さまざまな優遇あり!「リフォーム減税制度」の概要と手続き方法を解説

住宅のリフォーム内容によっては、所得税や固定資産税などが減税されることがあります。この記事では、リフォーム減税制度の種類や対象となる工事、手続きの方法など、申請前に知っておきたい情報をまとめました。

さまざまな優遇あり!「リフォーム減税制度」の概要と手続き方法を解説

リフォーム減税制度は主に3つ

リフォーム減税制度は主に3つ

リフォームを行ったときには、主に3つの減税制度を活用できる可能性があります。どのようなリフォームローン・住宅ローンを組んでいるかによって使える制度が異なるので、自分に合ったものを選んでみてください。

①住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)

住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)とは、自己の所有する住宅について、返済期間10年以上の住宅ローンを利用して一定の増改築をおこなうなど所定の要件をみたしたときに利用できる減税制度です。10〜13年間にわたり、年末ローン残高の1%に当たる金額について所得税が控除されます。控除額の上限は年間40万円です。所得税から差し引けない分は住民税からも一部控除することが可能です。

②ローン型減税(特定増改築等住宅借入金等特別控除)

ローン型減税(特定増改築等住宅借入金等特別控除)は、返済期間5年以上の住宅ローンを利用して省エネ、バリアフリーなど所定のリフォームや増改築を行い、一定の要件を充たす場合に適用できる減税制度です。控除期間は5年間です。具体的な控除対象の限度額は居住開始日やリフォーム内容によって異なりますが、年末ローン残高を上限として対象となる工事費用の1〜2%の所得税が控除されます。

③投資型減税(住宅特定改修特別税額控除)

返済期間が5年以内のローンを利用する、あるいは借り入れをせずに現金で支払うことにより一定のリフォームや増改築工事を行い、所定の要件を充たす場合には投資型減税(住宅特定改修特別税額控除)を適用することができます。リフォーム内容によって控除額の上限が異なり、耐震リフォームは250万円、バリアフリーリフォームは200万円などそれぞれ条件が定められています。期間は1年間で、国土交通省が定めた標準的工事費を基準に、費用相当額の10%を所得税から控除することができます。

両親や祖父母などの贈与も減税対象に

両親や祖父母などの贈与も減税対象に

一般的に、年間で110万円を超える贈与を受けた場合、贈与税を支払わなければなりません。しかし、親が子・孫などの直系尊属にリフォーム費用を贈与し、所定の要件を充たす場合には贈与税が非課税になります。住宅の種類やリフォーム内容、消費税が10%か8%かなどによって条件は異なりますが、300万円〜1,500万円を上限として贈与税が非課税になります。

減税の対象となるリフォーム一覧

減税の対象となるリフォーム一覧

所得税減税が使えるリフォーム内容は、耐震リフォームや省エネリフォーム、バリアフリーリフォームなどです。また、3世代で住むために家を増改築したり設備を交換したりするリフォームや、住宅の長期優良化を目指すリフォームなども対象になります。

リフォーム内容と利用できる所得税減税

住宅ローン減税 ローン型減税 投資型減税
耐震リフォーム ×
省エネリフォーム
バリアフリーリフォーム
住居対応リフォーム 一部のみ適用
長期優良住宅化リフォーム 一部のみ適用 一部のみ適用

耐震リフォーム

耐震リフォームを行うと、住宅ローン減税と投資型減税のいずれかを適用することで所得税の控除を受けられます。住宅ローン減税を利用する場合は、省エネリフォームやバリアフリーリフォームなどと併せて工事を行う、現在の基準値まで耐震性をアップするなどして、10年以上の住宅ローンを組むことが条件となります。

住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)

・自己の所有する住宅について、返済期間10年以上の住宅ローンを利用して一定の増改築をおこなうなど所定の要件
・期間:10〜13年間
・控除率:年末ローン残高の1%(所得税が控除)
・1年あたりの最大控除額:最高40万円

