リフォームの費用相場ってどのくらい?耐震や二世帯住宅化の目的別に解説

自宅のリフォームを検討する時、気になるのはやはり費用です。リフォームの費用は、その部位や内容によって、数万円で済むこともあれば1,000万円を超える場合もあります。本記事では、資金計画を立てる時に押さえておきたいリフォーム費用の相場、そしてリフォーム費用を抑える方法を紹介します。

リフォームの費用相場ってどのくらい?耐震や二世帯住宅化の目的別に解説

【部位別】リフォームの費用相場

【部位別】リフォームの費用相場

住宅のリフォームは、どこの部分をどのように工事するかによって費用相場が大きく変わります。また設備を更新する場合には、設備のグレードによっても費用にかなりの幅があるので、予算を踏まえて検討が必要です。

キッチン・浴室・トイレ・洗面所等水回りのリフォーム

水回りのリフォーム費用の相場は以下の通りです。

・キッチン:50〜300万円
・浴室:50〜150万円
・トイレ:20〜50万円
・洗面所:20〜50万円

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水回りは、使用年数に応じて汚れが目立ちやすいこと、最新の機能が更新されやすいことから、リフォーム事例が多くなっています。実際、水回りの設備は10~15年程度で老朽化してしまうことが多く、早めにリフォームが必要になる箇所です。

まずキッチンのリフォームは、既存のシステムキッチンの設備を更新するケースとシステムキッチン自体を交換してしまうケースがあります。
設備を更新する場合、例えば既存のキッチンにビルトイン食洗機を設置する工事は約13万円から可能です。ガスコンロやIHクッキングヒーターの交換は15〜40万円程度ですが、ガスからIHへの交換は電気配線やガス工事が必要になってくるために難しいこともあります。

システムキッチン自体を新しくする場合は、キッチンの型とグレード(素材や機能性の違い)により費用は異なりますが、I型キッチンで50~120万円程度、対面型キッチンで70~160万円程度が相場となります。料理しながら家族や友人との会話を楽しみたいのであれば、多少費用はかかりますが対面型にしてみるのもおすすめです。

トイレは、洋式トイレの本体だけを交換する場合は15万円からが相場となります。車いすで入れるようにしたい等トイレの空間自体を広くする工事では、間取りの変更が必要になってくるため50万円以上の工事費用を見積もっておくべきでしょう。

浴室の場合、在来工法の浴室からユニットバスに切り替えるリフォームの相場は70~100万円程度です。ここには元の浴室の解体費用が含まれています。古いユニットバスを新しくするだけであれば、50~80万円で済む場合がほとんどです。

寝室・子供部屋等各部屋のリフォーム

寝室・子供部屋等各部屋のリフォーム

寝室や子供部屋といった各部屋のリフォームには、簡単な壁紙や床の変更、より快適な暮らしを求めて住宅の性能を高めるもの、子供の成長にともなっての間取り変更・収納の増設等があります。費用相場は、以下の通りです。

・寝室:50〜150万円
・子供部屋:50〜100万円

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一部屋の壁紙の張り替えだけであれば4~5万円程度でしょう。壁に加えて床の張り替えリフォームもおこなう場合には35万円程度見込んでおく必要があります。
住宅の性能を高めるリフォームとして、例えば断熱性を高めるために窓を二重にするリフォームは8万円程度でおこなうことが可能です。床や壁の防音工事は、内容にもよりますが10〜30万円程度が相場でしょう。部屋の広さによってかかる費用にかなりの開きがあります。

一方、間取り変更を要する場合には費用がかさみます。子供の成長に合わせてプライベート空間を設けるために、もともとある洋室を仕切りで区切って2部屋にする場合や、ロフトを設置する場合等は、50~100万円程度の費用が必要です。

リビング・ダイニングのリフォーム

リビング・ダイニングのリフォーム費用の相場は100〜450万円です。
リビング・ダイニングは、家族が集まる家の中核です。吹き抜けにしたり、広くしたりと、より家族が快適に過ごせる空間を作りたいという理由からリフォームをおこなう人が多いようです。

