これで老後も働ける!定年後にも役立つ資格9選

人生100年時代、「定年退職後もできる限り長く働き続けたい」と願う人も多いのではないでしょうか?そんな人におすすめしたいのが、資格を取得すること。仕事に役立つ資格を持っておけば、定年後の再就職に有利なのはもちろん、資格を生かして起業することも夢ではありません。今回は定年後の仕事に役立つ資格を9つ、ご紹介します。

これで老後も働ける!定年後にも役立つ資格9選

定年後に役立つ資格を見極めるには?

定年後に役立つ資格を見極めるには?

老後の生活資金に危機感を覚え、「定年後も働き続けるために何か仕事に役立つ資格を取っておきたい」と考え始めた人も多いのではないでしょうか。
もちろん、資格を取得するという発想は間違いではありませんが、資格なら何でも良いというわけではありません。今や日本で取得できる資格の数は、国家資格だけでも1,200種類、民間資格も合わせると3,000種類以上あるといわれています。中には「趣味」の領域を出ないのでは......といわざるを得ないものもあり、せっかく準備して試験を受け、資格を取得できたとしても収入に繋がらないものも少なくありません。

膨大な数の資格の中から「定年後に稼げる資格」を見極めるには、以下の3つのポイントに着目する必要があります。

ポイント① 需要があるかどうか

せっかく資格を取得しても、ビジネスとしての需要がない資格では収入に繋がりません。専門性が高く、企業の実務や日々の生活で必要とされる仕事に関わる資格を選びましょう。

ポイント② 社会的信頼度が高いかどうか

前述のとおり、日本には約3,000の資格があると言われていますが、その信用度を見極める際の基準のひとつが、資格の「認定機関」です。資格の認定機関は、大きく分けて以下の3点。一般的には民間資格よりも国家資格・公的資格のほうが社会的信用度や知名度の高いものが多いようです。

【国家資格】
文字通り国が認定する資格。国または国から委託された団体が行う試験に合格すると、国から資格を認定されます。国家資格保有者にしか担当できない業務もあり、ニーズも社会的信用も高い資格が多いのが特徴です。ただし、それだけに難易度も高く資格取得までの期間も長期間になるので、本気で取得を目指すなら中長期の計画と1日も早く準備を始める必要があります。

(例)税理士、行政書士、宅地建物取引士、キャリアコンサルタント、社会保険労務士など

出典 

【公的資格】
公的資格とは、民間団体や公益法人が試験を実施し、合格者を官庁や大臣が認定する資格です。信用度や知名度が高く、就職、転職の際に役立つ資格が多くあります。

(例)日商簿記検定、秘書検定、介護支援専門員(ケアマネージャー)、ビル経営管理士など

出典 

【民間資格】
民間企業や民間団体が独自に実施している資格や検定のことを指します。民間資格には原則として法的な規制などはないことから、その内容や難易度は千差万別。社会的信用度や需要にも、大きな差があります。

(例)TOEIC、アロマテラピー検定、ファイナンシャルプランナー、証券アナリスト、臨床心理士など

出典 

ポイント③ 自分の好きな分野かどうか

どんなに需要があっても、社会的信用度が高くても、自分の好きな分野・興味のある分野でなくては、日々楽しく取り組むことはできません。特に「老後は現役時代ほどハードに働くのではなく、自分らしく楽しみながら働きたい」「体力に不安がある」という人は、興味がない分野や不得意な分野の仕事は苦痛になってしまい、せっかく資格を取得しても長く続けられなくなるおそれがあります。自分が楽しみながら働ける分野の仕事を選び、その仕事をするための資格を取得するというスタンスで取り組むとよいでしょう。

なお、当然ながら資格を取得したからといって、すぐに収入に繋げられるとは限りません。特に現役時代の仕事とまったく関連のない分野の仕事を始めた場合は、人脈や実務経験がないために、顧客の獲得に苦労するケースもよく見られます。その意味では、まったく新しい分野の仕事に挑戦するよりは、現役時代の仕事に関連する資格を取得して独立する方が安全かつ合理的だといえるでしょう。

ポイント③ 自分の好きな分野かどうか

定年後にも役立つ資格9選

では、具体的にどのような資格を取得すれば、定年後に役に立つのでしょうか?
もちろん個々人の性格や興味関心などによって向いている資格は異なるので一概にはいえませんが、ここでは定年後の働き方別に、おすすめの資格をピックアップしてみました。まずは、定年後の生き方や働き方について方向性を決めてから、どのような資格を取得したいのかを検討してみてください。

