生命保険料以外も控除の対象となる「介護医療保険料控除」とは?

2012年の所得税法改正で介護医療保険料控除制度が新設され、生命保険料だけでなく介護医療保険料も所得控除の対象となったことをご存知ですか? 今回は介護医療保険料控除を受けるための条件や方法について確認してみましょう。

生命保険料以外も控除の対象となる「介護医療保険料控除」とは?

生命保険料控除とは?

生命保険料控除とは?

納税者が任意の生命保険に加入し、生命保険料を支払った場合、確定申告をすれば一定の金額の所得控除を受けることができます。これを生命保険料控除といいます。所得控除を受けると課税所得が減るため、所得税・住民税を抑える効果が期待できます。

以前は、生命保険料控除の区分は「生命保険料控除」と「個人生命保険料控除」のふたつのみでしたが、2012年の所得税法改正で新たに「介護医療保険料控除」が加わりました。介護医療保険料控除の対象となる保険契約は、2012年1月1日以後に契約した医療保険、医療費用保険、がん保険、介護保障保険、介護費用保険等の契約です。

控除の対象となる保険契約の種類と概要

種別       内容
一般生命保険契約生存又は死亡に起因して保険金が支払われる保険契約
個人年金保険料契約個人年金保険料税制適格特約が付いた個人年金保険契約
介護医療保険契約疾病又は身体の傷害等により保険金が支払われる保険契約のうち、医療費支払事由に起因して保険金等が支払われる保険契約

介護医療保険とは?

介護医療保険とは?

ここで注意しなければならないのは、「生命保険料控除」の対象となる介護医療保険は、公的な介護保険ではなく、任意で加入する民間の介護医療保険(=医療保険やがん保険、介護保険、就業不能保険など、疾病または身体の傷害等により保険金・給付金が支払われる保険)だということです。

公的な介護保険は要介護度に応じた介護サービスが提供され、その料金の一部が自己負担になる仕組みですが、民間の介護医療保険は保険会社が定めた所定の要介護状態になったときに、一時金もしくは年金方式で現金が支払われるもので、加入者が具体的な介護サービスを受けられるわけではありません。

なお、「所定の要介護状態」の定義は保険会社によって、「約款に定める高度障害になったとき」や「認知症で●日間要介護状態が継続したとき」など様々です。保険加入の際には、必ずどのような状態になったときに、どのような形で保険金が支払われるのかを必ず確認するようにしてください。

ただし、介護医療保険を謳っているからといって、必ずしも生命保険料控除を受けられるわけではありません。加入時には生命保険料控除の対象となるかどうかを、保険会社の担当者に確認しましょう。

介護医療保険料控除とは?

介護医療保険料控除とは?

介護医療保険料控除が生命保険料の控除区分に加えられたことに伴い、2012年1月1日以後に締結した保険契約(新契約)に係る保険料と2011年12月31日以前に締結した保険契約(旧契約)に係る保険料とでは、以下のとおり、生命保険料控除の取扱いが異なることとされました。新契約にかかる控除は計3区分ですが、複数の区分について同時に控除を受けることも可能で、1区分あたりの控除額の上限は4万円、3区分とも控除を受けた場合の控除額の上限は12万円です。

新契約(2012年1月1日以降に締結した保険契約)に係る控除=上限計12万円

控除の区分    保障内容  控除の
最高額
生命保険料控除遺族保障など4万円
介護医療保険料控除介護保障、医療保障4万円
個人年金保険料控除老後保障4万円

旧契約(2011年12月31日以前に締結した保険契約)に係る控除=上限計10万円

控除の区分    保障内容控除の
最高額
生命保険料控除遺族保障、介護保障、医療保障など5万円
個人年金保険料控除老後保障5万円

なお、法改正前にも介護医療保険料は控除の対象外だったわけではなく、一般の生命保険に含まれていたため、控除の対象となる保障内容の種類が増えたわけではありません。しかし、法改正後はそれぞれの区分に上限が設けられたので、全体として控除額が増え、より大きな減税効果が期待できるようになりました。

介護医療保険料控除の控除額は?

