【暮らしやすく優しい家】バリアフリーリフォーム費用の平均相場

老後に備えるために住宅のバリアフリーリフォームを検討している方も多いと思います。しかし、意外と費用がかかるものであるため、どのようなリフォームにどれだけの費用がかかるのか、事前に把握しておくことが大切です。そこで、バリアフリーリフォーム費用の平均相場や活用できるリフォーム補助金・減税制度について紹介します。

【暮らしやすく優しい家】バリアフリーリフォーム費用の平均相場

バリアフリーリフォームとは

バリアフリーリフォームとは

築年数の経過とともに設備が古くなると、建物の利便性の低下や劣化などが生じてきます。そのような場合は従来の機能を取り戻すためにリフォームをすることが有効かもしれません。
一方、バリアフリーリフォームは築年数の経過に合わせて行うものではなく、入居者の必要に合わせて行います。例えば玄関の段差をなくしてスロープに変える、室内の段差をなくす、手すりを設置する、などです。

単に手すりをつけるといっても、必要な方の利き腕や身長、癖などによってどこにどのようにつけるかが大きく変わってくるため注意が必要です。また段差が減ると、段差のない生活が当たり前になり、わずかな段差でも簡単につまずいてしまうことも考えられます。段差をなくす時は、すべての段差をなくすことを検討しましょう。

このようにバリアフリーリフォームは、一般的なリフォームと違い、各個人のライフスタイルに配慮したリフォームが必要です。

バリアフリーリフォームの平均費用相場

バリアフリーリフォームの平均費用相場

バリアフリーリフォームによって住居の利便性は向上しますが、何でもリフォームすればよいというものではありません。
リフォームする箇所が多くなればそれだけ費用が多くかかるほか、リフォームの内容によっては助成金の対象にならない可能性があります。そのため、事前に平均費用相場や助成金の対象となる工事内容や費用対効果について把握しておくことが重要です。

バリアフリーリフォームの平均相場費用、および助成金の対象となる工事内容について見ていきましょう。

手すりの設置

階段や段差のある場所、立ち上がったりしゃがんだりする場所の壁に手すりを設置する工事です。手すりの設置場所やどのような手すりを取り付けるかによって費用が大きく異なります。
手すり自体の価格は2万円程度が目安ですが、設置費用や下地補強などの工事費用も追加すると5万円程度を想定しておく必要があります。
手すりを設置することで、バランスを崩しやすい場所でのトラブルを未然に防ぐ効果が期待できるでしょう。

出入口の拡張

開き戸を引き戸に変更するなど、出入口(間口)を拡張する工事です。一般的な間口は、20万円程度で開き戸から引き戸に変更することが可能です。
開き戸から引き戸に変更することによって出入口(間口)が広くなるため、車いすを利用していてもスムーズに出入りしやすくなります。

床のリフォーム

床をクッションフロアなどの素材から滑りにくいカーペットやコルクタイルに変更するといった工事です。6帖程度の工事ではカーペットで5万円程度、コルクタイルで10万円程度かかります。
転倒によるケガを未然に防げるほか、床材に柔らかいものを使用した場合には万一転倒しても衝撃を抑えられる効果を期待できます。

トイレのリフォーム

トイレのリフォーム

手すりの取り付け、滑りにくい床材に変更、間口の拡張、和式を洋式に変更する、などの工事です。工事規模は小さくてもリフォームする箇所が多いため、費用は20万円程度を想定しておく必要があります。
転倒によるケガを防止できるほか、将来的に介護が必要になった際に介護のスペースが確保できます。

浴室のリフォーム

手すりの代わりになるスライド式シャワーの取り付け、浴槽の交換、床を滑りにくい素材に張り替える、出入口(間口)を拡張(開き戸から引き戸に変更)する工事です。リフォームする箇所が多くなるため、費用は50~100万円程度を想定しておく必要があります。
転倒によるケガを防止できるほか、将来的に介護が必要になった際に介護のスペースが確保できます。また浴室暖房機を設置すれば、温度差によるトラブルも未然に防ぐことが期待できるでしょう。

