老後のリフォームのポイントとは?退職金をムダにしないために

老後に住み慣れた場所で安全に暮らすならば、自宅を高齢者の生活に合った仕様にリフォームしておくと安心です。今回は高齢者リフォームの工事内容や優先順位、費用、助成金制度など、事前に抑えておきたいポイントについて解説します。

老後のリフォームのポイントとは?退職金をムダにしないために

高齢者向けのリフォームを早いうちに行うべき理由

高齢者向けのリフォームを早いうちに行うべき理由

一般的に高齢者向けリフォームを検討する時期として適しているのは、気力と体力に余裕のある50~60代です。高齢になれば、設計の打ち合わせや仮住まいの手配など、リフォーム工事が負担に感じるシーンが増えるでしょう。

高齢者向けリフォーム工事の主な目的は、「段差によるつまずきなどから起こりうる事故を防止する」「高齢者が自分の力で行動できるようにする」「介助者の介護負担を軽くする」の3つです。

東京消防庁によると、高齢者の事故原因の中で「転倒」は全体の8割以上であり、うち9割が屋内で起きています。現時点で何不自由なく暮らせていても、今住んでいる家の性能は数十年前の基準で建てられたものである場合が多いです。事故のリスクを減らすためにも、早い段階で高齢者リフォームに着手すると安心です。

【参考】東京消防庁:「救急搬送データからみる高齢者の事故」詳しくはこちら

高齢者向けのリフォーム行うべき場所の優先順位

高齢者向けのリフォーム行うべき場所の優先順位

計画性のないリフォームは退職金や老後資金のために貯蓄した資金をムダにしてしまいます。優先順位を考え、本当に必要な工事を厳選しましょう。

【トイレ】のリフォーム(優先度・高)

一人で利用することを前提に、介助者にとっても使いやすいトイレを考えます。開口幅を広く設け、出入りのしやすさを最優先にしてください。

入口のドアを外開きにすると後ろに移動する必要があり、内開きはトイレ内で倒れたときに本人が邪魔になり開閉できなくなります。ドアは丸棒取手のついた引き戸がおすすめです。便座は座りやすい高さにし、和式であれば洋式に変更したほうが負担は少ないでしょう。

トイレ内で移動しやすいよう、トイレットペーパーホルダーの位置、手すりの位置に注意して設計してください。床の段差をなくし、滑りにくく掃除のしやすい床材を選ぶとスリッパを履かなくても清潔感が保てます。

【階段】のリフォーム(優先度・高)

階段の上り下りは足腰に負担がかかります。手すりの取り付け、滑り止め加工、衝撃を吸収するコルクやカーペットへの床材の変更を検討してみましょう。

視力の衰えを見越して、人感センサーライトとフットライトを設置すると、安全性と利便性が各段にアップします。幅と高さに余裕があれば、勾配を緩やかにするリフォームも可能です。

【浴室】のリフォーム(優先度・中)

トイレリフォームと同様、移動がしやすいようなドアと段差の少ない入口にします。方向転換しやすい浴室寸法に変更し、浴槽や浴室の壁に手すりを設置しましょう。

転倒防止のため、床材は滑りにくい素材を採用します。また、冬場の急激な温度変化で血圧が急変するヒートショックを防ぐため、断熱効果が高く暖房設備のある浴室設備にすると身体への負担を減らすことができます。

【玄関】のリフォーム(優先度・中)

出入り時の転倒防止と、スムーズな昇降を実現するため、上がり框(かまち)の段差を解消します。車椅子を利用する場合は、玄関アプローチから玄関までのスロープ工事を検討してみましょう。コストを抑えるなら、踏み台や手すり付き玄関台、車椅子用アルミスロープの導入がおすすめです。

【リビング】のリフォーム(優先度・低)

屋内事故を防ぐため、洋室と和室に段差がある場合には解消します。床材については滑りにくく衝撃吸収性に優れたものに変更します。リビングの出入り口を引き戸に変更し、廊下に続く壁に手すりがあると、歩行時に体が支えられて便利です。

高齢者の視力低下を考慮し、照明は明るめのものに切り替えると良いでしょう。また、壁付けキッチンから対面キッチンに変更すると、介助者の目が届きやすくなります。

高齢者向けのリフォーム費用を抑えるために出来ること

高齢者向けのリフォーム費用を抑えるために出来ること

退職金や貯蓄資金を賢くリフォームに活用するために、リフォームにかかる一般的な費用や、補助金制度について解説します。

高齢者向けのリフォームにかかる費用は?