リビング・ダイニングの間取りの変更や増築等をする場合は、まとまった費用が必要です。材料にこだわれば高額になりますが、リーズナブルな材料を使えば50万円以下でできるケースもあります。

部屋の広さも費用に大きく影響します。例えば和室から洋室へとリフォームした場合、8畳程度の広さなら40万円程度で済みますが、広くなれば当然かかる費用も増加します。
リビングに床暖房を設置する工事も人気のリフォームですが、65~110万円程度で可能です。

階段・廊下・玄関のリフォーム

階段・廊下・玄関のリフォーム費用の相場は、以下の通りです。

・階段:10〜100万円
・廊下:20〜100万円
・玄関:10〜100万円

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階段・廊下・玄関は、お客様も利用する場所です。特に玄関は、家に入る時に最初に通る場所なので綺麗にしておきたいと考える人も多いことでしょう。また、バリアフリーや防犯等のセキュリティ上の観点から、リフォームする人もいます。

玄関の施工例で多いのは、玄関ドアの変更です。簡単な施工内容なら10~20万円程度でしょう。防犯対策でドアの周りを変更する際は30万円からが目安となります。一方で、デザイン性を重視した玄関に仕上げる場合や玄関の向きを変更する等の大掛かりなリフォームは100万円程度になることもあります。

バリアフリー目的で廊下や玄関にある数センチの段差をなくす程度なら数万円から、階段へ手すりを設置するなら10万円前後でリフォームが可能です。このほか、階段の勾配を緩やかにするためのリフォームをおこなうこともありますが、建物の構造に影響を与えるため、100万円以上かかるケースもあります。

外壁・屋根等外装のリフォーム

外壁・屋根等外装のリフォーム

外壁や屋根といった外装のリフォーム費用の相場は、以下の通りです。

・外壁:50〜150万円
・屋根:50〜150万円

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実は外壁・屋根等のリフォームは、水回りの工事と同様によくおこなわれる工事です。外回りは築年数が古くなるにつれて汚れや傷みがひどくなるため、主に外壁クリーニングや塗装工事等のリフォームがおこなわれます。

戸建てのクリーニング費用は5〜10万円です。高圧洗浄機を購入して自分でおこなうことも可能ですが、仕上がりを考えると業者に依頼するのが無難です。
外壁塗装の費用は、塗料や面積によって20万円から100万円までさまざまです。塗料は、耐久性の高いものは高価になりますが、長期的なスパンでみた場合はそうした塗料を選んだほうが費用対効果に優れている面もあります。外回りの工事には、足場の設置・解体だけで50万円程度かかるので、費用がかさみがちであることにも注意しておきましょう。

ガレージ・庭・バルコニーのリフォーム

ガレージ・庭・バルコニーのリフォーム費用の相場は、以下を目安にするとよいでしょう。

・ガレージ:50〜100万円
・庭:100〜150万円
・バルコニー:30〜40万円

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バルコニーや庭、ガレージは、防水加工を施す、屋根を作る、広くする等のリフォーム工事があります。

マンション等のバルコニーの防水加工だけなら、10万円前後でリフォームできますが、人工芝やウッドデッキ等を利用してペットや子供が伸び伸びと遊べる庭を作るには、少なくとも70万円以上の費用がかかることが多いようです。
一方、車が濡れないようにするため駐車スペースにカーポートを取り付ける場合は、30~100万円弱の費用がかかります。300万円以上かければ、本格的なガレージを設置することも可能です。施工内容によって費用が大きく変わるため、希望するリフォームの内容をよく確認しておきましょう。

【目的別】リフォームの費用相場

【目的別】リフォームの費用相場

「中古で購入した家を綺麗にしたい」「二世帯住宅にしたい」等、リフォームの目的はさまざまです。こうした目的に応じたリフォームの費用相場は以下の通りです。

中古戸建てのリフォーム

中古戸建てのリフォーム費用は、築年数や工事内容、延床面積によって大きく異なります。家を維持するという目的で中古戸建てのリフォームをする場合は、およそ以下の費用が目安です。