定年後、企業や団体などに再就職して働きたい人におすすめ

①ファイナンシャルプランナー(国家資格、民間資格)

定年後、企業や団体などに再就職して働きたい人におすすめ

ファイナンシャルプランナーは、家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識を備え、相談者の夢や目標が叶うように一緒に考え、サポートする専門家です。ファイナンシャルプランナーとして活動するために必要な資格には国家資格であるFP技能士 1級〜3級と、民間資格であるAFPとCFPとがあります。
保険や証券など金融関係の仕事だけでなく不動産関係の仕事にも役立つため、資格を生かして企業で働きたい人に向いています。

難易度は1~3級の級数によって異なりますが、国家資格である2級FP技能士(学科・実技同時受験者)の合格率は41.90%(2020年)です。

【参考】日本FP協会 「2020年1月実施2級FP技能検定試験結果」詳しくはこちら

② 管理業務主任者(国家資格)
「管理業務主任者」とは、マンション管理業を行う企業が管理組合等に対して管理委託契約に関する重要事項の説明や管理事務報告を行う際に必要な国家資格者のこと。「管理業務主任者」となるには、管理業務主任者試験に合格した上で管理業務主任者として登録し、「管理業務主任者証」の交付を受けなくてはなりません。マンション管理業界もしくは不動産業界での再就職を考えているのであれば、取得しておいて損はありません。合格率は23.2%(2019年)と難易度は決して低くないため、定年してからではなく、現役時代から試験対策をしておくことをおすすめします。

【参考】一般社団法人 マンション管理業協会「令和元年度 管理業務主任者試験 合格発表の概要」詳しくはこちら

③ 日商簿記検定(公的資格)
簿記は、企業や商店の日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能の総称です。日本には簿記関連の資格試験がいくつかありますが、中でも日商簿記検定は一般にもよく知られており、本検定で2級以上の試験に合格すると、経理関係のみならず営業関係の職種でも採用されやすくなるといわれています。2級試験の合格率は年によって10%~30%とばらつきがありますが、挑戦してみる価値は十分あります。

【参考】商工会議所の検定試験「簿記受験者データ」詳しくはこちら

定年後、独立・起業して働きたい人におすすめ

定年後、独立・起業して働きたい人におすすめ

以下に挙げる①~③の資格はいずれも国家資格で社会的信用度が高く、一定の需要もある職種なので、独立・起業して一定の収入を上げたい人に向いています。ただし、いずれも資格試験の難易度が高めの傾向にあるので、定年退職後にゼロから準備を始めるのはおすすめできません。できれば、退職前に働きながら資格を取得し、勤務先で実務経験を積んだ上で、定年退職後に独立・開業することをおすすめします。

① 社会保険労務士(国家資格)
社会保険労務士は、労働関連法令や社会保障法令に基づく書類等の作成代行、また企業を経営していく上での労務管理や社会保険に関する相談や指導を行う専門家です。国家試験の難易度が高いことでも知られ、合格率は例年おおむね10%以下(2019年は6.6%)です。

【参考】厚生労働省「第51回社会保険労務士試験の合格者発表」詳しくはこちら

②行政書士(国家資格)
行政書士は主に行政関連の書類作成や申請手続きを専門とする法律家で、そのカバー範囲は、法人設立や雇用に関する書類作成や行政手続といったビジネス関連の業務から、遺言書作成や自動車の車庫証明の手続きといった個人的な分野の業務まで多岐に渡ります。法律を扱う仕事ではありますが、司法試験合格者に課される司法修習のような研修はなく、資格を取得すれば自由に独立・開業ができます。合格率は例年10~15% で推移しており、2019年度は11.4%でした。

【参考】一般財団法人行政書士試験研究センター「試験結果の推移」詳しくはこちら

③ 中小企業診断士(国家資格)
中小企業診断士とは主に各企業の経営上の問題を分析し、問題解決のための提案を行う仕事で、国が認めている唯一の経営コンサルタント資格です。中小企業診断士には1次試験と2次試験がありますが、いずれも合格率は例年20%台であり、国家資格としては難易度がそこまで高いわけではありません。2次試験合格後3年以内に実務補習を受講、もしくは15日間以上の実務従事が必要です。

【参考】一般社団法人 中小企業診断協会「中小企業診断士試験 」詳しくはこちら

趣味を生かして働きたい人におすすめ

① 調理師(国家資格)

① 調理師(国家資格)

