相続は「借金」にも要注意!マイナスの財産がある場合の対処法を解説

遺産相続をする際は自分にとってプラスとなる財産だけでなく、借金のようなマイナス資産の存在にも目を向ける必要があります。本記事では、借金の有無の確認方法やマイナスの財産があるときの選択肢、それぞれの特徴について紹介します。

相続は「借金」にも要注意!マイナスの財産がある場合の対処法を解説

そもそも借金を相続する必要はある?

そもそも借金を相続する必要はある?

一般的に相続財産には、預貯金や不動産のような被相続人にとってプラスとなる資産だけではなく、ローン・滞納金・事業の負債などマイナスの財産も含まれます。相続人が特に何もしなければ、その全てを相続することになるのです。

所定の手続きをして相続を放棄することも可能ですが、マイナスの遺産だけを放棄することはできません。仮に放棄するのであれば、自分にとってプラス・マイナスとなる財産両方を放棄する必要があります。

相続の際に借金などがあるか確認する方法

相続の際に借金などがあるか確認する方法

遺産相続をする際は、借金などマイナスとなる財産がどのくらいあるか確認しなくてはなりません。まず銀行口座の記録をみて、金融機関などから借入金がないかチェックします。郵便物に借金返済を求める督促状が届いていないか、留守番電話に督促に関する内容が録音されていないかを確認するのも有効です。その他、遺品の中に借用書などお金を借りていたことを示す書類がないかもチェックしましょう。

加えて、金融機関からの借金の有無を確実に把握するためには信用情報機関へ照会をかけます。信用情報機関とは、ローン・クレジットなど信用に基づく金銭取引の情報を登録する機関です。信用情報機関には3種類の機関があり、それぞれ加盟している金融機関が異なります。

・株式会社シー・アイ・シー(CIC)
クレジットカード会社や消費者金融、保険会社、携帯電話会社などが加盟しています。

・日本信用情報機構(JICC)
銀行や保証会社、リース会社、クレジットカード会社、消費者金融などが加盟しています。

・全国銀行個人信用情報センター(KSC)
銀行や信用金庫などが加盟しています。

出典 

それぞれの信用情報機関の間では情報が共有されていますが、掲載されている情報が異なることもありますので、正確に調査するには上記の全ての機関に照会をかける必要があります。照会する内容は被相続人の個人情報に該当しますが、相続人であれば情報開示の申込ができます。

借金が遺されていた場合の3つの対処方法

借金が遺されていた場合の3つの対処方法

被相続人の借金が見つかった場合、相続人側が取れる対処方法が3つあります。それぞれの特徴を理解しておき、ご自身にとって最も適切な方法はどれなのかを検討してみてください。

相続放棄

プラス・マイナスとなる財産に関わらず、相続人が遺産を相続する権利を全て放棄するのが「相続放棄」です。仮にマイナスとなる財産がプラスとなる財産を上回っていても、相続放棄すれば相続人はそれらを弁済する義務を負いません。

相続放棄は、各相続人が単独で選択可能です。相続放棄をしたい場合、自己のために相続が開始されたことを知った日(自身が相続人になったことを知った日)から3ヶ月以内に被相続人の最期の住所地を管轄する家庭裁判所へ申し出る必要があります。相続放棄はプラスとなる財産より格段にマイナス財産が多い場合や、プラス財産とマイナス財産のいずれが多いか定かではないものの被相続人の生前の生活状況からしてマイナス財産の方が多いと考えられる場合、心情的に被相続人から相続したくない場合などに選ばれるケースが多いようです。

限定承認

プラス・マイナスとなる財産両方を相続する上で、マイナスとなる財産の弁済義務がプラスとなる財産の範囲内に限定できる方法です。限定承認を選ぶとマイナスとなる財産が膨大でプラスとなる財産を上回っていても、プラスとなる財産を超える分については弁済義務が生じません。

限定承認は、相続人全員が合意した上で行える手続きです。相続放棄のように単独で行うことはできません。限定承認は相続放棄と同様に、自己のために相続が開始されたことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し出て手続きする必要があります。