住宅リフォーム推進協議会が2019年度(令和元年度)に発表したデータによると、2016~2018年度(平成28~30年度)の新築・リフォームを含む全工事数に対し、「500万円未満のリフォーム件数」は全体の80%以上を占めています。一方、「500万円以上のリフォーム件数」は3%強程度です。

【参考】住宅リフォーム推進協議会:「2019年度住宅リフォーム事業者実態調査報告書」詳しくはこちら

住宅の老朽化や工事の範囲、施工業者により金額は大きく上下しますが、相場は下記の通りです。

・トイレの壁や床、便座などまとめて一新する工事:約15~50万円
・階段に滑り止めや手すりを設置する工事:約10~30万円
・浴室のユニットバス交換:約50~150万円
・外構や玄関に手すりやスロープを設置する工事:約40~50万円
・リビングの間仕切りを撤去するリフォーム:約40~90万円

※相場はあくまで一例です。

介護保険の助成制度が高齢者リフォームに適用できる

介護保険における基準のなかで、要支援1~2、もしくは要介護1~5のいずれかの認定を受けていれば、介護保険による住宅改修費の助成制度が利用できます。補助対象となる工事金額の上限は20万円(消費税込)です。支給額は工事費用のうち、7~9割となっていますので、支給額の上限は18万円となります。

原則一人につき一回とされていますが、工事金額20万円の範囲内であれば複数回に分割して利用できます。対象となる工事は手すりの取り付けや段差の解消、移動用の床材や引き戸変更など多岐に渡ります。

補助金を利用するときには、事前に自治体の担当窓口に必要書類を提出する必要があります。
また、工事前に補助金が支給されるわけではなく、工事金額を支払った後に事後的に補助金申請をして初めて補助金が支給されます。補助金の詳しい申請方法については地域のケアマネージャーやお住まいの自治体窓口にお問い合わせください。

その他にも利用可能な制度とは?

介護保険とは別に、各自治体が独自の補助金制度を設けているケースもあります。
「高齢者住宅改修費支援サービス」や「重度障害者等住宅改造費の助成」などの名称で設けられており、助成額、支給条件はそれぞれ異なります。詳しくはお住まいの自治体窓口に確認するとよいでしょう。

リバースモーゲージの活用も視野に入れてみる

リバースモーゲージとは、自宅を担保に銀行、信用組合、ノンバンクなどの金融機関等から資金を借入し、相続時に自宅を売却して借入金を返済する不動産担保ローンの一種です。
借入期間中は利息のみ支払えばいいものと、利息分が借入残高に加算され存命中は利息や元本の支払いが全くいらないものがあり、金融機関によって異なります。

公的年金や預貯金だけではリフォームできない方におすすめの制度で、リフォーム時の支出が抑えられ、自宅に住みながら借り入れが可能となります。

リバースモーゲージについて詳しくは、リバースモーゲージとは?仕組みからメリット・デメリットまでFPが徹底解説!の記事もチェック

高齢者向けのリフォームを行う前に知っておくべき注意点とは?

高齢者向けのリフォームを行う前に知っておくべき注意点とは?

高齢者向けリフォームに着手する前に、注意しておきたいポイントを解説します。

関係者達が納得いくまで十分に話し合いを行う

慎重にリフォーム業者を選んでも、100%トラブルを回避できるわけではありません。「無料なので点検させてください」「今ならお試しサービス中です」などの営業トークには注意が必要です。

予想外の追加工事や手抜き工事の被害に遭わないために、契約は全て書面で残す、打ち合わせ時にメモを取る、家族と逐一情報を共有するなど、工事内容を吟味してから工事請負契約書を締結しましょう。

信頼できるリフォーム会社へ依頼しましょう

安心して高齢者向けリフォームを発注するためには、発注する工事の実績が豊富な業者を選ぶことが重要です。国土交通省が提供する事業者選択サイトを活用すれば、工事の内容や範囲、数量や単価が適正かどうか助言を得られます。見積もりはできれば2社以上取り、リフォーム業者には補助制度を積極的に利用したい旨を伝えましょう。

まとめ

まとめ

高齢者向けリフォームは、人生100年時代を安心して過ごすために必要な工事です。突発的な事故を防止し、介助者の負担を軽くすることで、心身ともに健康な生活を送ることができるでしょう。手持ちの資金が足りないようでしたら、リバースモーゲージ型のリフォーム融資や補助金、助成金制度を積極的に活用してみてはいかがでしょうか。

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