育休・産休中にもボーナスは出る?すぐに確認できる方法

何かとお金がかかる上に収入が減ってしまう育休中・産休中にボーナスがもらえるか否かや、減額されるケースについて解説します。あわせてボーナスをもらう場合に各種手当がどうなるのか、社会保険料の免除についても解説します。

育休・産休中にもボーナスは出る?すぐに確認できる方法

育休・産休中もボーナスは原則もらえる!

育休・産休中もボーナスは原則もらえる!

仮にボーナス支給日が育休・産休中であっても、会社に在籍さえしていれば基本的にボーナス(賞与)をもらうことができます。男女雇用機会均等法や育児・介護休業法では、妊娠や出産などを理由に従業員に不利益な対応をしてはいけないと定めているためです。
原則としてボーナスの算定期間のほとんどを、仮に産休・育休で休んでいたとしても適用されます。「産休・育休で会社にあまり貢献していないからボーナスを支払わない」といった会社側の言い分は通りません。育休中・産休中の従業員は法律によって守られているのです。

まずは就業規則をチェック

まずは就業規則をチェック

育休・産休中にボーナスがもらえないということはないものの、その金額がどれくらいになるか等の条件は会社側の裁量によるところです。ボーナス支給額を決定する算定期間がいつになるか、どんな条件(企業業績・勤務態度・勤務実績等)で算出するかは、会社が決めます。

ボーナスについて会社が決めた内容は、一般的に就業規則にまとめられています。育休・産休中で実際にどのくらいのボーナスがもらえそうかは、就業規則を確認すると良いでしょう。

育休中・産休中にボーナスがもらえない場合は?

育休中・産休中にボーナスがもらえない場合は?

万が一、育休・産休を理由にボーナスがもらえなければ、労働組合や各都道府県に設置された労働センター等に相談すると良いでしょう。労働組合なら内容次第で会社に交渉をしてくれたり、労働センターなら会社に指導してくれたりします。

なお、育休・産休かどうかは関係ありませんが、会社によっては業績悪化等でボーナスが不支給となることもあります。この場合は、就業規則に「業績の悪化でボーナスを減額・不支給することがある」といった内容が記載されているはずです。

ボーナスが減る場合も

ボーナス支給時期が育休・産休中だったとしても、算定期間中は通常通り勤務していればボーナスが減額されることはありません。

ただし、算定期間中に育休・産休で会社を休んでいれば、不就労の期間があったとしてボーナスが減額されることはありえます。この場合、不就労の期間分が日割りでボーナスからカットされることもあります。ボーナスの算定期間や算出の条件は、就業規則で確認しましょう。

ボーナスをもらったら手当は減る?

ボーナスをもらったら手当は減る?

産前・産後休業中や育児休業中は、さまざまな経済的支援を受けることができます。これらの期間は、何かとお金がかかる上に収入も減ることから是非活用したいところです。中でも主要な手当として、以下があげられます。

出産育児一時金

出産時の経済的な負担を補助する目的の支援金です。通常は一児につき42万円(双子なら84万円)が支給されます。

出産手当金

産休で会社を休み、給与の支払いが受けられないときに、健康保険の被保険者に対し給付される手当です。給与(標準報酬月額)のおおよそ2/3にあたる額が支給されます。

育児休業給付金

育児休業中に給与が一定以上支払われなかった場合に、雇用保険から給付される手当です。子供が1歳(条件を満たせば最大2歳まで延長可)になるまで、受け取ることができます。給付額は、育休開始から180日目までは給与(賃金月額)の67%、それ以降は50%です。

このうち出産手当金・育児休業給付金は、産休・育休中に受け取る給与の額によって減額や不支給となることはあります。一方でボーナスのような臨時収入をもらっても原則的には、そういった調整の対象にはならないので安心してください。

ただし、年俸制の場合は、結果的に減額されてしまう可能性があります。年俸制ではボーナスを給与の一部として含んで支払うことがあり、この場合は出産手当金・育児休業給付金の減額対象となります。

社会保険料も免除される

社会保険料も免除される

育休中・産休中は社会保険料が免除となることはご存知でしょうか。免除される期間は、休みに入った月から休みが終わる前月までとなります。なお、日割りでの計算は行われません。

実際にどのくらいの金額を免除してもらえるか、東京都の例を参考にみてみましょう(社会保険料は地域によって異なります)。

東京都における社会保険料(一部抜粋)

報酬月額 健康保険料
(折半額※)
厚生年金保険料
(折半額)
25~27万円 12,831円 23,790円
27~29万円 13,818円 25,620円
29~31万円 14,805円 27,450円

※介護保険第2号被保険者に該当する場合

【参考】全国健康保険協会:令和2年9月分(10月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都分) 詳しくはこちら

報酬月額とはボーナスも含め、毎月受け取れる平均的な収入額です。そのため報酬月額30万円の方は、ボーナスをあわせ年収360万円ということです。

これをふまえて年収360万円(東京都在住)の介護保険第2号被保険者に該当しない方が毎月支払う社会保険料は以下の通りです。
※介護保険第2号被保険者とは、40歳~65歳未満の会社員が該当します。今回はこれに該当しない方なので40歳未満の会社員の方を想定しています。

1万4,805円(健康保険料)+2万7,450円(厚生年金保険料)=4万2,255円

出典 

この例では毎月4万円を超える金額の社会保険料が免除されます。仮に育休・産休が1年間続けば「4万2,255円×12ヵ月=50万7,060円」の保険料が免除されることになります。

社会保険料が免除されたとしても、免除期間は被保険者資格のままであり、納付記録も納付したとして残ります。将来的に受け取れる年金額が減ってしまうといったことはありません。

社会保険料の免除を受けるためには、別途手続きが必要となるので注意してください。会社から専用の書類を受け取る筈なので、必要事項を記入して会社に提出する必要があります。その後、会社から、その書類が健康保険組合と日本年金機構へ提出されます。これで手続きは完了です。

産休中の免除が自動的に育休中の免除にはなりません。そのため、産休から育休を続けて取得する方は、新たに申請手続きが必要なので注意してください。上述したように免除される社会保険料は高額となる可能性があるので、手続きを忘れないようにしましょう。

まとめ

育休中・産休中でも、会社に在籍しているのであればボーナスを受け取る権利があります。ボーナスを受け取っても各種手当が減らされることはありません。ただし減額の可能性はあるので、前もって就業規則でボーナスの要件を確認しておきましょう。

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