が扶養に入るメリット

親が扶養家族になった場合、税法については扶養者側には節税メリットがあり、健康保険については親の保険料負担がなくなるという効果があります。

- 税法:節税効果
- 健康保険:保険料負担免除


後者の健康保険について、親が今支払っている額によっては、年間数万円~十数万円が節約できる可能性があります。なお、健康保険料については、年齢や自治体、年金収入によって異なるので、各自治体のHPから保険料の計算方法を確認してみましょう。

老親を健康保険の扶養に入れる場合の保険料の扱い

【参考】リクルート健康保険組合:「家族の加入について」 ※詳しくはこちら
【参考】新宿区:「保険料の計算例について」 ※詳しくはこちら

70歳以上の親を扶養に入れて生計を1つにした場合、所得から控除される額は下の表の通り、所得税は58万円、住民税では45万円です。なお、税金がこれだけ減るわけではありません。

70歳以上の親を扶養に入れた場合の所得控除額

【参考】国税庁:「扶養控除」 ※詳しくはこちら
【参考】国税庁:「お年寄りを扶養している人が受けられる所得税の特例」 ※詳しくはこちら

例えば、年収500万円の方の節税の目安については、所得税率は20%、住民税は10%のため以下の通りになります。

- 所得税:11.6万円(=58万円×20%)
- 住民税:4.5万円(=45万円×10%)


ただし、社会保険料の控除や、扶養家族の人数、自治体などで税額の計算は異なるため、あくまでも参考値と考えてください。

親が扶養に入るデメリット

親が扶養に入ると、高額療養費制度の自己負担限度額が高くなることがあります。これは、給与収入などの所得に応じて自己負担の限度額が決められる仕組みです。所得区分を「①現役並み」「②一般所得者」「③低所得者」とした場合の自己負担額は、下記2つの表の通りになります。

①現役並み所得者の高額療養費制度の自己負担限度額(70歳以上75歳未満)

①現役並み所得者の高額療養費制度の自己負担限度額(70歳以上75歳未満)

②一般所得者および③低所得者の高額療養費制度の自己負担限度額(70歳以上75歳未満)

②一般所得者および③低所得者の高額療養費制度の自己負担限度額(70歳以上75歳未満)

先述の通り、扶養に入ると扶養者である子どもの収入が基準に入るため自己負担限度額が増えてしまいます。
例えば、扶養に入ることで所得が上記表の「②一般所得者」から「①現役並みⅠ」となった場合、外来負担は月1.8万円から約8万円に増えます。ただし、この外来負担の増加額が、前項で解説した健康保険料の免除額と節税可能額の合計を上回らない限りは、扶養に入ったほうが金銭的な負担を軽減できます。すなわち、加入によりメリットがあるどうかは、持病の有無や高額療養費の治療をする必要があるかによっても変わります。家庭の状況に応じて検討しましょう。

年金受給者の親を扶養家族にする条件

年金受給者の親を扶養家族にする条件

年金受給者の親が扶養家族になるためには加入条件があります。税法上、健康保険上それぞれについて紹介します。要件を満たせば、両方の扶養に入れることも可能です。

税法上の加入条件

税法上の扶養に入れば、親に所得があっても所得税などが軽減される、いわゆる「扶養控除」を受けられます。

扶養家族の加入条件

扶養家族の加入条件

【参考】国税庁:「扶養控除」 ※詳しくはこちら
【参考】国税庁:「高齢者と税(年金と税)」 ※詳しくはこちら

税法上の扶養家族になる条件はこの2つです。

- 納税者と生計をともににしている
- 年間の合計所得金額が38万円以下である


1つ目に関しては、先述した通り必ずしも同居している必要はありません。入院・療養や、勤務の事情などで別居していても、生計を同一にしていれば認められます。
2つ目について、親が年金を受給している場合は、控除額を差し引いて合計所得を計算します。

健康保険上の加入条件

健康保険上の加入条件

【参考】リクルート健康保険組合:「家族の加入について」 ※詳しくはこちら
【参考】トヨタ関連部品健康保険組合:「父母 | 被扶養者になれる?なれない?確認チャート」 ※詳しくはこちら

健康保険の扶養条件はこの3つです。

- 扶養者と生計をともにしている
- 親が75歳未満である
- 収入が制限額を超えていない


1つ目の条件は、税法上とほぼ同じで、同居が必須というわけではありません。税法上では親の年齢上限がありませんでしたが、健康保険では75歳までです。そして、収入の制限金額は同居か別居かにより異なります。

- 同居:年収130万円未満かつ被保険者の年収の半分未満
- 別居:年収130万円未満かつ被保険者の仕送り額未満

さらに、親が60歳以上または障害年金受給者の場合は上限が130万円ではなく180万円に上がります。

扶養に入る際に注意したいこと

扶養に入る際に注意したいこと

親を扶養に入れる際は、所得や年齢に注意しましょう。

60歳を超えて年金所得がある場合、税法上は所得控除の計算をする必要があり、また、健康保険との上限金額が違います。

年齢について、健康保険は75歳未満が対象のため、75歳以上の方は扶養には入れません。その場合、必要に応じて75歳以上が対象の後期高齢者医療制度や、高額療養費制度へ加入することになります。

税法と健康保険の両方の扶養に入れるためには、以下の条件を満たす必要があります。

- 親の年齢:75歳未満
- 親の年収:108万円以下(65歳未満の場合)、130万円以下(65歳以上の場合)


もう1つ知っておくと良い点は、健康保険料の費用負担は変わらないということです。被扶養者が増えれば扶養者である自分が支払うべき保険料が増えるかというと、そうではなく一定です。保険料は加入者全員で負担しているため、親を扶養に入れても自己負担が増えるわけではありません。

扶養家族へ加入するための手続き

扶養家族へ加入するための手続き

親を扶養家族にするための手続きは、配偶者の場合と同じです。税法上と健康保険のどちらの場合でも、扶養者が勤めている会社に申請します。

- 税法:「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を年末調整までに提出
- 健康保険:加入時に「被扶養者(異動)届」と続柄・収入要件確認の書類を提出


税法の場合は、年末調整に手続きが遅れると翌年に確定申告をする必要があります。健康保険の場合は随時対応のため、事前に会社に伝えて準備をしておきましょう。

まとめ

年金を受給している親を扶養に入れることは、条件を満たせば可能で、税法面や健康保険の保険料が節約できるメリットがあります。親の所得が大きい方や、高額療養費制度を利用しているなど一部の場合を除いて、負担が減るケースが多いです。

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