ボーナスの支給額と手取り額を徹底解説!支給額70万ならいくらになる?
多くの社会人にとって気になるボーナス。10万円しかもらえない人もいれば50万、70万、100万円という人もいるかもしれません。覚えておきたいのは、ボーナスの支給額と手取り額です。年齢や学歴、企業規模などによって変わるボーナスの支給額の違いについて解説します。

ボーナスの支給額と手取り額にはどれぐらい差がある?

ボーナスの時期になるとテレビや新聞などで「夏(冬)のボーナスは〇〇万円」といった文言を目にすることも多くなります。民間企業の場合、ボーナスの額はそれぞれの企業(経営者)の裁量にゆだねられており、企業によってはボーナスが無いところや「寸志」といって数千円~数万円程度にとどまるところもあります。
ただし、ボーナスは給与同様一定の税額が差し引かれるため、支給額(いわゆる額面)と手元に残る金額(いわゆる手取り)には差が生じます。一例として40歳以上で扶養家族三人の会社員が受け取る手取り額を見てみましょう。
【設定条件】
・一般の企業に勤務
・40歳以上(介護保険料あり)
・扶養家族三人
・東京都在住
・前月の社会保険料等控除後の給与は30万円
ボーナス支給額と手取り額
ボーナス支給額(額面) | 手取り額(例) |
---|---|
10万円 | 8万1,275円 |
20万円 | 16万2,549円 |
30万円 | 24万3,824円 |
40万円 | 32万5,098円 |
50万円 | 40万6,373円 |
60万円 | 48万7,647円 |
70万円 | 56万8,921円 |
80万円 | 65万0,196円 |
90万円 | 73万1,470円 |
100万円 | 81万2,745円 |
120万円 | 97万5,294円 |
※上記の設定条件から独自計算
【参考】厚生労働省:「雇用保険料率について」平成31年度の雇用保険料率 詳しくはこちら
【参考】国税庁:「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(平成31年(2019年)分)」 詳しくはこちら
【参考】全国健康保険協会:「平成31年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」 詳しくはこちら
この表から、ボーナスの手取り額は支給額のおよそ8割程度になることがわかります。これは以下の項目が差し引かれているためです。
・雇用保険料
・健康保険料(+介護保険料)
・厚生年金保険料
・所得税
計算式にすると以下のようになります。
【ボーナスの手取り額の計算式】
ボーナスの手取り額=支給額-(雇用保険料+健康保険料(+介護保険料)+厚生年金保険料+所得税)
しかし、業種や地域によって差し引き金額が異なるものもあり、正しい手取り額を算出するにはそれぞれ計算が必要です。次に、それぞれの金額の算出方法を説明します。
雇用保険料

【雇用保険料の計算式】
雇用保険料=ボーナスの支給額×雇用保険料率
雇用保険料率は事業の種類や年度によっても異なるので、最新のものをチェックするようにしてください。2019年度の場合は以下の通りです。
2019年(平成31年)度 事業別の雇用
事業 | 雇用保険料率 |
---|---|
一般の事業 | 0.3% |
農林水産・清酒製造の事業 | 0.4% |
建設の事業 | 0.4% |
【参考】厚生労働省:「雇用保険料率について」平成31年度の雇用保険料率 詳しくはこちら
前述の設定条件のもと、ボーナスの支給額が70万円だった場合、雇用保険料として引かれるのは70万円×0.3%=2,100円となります。
健康保険料と介護保険料
【健康保険料(+介護保険料)の計算式】
健康保険料(+介護保険料)=ボーナスの支給額(1,000円未満は切り捨て)×健康保険料率×1/2
健康保険料は、ボーナス支給額に健康保険料率を掛け、さらに2で割ることで算出できます。2で割るのは、労働者と事業主が半分ずつ健康保険料を納めることになっているからです。また40歳以上の場合、健康保険料に介護保険料も追加されます。
健康保険料率は、各都道府県とどの組合の健康保険に加入しているかによって異なります。全国健康保険協会に加入している場合は、以下から都道府県別で保険料を確認することができます。ただしこちらも年度別のものが用意されているので、最新のものを確認するようにしてください。
【参考】全国健康保険協会:「平成31年度保険料額表(平成31年4月分から)」 詳しくはこちら
上記のデータによると東京都の場合、健康保険料率が9.90%、40歳以上の場合は介護保険料も含まれるため11.63%となっています。
前述の設定条件のもと、ボーナスの支給額が70万円だった場合、健康保険料(+介護保険料)として引かれるのは、70万円×11.63%×1/2=4万705円となります。
厚生年金保険料