※所得税から差し引けない分は住民税からも一部控除することが可能。

投資型減税

・控除対象限度額:250万円(消費税5%の場合は200万円)
・期間:1年間
・控除率:工事費用相当額の10%
・1年あたりの最大控除額:25万円(消費税5%の場合は20万円)

省エネリフォーム

省エネリフォームとは、太陽光発電の設置や断熱工事など、住宅を省エネ化するリフォームのこと。住宅ローン減税、ローン型減税、投資型減税のいずれかの所得税控除が適用できます。

住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)

・自己の所有する住宅について、返済期間10年以上の住宅ローンを利用して一定の増改築をおこなうなど所定の要件
・期間:10〜13年間
・控除率:年末ローン残高の1%(所得税が控除)
・1年あたりの最大控除額:最高40万円

※所得税から差し引けない分は住民税からも一部控除することが可能。

ローン型減税

・控除対象限度額:250万円(消費税5%の場合は200万円)
・期間:5年間
・控除率:ローン残高の2%
・1年あたりの最大控除額:最高12万5000円

※省エネ改修工事における特定増改築等住宅借入金等特別控除の計算式(所得税控除額)=A×2%+(B‐A)×1%
A:借入金年末残高のうち所定の省エネ工事金額に該当する部分(250万円が上限)
B:リフォーム工事のための借入金年末残高合計(1,000万円が上限)


【参考】国税庁「No.1217 借入金を利用して省エネ改修工事をした場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除)」 詳しくはこちら

投資型減税

・控除対象限度額:250万円(太陽光発電設備を設置する場合は350万円)
・期間:1年間
・控除率:工事費用相当額の10%
・1年あたりの最大控除額:25万円(太陽光発電を設置する場合は35万円)

【参考】国税庁「No.1219 省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」詳しくはこちら

バリアフリーリフォーム

手すりやスロープの設置、段差の解消などはバリアフリーリフォームに該当します。バリアフリーリフォームも、省エネリフォームと同様に住宅ローン減税、ローン型減税 、投資型減税のいずれかの所得税控除が適用できます。

住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)

・自己の所有する住宅について、返済期間10年以上の住宅ローンを利用して一定の増改築をおこなうなど所定の要件
・期間:10〜13年間
・控除率:年末ローン残高の1%(所得税が控除)
・1年あたりの最大控除額:最高40万円

※所得税から差し引けない分は住民税からも一部控除することが可能。

ローン型減税

・控除対象限度額:250万円(消費税5%の場合は200万円)
・期間:5年間
・控除率:ローン残高の2%
・1年あたりの最大控除額:12万5000円

※バリアフリー改修工事における特定増改築等住宅借入金等特別控除の計算式
(所得税控除額)=A×2%+(B‐A)×1%
A:借入金年末残高のうち所定のバリアフリー工事金額に該当する部分(250万円が上限)
B:リフォーム工事のための借入金年末残高合計(1,000万円が上限)

投資型減税

・控除対象限度額:200万円(消費税5%の場合は150万円)
・期間:1年間
・控除率:工事費用相当額の10%
・1年あたりの最大控除額:20万円

【参考】国税庁「No.1218 借入金を利用してバリアフリー改修工事をした場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除)」詳しくはこちら

同居対応リフォーム(多世帯同居改修工事)

同居対応リフォーム(多世帯同居改修工事)とは、水回りを増やすリフォームや間取り変更など、3世代で住むために家を改修するリフォームのことです。基本的には住宅ローン減税、ローン型減税 、投資型減税のいずれかの所得税減税が使用できますが、住宅ローン減税はリフォーム内容に制限があるので注意しましょう。

住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)

・自己の所有する住宅について、返済期間10年以上の住宅ローンを利用して一定の増改築をおこなうなど所定の要件
・制限:1号工事〜3号工事に該当する場合のみ適用可能
・期間:10〜13年間
・控除率:年末ローン残高の1%(所得税が控除)
・1年あたりの最大控除額:最高40万円

