「ボーナス●ヶ月分」の仕組みや平均、知っておくべき注意点も

「ボーナスは平均でどれくらい支給されるものなのだろう」と思ったことはありませんか。お金については人に尋ねにくいため、周囲の人の懐事情は分かりにくいものです。そこで、この記事では賞与の全国平均や、大企業と中小企業の賞与額の違いなどについて解説します。

「ボーナス●ヶ月分」の仕組みや平均、知っておくべき注意点も

賞与の全国平均は1.0ヶ月分!

賞与の全国平均は1.0ヶ月分!

多くの企業では、賞与の金額は総支給額ではなく、基本給の〇ヶ月分という形で表します。基本給とはそれぞれの企業が定めている基本賃金のことです。それでは賞与の全国平均は何ヶ月分なのでしょうか。

全国の賞与額を知るうえで参考になるのが、厚生労働省が発表している「毎月勤労統計調査」の「令和元年年末賞与の支給状況 」です。この調査によると、全産業において2019年の年末に支給された賞与は、月給の1.02ヶ月分となりました。前年と比較してみると、2018年の年末は平均1.03ヶ月なのでわずかに低く、四捨五入すると賞与の全国平均はおよそ1.0ヶ月分であることが分かります。

【参考】厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和2年2月分結果速報等 令和元年年末賞与の支給状況 」 詳しくはこちら

大手と中小でこんなに違う賞与額

大手と中小でこんなに違う賞与額

一般的に、大企業はボーナスの額が大きいと言われています。では、中小企業と比べるとどのくらいの差があるのか、具体的に数字で見てみましょう。

2018年年末賞与の支給状況

従業員数決まって支給する給与
に対する支給割合(ヶ月分)
500人以上1.50
100~499人1.28
30~99人1.14
5~29人0.99
30人以上1.18

同じく厚生労働省の「令和元年年末賞与の支給状況 」によると、従業員数が500人以上の企業における令和元年末の賞与は、平均で月給の1.50倍です。これは、仮に月給が30万円であれば、賞与は45.0万円になる計算です。

一方、従業員が100~499人の企業では賞与は平均1.28ヶ月分、30~99人の企業では1.14ヶ月分、5~29人の企業では0.99ヶ月分です。会社の規模が小さくなるにつれて、支給される賞与額も少なくなることが分かります。

先ほどの大企業の例と同じく月給が30万円でも、5~29人の企業では賞与は約30万円しかもらえません。大企業の平均と比べると、15万円の差です。毎月の給与が同じであっても、賞与の額の違いによって年収に差がついてしまうのです。
しかし、現状では大企業では毎月の給与も多くなっているので、更にボーナスの差額も大きくなり年収に差がついているようです。

決算賞与がある会社も

ボーナス規定として一般的なのは、「業績賞与」です。業績賞与とは、支店や部門、個人などの業績に応じてボーナスの支給額を決定するものです。いわゆる成果主義型の賞与体系で、契約数や顧客獲得数、売上高など実績が評価される仕組みです。

これに加えて、3月や9月、12月などの決算月の前後に支給する「決算賞与」を取り入れている企業もあります。年間の収入と支出を算出する決算期は会社の業績が明確になるため、それに応じて賞与額を決定するという仕組みです。会社の業績が良いものであれば、その分社員に配分される賞与額も大きくなります。

決算で黒字なのは企業にとって喜ばしいことですが、その代わりに一定額を法人税として国に納める必要があります。しかし、その黒字分から社員に賞与を払って還元すれば、課税対象となる金額を減らすことができるのです。社員にとっては、日頃会社に貢献している頑張りが見える形で還元されるため、働くモチベーションの維持につながります。

節税対策として導入されることも多い決算賞与は、企業側にとっても社員側にとってもメリットの多い体系と言えるでしょう。

賞与あり・なしでこんなに違う年収の話

賞与あり・なしでこんなに違う年収の話

会社によっては、ボーナスの支給がないケースもあります。では、賞与ありの会社と賞与なしの会社のそれぞれについて、メリットとデメリットを見てみましょう。

賞与ありの会社のメリット・デメリット

賞与のある会社のメリットは、何といっても夏と冬のボーナスシーズンに臨時収入を得られることです。この時期は大々的なセールをする店舗も多く、家電やブランド品など高額な買い物も楽しめるでしょう。普段の収入とは別にまとまったお金をもらえることで、貯蓄がしやすいという面もあります。住宅や車の購入など大きな買い物も計画的にしやすく、ライフプランを立てやすいのは心の安定感にもつながります。

頑張りが評価されて金額に表れるということは、モチベーションを維持しながら働く助けにもなります。向上心が刺激され、次回はもっと頑張ろうという気持ちになる人も多いでしょう。

一方、会社にとっては、離職する人が同時期に固まってしまうリスクがあります。仕事を辞めたくても「次のボーナスまでは頑張ろう」と思う人が多く、賞与の支給時期が過ぎると離職希望者が増えるのです。人員の変動が大きいと、組織運営に大きな影響を及ぼすこともあります。

従業員にとっては、業績が悪化して支給額が下がった時に、モチベーションを維持しにくいことがあるかもしれません。また、2003年4月から始まった「総報酬制」により、ボーナスにも社会保険料率がかかることも事実です。

賞与なしの会社のメリット・デメリット

賞与がない会社は一見魅力的ではないように思えるかもしれませんが、利点はあります。会社側にとって都合が良いのは、人件費を固定化できるため、年間の経営計画を立てやすいことです。賞与がない分基本給が高めに設定されていることが多いため、従業員にとっては毎月の収入が高くなります。一般的に基本給が下がるケースはあまりないため、比較的安定した収入が見込めるでしょう。

デメリットは、報酬によって従業員を評価する機会が少なく、社員の意欲を刺激しにくいことです。従業員にとっては、まとまった臨時収入がないことで大きな買い物や貯蓄がしにくいかもしれません。住宅や車など大きな買い物を考えているなら、毎月一定額を貯蓄に回すなどして計画的に行動する必要があるでしょう。「手元にあるだけお金を使ってしまう」という人は、特に注意が必要です。

業績連動型賞与のメリット・デメリット

業績連動型賞与のメリット・デメリット

ボーナスの支給方法には、企業の業績と賞与の金額を連動させる「業績連動型賞与」もあります。業績連動型賞与の良いところは、業績が芳しくない時にはボーナスの支給額も減るため、企業側が人件費をコントロールしやすいことです。

一方で今期の業績で支給額を決定するため、「今期は良かったものの来期の見通しは厳しそう」という時でも金額を調整できません。また、今期の業績が良くても、すぐにキャッシュが手元にあるとは限りません。支給日に「従業員に支払うだけのキャッシュがない」ということのないように、キャッシュフローをしっかりと管理する必要があるでしょう。
従業員にとっては、業績が良くなければ賞与の額が下がる、場合によっては支給されないことがデメリットです。

まとめ

まとめ

賞与の全国平均は月給の約1ヶ月分で、企業によって賞与の種類や有無が異なることが分かりました。賞与があるにしてもないにしても良い面・悪い面両方があるため、どちらが良いとは一概にはいえません。毎月の給料と賞与の金額を把握して日頃から家計をしっかり管理し、計画的にお金を使うようにしましょう。

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