いざというときに知っておくべき銀行口座の凍結と解除に必要な手続き方法とは

銀行は、特定の状況になったときに「口座凍結」という対処をとり、一切の取引を制限します。では、どのような状況のときに銀行口座の凍結が行われて、取引が制限されるのでしょうか。この記事では、主に名義人の死亡による口座凍結の払い戻しや解除方法を解説します。いざというときに備えて、正しい知識を知りたい人はぜひ参考にしてください。

いざというときに知っておくべき銀行口座の凍結と解除に必要な手続き方法とは

口座凍結とは?

口座凍結とは?

口座凍結とは、銀行口座から現金を引き出したり引き落とししたりできない状態になることを意味します。つまり、対象となった預金口座に対する一切の取引が制限されるということです。口座凍結が自動的に解除されることはなく、しかるべき手続きを行わなければ、元の状態には戻りません。

口座凍結される理由

口座凍結される理由は主に4つあります。

債務整理の対象になる場合

まず、銀行に対して債務を負っている状態で返済の見込みが著しく低いと銀行が判断したときです。債務整理には任意整理・民事再生・自己破産などの種類があるものの、いずれを選択した場合も、口座凍結されることがあります。

口座が不正取引に利用された場合

次に、警察からの連絡などにより、不正に譲渡・使用された疑いのある銀行口座だと発覚した場合です。取引できる状態にしておくと、更なる犯罪が起こる可能性があるため、口座凍結されることがあります。

名義人が死亡した場合

銀行口座の名義人が死亡したときです。銀行口座内の預金は相続財産であるため、相続人同士のトラブルを防止する目的などで取引を制限します。

名義人が認知症であると認められた場合

最後に、銀行口座の名義人本人が認知症であると認められた場合、銀行は本人の財産を守る手段として口座凍結をする場合があります。この場合、親族であっても口座から預金の引き出しや解約はできません。

ただし、2021年2月に全国銀行協会は口座名義人が認知症と認められた場合の考え方として、以下の旨の方針を発表しました。

成年後見制度などの利用が基本としつつ、医療費や介護費の確保といった使途に対して、条件付きで親族らの預金引き出しや投資信託の解約に対応することが考えられる。

あくまで方針であるため直ちに統一的な運用が始まるわけではありませんが、今後、各金融機関の銀行窓口対応に取り入れられていく可能性があります。

【参考】全国銀行協会「金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方(公表版)」詳しくはこちら

口座凍結されるタイミング

債務整理による口座凍結は、弁護士又は司法書士等から銀行へ受任通知を送付したタイミングで行われます。名義人の死亡によって口座凍結されるタイミングは、銀行が死亡の事実を把握したときです。具体的には、家族が銀行に連絡したとき・担当者が訃報欄で死亡の事実を把握したときなどに、口座凍結が行われます。また、不正利用された疑いのある場合は、警察からの申請があったタイミングなどで口座が凍結されます。

口座凍結前に引き出すとどうなる?

口座凍結前に引き出すとどうなる?

名義人の死亡によって口座凍結される場合、銀行が死亡の事実を把握する前に、引き出すことも可能です。ただし、安易に預金を引き出すと「相続財産を単純承認した」とみなされることがあるため、注意しましょう。単純承認とは、「預金・不動産などのプラスの財産、債務などのマイナスの財産をすべてまとめて相続する」ということです。マイナスの財産が多い場合、思いがけず多額の債務を引き継いでしまうケースがあります。

口座凍結後でも仮払い制度なら払い戻しができる

口座凍結後でも仮払い制度なら払い戻しができる

名義人の死亡によって口座凍結される場合、葬式費用などを確保する目的で「預金を引き出したい」と思うことがあるでしょう。名義人の法定相続人には、口座凍結後であっても、一定の金額までは払い戻しを受けることが認められます。払い戻しを受けられる金額の上限は、金融機関ごとに下記のうち低い方の金額です。

【1】相続開始時の預金額×1/3×法定相続分
【2】150万円

これは、2019年(平成30年)7月施行の改正民法によって始まった制度です。すべてのケースで制度を利用できるわけではなく、遺言で預貯金が遺贈されている等の理由で払い戻しが認められないこともあります。そのため、払い戻しを受けたい場合はまず銀行に相談し、制度の利用が認められるかを確認しましょう。

口座凍結の解除には手続きが必要

名義人の死亡によって口座凍結された場合は所定の手続きをふむことで、解除できます。口座凍結の解除に必要な書類・手続き方法を把握し、いざというときに備えましょう。

口座凍結の解除に必要な書類

まず、口座凍結の解除に必要な書類について解説します。口座凍結の解除には一般的に、以下の書類の準備が必要です。

・預金通帳、キャッシュカード
・遺言書もしくは遺産分割協議書
・相続関係届出書(遺言書、遺産分割協議書がない場合)
・検認調書もしくは検認済証明書(遺言書がある場合)
・名義人の出生から死亡までの戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書

必要な書類の種類は、遺言書や遺産分割協議書のあり・なしで異なります。銀行によって必要な書類の種類が異なることも多いため、窓口で指定されたものを準備しましょう。

口座凍結の解除に必要な手続き

口座凍結の解除は、銀行の窓口で行わなければなりません。銀行の窓口に行き、「口座凍結の解除をお願いしたい」と伝えてください。すると、窓口の担当者が必要な書類の種類を教えてくれます。指定された書類をすべてそろえたうえで改めて銀行の窓口に行き、手続きを進めてください。書類提出を終えてから実際に解除されるまでには、10営業日程度かかることが一般的です。手続きを終えてすぐ、預金を引き出せるわけではない点に注意しましょう。

口座凍結の前にできる対策

口座凍結の前にできる対策

名義人の死亡による口座凍結を解除するためには、複雑な手続きが必要です。家族の手続き負担を軽減するためには生前から、十分な対策をとることをおすすめします。具体的には、以下のような対策をとることで、自分自身の相続に備えてください。

【1】取引している銀行の一覧表を作成する

そもそもどこの銀行と取引しているかが分からないと、手続きを進められません。取引している銀行が複数ある場合は、一覧表を作成しましょう。銀行の一覧表には、銀行名・支店名・口座の種類・口座番号などを記載します。一覧表を家族以外の人に見られた場合のリスクを考慮し、暗証番号の記載は避けてください。

【2】使用していない銀行口座は解約する

自分自身にもしものことがあったとき、遺された家族は銀行口座の数だけ、解除手続きが必要です。家族の負担を軽減するためには使用していない銀行口座を解約し、必要なもののみを残してください。銀行口座の解約手続きは、窓口で行います。届出印・通帳・キャッシュカード・本人確認書類などを持参して窓口に出向くことで、解約手続きを進められます。

【3】通帳や印鑑の保管場所を家族に伝える

口座凍結の解除には、通帳や印鑑が必要です。通帳や印鑑の保管場所をあらかじめ、家族に伝えておきましょう。通帳や印鑑を金庫で保管する場合には、暗証番号を共有することも大切です。鍵で開けるタイプの金庫の場合は、鍵の在り処を共有しましょう。

まとめ

まとめ

口座凍結は、債務整理・名義人の死亡・警察などからの連絡によって行われます。名義人の死亡によって口座凍結された場合は適切に手続きすることで、制限の解除が可能です。ただし、名義人の死亡によって凍結された口座を解除するための手続きには、一定の時間と労力を要します。家族の負担を極力軽減したい場合は、この記事で紹介した対策をとるとよいでしょう。

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