玄関周辺のリフォーム

玄関部分に勾配や階段がある場合はそれらの改良、スロープの設置、手すりを取り付ける工事です。規模の大きな工事になるため、費用として250万円以上、工事期間も1ヶ月は想定しておく必要があります。
玄関周辺のリフォームは費用が多くかかりますが、車いすでも無理なく通行できるようになるでしょう。

リフォーム補助金やバリアフリーの減税制度

リフォーム補助金やバリアフリーの減税制度

リフォームは規模によって数百万円を上回るものもあるため、少しでも費用を抑えたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、国や自治体から補助を受けることによって、少しでも費用を抑える方法について詳しく解説します。

リフォーム補助金

リフォーム補助金とは、建物の性能を向上させるリフォームに対して国や自治体が設けている補助金を受けられる制度です。
例えば、太陽光発電システムの設置工事・断熱改修に関する工事・LED証明の設置などの省エネリフォーム、耐震診断や耐震補強などが補助金の支給対象です。
各自治体によって補助金の支給条件は異なりますが、工事費の種類や規模に合わせて補助金が支給されます。

自治体によっては、これらのリフォームに限らず、リビングやダイニング、個室などの一般的なリフォームに対しても補助金の支給を行っており、バリアフリーリフォームも対象になることがあります。地元の業者に依頼するなどの条件が付いていることがありますが、5万円~10万円程度の補助金が支給される場合があります。

バリアフリー改装の減税制度

バリアフリー改装の減税制度

バリアフリーのためのリフォームでは、税の優遇措置を受けることができます。
バリアフリー改装の減税制度は大きく以下の3つに分類されます。

・投資型減税
・ローン型減税
・固定資産税の減税

投資型減税・ローン型減税

投資型減税とは、高齢者や要介護者と同居中の人が自宅にバリアフリー改修を行った時に所得税の控除を受けられる制度です。
控除期間は改修後に居住を開始してから1年、控除対象限度額は200万円(※注1)、控除率は控除対象額の10%です。2009年4月1日~2021年12月31日までに居住を開始した場合に適用対象となります。

※注1:消費税8%または10%が適用される場合の金額であり、それ以外の場合は150万円内の額。

ローン型減税とは、償還期間5年以上の住宅ローン、死亡時一括償還による住宅ローンを契約してバリアフリー改修を行った時に、所得税の控除を受けられる制度です。
控除期間は改修後に居住を開始してから5年です。バリアフリー工事である高齢者等居住改修工事等の控除対象額は費用の2%(限度額250万円)となります。また、ローン型減税は、高齢者等居住改修工事等の費用の他、併せて行うその他の増改築等工事費用の年末ローン残高で計算します。そのため工事の金額によって受けられるローン型減税の控除率は1~2%にかわります。2007年4月1日~2021年12月31日までに居住を開始した場合に適用対象となります。

固定資産税の減税

固定資産税の減額とは、バリアフリー改修をした時に、翌年分の住宅の固定資産税が減税される制度です。
100平方メートル相当分までの固定資産税を3分の1に減額できます。2007年4月1日~2020年3月31日までにリフォームが完了した場合に適用対象となります。

適用条件を満たしていないと補助金や減税制度を利用できないだけでなく、手続きが複雑なので自分たちだけで進めるのは困難です。経験・実績豊富なリフォーム会社に依頼することが重要と言えるでしょう。

【参考】一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会「II. バリアフリーリフォーム編」 ※詳しくはこちら

【参考】国税庁「No.1218 借入金を利用してバリアフリー改修工事をした場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除)」 ※詳しくはこちら

【参考】国税庁「No.1220 バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」 ※詳しくはこちら

まとめ

安心して老後を暮らすためにバリアフリーリフォームは有効です。しかし、必要以上にバリアフリーリフォームをしても費用が多くかかるため、どのようなリフォームにいくらかかるのかリフォーム事例などを事前に確認しておくことが重要です。
工期が長くなるリフォームもあるため、いつごろどのようなリフォームを行うべきか、しっかり計画を立てておきましょう。

ご留意事項
  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は執筆時点のものです。また、本稿は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者及び三菱UFJ信託銀行が保証するものではありません。
  • 本稿に掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、三菱UFJ信託銀行は一切責任を負いません。
  • 本稿に掲載の情報に関するご質問には執筆者及び三菱UFJ信託銀行はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

RANKING

この記事もおすすめ