贈与税がかからない「生前贈与」の非課税枠まとめ

ご自身の相続を考えた時、相続財産が相続税の基礎控除を大きく超え、多額の税金がかかりそうな場合、存命中に子供や孫などに財産の一部を渡し、相続財産を圧縮しておくという「生前贈与」を考える方がいらっしゃいます。今回は、生前贈与を行う際に活用したい、様々な贈与税の「非課税枠」についてご紹介します。

贈与税がかからない「生前贈与」の非課税枠まとめ

暦年贈与以外にもたくさんあった! 生前贈与の非課税枠

暦年贈与以外にもたくさんあった! 生前贈与の非課税枠

非課税枠を活用した生前贈与の代表格が、「暦年贈与」です。それ以外にも、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置」、「相続時精算課税制度」、「夫婦の間で居住用の不動産を贈与した時の配偶者控除(おしどり贈与)」などを使った生前贈与が可能です。

暦年贈与について詳しくは、「暦年贈与」の3つのポイント~「連年贈与」との違い~の記事もチェック

さらに、生命保険の死亡保険金は相続税の課税対象ですが、相続税の基礎控除(3000万円+〈法定相続人の数×600万円〉)とは別枠で控除される制度があります。

以下、それぞれについて簡単にご説明しましょう。

子供や孫への生前贈与に有効なのは?

子供や孫への生前贈与に有効なのは?

「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置」は、30歳未満の子供や孫に、最大1500万円までの教育資金を非課税でまとめて贈与できる制度です。子や孫の名義で信託銀行などに専用口座を開設し、そこに贈与する教育資金を入金することが条件となります。

教育資金には中学や高校、大学の受験料・入学金・授業料などのほか、習い事代や留学費用も含まれますが、学校以外への支払いに対する贈与は500万円が限度となります。出金は受贈者が行い、その都度、金融機関に支払いの証拠となる領収書などを示す必要があります。

資金を活用中に贈与者が亡くなったとしても、受贈者が23歳未満であれば相続税の課税対象にはなりません。受贈者が30歳に達した時点で贈与された資金が残っていたら、その分に贈与税がかかる仕組みです。
特例措置で2021年3月が期限となっていますが、目下、政府・与党では期限を延長する方向で検討されています。

特例措置は、令和3年3月31までが適用期間でしたが、令和2年12月21日閣議決定された「令和3年度税制改正大綱」によると、令和5年3月31日までと適用期間の2年延長が決まりました。

子供や孫への生前贈与が2500万円まで非課税に

子供や孫への生前贈与が2500万円まで非課税に

「相続時精算課税制度」は、60歳以上の親や祖父母が推定相続人である20歳以上の子供や孫に対し、将来相続させる財産を最大2500万円まで非課税で“前渡し”できる制度です。
この制度のメリットは、教育資金や結婚資金・住宅資金など使途を問われず、限度額に達するまでは必要な時に何度でも、贈与税を負担せずに贈与が可能になることです。ただし、贈与者が亡くなると、相続財産に同制度を使って贈与された金額も加えて相続税が課税されます。また、暦年贈与と併用することはできません。

制度を利用する際は住所地を管轄する税務署に「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。一度選択すると取り消しが効かないので注意しましょう。

配偶者への生前贈与に有効なのは?

配偶者への生前贈与に有効なのは?

「夫婦の間で居住用の不動産を贈与した時の配偶者控除(おしどり贈与)」とは、婚姻期間が20年以上に及ぶ夫婦の間では、居住用不動産(マイホーム)、または居住用不動産の購入資金の贈与が2000万円まで非課税になる制度のことです。贈与税の基礎控除(110万円)を加えると、最大2110万円まで贈与税がかからないことになります。

妻が専業主婦で自宅の土地や建物の名義人が夫になっている場合、この制度を活用することで、一定割合を妻名義に変更し、夫の死後も妻が安心して自宅に住み続けられるようにすることができます。

この控除は同じ配偶者からの贈与については生涯一度しか適用を受けることができません。婚姻期間は法律上(入籍後)の年数を指し、「贈与を受けた翌年の3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること」(国税庁のウェブサイトより)という条件があります。
なお、控除を受ける際には不動産所得税や登録免許税がかかるので、そのことも念頭においておきましょう。

生命保険にも非課税枠がある

生命保険にも非課税枠がある

暦年贈与の方法を取らなくても、生命保険の死亡保険金には、相続税の基礎控除とは別に、「法定相続人の数×500万円」という非課税枠があります。親が推定相続人の子供を受取人として死亡保険に加入しておけば、相続発生後、非課税枠に収まる保険金は相続税を負担せずに受け取ることができます。

代償分割(一人の相続人が相続財産を現物で取得し、ほかの相続人に対してその代償金を支払う形の分割方法)となる場合や多額の相続税が想定される場合には、こうした方法で生命保険を使って、あらかじめ納税資金を用意しておくといいでしょう。
気を付けたいのは、生命保険は誰が保険料を支払うか、誰が保険金を受け取るのかによって課税関係が大きく変わってくることです。家族の状況を鑑みて、どの加入方法が一番有利かを判断する必要があります。

まとめ

まとめ

このように、生前贈与は相続税対策のみならず、相続税の納税資金準備や、ファミリーで使う資金の有効活用にもつながる効果的な“一手”となり得ます。半面、非課税枠を活用するには細かい要件を満たす必要があり、どこかに漏れがあると、後から贈与税や相続税を徴収される状況にもなりかねません。

特に贈与税は、相続税よりも高い税率が設定されています。相続税対策のつもりで行った生前贈与で、相続税より高い贈与税を払うような事態になったら、それこそ本末転倒です。専門家から適切な助言を受けたうえで、それぞれの制度や適用条件をよく理解してから活用したいものです。

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