iDeCo(イデコ)の確定申告や年末調整の方法・手順を全解説!メリットや実際の控除額も

資産形成の強い味方であるiDeCoは、「運用にかかる利益に税金がかからない」という税金の優遇が受けられるのが最大の特長です。通常、税金の優遇を受けるためには、年末調整や確定申告などの手続きが必要ですが、iDeCoの場合は、どのような手続きが必要でしょうか?

iDeCo(イデコ)の確定申告や年末調整の方法・手順を全解説!メリットや実際の控除額も

iDeCoは年末調整や確定申告が必要

iDeCoは年末調整や確定申告が必要

iDeCoは個人型の確定拠出年金で、運用益に税金がかからないというメリットがあります。

iDeCoなら所得税や住民税が控除に!

iDeCoの場合は、掛金を加入している本人が拠出するのですが、その掛金は全額所得控除の対象になります。所得控除されることによって、「所得税」と「住民税」が減額される効果があり、税金を払っている会社員や自営業の方にとって、運用だけでなく節税にもなる制度です。

「所得控除」を受けるためには、確定申告が必要ですが、会社員の方であれば、確定申告をしなくても年末調整でiDeCoの「所得控除」が受けられます。

●実際にいくら税金が安くなる?

節税できる額は、年収や掛金の額によって変わります。3つのケースで検証してみます。

比較表

ケース  掛け金など     節税効果            
会社員
Aさん
年齢:35歳
年収:700万円
毎月掛金:23,000円
(年間276,000円)
・1年:82,800円
・60歳まで(25年):2,070,000円
自営業者
Bさん
年齢:45歳
課税所得:500万円
毎月掛金:68,000円
(年間816,000円)
・1年:244,800円
・60歳まで(15年):3,672,000円
公務員
Cさん
年齢:28歳
年収:400万円
毎月掛金:12,000円
(年間144,000円)
・1年:21,600円
・60歳まで(32年):691,200円

※年収および掛金等が60歳まで変わらないものとして試算
※給与所得控除、社会保険料控除(年収の15%として計算)、基礎控除で試算
※自営業の方は、人によって控除額に差があるため控除後の課税所得で試算
※復興特別所得税は考慮せず

上記の例で見てもわかるとおり、1年間でも十分節税効果がありますが、60歳まで時間をかけるとより大きな節税効果が見込めることがわかります。

iDeCoの年末調整は掛け金の記入と証明書を提出するだけ

11月頃、年末調整資料として配られる「給与所得者の保険料控除申告書」に「小規模企業共済等掛金払込証明書」に記載されているiDeCoの掛金総額を記入してください。記入欄は、右下の「小規模企業共済等掛金控除」の枠内の「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」です。

2.iDeCoの年末調整や確定申告は簡単!

※年末調整資料例の一部を抜粋

「小規模企業共済等掛金払込証明書」の提出も忘れずに

iDeCoの所得控除の申請には、10月頃に国民年金基金連合会から送られる「小規模企業共済等掛金払込証明書」が必要です。申告に必要な1年間の掛金総額が記載されていますので、他の生命保険料控除証明書などと一緒に勤務先の給与担当者に提出しましょう。

年末調整を忘れても確定申告すれば戻ってくる

・会社員なら年末調整の申告を忘れずに
11月頃、年末調整資料として配られる「給与所得者の保険料控除申告書」に「小規模企業共済等掛金払込証明書」に記載されているiDeCoの掛金総額を記入してください。記入欄は、右下の「小規模企業共済等掛金控除」の枠内の「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」です。

「小規模企業共済等掛金払込証明書」は、他の生命保険料控除証明書などと一緒に勤務先の給与担当者に提出しましょう。

「年末調整の時に申告し忘れた!」あるいは「書類の到着が年末調整に間に合わなかった!」という場合でも大丈夫です。確定申告すれば、払い過ぎた税金を取り戻せます。

税金の還付を受ける時(還付申告)は、確定申告期限にかかわらず、5年以内であればいつでもできます。確定申告期限までに提出できなかったと諦めていた過去の分も、5年以内なら遡って還付の申告ができます。

給与以外の所得のない人が提出する確定申告書は「確定申告書A」です。確定申告書A・第一表の左中央の「小規模企業共済等掛金控除⑩」の欄に、iDeCoの掛金総額を記入します。続いて、確定申告書A・第二表の右上の「⑩小規模企業共済等掛金控除」欄の「保険料等の種類」に「個人型確定拠出年金」と記入し、その横の支払掛金の欄には第一表に書いたiDeCoの総額掛金を記載してください。
税務署に提出する際には、「小規模企業共済等掛金払込証明書」の添付が必要です。

■確定申告書Aの記入例

確定申告書A第一表

※確定申告書A 第一表より抜粋

確定申告書A 第二

※確定申告書A 第二表より抜粋

申告は、確定申告書Aの用紙を準備して記載する方法でもできますが、国税庁のホームページ「確定申告等作成コーナー」を利用してパソコンやスマートフォンから入力するのも便利です。

自営業・フリーランスは確定申告で税金の還付を受ける

自営業・フリーランスの方は、確定申告でiDeCoの所得控除を申請します。
事業所得などを申告する場合は、「確定申告書B」を用意します。記載の方法は、「確定申告書A」とほぼ同じです。

確定申告書B・第一表の左中央の「小規模企業共済等掛金控除⑭」の欄に、iDeCoの掛金総額を記入します。
続いて、確定申告書B・第二表の右上の「⑭小規模企業共済等掛金控除」欄の「掛金の種類」に「個人型確定拠出年金」と記入し、その横の支払掛金の欄には第一表に書いたiDeCoの掛金総額を記載してください。
税務署に提出する際には、「小規模企業共済等掛金払込証明書」の添付が必要です。

NISAは年末調整や確定申告が不要!

NISAは年末調整や確定申告が不要!

iDeCoと同じように資産形成の強い味方である、NISAも年末調整や確定申告が必要なのか気になる人もいるかと思います。
そもそもNISAを利用するためには、証券会社や銀行などで、NISA口座を開設することが必要です。そのNISA口座内で株式や投資信託を売買すれば、利益が出ても税金はかからないことになっています。そのため、確定申告や年末調整は行う必要はなく、税制の優遇を受けられます。

利益が出たときは、手間もかからず、税金もかからないNISAですが、実はデメリットもあります。一般の口座なら、損失が出た場合に、他の口座で出た利益との相殺(損益通算)をしたり、翌年以降の利益と相殺(繰越控除)したりすることができるのですが、NISA口座ではこの適用が受けられません。つまり、NISA口座での損失は、税制面でのリカバーはできないということになります。

まとめ

まとめ

NISAもiDeCoも、手続き不要で運用益が非課税のメリットを受けられます。ただし、iDeCoの所得控除を受けるためには、年末調整か確定申告が必要になるので、手続きを忘れないようにしてください。
投資をしながら非課税運用などの税制優遇を受けられるのがNISAとiDeCoのメリットです。正しく活用して運用効率をあげながら、将来に備えて資産形成をしてください。

ご留意事項
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