料理の腕を生かして働きたいなら、国家資格である調理師免許の取得がおすすめです。調理師免許を持っていると、食品の「栄養」や「衛生」「適切な調理法」などの知識を持つ調理のプロとして認められるため、レストランやホテルなど飲食業界で幅広く活躍することができます。また、調理師免許を取得すると、飲食店の営業に必要な食品衛生責任者資格の講習が免除されるメリットもあるので、将来飲食店の経営をしたいと考えている人にもおすすめの資格です。

調理師免許を取得するには、以下のふたつの方法があります。
・各都道府県が指定している調理師学校を卒業する
・飲食店などで2年以上の調理の実務経験を積み、調理師試験に合格する

調理師学校に進学しない場合は、2年以上の調理の実務経験を摘んだ上で試験を受けなくてはなりませんが、試験の合格率は例年60%台で、他の国家資格に比べると難易度は高くありません。定年後でも十分にチャレンジできる国家資格だと言えるでしょう。

【参考】厚生労働省「調理師関係」詳しくはこちら

② 全国通訳案内士(国家資格)
全国通訳案内士は、国家試験である全国通訳案内士試験に合格し、全国通訳案内士として都道府県の登録を受けた専門家のこと。具体的な業務は外国人に付き添って、外国語で、旅行に関する案内をすることであり、高度な外国語能力や日本全国の歴史・地理・文化等の観光に関する幅広い知識が求められます。旅行が好きで外国人とのコミュニケーションが好きな人には最適な仕事ですが、試験(口述試験含む)の難易度が高く、合格率は例年15%未満です(2019年は8.5% )。

【参考】日本政府観光局(JNTO) 「受験者及び合格者数、合格基準」詳しくはこちら

③ 家電製品アドバイザー(民間資格)
家電製品アドバイザーは、家電製品協会が主催する民間資格です。資格取得試験を通じて、家電製品の基本的な機能や使用方法、不良品・故障品への対応方法、廃棄処理手段、家電選びのアドバイス方法など家電製品について幅広い知識を身につけることができます。家電製品アドバイザーの試験は「生活家電のアドバイザー」と「AV情報家電のアドバイザー」とに分かれており、両方に合格すると「家電製品総合アドバイザー」資格を取得することができます。この資格を取得すると家電量販店等への就職や転職が有利になるほか、専門誌や家電サイト等で専門家として執筆できるチャンスも。家電が好きで、その知識を仕事に活かしたい人におすすめの資格です。なお、2019年の合格率は、生活家電アドバイザーが22%、AV情報家電アドバイザーが29.3%でした。

【参考】一般財団法人家電製品協会 認定センター「過去に行われた直近試験の結果」詳しくはこちら

定年後ではなく、定年前から準備を

定年後に働きたいスタイル別におすすめの資格を見てきましたが、もちろん、資格を取得するのは定年後でなくても構いません。むしろ、定年後を見据えて取得した資格が、現役時代の仕事に役立ち、人事評価や給与のUPに繋がるかもしれません。取得したい資格がみつかったら、1日も早く準備して、資格を取得しましょう。勤務先の企業によっては、福利厚生の一環として資格取得に補助金を出してくれるところもありますし、資格が取得できた場合は資格手当を支給してくれるケースもあります。上司や福利厚生の担当者に相談して、資格取得によるメリットの有無を確かめておきましょう。

また、多くの資格は参考書等を使った独学でも取得できますが、資格試験に詳しい講師の指導が受けられる専門学校や通信教育を活用したほうが効率よく取得できるケースも。参考書や過去問で難易度を確認し、独学では無理があると感じたら、専門学校等の活用も検討してみてください。

定年後ではなく、定年前から準備を

まとめ

定年後も長く働き続けるために、資格取得を目指す人も多いものです。しかし、資格なら何でも良いというわけではなく、収入が得られる資格・自分らしく働ける資格を取得しなくては意味がありません。まずは、自分が定年後にどのようなスタイルで働きたいのかをしっかりと思い描き、そのためにはどのような資格が必要なのか考えるようにしましょう。資格の多くは独学でも取得できますが、効率よく学ぶにはやはり専門学校や通信教育の力を借りるのがベター。自分に向いた学習方法をみつけて1日も早く資格を取得し、定年後に備えましょう。

ご留意事項
  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は執筆時点のものです。また、本稿は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者及び三菱UFJ信託銀行が保証するものではありません。
  • 本稿に掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、三菱UFJ信託銀行は一切責任を負いません。
  • 本稿に掲載の情報に関するご質問には執筆者及び三菱UFJ信託銀行はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

RANKING

この記事もおすすめ