世帯年収1000万円の世帯の割合と平均貯金額は?共働き世帯と専業主婦世帯の違いについて解説
不足する老後の生活費に対する自助努力が求められる昨今、どのくらい貯蓄しておけばよいのか気になる方も多いのではないでしょうか。 今回は、世帯年収1,000万円の世帯の割合は勤労者世帯全体の何%か、手取り額、平均貯金額、専業主婦(夫)世帯と共働き世帯での手取り収入の違いについて解説し、貯蓄のアドバイスをご紹介します。
世帯年収1000万円の割合と平均手取り額
総務省の「平成26年全国消費実態調査」によれば、二人以上の世帯のうち、勤労者世帯で世帯年収1,000万円以上の世帯数と割合は以下のとおりです。
世帯年収調査結果(27,075世帯対象)
世帯年収 | 世帯数 | 勤労者世帯に占める割合 |
---|---|---|
1,000~1,250万円 | 2,481世帯 | 9.2% |
1,250~1,500万円 | 1,054世帯 | 3.9% |
1,500万円以上 | 644世帯 | 2.4% |
合計 | 4,179世帯 | 15.5% |
【参考】総務省「平成26年全国消費実態調査」世帯人員,年間収入階級別1世帯当たり1ヶ月間の収入と支出(勤労者世帯) ※詳しくはこちら
集計を実施した世帯数は27,075世帯であるため、世帯年収1,000万円以上の世帯数は約15.5%となります。約6~7世帯に1世帯は、世帯年収が1,000万円以上という結果です。
また、同調査で専業主婦(夫)世帯・共働き世帯に分けて世帯収入1,000~1,250万円の月平均手取額を比べると以下のとおりです。
世帯分類別の月平均手取り額
分類 | 月平均手取り額 |
---|---|
専業主婦(夫)世帯 | 582,567円 |
共働き世帯 | 658,476円 |
【参考】総務省「平成26年全国消費実態調査」有業人員,年間収入階級別1世帯当たり1ヶ月間の収入と支出(勤労者世帯) ※詳しくはこちら
専業主婦(夫)世帯と共働きの場合の月平均手取額を比べると、世帯年収が同じ水準でも7.6万円の差があります。年間では91万円の差が生じることを考えると、共働き世帯は収入が多いため、生活に余裕が出てきます。なぜ、このような差が生じるのでしょうか?
共働き世帯の手取り額が多い理由
大きな理由は「税金の金額が違う」からです。専業主婦(夫)世帯と共働き世帯を比べると所得税・住民税(直接税)などの税金以外に、社会保険料や児童手当などの助成金にも差が生じます。ここでは所得税・住民税の差をみていきましょう。
年収1,000~1,250万円世帯の専業主婦(夫)世帯1ヶ月の直接税平均は73,149円となっています。一方、同条件で共働き世帯1ヶ月あたりの直接税平均は61,197円です。
1ヶ月あたりの差は約1.2万円、年間で約14.4万円の差が生じます。このような差が生じるのは所得が増えれば税率が高くなる累進課税を日本が採用しているためです。年収1,000万円を一人で得ているのと、夫婦二人の合算で年収1,000万円を得ているのでは適用される税率が異なるため、共働き世帯の手取額が多くなります。
【参考】総務省「平成26年全国消費実態調査」有業人員,年間収入階級別1世帯当たり1ヶ月間の収入と支出(勤労者世帯) ※詳しくはこちら
世帯年収1000万円家計の貯金平均額
総務省の家計調査では、世帯年収1,000~1,250万円の世帯の月平均支出は437,298円で、平均貯蓄額は2,532万円です。しかし、これらの支出や貯金は、子供の有無や共働きかどうかによっても変わってきます。
【参考】総務省「家計調査」貯蓄・純貯蓄・負債現在高階級,年間収入階級別(年間収入900万円以上)(勤労者世帯) ※詳しくはこちら
いくら年収が1,000万円を超えていたとしても、貯金が0という世帯もあります。確実に貯金しておくためにも、年代別の平均貯蓄額を確認しておくことが重要です。年代別の平均貯蓄額がいくらなのかについて見ていきましょう。
年代別の平均貯金額
金融広報中央委員会が公表した「平成30年家計の金融行動に関する世論調査」によると、年齢階級別に分けた二人以上世帯の貯蓄額と金融資産非保有者の割合は以下のとおりです。
年齢階級別貯蓄額の中央値(二人以上世帯)
年齢階級 | 貯蓄額中央値 | 非保有者の割合 |
---|---|---|
