【FP解説】気になる「純金積立」のメリットや注意点、最新事情などを全解説

金投資と聞いて「お金持ちがやるもの」と考える人も多いのではないでしょうか。実は、そんなことはありません。金投資は、初心者からベテランまで多くの投資家に好まれる投資先のひとつになっています。特徴やメリットなどを知り、金投資を考えてみてはいかがでしょうか。

【FP解説】気になる「純金積立」のメリットや注意点、最新事情などを全解説

金は有事に強い

金は有事に強い

金が有事に強いということを、はじめて聞く方もいるのではないでしょうか。有事とは、戦争やテロ、自然災害、経済危機など、不測の事態を指します。株式や債券など多くの金融商品は、有事が起こると売られやすくなりますが、金は有事に強く、買われやすくなります。

2020年2月に起こったコロナショック時の「金価格連動投資信託」と「日経平均インデックスファンド」の値動きをご覧ください。

コロナショック時の「金価格連動投資信託」と「日経平均インデックスファンド」の値動き

日経平均インデックスファンドはコロナショック前の水準に戻るのに約半年かかりましたが、金価格連動投資信託は約1ヶ月後には元の水準に戻しています。

このように、有事の際の値動きをみると、金が有事に強いということがわかります。

金が有事に強いのは、「実物資産」だからです。価値の前提が発行体である株式や債券とは違い、金の場合は金そのものになります。そのため、万が一戦争が起こっても、株式や債券なら発行体の状況によっては価値がゼロになりますが、実物資産の金なら価値がゼロになることはありません。つまり、実物資産である金ならいかなる状況でも価値が担保されるため、有事に強いというわけです。

純金積立とは

純金積立とは

金投資でもっともシンプルで身近なものは「純金積立」です。毎月一定の金額の純金を購入していく「定額積立」が一般的ですが、毎月一定の重さの純金を購入する「定量積立」という方法もあります。積み立てる際の最低金額・最低量などは取扱会社ごとに異なりますが、「毎月1,000円以上」などの少額から積み立てることが可能な取扱会社も少なくありません。積み立てた純金は、将来、金価格が上昇して売却すると利益になる一方で、価格が下落して損失となる可能性もあるので注意が必要です。

純金積立では、最初に毎月購入する金額を決めます。決めた購入金額は、指定した銀行口座から毎月引き落とされます。金価格は毎月変動するため、購入金額は同じでも、購入量は変動します。
次に、購入した金を保管します。投資家が金の現物を保管するわけではなく、取扱会社が保管します。純金積立で、最も気をつけなくてはいけないのが、この保管方法についてです。

金の保管方法で異なるコストやリスク

保管方法には「消費寄託」と「混合寄託」があります。
「消費寄託」は、所有権が取扱会社に帰属するため、取扱管会社が倒産などをした場合は預けていた金が戻らない可能性があります。
一方、「混合寄託」は、所有権が投資家に帰属するため、倒産した場合でも原則として問題ありません。

このように取扱会社の破綻リスクはあるものの、信頼できる会社であれば「消費寄託」がおすすめです。
なぜなら「消費寄託」では、取扱会社は保管している金を運用できるため、そこで得た利益の一部を預金者に利息として回していることから、保管料や買付手数料などの投資家が負担するコストを「混合寄託」より安くしている会社もあるためです。
積立開始後、保管している金はいつでも売却や引き出しができます(引き出しは取扱会社によってはできないことがあります)。一度に全てを売却する必要はなく、数量を指定することも可能です。

純金積立はこんな人におすすめ

純金積立はこんな人におすすめ

1 コツコツ地道に資産を作ろうと考えている方
純金積立は短期売買で利益を狙うものではありません。地道に資産を作っていきたい方向けです。

2 投資初心者の方
金価格の変動は株や不動産より比較的小さいため、投資初心者向きといえます。

3 株や不動産以外の投資先を探している方
すでに株や不動産を持っている方なら、リスク分散のための投資先になります。

4 現物投資を考えている方
純金積立では、実際に購入した金を受け取ることが可能です。取扱会社によっては現物への交換ができない場合もあるので、始める前に確認してください。

純金積立のメリットやリスクなど

純金積立のメリットやリスクなど

どんな投資にもメリット・デメリットがつきものです。純金積立も例外ではありません。

メリット

1 長期の資産形成に向いている
純金積立のように毎月定額購入することを、ドルコスト平均法といいます。ドルコスト平均法なら価格に関係なくコツコツ購入するため、相場に一喜一憂する必要がなく、長期の資産形成に向いています。

2 実物資産だから、価値がゼロにならない
株式や債券とは違い、金はそのものに価値がある実物資産です。そのため価値がゼロになることはありません。

3 少額から始められる
純金積立は毎月1,000円から始められます。株式や債券に比べて少額で投資ができるので、投資初心者の方にも始めやすくなっています。

4 リスク分散先のひとつにも
金は株式や債券の価格とは連動しにくいといわれています。そのため、保有資産の一部を金にすることで、リスク分散効果が期待できます。

デメリット

1 金価格の変動による元本割れリスク
純金積立は元本保証ではないため、売却時に購入総額を下回るリスクがあります。

2 保管中は利息や配当がない
預金なら利息を受け取れますが、金には利息や配当がありません。

3 年会費や購入手数料などの費用
純金積立には、年会費、保管料、購入手数料、売却手数料、引き出し手数料などの費用がかかります。取扱会社によって異なるため、始める前に確認してください。

純金積立の始め方

純金積立の始め方

純金積立を始めるには、各取扱会社に口座開設または専用口座の開設が必要です。店頭やインターネット、郵送により申し込みが可能です。その際、本人確認書類が必要になることがあります。すでに口座開設が済んでいる金融機関なら、専用口座の開設を申し込むなどの手続きを行えば、すぐに始められるところもあります。

金に積立投資をする方法は、純金積立以外にも投資信託などを購入する方法もあります。投資信託なら純金積立同様、少額から積み立てることが可能です。投資信託でも販売手数料と信託報酬といった費用がかかりますが、年会費や保管料がない分、費用を抑えられます(販売手数料は金融機関によって異なります)。金の実物を保有するつもりがなければ、投資信託を使った積立方法も選択肢のひとつになるのでしょう。

まとめ

まとめ

長期間の資産形成では、有事を避けることは難しいものです。金へ投資すれば、有事への備えになります。
投資初心者の方なら実物資産という安心感と楽しみに、すでに金以外に投資をしている方なら有事の際のリスク分散先のひとつに、というように、いろんな目的で使えるのも金投資の魅力でしょう。
これまで金投資を考えていなかった方も、この機に金投資を考えてみてはいかがでしょうか。

ご留意事項
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