・築10年以上:100~150万円
・築15年以上:100~300万円
・築20年以上:300~500万円
・築30年以上:500~2,000万円

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上記のように、中古戸建てのリフォーム費用は築年数が古ければ古いほど高くなります。
築10~15年ほどなら、水回りの設備を一部交換したり、畳や障子を張り替えたりする程度で済ませられることも多いでしょう。

しかし、一般的な木造住宅の法定耐用年数は22年であり、実際に20年くらい経つと家はあちこちにガタがくるようになってきます。特に築40年を超えるような古い住宅は今と比較して耐震基準が低く、安全性に問題がある住居もあります。大規模修繕が必要になってくることもありますので、費用が1,000万円を超えることも少なくありません。

また、シロアリ等の害虫被害によって床下のリフォームが必要になる場合もあります。被害状況によって費用は10〜300万円とかなり差があります。
単純なメンテナンス目的以外にも、中古で購入した家を自分好みの空間に変えたいという目的のリフォームであれば、リフォーム面積や建材のグレードによって費用はさまざまでしょう。

中古マンションのリフォーム

中古戸建てと同様、中古マンションのリフォームも非常にニーズが高いです。中古マンションも基本的に築年数が長いほど費用相場も高くなりますが、集合住宅であるマンションは建物の構造が戸建てとは大きく異なるので、以下のように費用相場が変わってきます。

・築10年以上:10~50万円
・築15年以上:50~150万円
・築20年以上:150~300万円
・築30年以上:300~1,000万円

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マンションも戸建てと同様、築15年程度までは水回り等の設備を交換する程度でよいことが多いでしょう。しかし築20年を超えてくると、内装の老朽化や間取りが今のライフスタイルにあわない等の理由から、フルリフォームを考える人が多くなってきます。

例えば、70~80平米のマンションをフルリフォームする場合の相場は、600万円前後です。もちろん、リフォーム内容によって費用は変わってくるので、500万円以内に収まる場合もあれば、1,000万円かかる場合もあります。

基本的にマンションの場合、戸建てと違って外壁等の共用部分は個人でリフォームできないので、リフォーム内容は限定的です。共用部分に関しては管理費・修繕積立金等の名目で管理会社に支払う資金が修繕費用に充てられますので、それが戸建てにおける外壁工事等の必要コストにあたるとも考えられるでしょう。

中古物件を購入してリフォームしたほうが新築よりも安上がりであるため、近年ではリフォームを前提に中古住宅を購入する人も増えてきています。

二世帯住宅へリフォーム

二世帯住宅へリフォーム

「親に育児の手伝いをしてもらいたい」「高齢の親が心配で一緒に住みたい」等のニーズに対応できるのが二世帯住宅リフォームです。親世帯と子世帯が一緒に住むことで、お互いに助け合いながら生活できます。

二世帯住宅にするためのリフォーム費用の相場は、500〜1,250万円程度です。共用する部分はどこにするのか、キッチンやトイレ等を2つずつ作る等して完全に住宅を分離してしまうか否かで費用が異なります。親世帯と子世帯との同居に関しては、家族それぞれが異なった意見をもっていることも多いので、できるだけ家族全員の意思共有を図ることが大切です。

二世帯住宅リフォームは大きな工事となるため、まとまった予算を考えておく必要があります。親子リレー返済での住宅ローンを組むこと等も選択肢の1つとして検討するとよいでしょう。

耐震リフォーム

近年頻繁に起こる地震。築年数の古い建物は、耐震リフォームが必要なものもあります。耐震リフォームの主な種類と、その費用の相場は以下の通りです。

・屋根の軽量化:100〜120万円
・補強工事:10〜50万円
・基礎の補修:10万円

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建物の外壁を補強してくれる補強材(ブレース)の取り付けは、一箇所当たり10万円台が目安です。さらに内壁も補強する場合、30万円以上の費用が必要になります。

放置しておくと怖いのがコンクリートの外壁や基礎部分のひび割れです。ひび割れは主にコンクリートが乾燥し、収縮することで起きます。幅0.3mm以下のひび割れならばあまり問題はないですが、それより大きく構造に影響を及ぼす恐れのある場合は、地震で倒壊する危険性もあります。ひび割れ補修は1〜2万円程度からできるため、心配な人は今のうちにおこなっておくとよいでしょう。

