葬儀費用の相場は?形式による違いや費用を抑える方法を活用しよう

お葬式などにかかる葬儀費用の相場や葬儀費用を抑える方法は気になるところでしょう。2022年の平均葬儀費用をはじめ、一般葬、家族葬など葬儀形式ごとにいくら費用がかかるのかなども紹介します。メリット・デメリットを踏まえて後悔のないお別れとしましょう。

葬儀費用の相場は?形式による違いや費用を抑える方法を活用しよう

葬儀費用の一般的な相場はどれくらい?

葬儀費用の一般的な相場はどれくらい?

株式会社鎌倉新書(いい葬儀)による全国調査によれば、2022年の日本国内における葬儀費用は平均110.7万円です。この金額は葬儀の規模や種類を限定したものではないため、小規模なものであれば費用はより安く、大規模なものであれば費用はよりかさむでしょう。

また、2022年はまだ新型コロナウイルスの影響が根強く残り、家族葬が多くなっているのも留意すべき点です。例えば、コロナ禍以前の平均費用は2015年時点で184万円、2017年時点で178.3万円でした。新型コロナウイルスの影響が減り、一般葬を行う人が増えれば元の水準に戻る可能性があります。

【参照】株式会社鎌倉新書「【第5回お葬式に関する全国調査】(2022年)」詳しくはこちら

葬儀費用の内訳

葬儀費用の内訳

葬儀費用の内訳は主に「1.葬祭費用」「2.飲食接待費」「3.宗教者への謝礼」の3つに大別できます。これらに含まれる詳しい項目は下記のとおりです。

1.葬儀費用

お葬式や告別式にかかる費用です。葬祭業者に支払う料金と言い換えてもいいでしょう。葬儀にかかる全体の費用の中でも一番負担の大きい部分です。

葬儀費用の内訳には、告別式や通夜などで使う式場の施設利用料のほか、司会者や受付・案内などにかかる人件費、棺や祭壇、遺影、枕飾り、霊柩車代などが含まれます。また、保冷代など、故人の遺体を安置するための費用もかかります。この安置費用は時間に応じて変動します。

これらの基本費用のほか、必要に応じてオプションサービスの追加料金も必要です。例えば、故人を偲ぶメモリアルコーナーや記念品の作成・設置、案内板や受付用の外部テントの設営、会場などを飾る生花などが該当します。祭壇などの葬祭用具のグレードアップによっても費用は大きく変わるでしょう。

2.飲食接待費

葬儀の参列者に提供する料理(通夜振る舞い・精進落とし)などにかかる費用です。香典に対する返礼品などの費用もここに含まれます。また、遠方からの参列者の宿泊費用や交通費を負担する場合もあるでしょう。飲食接待費は、参列者の人数やグレードによって大きく変動する費用です。

3.宗教者への謝礼

僧侶や住職、牧師などの宗教者に支払うお礼の費用です。ここには、読経料や戒名へのお布施、御車代、御膳料などが含まれます。これらはあくまでもお礼のため、いくら渡せばいいという明確な決まりがあるわけではありません。宗教や宗派、地域によっても謝礼の金額は変わるのが実情です。おおよその目安としては10~30万円程度でしょう。檀家であれば、直接住職へ確認してみても良いでしょう。

葬儀形式・種類別の平均相場について

葬儀形式・種類別の平均相場について

葬儀は、故人や家族の意向次第で、身内だけで行うケースもあれば、親戚一同やお世話になった人を集めて大きく行うケースもあります。葬儀の形式や種類によって、費用は100万円単位で変わる場合もあるため、それぞれの費用目安について解説します。

一般葬の場合

一般葬の費用の平均は、149万円が目安です。一般葬は前日に通夜、当日に告別式を経て、火葬まで行います。家族や親族に加え、友人・知人、職場の関係者など、数十人~百人以上の参列が見込まれる場合は一般葬になるでしょう。

一般葬のメリットは、生前に縁あった人を呼び、全員でお別れできる点です。その地域の風習などを取り入れながら、正式な形で葬儀を行います。
ただし、参列者が多いと大きな会場の準備や飲食費などの関係で費用がかさむ点には注意が必要です。また、参列者の案内やもてなしなどで遺族が忙しくなりやすいため、ゆっくり故人を偲ぶのには向きません。

家族葬の場合

家族葬の費用の平均は、96万円が目安です。家族葬では一般葬と同じように通夜や告別式を行いますが、参列者は家族、親しい友人などに限られます。一般葬の人数を絞り、小規模にした葬儀と考えるとわかりやすいでしょう。

家族葬のメリットは、ゆっくり故人を偲ぶ時間が取れたり、参列者が少ない分、葬儀の費用が抑えられたりする点です。知人や職場の関係者など、一部の人の参列を断らざるを得ない側面もあるので注意しましょう。

