近年増え続ける「家族葬」とは?詳細な内容や気になる費用など一般葬と比較解説

家族やごく親しい友人のみで故人を見送る「家族葬」を選ぶ人が増えています。家族葬は一般的な葬儀や密葬とは何が異なるのでしょうか? 家族葬の費用の相場やメリット・デメリットも紹介します。

近年増え続ける「家族葬」とは?詳細な内容や気になる費用など一般葬と比較解説

家族葬とは?

家族葬とは?

家族葬には明確な定義があるわけではありませんが、一般的には家族のみ、もしくは家族とごく親しい友人・知人が少人数集まって執り行う、小規模な葬儀のことを指します。家族葬は一般の葬儀と同様に、僧侶や神主を呼んで寺院や葬儀場、セレモニーホールなどで行われ、数名~30人程度が参列することが多いようです。

一般的な葬儀ではなく家族葬を選ぶ人は年々増えており、鎌倉新書が運営する葬儀社紹介サイト「いい葬儀」が2020年に約2000人を対象に行った調査で、関わった葬儀の種類についてきいたところ、「家族葬」と回答した人が全体の40.9%に上りました。2015年の同調査では「家族葬」と回答した人は31.3%だったので、ここ数年の間に家族葬が急増していることがわかります。

■「あなたが関わった葬儀の種類について教えて下さい」に対する回答の推移

一般葬家族葬その他
2015年58.9%31.3%9.8%
2017年52.8%37.9%9.3%
2020年48.9%40.9%10.1%

【参考】鎌倉新書 いい葬儀:「お葬式に関する全国調査2020」 詳しくはこちら

一般葬や密葬との違いは?

では、家族葬以外の葬儀のスタイルには、どのような種類があるのでしょうか。主な葬儀の種類と特徴をおさらいしておきましょう。

①一般葬

家族や親族以外にも仕事関係の人や近所の人など一般的な付き合いをしている人が参列して行われる葬儀のこと。生前に故人と関わりのあった多くの人に参列してもらうことができるメリットがあります。

②密葬

まず親族や親しい者だけで家族葬と同様の小規模な葬儀を行い、後日、一般の参列者を招いた「本葬」を行う形式の葬儀のこと。ただし、葬儀社によっては、密葬も家族葬と同様に「少人数の葬儀」と定義しているところもあります。

③1日葬

通常、葬儀の前日に行われる通夜を行わず、葬儀のみを行う形式の葬儀のこと。会場や喪主の都合で通夜の時間がとれないときや、通夜の費用を抑えたい場合に選ばれることが多いようです。

④直葬

「直葬(火葬式)」とは一般的な葬儀をせず、火葬のみを行うこと。火葬場に家族や親族が少人数集まり、僧侶を呼んでお経を上げてもらうケースがよく見られます。通夜も葬儀も行わないため、費用を最小限に抑えることができます。

⑤自然葬(樹木葬、海洋葬など)

火葬後の遺骨を粉砕して粉末状にし、海や森林などに散骨すること。散骨には様々なルールがあり、法律で許されていない場所に散骨すると、罰せられます。散骨を希望する場合は専門業者又は葬儀業者に相談してください。

⑥社葬・団体葬

企業や団体の発展に尽くした人の功績を偲び、勤務先の企業や団体が主体で行う葬儀のこと。一般的には喪主は親族が務め、運営は企業や団体が執り行います。

家族葬の費用の相場

家族葬の費用の相場

年々増え続けている家族葬ですが、家族葬を行うには、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。「いい葬儀」が行った「お葬式に関する全国調査2020」によると、葬儀費・飲食費・返礼品費を含めた家族葬の費用の平均は137万914円。一方、一般葬は平均239万5570円で、家族葬の平均を100万円以上、上回りました。

家族葬は参列する人数が少ない分、一般葬よりも広い会場を借りる必要がなく、飲食・返礼品にかかる費用も抑えられるケースが多いことがみてとれます。ただし、家族葬に比べて参列者の多い一般葬は、参列した人からの香典が多く集まるため、それを葬儀にかかる費用の一部に当てることもできるため、実質的な出費は家族葬とあまり変わらないケースもあります。

葬儀の種類別平均費用

葬儀費用飲食費返礼品代合 計
一般葬149万3624円42万1195円48万751円239万5570円
家族葬96万413329万8940円19万7835円137万914円

【参考】鎌倉新書 いい葬儀:「お葬式に関する全国調査2020」 詳しくはこちら

家族葬のメリット

家族葬のメリット

続いて、家族葬にはどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

メリット①費用が抑えられる

上でも示した通り、一般的な葬儀よりも参列者の人数が少ないため、家族葬は飲食費や返礼品代などの変動費を安く抑えることができます。

メリット②ゆっくり故人とお別れができる

一般的な葬儀と比べて参列者が少なく、しかも気心の知れた家族や親しい友人がほとんどなので、参列者への接待や挨拶に追われることなく、故人とゆっくりお別れをすることができます。

メリット③故人や家族の想いを反映した葬儀を実現しやすい

小規模な分、故人が遺言で残した理想の葬儀や家族の個性を反映した葬儀を実現しやすいメリットがあります。

メリット④参列者数や予算を事前に把握しやすい

一般葬はどのくらいの参列者が来るか予想するのが難しいのに対し、家族葬は葬儀の日時を限られた人にしか知らせないので当日の参列者数や食事や返礼品の必要数も事前に把握できます。

