投資信託の「アクティブ運用・パッシブ運用」とは?

投資信託を選ぶ時には何を基準に選択しますか?投資対象(株式か債券か、国内か国内外か等)はもちろんですが、「アクティブ運用・パッシブ運用」といった運用手法も重要な基準のひとつです。この運用手法によって値動きはもちろんのこと、コストもかなり違ってきます。内容を理解した上で、自分にあった投資信託を選択できるようにしましょう。

投資信託の「アクティブ運用・パッシブ運用」とは?

アクティブ運用・パッシブ運用って何?

アクティブ運用・パッシブ運用って何?

まず、ベンチマークについてお話しましょう。
ベンチマークとは比較のために用いる指標です。投資信託には基準価額というものがあり、日々変動しますが、この基準価額の動きだけを見ても投資信託の運用の良し悪しはわかりません。そこで、運用成績を測るモノサシといわれるベンチマークと当該投資信託の動きを比較するのです。

ベンチマークには市場平均となるようなインデックス(指数)が使われます。
例えば、以下の日経平均やNASDAQなどです。

・日本株式であれば、「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」
・アメリカ株式であれば「ダウ」や「NASDAQ」、「S&P 500」

出典 

パッシブ運用とは、この「ベンチマークと同じように動くことを目標として運用する手法」のことをいい、アクティブ運用とは、「市場平均(ベンチマーク)を上回ることを目標として運用する手法」のことをいいます。

アクティブ運用は市場平均以上を目指す

アクティブ運用は市場平均以上を目指す

アクティブ運用は市場平均を上回ることを目標としていますから、インデックスの全銘柄の中から市場平均を上回りそうな銘柄をピックアップして投資を行います。そのため、組み入れる銘柄の数は少なめになります。また、銘柄の選択や投資タイミングなどはファンドマネージャー(運用責任者)が判断しますので、運用成績もファンドマネージャーの腕次第ということになります。

パッシブ運用はインデックスと連動

パッシブ運用はインデックスと連動

パッシブ運用は、「インデックス運用」とも呼ばれ、その投資信託が決めたインデックスと同じように動くことを目標としますから、基本的にはインデックスの全銘柄に投資をします(実際はコストの関係上、全部に投資しないこともあります)。したがって、インデックスが上がれば当該投資信託の基準価格も上がり、インデックスが下がれば基準価格は下がるということになります。

アクティブ運用とパッシブ運用

アクティブ運用 パッシブ運用
ベンチマークとの比較 ・ベンチマークを上回るパフォーマンスを目指す
・ベンチマークより動きは大きい傾向にある
・ベンチマークと同様の動きを目標とする
運用の評価 ・ベンチマークを上回るリターンかどうか
※ただし、ベンチマークを定めていないアクティブファンドもある
・ベンチマークとの乖離が小さければ小さいほど良いとされる
組み入れ銘柄数 少ない 多い

アクティブ運用とパッシブ運用のメリット・デメリット

アクティブ運用とパッシブ運用のメリット・デメリット

アクティブ運用は、采配をファンドマネージャーに任せているので、目論見書に記載の範囲内であれば銘柄選択や配分などの自由が利きます。一方、パッシブ運用はインデックスと極力同じ動きをするように設計していますので、ファンドマネージャーにとっての自由度はありません。

また、アクティブ運用は投資先を絞って運用することが多く、そのため値動きは大きくなります。それと比べてパッシブ運用は、インデックスに広く投資するためリスクが分散され、アクティブ運用に比べると値動きは小さめになる傾向があります。

アクティブ運用のメリット・デメリット

アクティブ運用のメリット・デメリット

まずはアクティブ運用のメリット・デメリットについて確認しましょう。

アクティブ運用のメリット

アクティブ運用のメリットは、パッシブ運用では得られないパフォーマンスを期待できるということでしょう。選択する企業一社一社に対し、調査や訪問をして将来性を見極めているファンドマネージャーもいます。また、どんなによい企業でも市場全体が下落すると売られてしまうこともあります。アクティブ運用であれば、常に株式を100%入れておく必要はなく、これから急激に下がるという見通しを立てたなら、株式を現金化しておいて、下がりきったところで株式を買い直すということも可能です。

アクティブ運用のデメリット

一方、デメリットとしては、インデックスを上回ることが目標なので、市場・企業調査や銘柄選択にも手間をかけるため、その分コスト(投資家が負担する信託報酬)がかかることが挙げられます。しかも、手間をかけたからといって、必ずしも成功するとは限りません。アクティブ運用の商品を選ぶ際には、過去の実績などを見て運用がうまくいきそうな投資信託を見極める必要があります。

パッシブ運用のメリット・デメリット

次にパッシブ運用のメリット・デメリットを解説します。

パッシブ運用のメリット

パッシブ運用のメリットは、インデックスとほぼ同じ動きをするため、値動きがわかりやすい点です。また、機械的に運用するためコストは安く、ファンドマネージャーの腕は関係ないということになります。

パッシブ運用のデメリット

デメリットは、インデックスと違う動きはしないので、インデックスが下がれば同じように下がるという点です。またインデックスに入っているものほぼすべての銘柄を入れるため、明らかに今後の見通しが厳しいような企業にも投資することになります。

アクティブ運用・パッシブ運用、それぞれのメリット・デメリットをまとめると以下になります。

アクティブ運用とパッシブ運用の比較

アクティブ運用 パッシブ運用
メリット ・インデックスより高いリターンが期待できる
・運用の自由度がある
・コストが安い
・わかりやすい
デメリット ・コストが高い
・インデックスに負けることもある
・下がると予測される場合でも、投資していなければならない
・リスクが分散される分、リターンも小さくなる

まとめ

まとめ

アクティブファンドがインデックスファンドを上回る勝率は半分以下といわれています。投資対象や対象時期にもよりますが、1割以下しかないという報告もあります。

ではそんな中、投資信託をどのように選択したらよいのでしょう?
パッシブ運用は、どのインデックスに投資するのかが決まれば、あとはなるべくコストが低いものを選ぶことになるので、どなたでも比較的簡単に選ぶことができます。

一方、アクティブ運用は一般的にコストが高いので、それを上回るパフォーマンスが見込めるかどうかを見極める必要があり、判断力が必要になってきます。

もし、自分の知識や経験がまだ選択するに至らないと思う方は、コストと内容のわかりやすさが重視されるパッシブ運用を選ぶのも一手です。もう少し踏み込んで、自分で内容を精査して今後上昇しそう投資信託を探し出し、そのファンドマネージャーに託してみたいと思われる方はアクティブ運用を選択してみるのもよいでしょう。

それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った投資信託を選んでください。

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