一日葬の場合

一日葬の費用の平均は、85万円と、家族葬より約10万円安くなっています。家族葬と異なる点として、一日葬では通夜を行わず、文字通り「一日」で告別式や火葬まで済ませます。

一日葬のメリットは、遠方からの参列者や、高齢の参列者などには負担をかけなくて済む、という点でしょう。家族葬と同様に、家族や友人など、近しい人のみで行うのが一般的です。
最低でも二日はかかる一般葬や家族葬に比べると半分の日程で済ませられますが、遺体の安置などで前日から準備を行う場合もあるため、費用が半分になるわけではありません。

直葬や火葬式の場合

火葬のみ実施する、直葬や火葬式の場合は、平均44万円で行えます。葬儀の中ではもっとも安くなりやすいため、できるだけお金をかけたくない場合によく選択される形式です。また、身内や友人など参列者が少なく、通夜や告別式が不要な場合に選ぶケースもあります。

しかし、葬儀に参列したい人が多いのに直葬や火葬式を行ってしまうと、後から「お線香だけでも上げたい」といわれることがあります。その際には、個別に訪問してくる人への対応が必要になることもあるため注意が必要です。

葬儀を行う前に決めておくべきポイントとは?

葬儀を行う前に決めておくべきポイントとは?

人がいつ亡くなるかは予測できないことが多いので、いざ亡くなって葬儀を行うときには慌ててしまいがちです。故人をきちんとお見送りする上で、後悔しないために、葬儀を行う前に決めておくべきことや知っておくべきことについて解説します。

相続財産から葬儀費用を支払ってもよい?

葬儀で困るのが費用をどこから捻出するかについてです。葬儀の規模や種類によって数十万円以上の費用がかかります。故人をお見送りする大切な儀式とはいえ、そのような多くのお金を突然捻出することは難しい場合もあるでしょう。このような場合は、故人の遺産や預金を費用に充てることもできます。

以前は、故人の預金について、遺産分割の協議が完了しないと口座が凍結されたまま引き出せませんでした。しかし、法改正により2019年7月からは1銀行あたり150万円を上限として引き出せるようになりました。

ただし、これにより引き出した金額は故人の預貯金としてではなく、相続人が相続遺産の一部について仮払いを受けたものとして扱われるため注意が必要です。なぜなら、仮払いを受けることで相続人として遺産を相続することが確定するからです。故人に多額の借金があった場合は、借金も相続されることになります。通常、負の遺産があった場合には相続人としての相続を放棄できますが、この場合は相続破棄できなくなる可能性もあるでしょう。

生前に故人の葬儀形式や予算については、大まかにでも検討しておきましょう。葬儀を行う段階ですぐに費用を捻出できるように準備しておくことが、慌てないためのポイントです。

誰が葬儀費用を負担するか明確にする

葬儀を行う前に、誰が最終的にその費用を負担するのかを明確にしておきましょう。一般的には、葬儀費用は喪主が支払います。喪主は、故人の配偶者もしくは実子が喪主となることが多いです。

しかし、あくまでも一般的な例なので、金銭や関係性など何らかの事情により他の人物が「施主」として葬儀費用を全額、もしくは一部負担するケースもあり得ます。
また、実子についても兄弟・姉妹がいる場合、誰が喪主になるのか、費用はそれぞれ何割負担するのかをしっかり確認し、合意を得ておきましょう。特に葬儀の後は遺産相続について話し合いがあるため、葬儀費用の負担割合が遺産の分割に影響することもあります。

葬儀の形式について話し合っておく

一般葬にするのか家族葬にするのかなど、葬儀の形式は主立った身内と相談して決めておきましょう。故人が高齢、あるいは病気などでその日が近いとわかっている場合は、亡くなる前にあらかじめ意向を聞いておくのもおすすめです。
葬儀の形式によって費用は、数十万円以上変わることもあるため、見積もりをしてもらい、負担する人や金額の割合も併せて考えておきましょう。

葬儀の費用を抑える方法

葬儀の費用を抑える方法

葬儀には平均的な費用でも100万円以上のお金がかかります。故人をできるだけ丁重に見送りたいと希望していても、経済的に厳しい人も多いことでしょう。葬儀費用を抑えるための方法をご紹介します。

適切な形式・規模の葬式にする

葬儀費用を抑えるためには、葬儀の形式や規模を見直すところから始めましょう。すでに紹介したように、例えば葬儀の形式を一般葬から家族葬や直葬に変えることで、数十万円以上も費用を抑えられます。また、同じ形式の葬儀を開くにしても、葬儀社が提供しているプランを安価なものにするなどでも費用を抑えることが可能です。

