株式投資をするなら必須知識!キャピタルゲインとインカムゲインで変わる投資方法
株式投資から得られる利益には、値上がり益の「キャピタルゲイン」と配当の「インカムゲイン」があります。株式投資では大きな利益を得られる可能性がある一方、下がるリスクもあります。配当はある程度安定した収入になります。投資の方法は、投資家の資産状況、性格により千差万別です。自分に合った投資方法を探ってみましょう。

投資をするなら知っておくべき「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」

値上がり益である「キャピタルゲイン」と、預金の利息のように定期的に受け取ることができる配当の「インカムゲイン」は、どちらも株式投資で得られる利益です。それぞれの魅力をその特徴から見てみましょう。
キャピタルゲインとは
キャピタルゲインとは、購入時の値段よりも高い値段で売却できたときの値上がり益のことです。長い時間をかけ株価が値上がりすることもあれば、短期間でも好材料により株価が高騰することもあります。
投資金額 (購入金額) 株価×株数 | 売却時の金額 株価×株数 | キャピタルゲイン (手数料、税金を除く) 購入金額-売却金額 |
---|---|---|
2,500円×100株 =25万円 | 3,500円×100株 =35万円 | 35万円-25万円 =10万円 |
インカムゲインとは
株式投資のインカムゲインとは、企業が得た利益から株主に還元される配当のことです。配当は、「1株当たり年間100円」など企業が決算期ごとに決め、利益があっても支払われないこともあります。
配当を出す株式を長期保有することで、預金の利息のように定期的に配当を受け取ることができます。効率よい配当収入を得られる株式を見つけるには、株価に対して受け取れる配当金額の割合を示す「配当利回り」を使います。
■配当利回りの計算方法
配当利回り=1株当たり年間配当金÷株価×100
配当金額が同じで株価が低いと配当利回りは上がり、株価が高いと配当利回りは下がります。配当利回りが高いほうが、投資金額に対して、多くの配当収入が得られることになり、効率がよいと判断されます。投資をするときは、年間配当金の予想値で算出し、判断材料とします。
インカムゲインと配当利回り
投資金額 (購入金額) | 予想配当金 (年間) | 予想配当利回り(%) 予想配当÷株価×100 |
---|---|---|
5,000円×100株 =50万円 | 110円×100株 =11,000円 | 2.20% |
キャピタルゲインのポイント

購入時よりも高い値段で売却して値上がり益を得るためには、何を買うのかという目利きや売買のタイミングが大切です。
値上がりが期待できる企業を選ぶポイントは、本来の企業の価値が株価に反映されておらず、お買い得になっていることです。例えば、地味であまり人気はないけれど、財務内容がよく、潤沢なお金があり、安定した収益を出している企業が狙い目です。
それには、企業の収益性、安全性、そして株価が低く割安かどうかをPER(株価収益率※1)・PBR(株価純資産倍率※2)などの複数の投資尺度から見て判断します。
ただし、株式の購入時の判断が適切だったとしても、状況の変化に応じて売却の決断をしなければいけないこともあります。
例として、異なる業種2社の株価の動きを比較してみましょう。
※1 PER(株価収益率/ Price Earnings Ratio):株価が、企業の利益から見て割安か割高かを判断するための指標。一般にPERが低いほど割安であることを示す。ただし、人気企業は高めになる傾向がある。複数の指標と総合的に判断する。
※2 PBR(株価純資産倍率/ Price Book-value Ratio):株価が、企業の純資産から見て割安か割高かを判断するための指標。会社の資産と現在の株価を比較して、PBRが小さいほど株価が割安であることを示す。ただし、PBRが小さいと倒産リスクもある。複数の指標と総合的に判断する。
企業により値動きが異なる例
空調機業界の世界的な企業A社
<購入時> 2012年1月31日の株価 | <現在> 2020年9月10日の終値 | 株価の動き |
---|---|---|
2,210円 | 19,485円 | 短期的には小さな上がり下がりを繰り返しながら、継続的に値上がりしている |
繊維事業を主とする老舗企業B社
<購入時> 2012年1月31日の株価 | <現在> 2020年9月10日の終値 | 株価の動き |
---|---|---|
572円 | 508.4円 | 2017年に1,208円の高値をつけるも、その後は下落が続いている |
同じ時期に購入したもの、つまり同じ相場環境でも、企業によりキャピタルゲインの幅が異なることがわかります。
A社は、今売却すれば大きなキャピタルゲインを得られますし、購入以来、いつ売却してもキャピタルゲインを得られた可能性が高い銘柄です。
B社は、持ち続けたことにより、現在は購入金額を割り込み評価損が出ている状況です。株価が下がっている理由が長引きそうなら、値上がりを待つよりも、売却する判断をすることも大切です。
定期的に世の中の情勢や企業の動向チェックを続け、持ち続けるか売却するかの判断を随時行ってください。
インカムゲインのポイント

配当利回りの高い株式を選ぶことで、効率のよい配当収入が期待できます。東証1部上場企業の平均配当利回りは1.75%(令和2年9月10日)(※日経会社情報)ですが、予想配当利回り5%以上の企業は東証1部上場企業だけでも約40社あります。
高配当株の選び方としては、予想配当利回りをチェックし、3%以上のものを目安にするとよいでしょう。
事業内容 | 2020年 9月10日の終値 | 予想配当利回り | 予想配当金 |
---|---|---|---|
たばこが事業の 中核のC社 | 1,993円 | 7.72% | 154円 |
ローコスト系の 注文住宅会社 D社 | 1,308円 | 4.58% | 60円 |
ただし、企業の業績次第では、配当が減配や無配になることもあります。配当の源泉は、企業が生み出す利益です。そのため、配当利回りだけを見て投資判断をするのではなく、企業の収益性や安全性にも目配りが必要です。
なお、配当が支払われる時期は企業により異なります。通常は決算の2~3ヵ月後。3月決算なら5月か6月頃です。配当を受け取るためには、受け取る権利が確定する「権利確定日」に株式を保有していなければなりません。例えば、2020年9月30日が権利確定日の株式なら、9月28日の「権利付き最終日」までに買う必要があります。
「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」どちらを優先すべき?

どのような運用をしたいかにより「キャピタルゲイン」か「インカムゲイン」のどちらを優先するかが明確になります。
値上がり益を重視したい人は、無配でも大きな値上がりが期待できる企業に目を向けるとよいでしょう。
創業して間もない企業や、急成長中の企業のなかには無配の企業もあります。利益を株主に配当として還元するよりも、事業資金として使うことで企業の成長に役立てようとしています。そのような企業は、成長に伴って将来大きな値上がりが期待できると考えられます。
値上がり益よりも定期的な配当を受け取る安定運用をしたいという人は、配当利回りの高い銘柄を選ぶとよいでしょう。配当利回りが、預金の利率よりも高い企業も珍しくないため、効率的な運用が期待できます。
リスクがある点には注意が必要
ただし、いずれの利益も保証されるものではなくリスクがあるという点に留意しましょう。成長企業と配当利回りの高い銘柄の複数の株式を購入し、互いの値動きを補いながらトータルで利益を出すように組み合わせるのも資産を守るひとつの方法です。
まとめ
株式投資とは、企業を応援することです。企業が成長することで得られる値上がり益と配当で自分も潤い、日本経済の好循環にもつながります。キャピタルゲインとインカムゲインの特性をうまく調和させ、自分の投資生活を楽しんでください。
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