限定承認は、マイナスとなる財産がプラスとなる財産を上回る可能性があるときには有効な選択肢です。しかし相続人全員で協議しなければならないことや、手続きが煩雑になることに注意しておいた方がよいでしょう。

単純承認

プラス・マイナスとなる財産全てを、相続人が無条件に相続する選択肢です。一般的に「遺産を相続する」といった場合は単純承認を指します。

単純承認となるのは、自己のために相続が開始された日から3ヶ月以内に、相続放棄・限定承認の申し出をしなかった場合や、以下にあてはまる場合です。

・相続人が相続財産(全部・一部を問わない)を処分した場合
・限定承認・相続放棄の手続き後でも、相続財産(全部・一部を問わない)を隠匿・消費した場合
・限定承認の手続き後に、存在を知っているにもかかわらず相続財産を財産目録に記載しなかった場合

出典 

単純承認になると、仮にマイナスとなる財産が膨大でも全て相続しなければなりません。そのため、マイナスの財産がプラスとなる財産より多いときは、相続放棄か限定承認を選ぶ方が適している場合が多いといえるでしょう。

相続放棄するメリット・デメリット

相続放棄するメリット・デメリット

相続放棄を選ぶ際は、メリットとデメリットをしっかり比較する必要があります。主なメリット・デメリットは以下の通りです。

【相続放棄するメリット】
・マイナスとなる財産を相続する必要がなくなる
・相続に関わる身内の争いから解放される

【相続放棄するデメリット】
・プラスとなる遺産を相続できない
・生命保険や死亡退職金の非課税枠が適用されなくなる

出典 

相続をする際の状況は、人によってそれぞれ異なります。ご自身の場合にあてはめて、メリット・デメリットどちらが大きいか慎重に考える必要があります。

なお、相続放棄した場合は相続権が次の順位の人に移ります。例えば、子供が相続を放棄すれば、親が相続人になります。突然相続人となった人からみれば、唐突に借金の返済義務を負わされたと感じることもありますし、相続権が移ってきたことを知ったにもかかわらず3か月以内に相続放棄をしなければ、その相続人に単純承認が成立して多額の負債を抱えてしまうこともあります。このため、次順位の相続人に対しても、事前に事情を説明して相続放棄を促すなどをしておくことが望ましいといえます。

生前にできること

生前にできること

遺産相続においてできるだけ苦労しないようにするためには、被相続人の方が生きている間にできる手立てを講じておくことです。ここでは2つの対策について説明します。

財産を把握する

被相続人が亡くなった後に、被相続人の財産がどのくらいあるか全て把握するのは困難で大変な手間がかかります。そのため預貯金や不動産、借金有無など、相続する財産がどのくらいあるか生前に全て洗い出し、把握しておくとよいでしょう。

債務整理をしてもらう

マイナスとなる財産が多いときは、できるだけ被相続人の存命中に債務整理しておいてもらった方がよいでしょう。債務整理することで、借金の支払い義務をなくしたり借金を減らしたりできます。

また借金を適正な利率で計算し直した際、過払い金が判明しお金が戻ってくるといったことも少なくありません。債務整理によって借金が減れば、それだけ遺産相続もスムーズに進められるようになります。遺産相続が円滑に進むように整えておくことは、相続人同士の争いを避けることにもつながります。

なお、借金を相続させないようにという観点では、債務整理をせずに、自身が死亡した際に相続放棄をするよう伝えておくというのも有効な手立てです。ただし、その場合はプラスの財産も残せないことになりますし、不動産などを所有している場合は相続人において「相続財産管理人」を選任しないといけない場合もありますので、どのような方法が良いかも含め、専門家である弁護士や司法書士にご相談されることをお勧めします。

まとめ

遺産相続は、預貯金や不動産だけでなく借金やローンなどのマイナス資産も含みます。まずは借金等の有無を確認し、単純承認で全てを継承するのか、あるいは相続放棄や限定承認でマイナス分の負担を減らす、またはゼロにするのかを選んでください。被相続人が亡くなってから焦ることがないように、生前から財産の把握や債務整理に取り組んでおくことも重要です。

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