生前贈与を孫にするメリットとは?方法や注意点なども紹介

相続する財産には相続税が課せられますが、2013年の税制改正では以前よりも基礎控除額が下がったため、孫に生前贈与することで節税できないか気になっている人も多いと思います。そもそも生前贈与とはどのようなものなのでしょうか? 生前贈与とは何なのか、生前贈与するメリット、生前贈与する際の注意点などを解説します。

生前贈与を孫にするメリットとは?方法や注意点なども紹介

そもそも生前贈与とは?

生前贈与とは、死後に手続きする相続とは異なり、生前に個人から別の個人に対して財産を無償で提供することです。相続の場合、特別な準備や手続きをしない場合は、財産を受け取る権利があるのは、相続人だけです。しかし、生前贈与は対象が相続人に限られていないため、孫や親族以外など相続人でない人にも贈与できます。贈与できるものは相続と同様、預貯金に限られておらず、株式や不動産、車、宝飾類や貴金属など制限がなく、また贈与するものに対する金額・数量の上限・下限も決まっていません。

生前贈与を孫にするメリットは?

生前贈与を孫にするメリットは何があるのでしょうか?

節税につながる

1つ目のメリットは、生前贈与をうまく活用すると節税につながることです。相続税は亡くなったときに個人が所有していた財産の内、基礎控除以上の部分にたいして課税されます。そのため、所有していた財産が多いほど相続税も多くなります。しかし、孫に対する生前贈与を贈与税が発生しない範囲で毎年続けることで相続時の財産を圧縮できるため、相続税を減らすことができるケースもあります。また、相続の場合は法定相続人しか基礎控除が認められていませんが、生前贈与は法定相続人ではない孫にも控除が認められているため、節税効果が期待できます。

贈与の相手を自由に決められる

続いてのメリットは、贈与する相手を自由に決められるということです。財産などを相続する場合、相続をうける人のことを「相続人」、相続する人のことを「被相続人」といい、基本的に相続人が財産を引き継ぐことが決まっています。生前贈与は相続人に限られていないため、贈与する相手を自由に決めることができます。

タイミングよく贈与ができる

3つ目のメリットは、贈与したいタイミング、つまり贈与される相手が必要とするタイミングで財産を受け渡せることです。相続の場合は、被相続人が亡くなるまで相続人や遺言書の対象者にお金は渡りません。しかし、贈与の場合は、いつでもお金を受け渡せます。そのため、孫の進学費用・塾費用など必要に応じて贈与できることがメリットと言えるでしょう。

生前贈与を孫にする方法は?

孫に生前贈与したい場合、どのような方法があるのでしょうか? 生前贈与の主な方法には以下の5つです。

・暦年(れきねん)贈与
・相続時精算課税制度
・住宅取得等資金贈与の特例
・結婚・子育て資金贈与の特例
・教育資金一括贈与の特例

それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

暦年(れきねん)贈与

暦年贈与とは、暦年(1年)ごとに贈与を行った場合に、その贈与額が年間で110万円以下であれば、贈与税が生じない制度です。贈与税を算出する際の計算式は、以下の通りです。

(1年間の贈与額の総額-基礎控除額)×税率-その他の控除額

贈与税の基礎控除額は年間110万円と決まっています。そのため、年間110万円の範囲に収まる贈与であれば贈与された側は非課税となるので、何年か行うことで大きな節税効果が期待できるでしょう。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、申告することで贈与の際に2,500万円まで控除額が認められる制度です。この制度を利用するには、贈与する人の年齢が60歳以上、贈与される人が20歳以上であるという条件を満たしている必要があります。相続時精算課税制度を利用すると、限度に達するまで何回も控除を受けられますが、限度を超過した場合は超えた額に対して一律20%の贈与税が課税されます。また、本制度を利用すると、それ以降は暦年贈与の基礎控除と併用できなくなる点に注意が必要です

