知っておくべき「お餞別」を渡すときのマナーとは?相場や書き方も解説

お餞別(せんべつ)とは異動や引っ越しなどでお別れする相手に向けて贈る、お金や品物のことを言います。社会人になると、職場などでお餞別を渡す機会もあるのではないでしょうか?そんな方の参考として、お餞別の意味や由来、渡し方のマナーや注意点をまとめてみました。

知っておくべき「お餞別」を渡すときのマナーとは?相場や書き方も解説

お餞別(せんべつ)の意味

お餞別(せんべつ)の意味

お餞別は「おせんべつ」と読み、異動や引っ越しなどでお別れする相手に向けて贈る、お金や品物のことを言います。「餞」には、別れの宴会やはなむけといった意味もあります。
お餞別の由来は、遠方への旅行や移動に危険が伴っていた頃に遡ります。その時代、旅立つ人を家族や友人が見送る際に、目的地までの安全を祈願するために宴を開いたり、道中に必要になるお金や物品を渡したりしていました。平安初期に記された『土佐日記』にも、餞別の習慣があったことが記載されています。この習慣が、今につながっているのです。

お餞別を渡すケースごとの相場と書き方

お餞別を渡すケースごとの相場と書き方

一口にお餞別と言っても、渡す相手や場面によって、その金額や渡し方には違いが出てきます。それぞれのケースごとに金額の目安などを見ていきましょう。

会社や仕事関係の相手に渡すケース

定年退職する方に対しては、のし袋に「御退職御祝」と書くのがマナーです。「御餞別」でも間違いではありませんが、より敬意を示した形になるのはこちらの方です。のし袋の水引は、紅白の蝶結びがされたものを使います。ただし結婚退職の場合は、紅白の結び切りのものを使います。
転職や独立をする場合は「おはなむけ」と書いても構いません。これには、新しい環境での活躍をお祈りする意図が含まれます。
定年退職する方に対しては、部署でまとめてお餞別を贈るのが一般的です。その場合は、一人当たり1,000~5,000円が目安です。この場合、アルバイトやパートの人には無理強いしないようにするのもマナーです。
個人で贈る場合は、相手との関係や自分の役職にもよりますが、5,000~3万円程度が目安です。定年退職の方には現金ではなく記念の品物を贈るのもおすすめです。

身内や友人などに渡すケース

親しい間柄の人が引っ越しをしたり、留学などで長期間日本を離れてしまう場合は、のし袋に「御餞別」と書きましょう。新築の一戸建てに移る場合は「新築祝い」と書くと喜ばれます。水引は、紅白の蝶結びがされたものを使います。
なお、自分より年上の人や目上の人に個人でお餞別を贈るのは、マナー違反とされています。その場合は、グループで贈るようにしましょう。
個人で渡す場合は、相手との関係性によって1,000~3万円程度、グループで渡す場合は、一人当たり300~3,000円程度が目安です。

お餞別を渡す時期と方法

お餞別を渡す時期と方法

お餞別はちょうどいいタイミングで相手に渡したいものです。特に職場の上司などであれば、なおさらです。基本的には、その人に会うことになる最後の機会がおすすめです。早めに渡してしまって、その後何回も顔を合わせることになると、感動が薄れてしまいますし多少の気まずさも出るでしょう。
職場の人の場合は、最後の出社日の送別会など。取引先の方の異動や栄転などの場合は、取り消しなどのリスクに備えて、実際に辞令が交付されてから渡す方が安全です。

お餞別を渡すときやお金を封筒に入れるときのマナー

お餞別を渡すときやお金を封筒に入れるときのマナー

相手にお餞別を渡す際の注意点についても、いくつかご紹介しておきましょう。マナーを間違えると、せっかくの気持ちが十分伝わらなくなってしまうことになりかねません。

お札は新札を使うべき?

一般的に、お祝い事に使うときのお札は新札がよいとされています。お餞別でも退職する方に渡すものについては、新札を用意するとよいでしょう。一方、仕事とは関係のない知人や友人に渡すお餞別では、それほど神経質になる必要はありません。もちろん汚いお札よりはきれいなお札の方が気持ちがよいので、手持ちのお札の中から状態のよいものを選びましょう。気になるようでしたら、新札を使うと安心です。

お札を袋に入れる向きは?

退職する方へのお餞別では、お札の向きにも気を使いましょう。お札は、人物の肖像画のある方が表で、肖像画がない方の面が裏になります。のし袋にお札を入れるときには、のし袋の表面側にお札の表面がくるようにします。つまり肖像画の顔が表から見えるようにして入れるということです。知人友人の場合も同じようにお札の向きを揃えて入れると丁寧です。

退職する方にお餞別を渡さない場合もあります

退職する方にお餞別を渡さない場合もあります

会社によっては、退職する人にお餞別を渡す習慣がないこともあります。大手企業などで退職者が多い場合など、その度に職場で渡すのは手間が大変だったり、経済的に負担になったりするからです。そのため、お餞別を贈らないことが定例になっていることもあるのです。退職する側の方も、気を使って「餞別は必要ありません」と固辞するケースも見られます。そのようにお餞別がない職場の場合は、代わりに送別会を開いて送り出してあげるのがよいでしょう。

その他お餞別について知っておきたいこと

その他お餞別について知っておきたいこと

最後に、お餞別にまつわることで悩みがちなテーマをいくつか解説していきます。

お餞別の集金はどのようにする?

職場などで多くの人からお餞別を集める必要があるとき、幹事に指名された人には何かと苦労がつきものです。自分が中心となって集める場合、どのようにするのがスマートなのでしょうか?
まずは行き違いのないよう、お餞別の趣旨と、一人当たりの金額、そして集金に伺う旨の内容を明記したメールを関係者全員に送ります。そして指定した日に自分の方から集金に回りましょう。人数が多い場合は、部署ごとに代表の人を指名し、取りまとめておくようにお願いする方法もあります。お餞別を渡す際に「部署の全員からです」と言えるようにするため、任意ではなく、全員から徴収するようにすることも大事です。

お餞別をもらったときにお返しは必要?

何かを贈られたら必ず「御礼返し」をするのがマナーだと思っている人もいるでしょう。しかしお餞別については、基本的にお返しの類は不要です。それは、旅の道中に必要な物品を贈るとともに危険な旅の無事を祈るという、お餞別のそもそもの由来から来ています。二度と会えないかもしれない旅立ちに際し、相手にお返しを求める人は少ないでしょう。
お餞別では、それと同様に、お礼状も不要であるとされています。ただし昔とは違って、現代ではいつでも連絡が取れる環境になっているため、実際にはお礼状を送る人も多いようです。

まとめ

今回は、お餞別の相場やマナー、集金の方法やお返しなどに関して、いろいろな角度からご紹介をしてきました。いざ、お餞別を渡す段になったときにはここに書かれたことに注意して、相手の方を気持ちよく送ってあげるようにしましょう。

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