家族葬のデメリット

家族葬のデメリット

このようにさまざまなメリットがある家族葬ですが、もちろん、デメリットもあります。どのような葬儀を行うのか、本人の意志を確認できないまま亡くなってしまった場合は家族葬を選ぶかどうかは家族の判断になりますが、メリットだけでなくデメリットについても、しっかりと把握した上で判断するようにしましょう。

デメリット①参列したいのにできない人が出てしまう

家族葬は広く日時を周知せず、参加者を限定して行うため、参列したいのにできない人が出てしまうおそれがあります。
特に故人と仕事関係で親しかった人については、家族が故人との親交をよく知らないことが多く、葬儀の案内ができないために弔意を受ける機会が失われてしまうおそれがあります。

デメリット②香典が少ない

参列者が少ない分香典が少ないので、葬儀費用の自己負担が大きくなります。

デメリット③自宅への弔問客が多くなりがちである

葬儀に参列できなかった人が、後日、自宅に弔問に訪れる可能性があり、その対応に追われるおそれがあります。

家族葬の流れ

家族葬の流れ

では、家族葬は実際にはどのような流れで執り行われるのか、主な流れを確認しておきましょう。家族葬と一般葬の違いはあくまでも「規模」であり、原則として逝去~葬儀までの手続きや流れに大きな違いはありません。

①親族への連絡

逝去後、家族葬に参列してほしい親族や友人に連絡して葬儀の日時を伝え、参列の可否を確認して、参列予定の人数を把握しておきましょう。なお、親族等に連絡をする際には、葬儀を家族葬で行うため参列者の人数に制限があること伝え、葬儀の日時について周知しないよう、お願いしておきましょう。

②葬儀会社との打ち合わせ

打ち合わせの際には参列予定者の人数を伝え、会場の広さや祭壇や供花、棺、返礼品の種類などを決定します。また、生前に故人が葬儀に関する希望(流してほしいBGMや飾って欲しい品物など)を言い遺している場合は、その旨も担当者に伝えて準備しましょう。また、火葬をするために役所に死亡届を出す必要がありますが、これを葬儀業者に代行してもらうこともできます。

なお、逝去直後は時間に余裕がなくて業者の比較検討が難しい上に、悲しみやショックで冷静な判断ができなくなる恐れがあります。できれば生前に家族で葬儀について率直に話し合い、業者の選定まで済ませておくことをおすすめします。

③枕飾り・納棺

病院など死亡した場所から葬儀場や葬儀社の保管室もしくは自宅に戻ってきた遺体を棺に安置し、枕飾りを飾ります。一連の手続きは葬儀会社のスタッフが行うので、家族は特に何もする必要がありませんが、棺に一緒に入れてあげたい物・入れてほしいと故人に頼まれている物があれば、このタイミングで入れてあげるようにしましょう。

④通夜

僧侶による読経と焼香、説法が行われ、喪主が挨拶をします。家族葬の場合は、参列者が身内や親しい人ばかりなので、格式張った喪主挨拶は省略されるケースも珍しくありません。通夜の後には、参列者に「通夜振る舞い」として料理やお酒が振る舞われます。料理などの手配は葬儀会社が行うので、原則として家族が準備する必要はありません。

また、近年では通夜自体を行わず葬儀のみとするケースや通夜は行っても通夜振る舞いを行わないケースなどさまざまな家族葬があります。

⑤葬儀当日

通夜と同じく、僧侶による読経と焼香が行われます。焼香後、弔電がある場合は、弔電を朗読して披露します。弔電の朗読は葬儀会社のスタッフが行うのが一般的です。その後、参列者全員で棺にお花を入れて、故人に最後のお別れを告げます。最後に喪主が参列者に参列のお礼を述べ、閉会します。

⑥出棺

棺を霊柩車に乗せて火葬場に運びます。親族も火葬場に移動します。

⑦火葬

火葬場に僧侶が同行している場合は、炉の前で最後の読経をあげてもらいます。その後、炉に棺を入れ、火葬場の担当者が着火のスイッチを押します。火葬にかかる時間は、故人の体格にもよりますが、概ね1時間~2時間程度です。火葬を待つ間、控室で参列者にお茶や軽食を振る舞います。

⑧骨上げ

火葬が終わると骨上げのための場所に案内され、参列者が箸で遺骨を広い、骨壷に入れていきます。

⑨遺骨法要

骨揚げが終わると、葬儀会場に戻って遺骨法要を行います。この法要の際に、本来、死後7日目に行う初七日の法要を一緒に行う場合もあります。

⑩精進落し後、解散

法要後に参列者で精進落しの会食(※)をします。最後に喪主が挨拶をして、参列者に返礼品が配られ、散会となります。

※葬儀(初七日法要や火葬)の後、親族をはじめお世話になった方などに振る舞う食事のこと。

まとめ

家族や親しい友人だけで静かに故人を偲び、お別れを告げられるのが魅力の家族葬。一般的な葬儀に比べて大幅に費用が抑えられることもあって、近年人気が上昇しています。しかし、すべての人の弔意を受けられない、後日になって自宅に弔問客が来てしまうおそれがあるなど、デメリットも指摘されています。不本意な結果になってしまわないように、生前にどのような葬儀がしたいのかを家族で話し合い、方針を決めておくと良いでしょう。

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