介護医療保険料控除の控除額は?

介護医療保険料控除の控除額は年間の支払保険料等(※)によって異なり、一般の生命保険控除・個人年金保険料控除の控除額と同じく、下記の表の計算式に当てはめて求めることができます。新契約と旧契約、新契約と旧契約の双方に加入している場合とで、それぞれ計算式が異なるので注意してください。

新契約(2012年1月1日以降に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額

年間の支払保険料等(※)控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超40,000円以下支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超80,000円以下支払保険料等×1/4+10,000円
80,000円超一律4万円

旧契約(2011年12月31日以前に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額

年間の支払保険料等(※)控除額
25,000円以下支払保険料等の全額
25,000円超50,000円以下支払保険料等×1/2+12,500円
50,000円超100,000円以下支払保険料等×1/4+25,000円
100,000円超一律5万円

※支払保険料等=その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額のこと

新契約・旧契約ともに加入している場合の控除額は?

なお、介護医療保険料の区分は新契約でしか取り扱われませんが、生命保険料と個人年金保険料については、新旧双方で契約していることも想定できます。その場合も所得控除は受けられますが、下記のとおり、旧契約の支払保険料の金額によって控除額の計算方法が異なります。

種別内容
旧契約の保険料が6万円超の場合旧契約の支払保険料等の
金額に基づいて計算した控除額(上限5万円)
旧契約の保険料が6万円以下の場合新契約の支払保険料等の金額に基づいて計算した控除額と旧契約の支払保険料等の金額に基づいて計算した控除額の合計金額(上限4万円)

介護医療費控除に必要な手続きは?

介護医療費控除に必要な手続きは?

介護医療保険料の控除を受けるには、加入している生命保険会社から1年に1度(一般的には秋頃に)送られてくる「保険料控除証明書」が必要です。

① 給与所得者の場合
給与所得者の場合は、年末調整の際に「保険料控除証明書」と、「給与所得者の保険料控除申告書」を勤務先に提出します。年末調整で控除が認められ、所得税が安くなると、安くなった分の所得税が後日還付されます。一般的には会社から支給される「給与所得者の保険料控除申告書」は、国税庁のホームページからダウンロードできます。

※国税庁「給与所得者の保険料控除申告書」入力用 詳しくはこちら

② 自営業者の場合
確定申告書に「保険料控除証明書」を添えて提出します。

給与所得者・自営業者に関わらず、生命保険料控除を上手に活用すれば所得税の控除・還付を受けことができ、家計にプラス効果をもたらすことができます。保険に加入する際は控除の対象となる保険を選び、保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」を大切に保管しておけば、手続きもそれほど煩雑ではありません。制度の概要をしっかり理解してマネープランに活用しましょう。

まとめ

まとめ

支払った保険料の一部が所得から控除される「生命保険料控除」の制度は、保険を契約した日が2012年1月1日より前か後かによって「旧制度」と「新制度」に分かれています。新制度では、従来の「一般生命保険料」と「個人年金保険料」に加えて新たに「介護医療保険料」が控除対象区分とされ、介護医療保険の保険料についても年間で最大4万円の所得控除を受けることができるようになりました。上手に活用すれば家計に大きなメリットをもたらす生命保険料控除ですが、保険の種類によっては控除対象とならない場合もあるので、保険を選ぶ際は控除の対象になっている保険かどうかを保険会社に確認しておくと安心です。

ご留意事項
  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は執筆時点のものです。また、本稿は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者及び三菱UFJ信託銀行が保証するものではありません。
  • 本稿に掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、三菱UFJ信託銀行は一切責任を負いません。
  • 本稿に掲載の情報に関するご質問には執筆者及び三菱UFJ信託銀行はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

RANKING

この記事もおすすめ