40代で始める資産形成|おすすめの投資方法や成功のポイントを解説
40代は資産形成を始めるに適した年齢です。この記事では、40代が資産形成を始めた方がいい理由や目標金額の目安や資産運用のシミュレーション、おすすめの投資方法を紹介します。老後の不安を解消して現役時代を過ごしたり、老後生活を充実させるためにも、資産形成について考えましょう。
目次
40代で資産形成を始めた方がいい理由
40代は、資産生成を始めるのに適した年齢です。ここでは40代で資産形成を始めた方がいい理由について、解説します。50代、60代になって後悔しないためにも、老後にむけた資産形成の重要性を理解しましょう。
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20代、30代より余剰資金を確保しやすい
40代は20~30代に比べて収入が増えるため、毎月一定の余剰資金を確保しやすい年代といえます。
仕事では、昇給・昇格によってこれまでの給与に役職手当がつく人もいるでしょう。女性は、育休を終えてフルタイムで働けるようになり、収入が増える方も多いです。
また、子育てが一段落し、子供が独立すれば教育資金の負担も減ることから自分たちの老後にむけた資産形成に目をむけやすいでしょう。
50代より老後まで時間があるためリスクが取れる
老後を65歳以降と仮定した場合、40代は50代よりも老後までの時間が多く残されています。そのため、株式投資や不動産投資、投資信託をはじめとした一定のリスクをとった資産運用にチャレンジしやすいです。
リスクとリターンは比例関係にあるため、リスクをとればそれだけ多くのリターンが得られる可能性があります。
投資である以上、一定のリスクはつきものですが、自身のリスク許容度を把握したうえで積極的な投資を行うことが十分に可能です。
貯金だけではお金を増やすことが難しい
低金利が続く昨今、貯金だけでは効率的にお金を増やすことは非常に困難です。また、預貯金は資金の引き出しが任意のタイミングで行えるといった性質がある以上、目標金額が貯まる前に使ってしまうリスクもあるでしょう。
効率的かつ計画的に資産を増やすためには、貯金以外で資産を運用することが重要です。
長期投資でリスクを分散することができる
市場は日々変動しており、投資期間が短ければそれだけ値動きの幅も大きくなってしまいます。そのため、短期で売買を繰り返すよりも、長期投資を心がけて利益を狙う方がリスクを分散できるでしょう。
長期投資を心がけることでリスク分散につながることはもちろん、複利効果も得やすくなります。
なお、複利とは「元本についた利子に対して更に利子がつくこと」を指します。例えば、100万円の元金を金利3%(年利)で1年間預金した場合、1年後には103万円になります。ここで得られた103万円を再び金利3%で1年間預けると、1年後には106万円となるのではなく、106万900円になるでしょう。長い期間でみればみるほど、この複利効果は大きくなります。
【参考】「複利計算(元利合計)」(※複利周期1年にて計算)詳しくはこちら
長期投資とは?初心者向けに分散・積立ができる制度や手法も徹底解説
40代でどのくらい貯金しているのか?平均値と中央値
40代で実際に貯金をしている人は、どの程度の金額を貯金できているのでしょうか。金融広報中央委員会が公表した「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和4年」の調査結果によれば、世帯主の年齢が40代の貯金額の平均値と中央値は以下の通りでした。
40代の金融資産保有額(総世帯)
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
金融資産保有世帯 | 1,114万円 | 500万円 |
金融資産を保有していない世帯を含む | 785万円 | 200万円 |
40代が保有する金融資産保有額は、金融資産を保有しているか否かで大きな差があります。金融資産を持っている人の方は、しっかりと貯金をしていることが分かります。
【参考】金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和4年)」スライド3-4 詳しくはこちら
40代の貯蓄額はどのくらい?老後に備えた貯蓄を始めよう
40代以降で必要なお金はどのくらい?
40代の時点でこの先お金がいくら必要なのか、具体的に想像することは難しいと感じる方も多いかもしれません。40代以降で必要なお金は、家族構成や所得、ライフスタイルによって異なります。
そもそも40代であれば、日々の生活費に加えて子供の教育費や住宅ローンの返済などが生じている可能性が高いほか、なかには親の介護費用などを負担している人もいるでしょう。そうした支払いが続くなかで、突発的な支出(医療費や子供の結婚資金など)にも備えておく必要があります。
老後に必要な資金はいくら?