20歳代 | 111万円 | 32.2% |
30歳代 | 382万円 | 17.5% |
40歳代 | 550万円 | 22.6% |
50歳代 | 900万円 | 17.4% |
60歳代 | 1000万円 | 22.0% |
70歳代 | 700万円 | 28.6% |
平均 | 609万円 | 22.7% |
【参考】金融広報中央委員会「平成30年家計の金融行動に関する世論調査」二人暮らし以上世帯 ※詳しくはこちら
「貯蓄額中央値」の「中央値」とは、貯蓄額の低い人から高い人までを一列に並べたときに、真ん中にくる人の貯蓄額のことです。貯蓄のように人によって大きく差がつくものの場合は、平均値よりも中央値のほうが現実的な数値になります。
20代から60代までは順調に貯蓄額が増えますが、多くの方が定年退職を迎える60代から少しずつ減っていきます。安心してゆっくり老後を迎えるためにも、年代別の貯蓄額を一つの目安として意識しておきましょう。
また、金融資産非保有者の割合が60代以上でも22~29%と多めですが、自助努力が求められている昨今では、貯蓄がなくならないようしっかり計画的に貯めていくことが重要です。
理想の貯金額と老後に向けての貯金について
では、老後に向けてどのくらいの資金が必要なのかを夫婦と独身者に分けてみていきましょう。
60歳以上無職世帯の1ヶ月収支
分類 | 独身者 | 二人以上世帯 |
---|---|---|
実収入 | 114,027円 | 204,587円 |
支出 | 154,742円 | 265,634円 |
不足額 | 40,715円 | 61,047円 |
【参考】総務省の「家計調査-平成27年平均速報結果の概況」 ※詳しくはこちら
調査時点で60歳以上無職世帯における月々の収支は上記の表のように、毎月4~6万円程度の赤字が出るということになります。この場合の実収入というのは主に年金です。
仮に65歳定年で90歳まで生きるとすると、25年間に必要な資金は次のようになります。
老後の資金額は、持ち家があるか、退職金が出るかなど、個人の状況によっても変わってきます。住宅があれば家賃がかからないし、退職金が見込める場合は月々の貯金額は減らせます。
しかし実際には、臨時の出費や長期間にわたり医療費がかかることもあります。余裕をもって生活するためにも、独身者で2,000万円、夫婦で3,000万円ぐらいが目安になるのではないでしょうか。
貯蓄を始めるのは早いにこしたことはありませんが、20代、30代はまだ収入が多くなく、子育てに追われる時期でもあります。しかし、老後に苦労しないためにも、少額でもいいので、確定拠出年金(企業型・個人型)やNISAなどをうまく活用してお金を貯めていきましょう。
世帯年収1000万円家計の貯金を増やすには
例えば3,000万円を20年で貯めるとすると毎月125,000円貯金する必要があります。いくら世帯年収1,000万円でも無駄な支出が多いと貯金はなかなか増えないため、家計に無駄がないか見直さなくてはなりません。無駄な支出には以下のようなものが挙げられます。
無駄な支出を抑えることで、浮いた分を貯金に回せます。また、効率よく貯金するために資産運用の方法を検討することも重要です。リスクが高い運用方法を選んだことで老後資金を失っては意味がないため、目標を立て、それに合った運用方法を選びましょう。
初心者でもわかる!資産運用の種類とそれぞれのメリット・デメリット
まとめ
世帯年収1,000万円と言っても専業主婦(夫)世帯と共働き世帯では適用される所得税の税率が異なります。その結果、手取り金額に差が生じるため、世帯年収1,000万円を1つの目標としている場合には、共働きの方が効率的です。
世帯年収1,000万円と聞くと余裕のある生活を送れそうですが、家計に無駄がある場合は、金融資産があまり手元に残っていない状態で老後を迎える可能性もあるので注意が必要です。老後のために、仮に3,000万円が必要だとしても、3,000万円は簡単に貯められる金額ではありません。安心して老後を暮らすためにも、無駄をなくす・節税する・資産運用をするなど、計画的かつ効率よく貯金を増やしていきましょう。
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