夫婦間贈与を非課税にする方法は?贈与税の対象や特例について解説!

夫婦間でのお金の受け渡しにも贈与税がかかる場合があることをご存知ですか?知らないうちに贈与税の対象となっていたり、未申告でいると税務署から問い合わせがあるかもしれません。この記事では、夫婦間で贈与税が課される具体的なケースや注意すべきポイントについて解説します。

夫婦間贈与を非課税にする方法は?贈与税の対象や特例について解説!

そもそも贈与税とは?

そもそも贈与税とは?

贈与税とは、個人から年間110万円を超える財産を受け取った場合に、受け取った側へ課せられる税金です。年間110万円までは基礎控除として、非課税となります。

贈与税は原則として贈与によって財産を取得した場合の税金ですが、例外的に贈与そのものではないものの、贈与があったとみなされて贈与税がかかるケースもあります。これを「みなし贈与」といいます。みなし贈与は相応の対価を支払わず利益を受けるときに発生し、以下のような場合が例として挙げられます。

・不動産や株券の名義を対価なしで自分自身に変更した
・返済能力がないにもかかわらず、親族から多額の借金をした
・本来の価格からすると著しく低い価格で財物を譲り受けた
・契約者ではないが生命保険金の満期保険金の受取人となった
・対価を支払うことなく借金の免除をしてもらった

なお、みなし贈与が成立しそうな場合でも、その年の贈与税の課税対象となる年末までに名義を戻したり借金を返済したりすれば、贈与税は課されません。贈与税が課されるのは、あくまでも年間で見たときに贈与によって所得があったとみなせる場合です。

贈与税のかからない非課税財産もある

贈与税のかからない非課税財産もある

贈与税は原則としてすべての贈与財産にかかります。ただ、贈与の目的や財産の性質などから、一定財産は非課税となっています。具体的には以下のようなものが挙げられます。

・法人からの贈与で取得した財産(ただし所得税の対象にはなる)
・夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から支払われた教育費や生活費など
・個人から受け取る見舞金や香典、贈答品など
・心身障害者共済制度による給付金を受け取る権利
・直系尊属から受けた一定要件を充たす住宅取得等資金や教育資金、結婚・子育て資金


教育費や生活費といった名目で贈与された財産は原則として非課税ですが、それらを貯蓄に充てたり投資の資金として用いたりした場合は課税対象となります。また、住宅取得資金や教育資金などは特例制度により非課税となりますが、上限がある点にも注意が必要です。

これらに該当しない財産の贈与は課税対象となるものの、夫婦間では相続税の配偶者控除もあり、1億6,000万円までは相続税がかからないため、敢えて贈与という形を取らないのもひとつの方法といえます。

夫婦間で贈与となるもの、ならないものは?

夫婦間で贈与となるもの、ならないものは?

夫婦は家族であり、互いに扶養義務を負う関係でもあるため、日常的な物品や金銭のやり取りまでが贈与税の課税対象とされていません。その反面、夫婦でありさえすればどんなに高価なものを贈っても非課税というわけでもありません。そこで、贈与税の課税対象となるケースを確認しましょう。

生活費の贈与は贈与税の対象にはならない

生活費や教育費といった、生活上で必要と判断される金銭の受け渡しは、贈与税の課税対象にはなりません。また、夫婦間だけでなく、親子間や兄弟姉妹間も贈与税の対象外となります。
ただし、受け取る人にとって通常の日常生活に必要な費用以上の金銭や財物が受け渡された場合などは、生活費として認められないため贈与税がかかってきます。

夫婦間贈与の特例

夫婦間贈与の特例とは、通称、おしどり贈与とも呼ばれますが、正式には「贈与税の配偶者控除の特例」という名称の制度です。婚姻期間が20年以上の夫婦で居住用不動産もしくはそれを取得するための金銭の贈与が行われた場合に、基礎控除に加えて一定の配偶者控除が認められるという制度をいいます。適用要件は以下の3つです。

・婚姻期間20年以上経過後の贈与であること
・配偶者からの贈与が居住用不動産か、それを取得するための金銭であること
・贈与された年の翌年3月15日までに居住し、その後も住み続ける見込みであること

要件をすべて満たした場合、基礎控除110万円のほか、最高2,000万円までの贈与税の配偶者控除が可能です。なお、この配偶者控除は、同一の配偶者同士間では生涯に一度しか適用が認められていない点に注意する必要があります。

夫婦間で贈与税がかかる具体的なケース

夫婦間で贈与税がかかる具体的なケース

高額な贈り物をしたケース

現金以外でも高級車や宝飾品などをプレゼントし、110万円の基礎控除額を超えた場合は、贈与税がかかる可能性があります。このとき基礎控除額を超えているかどうかは、実際の市場取引価格(売買実例価格)や専門家による鑑定を受けた価格(精通者意見価格)により判断されます。

生活費で投資をしたケース

生活費としての名目で受け取ったとしても、それを投資に回してしまうと生活費目的ではなくなるため、贈与税の対象として税金がかかる可能性があります。また、生活費として使わず貯蓄しておいた場合には相続財産として扱われることもあり、注意を要します。

死亡保険金を受け取るケース

保険の契約形態で、契約者・被保険者・保険金受取人がそれぞれ別人の場合は、贈与税の課税対象となります。具体的には、契約者が夫、被保険者が子、受取人が妻のようなケースです。

配偶者名義の住宅ローンを返済しているケース

夫(妻)名義で住宅を購入したものの、返済は妻(夫)という場合、実質的には贈与とみなされ贈与税が課せられる可能性があります。

夫婦間で贈与税がかからない具体的なケース

夫婦間で贈与税がかからない具体的なケース

夫婦間で贈与税がかからない具体的なケースを解説します。

給与をひとつの口座で管理するケース

夫婦の給与を同じ口座で管理し、家賃の支払いや家具の購入などに充てる場合は生活費として認められるため、贈与税の対象にはなりません。ただし、実際に必要な生活費用よりも過剰な額を受け取っていた場合、過剰分については贈与税の対象となる場合があります。

結婚式の費用を配偶者の口座に入金したケース

結婚式の費用は通常の生活を送る上で必要な資金として認められるため、110万円を超えたとしても贈与税の対象にはなりません。もっとも、一般的な結婚式費用と比べ、明らかに過大な金額だった場合には部分的に贈与税が課される可能性もあります。

配偶者の学費を配偶者の口座に入金したケース

配偶者が大学生や大学院生で、もう一方の配偶者が社会人として支えるという場合、学費に充てる金銭は110万円を超えても贈与税がかかりません。教材費や文具費も同様です。実際に必要とされる金額に比べ過剰とみなされた場合、贈与税がかかる可能性があります。

まとめ

夫婦間での贈与では、通常の生活を送るために必要な生活費であれば贈与税の対象にはなりません。とはいえ、中には区別が難しいケースもあります。あいまいな場合は、どのようなときに課税の対象となるのかしっかり確認しておきましょう。

三菱UFJ信託銀行「代理出金口座付遺言信託 つづくほほえみ」
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