【参考】国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」詳しくはこちら

住宅取得等資金贈与の特例

住宅取得等資金贈与の特例とは、2021年12月31日までに親や祖父母などの直系尊属から自宅の取得、または増改築等のための資金を受け取った場合に適用される特例です。一定額までの資金贈与が非課税となります。この特例を利用するには、子や孫が20歳以上に達しているといった一定の要件を満たしていなければなりません。控除額は契約の締結日と住宅の性能で、以下のように異なります。

住宅取得等資金贈与の特例の控除額

契約の締結日省エネ等住宅左記以外の住宅
2016年1月1日~2020年3月31日3,000万円2,500万円
2020年4月1日~2021年3月31日1,500万円1,000万円
2021年4月1日~2021年12月31日1,200万円700万円

【参考】国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」詳しくはこちら

結婚・子育て資金一括贈与の特例

結婚・子育て資金贈与の特例とは、20歳~49歳までの結婚や子育ての資金に対する援助が最大1,000万円まで非課税になる制度です。この結婚・子育て資金一括贈与の特例を利用するには、信託銀行等に結婚・子育て資金を信託するなどの手続きが必要です。2019年3月31日までの適用期限が定められていましたが、税制改正によって2021年3月31日まで2年期限が延びました。

【参考】国税庁「No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」詳しくはこちら

教育資金一括贈与の特例

教育資金一括贈与の特例とは、30歳未満の子や孫が教育資金の一括贈与を受けた場合に、最大1,500万円まで非課税になる制度です。この教育資金一括贈与の特例を利用するには、信託銀行等に教育資金を信託するなるなどの手続きが必要です。これについては、次の項目で詳しく説明します。

教育資金一括贈与をする際に活用できる「教育資金贈与信託」とは?

教育資金贈与信託とは、教育資金贈与の非課税制度の適用を受けるための手段の1つです。贈与者である祖父母等と信託銀行とが契約することで、教育資金贈与の非課税制度の適用を受けられます。
教育資金管理契約の内容は、どの金融機関も同じというわけではありません。契約内容は金融機関ごとに異なっており、契約後も郵送やインターネットなどで、足を運ばずに手軽に払い出し請求ができるなど、使い勝手などを考慮しながら契約する金融機関を選びましょう。

生前贈与を孫にするときの注意点は?

孫への生前贈与は、節税対策になる、必要な時にお金を渡せるなどのメリットがありますが、何か注意点はあるのでしょうか?生前贈与を孫にするときの注意点は以下の3つです。

・老後資金が不足しないように注意する
・亡くなる前の3年間は相続税の対象になる
・贈与ではないと判断されないようにする

それぞれの注意点について見ていきましょう。

老後資金が不足しないように注意する

生前贈与がいくら節税対策につながると言っても、生前贈与で老後資金が不足していては意味がありません。最低限の老後資金を確保できるように、いくらまで生前贈与しても問題ないか逆算することが重要です。

亡くなる前の3年間は相続税の対象になる

亡くなる前3年間の贈与は、相続税の対象になります。ところが結婚・子育て資金贈与の特例や教育資金一括贈与の特例といったケースや既に贈与税を支払っている部分については対象にはなりません。しかし、相続がいつ訪れるかは誰にも予想できません。節税効果を最大限に発揮するため、万が一に備えて早めに生前贈与を進めることが重要と言えるでしょう。

生前贈与が取り消されないようにする

生前贈与は、贈与者と受贈者に贈与に対する同意があって初めて成立します。そのため、贈与にあたって双方の同意がない場合や贈与が履行されていない場合は、税務署に取り消される可能性もあるので注意が必要です。贈与する人と贈与を受ける人の双方が署名押印している贈与契約書をしっかりと作成しているか、通帳と印鑑を孫が管理するなど、取り消されないような状況を整えておきましょう。

まとめ

生前贈与をうまく活用することで相続税の節税対策につながります。子供や孫への生前贈与を検討している人は、相続税と贈与税のどちらが高いのかよく考えてから生前贈与を行うことをおすすめします。もし、どちらが高いのか分からない場合には、税理士や弁護士、信託銀行などの専門家に相談してから生前贈与を行いましょう。

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