【厚生年金保険料の計算式】
厚生年金保険料=ボーナスの支給額(1,000円未満は切り捨て)×厚生年金保険料率×1/2
こちらも健康保険料同様、会社と半分ずつ納めるので2で割っています。
厚生年金保険料率は現在、一律18.3%となっていますが、年金の引き上げなどによって変更する可能性もあります。計算の際には最新のものをチェックするようにしてください。
【参考】日本年金機構:「厚生年金保険料額表」 詳しくはこちら
ボーナスの支給額が70万円だった場合、厚生年金保険料は70万円×18.3%×1/2=6万4,050円となります。
所得税
【所得税の計算式】
ボーナスに対する所得税={ボーナスの支給額-(雇用保険料+健康保険料+厚生年金保険料)}×賞与に対する源泉徴収税率
所得税は上記の式で計算できます。源泉徴収税率は、ボーナスをもらう前月の社会保険料等控除後の給与と扶養人数によって決定されます。詳しくは国税庁のホームページから確認してください。
【参考】国税庁:「平成31年(2019年)分 源泉徴収税額表」 詳しくはこちら
ボーナスをもらう前月の社会保険料等控除後の給与が30万円、扶養人数が三人だとすると、源泉徴収税率は4.084%です。この条件のもとボーナスの支給額が70万円だったとすると、{70万-(2,100+4万,705+6万4,050)}×4.084%=2万4,224円(1円以下切り捨て)となります。
前述の雇用保険料、健康保険料(+介護保険料)、厚生年金保険料とこの所得税を合わせ、支給額の70万円から引くと、最初に示した表の通り56万8,921円が手取り額となります。
ここまで、ボーナスの支給額から手取り額を計算する方法を紹介しました。業界別・年齢別・学歴別など、さまざまな観点からボーナスについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
ボーナスの支給額が70万円だったらどう使う?

ボーナスの受給後に考えるのは、その使い道です。主な使い道としては旅行や貯蓄、または生活費の補てんなどが挙げられますが、まとまった資金を元手に投資して増やしていくというのも選択肢の一つです。しかし、ボーナスの使い道は、普段から貯蓄(貯金だけでなく、保険や投資も含む)ができているかどうかによって異なります。そこで、今回はボーナスの支給額を70万円と仮定し、普段から貯蓄ができている家庭とそうでない家庭に分け、おすすめの内訳を解説します。
先に見たように、支給額70万円の場合、手取り額は56万8,921円。ここでは、分かりやすいように56万円として解説します。
【ボーナスの使い道】普段貯蓄ができている家庭向け
普段から貯蓄は十分できており、ボーナスはいろいろな楽しみに使いたいという家庭におすすめの内訳は以下の通りです。
支給額70万円(手取り56万円)の場合
用途 | 内訳 |
---|---|
将来のための貯蓄 | 17万円 |
日常生活の補てん | 12万円 |
ご褒美 | 28万円 |
※FP(文責者)によるオリジナルアドバイス
貯蓄が十分できている家庭なら、貯蓄には手取りの3割を回し、手取りの5割の28万円をご褒美に使って、家族旅行などに出掛けてみてはいかがでしょうか。ご褒美としての使いみちは人によってさまざまですが、迷った際には以下の記事も参考にしてみてください。
【ボーナスの使い道】なかなか貯蓄ができない家庭向け

続いて貯蓄がなかなかできず、ボーナスを貯蓄に回したいと考えている家庭向けにおすすめの内訳を紹介します。
支給額70万円(手取り56万円)の場合
用途 | 内訳 |
---|---|
将来のための貯蓄 | 28万円 |
日常生活の補てん | 17万円 |
ご褒美 | 12万円 |
※FP(文責者)によるオリジナルアドバイス
貯蓄がなかなかできていない家庭は、ボーナスの半分を貯蓄に回しましょう。ご褒美は2割の12万円程度に抑えます。ちなみに貯蓄をするなら目的別に二つに分けた方がよいといわれています。一つは家の購入や子供の教育費、老後など将来のためのもの、もう一つは病気や失業など緊急時に使うためのものです。緊急時に使うためのものは預貯金で貯めておくのがおすすめですが、10年以上後に使うような貯蓄は投資へ回してみてもよいかもしれません。
貯蓄の一部は投資へ回す
銀行への預貯金では金利が低く、お金が貯まりづらいものです。そこで、しばらく使う予定のない貯蓄は投資へ回すのがおすすめです。自分で投資を行うだけの知識がない、難しいと思う方は、プロに相談ができる投資信託から始めてみてはいかがでしょうか。投資信託であれば運用の専門家に株式や債券の投資・運用を任せることができるので、投資に不慣れな方でも始められます。
まとめ
ボーナスの支給額と手取り額には、所得税や保険料などで差があります。自分の手取り額が気になる方は、ぜひ今回紹介した方法で計算して、将来の貯蓄や資産運用などの計画に役立ててください。
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