ただし、冠婚葬祭は費用面だけで割り切って考えるのが難しい部分もあります。費用を気にして簡素にしすぎたため、後で後悔する可能性もあります。もしも葬儀に関して故人から何か意思表示があったなら、その意向を尊重する方がよいでしょう。

葬儀社は複数社で見積もり比較をする

事前に複数の葬儀社から見積もりをとることも大切です。葬儀には多額の費用がかかる以上、利用する葬儀社も慎重に見極める必要があります。何にどれくらいの費用がかかるのかを事前に把握しておけば葬儀費用の準備もしやすくなりますし、葬儀後に業者との間で追加料金についてのトラブルが発生するリスクも減らせます。

複数の葬儀社から見積もりをとるのは、費用相場を把握し、納得して依頼できる葬儀社を探すためです。とはいえ、数多くの葬儀社の中から最適な一社を探すには時間がかかるでしょう。格安の業者に依頼することができても、いい加減な対応を受けたという事態も避けたいところです。葬儀社探しについては、できれば本人が亡くなる前に終活の一環として行うことをおすすめします。

飲食代・葬祭用品を節約する

飲食代や葬祭用品などを節約するのもひとつの選択肢です。会食費用は人数の影響を大きく受けます。参列者が多い場合、通夜振る舞いなどの料理のグレードを少し下げるだけでも、トータルで見たときの費用をある程度は抑えられるでしょう。

昨今ではコロナ禍の影響で、会食自体を行わないという選択もとりやすくなっています。費用面の問題ばかりでなく、家族が亡くなったばかりの状態で、会食まで取り仕切るのは精神的な負担が大きいと感じる人も多いのではないでしょうか。そうした場合は、会食を行わない選択をするのもひとつの方法です。ただし、この場合でも故人を偲ぶ場は別途設けた方がいいかもしれません。

また、棺や祭壇、生花などの葬祭用品のグレードを下げるのも効果的です。葬儀社から高価なものをすすめられたとしても、簡素な内容のものを選択することで費用を抑えられます。

香典を支払いに充てる

葬儀の参列者からいただいた香典を支払い費用に充てることも検討する価値があります。一般的に、香典返しは受け取った額の3分の1から半額程度です。参列者の多さは葬儀の規模や飲食費用などの負担の増大を招きますが、場合によっては香典によって費用を相殺できる可能性もあります。

ただし、何人葬儀に参列するか、いくら香典を包んでもらえるかは事前に把握することが困難なので、あまり当てにしすぎるのも考え物です。また、家族葬や直葬などを選んだ場合、香典を受け取ることは望めないでしょう。

葬儀の費用の補助・扶助制度を利用する

自治体などが提供している葬祭扶助などの制度を利用するのもひとつの手法です。葬祭扶助とは、遺族が生活保護を受けており、葬儀費用を捻出できない場合に支給されるお金です。葬祭扶助を受けて行われる葬儀は「福祉葬」とも呼ばれます。

葬祭扶助を受けるには、居住している自治体の役場または福祉事務所への申請が必要です。葬祭扶助で支給されるのは20万円程度が上限となっており、葬儀形式は基本的に直葬を選ぶことになります。読経などの宗教的な儀式は受けられませんが、生活に困窮している場合は利用することをおすすめします。

また、市民葬・区民葬を利用するのも一考の価値があります。これは、市や区などの自治体が特定の葬儀社と連携して実施する葬儀です。直接葬儀社に依頼するよりも費用は安くなりますし、自治体が指定している葬儀社であるという安心感もあります。

葬儀の保険やサービスを利用する

葬儀用の保険や健康保険などのサービスを利用するのもおすすめです。社会保険や国民健康保険では、葬儀後に遺族が手続きすることで葬祭費(埋葬料)などの支給を受けられます。支給額は自治体や保険の種類によりますが、およそ5万円前後です。これらの支給を受けるには、2年以内に遺族側から申告しなければならないのでご注意ください。

また、生前に葬儀保険に加入しておくのも役立つでしょう。葬儀保険は月々数百円程度から積み立てられるので、負担も少なく済みます。契約者が亡くなった際には、迅速に保険金を支給してくれるのも魅力です。

まとめ

2022年の葬儀費用の平均は約111万円です。ただし、葬儀費用は葬儀の形式や費用によって大きく変わります。例えば、一般葬を選択すれば平均よりも大きな額が必要になりますし、直葬などを選択すれば数十万円レベルまで費用を節約することも可能です。

ただし、葬儀は故人との大切なお別れの場でもあります。経済的に無理するのは避けるべきですが、故人の遺志も尊重し、後悔のないように十分に考えてお別れの準備をしましょう。

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