省エネリフォーム

省エネリフォームとは、主に太陽光パネルを使った自家発電等、省エネに繋がるリフォームのことを指します。省エネリフォームの主な種類と、その費用の相場は以下の通りです。

・外壁・屋根の断熱塗装:100~180万円
・太陽光発電導入:100~180万円

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断熱工事をおこなうことで、夏場なら外からの熱をシャットアウトし、冬場は室内の暖かい空気が逃げないようにします。窓や屋根を断熱にすれば、冷暖房の負担を軽減し省エネに繋がります。

断熱性のある窓への交換や、内窓の設置は10万円以内で可能です。
太陽光発電設備は設備費用のほか、定期点検や売電メーターの交換費用が掛かる場合があるために金銭的な負担が大きいと考えられがちですが、自宅の電気代が無料もしくは安く抑えられるため、長い目でみればお得になります。省エネリフォームは、自然環境保護等のサステナビリティの観点からも需要が高まっている工事です。

リフォーム工事以外にかかる費用

リフォーム工事以外にかかる費用

リフォーム費用について考える際に見落としがちなのが、リフォーム工事以外の部分にかかる諸費用です。

例えば、大規模なリフォームをおこなう場合、その期間中は自宅に住めないため、ウィークリーマンション等の別の場所で生活しなければなりません。そうした仮住まいにかかる費用や引っ越し費用、荷物を一時的に置くトランクルームの費用等も計算に入れることが大切です。

そのほかにも、間取り変更を伴うような大規模な工事をおこなう場合には設計費用が別途かかることがあります。また、工事業者の車両を停めるための駐車場料金が必要になる場合もあるでしょう。工事の手続きや契約に伴って、建築確認申請手数料(増改築が伴う場合等)や印紙代金等の出費も生じます。資金計画が破綻しないよう、余裕をもった計画を心がけましょう。

リフォーム費用の負担を軽減する方法

リフォーム費用の負担を軽減する方法

ここまでリフォームにかかる費用相場をみてきて、必要経費の大きさに気が重くなってしまった人も多いのではないでしょうか。しかし、リフォーム費用の負担を軽減する方法があります。

単純な節約方法は、設備や資材のグレードを落としたり、優先順位をつけてリフォームする箇所を絞ったりすることです。リフォーム業者の提案通りにリフォーム内容を決めてしまっているような場合は、「その工事や設備は本当に必要か」と改めて自分に問い直してみるとよいでしょう。

屋根と外壁、あるいは水回り全体等、関連性の高いリフォームを同時におこなうのもおすすめです。屋根や外壁の工事は足場を組むだけで費用がかかるので、屋根と外壁は同時に工事を頼むことで、重複する費用を浮かせられます。また水回りは同時にリフォームすることで、複数の設備をまとめて仕入れることで値引きされたり、作業日を短縮できるため業者の人件費も抑えやすくなります。

自治体によっては、バリアフリー化や省エネ化等を目的にしたリフォームに対して補助金を出していることもあります。Uターン、Iターン等の地方移住を促進している地方自治体も、住宅関連の補助制度が充実している場合が多いでしょう。こうした制度が利用できないか調べてみるのもおすすめです。

まとめ

リフォーム費用は部位や目的によって異なります。キッチンや庭、外回りは大掛かりになり、100万円を超えるケースもありますが、手すり設置やトイレ本体の交換といった部分的な内容であれば、10万円台で済ませられる場合もあります。大きなリフォームでは、ローンが必要になることもあるでしょう。

リフォームは住環境を安全かつ快適にするために大切なものですが、あれもこれもと工事を追加していくと費用がどんどん膨らんでいきます。リフォームを検討する際は、自己資金額や費用相場等も考慮に入れつつ、優先順位をつけて必要な工事をおこなうことが大切です。いざ施工業者に相談する時は見積書の内容をよく確認するようにしましょう。

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