2019年6月に金融庁の金融審議会である市場ワーキング・グループが公表した「高齢社会における資産形成・管理」では、老後30年の間に少なくとも約2,000万円の資金が必要であるとされています。(※夫65歳以上、妻60歳以上と仮定)
とはいえ、人によって必要な資金は異なるほか、医療費や介護費はもちろん、マイホームのリフォームなど突発的な費用が発生する可能性を考慮すると、不足額がさらに増えることも十分にありえるでしょう。
そうした点を踏まえたうえで、ここでは自分の老後に必要な資金の計算方法について解説します。
【参考】金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」詳しくはこちら
自分の老後に必要な資金の計算方法
実際の老後生活に必要な資金は、以下の計算式によって求められます。
必要な老後資金=(毎月の支出ー毎月の収入)×老後期間+その他の支出
総務省統計局が公表している「家計調査年報〔家計収支編〕(2022年)」によれば、老後一ヶ月あたりの生活費は以下の通りです。
65歳以上の夫婦のみ無職世帯 | 65歳以上の単身の無職世帯 | |
---|---|---|
総支出合計 | 26万8,508円 | 15万5,495円 |
また、厚生労働省が公表した「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、老齢厚生年金受給者の平均受給額は14.5万円、老齢基礎年金だけの人は平均受給額は約5.3万円です。仮に配偶者の一方が会社員、他方が専業主婦(主夫)と仮定すると夫婦の公的年金額は一ヶ月あたり20万円ほどになるでしょう。
これらを考慮したうえで、定年を迎えた65歳から仮に20年間生きるとした場合に必要となる金額を試算してみました。
【前提条件】
毎月の支出が30万円
収入が25万円
老後期間が20年(240ヶ月)
※その他支出を200万円と仮定する
必要な老後資金=(30万円ー25万円)×240ヶ月+200万円
上記を計算すると必要な老後資金は1,400万円となります。とはいえ、人によって思い描く老後の住まいや生活水準、セカンドライフは異なるほか、健康状態などによっても必要な資金は大きく異なります。
そうした点も考慮したうえで、いまから定年を迎えるまでの間にあとどのくらい資金が足りないのか、どのくらいのペースで貯金をしていけば間に合うのか、計算結果を基に考えてみましょう。また、なにか不安がある場合にはファイナンシャル・プランナーをはじめ、お金のプロに相談してみるのも1つの手です。
【参考】厚生労働省年金局「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」詳しくはこちら
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40代での資産形成を成功させるポイント
40代からの資産形成では、リスクを伴う投資や自分の生活に合わせた無理のないプランニングをしましょう。40代で成功するためには、以下の3つのポイントを意識することが大切です。
資産形成の目的や目標金額を明確にする
投資を始める際は、資産形成をする目的や目標を明確にしておくようにしましょう。目的や目標があいまいな状態で投資を始めてしまうと、失敗するリスクが高まるからです。
具体的に何に使うためのお金なのか、目標金額や期間を決めましょう。次に、自分の取れるリスクを踏まえて、どういった投資手法に挑戦するのか、いくらを投資に回すのかといった部分を考えていくのがおすすめです。
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投資は余剰資金で行う
投資を行う際は、あくまで余剰資金で行うことを意識しましょう。
余剰資金とは、貯蓄の総額から「生活防衛費」を差し引いたお金のことです。
手元のお金をすべて投資に回してしまうと、万が一の出費に対応できなくなる恐れが高まってしまいます。
資産形成の効率も悪化しかねないため、生活資金を確保してから余裕のある資金で投資を始めるようにしましょう。
長期・積立・分散投資を意識する
投資は短期間で大きな利益を目指すとリスクが高くなるため、長期・積立・分散投資する必要があります。特に分散投資では以下の項目を意識するとよいでしょう。
銘柄分散:複数の銘柄を保有する
地域分散:各地域に資産を投資する
資産分散:複数の資産(債券や株式、投信など)に投資する
資産を分散することで万が一投資先の価値が下がってしまっても、資産全てを失わずに済むほか、ほかの投資先で失敗を挽回できる可能性があります。
長期的に積立てを意識した資産運用に取り組むことで元本割れのリスクを低減できるほか、複利効果も期待できるでしょう。
NISAやiDeCoを活用する
資産形成をするうえで活用したい制度がNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった、税制優遇のある投資です。
NISAに設けられた非課税枠で行った投資では、出た運用益には税金がかかりません。手数料はかかりますが、金融機関で口座開設して簡単に始められ、少額投資が可能なので投資初心者でも安心でしょう。
iDeCoは、自分で設定した毎月定額の掛金を運用して、老後に公的年金にプラスして受け取れる私的年金制度です。iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となるため、所得税や住民税の負担が軽減されます。金融商品を運用して出る運用益は、NISAと同様に非課税です。
また、iDeCoを受け取る際も「公的年金等控除」あるいは「退職所得控除」の対象となります。
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まとめ
40代は老後の資金やライフイベントへの備えを意識する時期ですが、早期に資産形成をはじめれば、将来を安心して迎えることができます。まずは、老後の生活費や必要な貯金額を知り、自分に合った運用の方法を探してみることが大切です。
株式や投資信託、不動産などさまざまな投資商品がありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。リスクとリターンを把握しながら、目的にマッチする資産運用方法を選びましょう。
ご留意事項
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