※1 1号〜6号工事について、詳しくはこちら
※2 所得税から差し引けない分は住民税からも一部控除することが可能。

ローン型減税

・控除対象限度額:250万円
・期間:5年間
・控除率:ローン残高の2%
・1年あたりの最大控除額:12万5000円

【参考】国税庁「No.1223 借入金を利用して多世帯同居改修工事をした場合」詳しくはこちら

※多世帯同居改修工事金額における特定増改築等住宅借入金等特別控除の計算式
(所得税控除額)=A×2%+(B‐A)×1%
A:借入金年末残高のうち所定の多世帯同居改修工事金額に該当する部分(250万円が上限)
B:リフォーム工事のための借入金年末残高合計(1,000万円が上限)

投資型減税

・控除対象限度額:250万円
・期間:1年間
・控除率:工事費用相当額の10%
・1年あたりの最大控除額:25万円

【参考】国税庁「No.1224 多世帯同居改修工事をした場合」詳しくはこちら

長期優良住宅化リフォーム

長期優良化リフォームとは、住宅の耐久性をアップさせる施工のことで、窓の断熱改修工事、壁や床などの断熱工事、高効率空調機の設置などが該当します。長期優良化リフォームも、同居対応リフォームと同じように、すべてのリフォームで住宅ローン減税が使用できるわけではありません。

住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)

・自己の所有する住宅について、返済期間10年以上の住宅ローンを利用して一定の増改築をおこなうなど所定の要件
・制限:1号工事〜3号工事、4号工事、6号工事に該当する場合のみ適用可能(※1)
・期間:10〜13年間
・控除率:年末ローン残高の1%(所得税が控除)(※2)
・1年あたりの最大控除額:最高40万円

※1 1号〜6号工事について、詳しくはこちら
※2 所得税から差し引けない分は住民税からも一部控除することが可能。

ローン型減税

・控除対象限度額:250万円
・期間:5年間
・控除率:ローン残高の2%
・1年あたりの最大控除額:5万円

投資型減税

・控除対象限度額:250万円(太陽光発電を設置する場合は350万円、耐震・省エネリフォームを併せて行う場合は500万円、耐震・省エネリフォームと太陽光発電の設置を併せて行う場合は600万円)
・期間:1年間
・控除率:工事費用相当額の10%
・1年あたりの最大控除額:25万円(太陽光発電を設置する場合は35万円、耐震・省エネリフォームを併せて行う場合は50万円、耐震・省エネリフォームと太陽光発電の設置を併せて行う場合は60万円)

【参考】国税庁「No.1224 多世帯同居改修工事をした場合」詳しくはこちら

減税制度を利用するため必要な書類と手続き

減税制度を利用するため必要な書類と手続き

リフォーム減税制度を利用するには、確定申告での手続きが必要になります。ここからは必要な書類などを解説します。

所得税

リフォームが完了したら、翌年の2月16日~3月15日(土日の場合には翌営業日。コロナウイルス蔓延に伴う延長措置あり)に必ず確定申告を行いましょう。申請は税務署直接書類を持ち込む方法で手続きを行うこともできますし、郵送やインターネットでの提出も可能です。まずは、法務局や建築士に必要書類の交付を依頼したり、ホームページでダウンロードしたりと、適切な方法で必要書類を揃えましょう。

共通書類

・確定申告書
・本人確認書類のコピー
・源泉徴収票
・登記事項証明書の原本
・増改築等工事証明書
・補助金を受ける場合は金額がわかる書類

申告に必要な書類

・住宅耐震改修特別控除額・住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
・増改築等工事証明書
・住宅耐震改修証明書
・介護保険の被保険者証のコピー
・長期優良住宅建築等計画 認定通知書のコピー
・ローンの年末残高等証明書の原本
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・リフォームの工事請負契約書のコピー

固定資産税

所得税だけでなく、リフォームの内容によっては固定資産税の減税を受けられることもあります。管轄の自治体によって必要書類や手続きの内容などが異なる場合がありますが、一般的にはリフォームが完了から3ヶ月以内に申告を行う必要があります。

・固定資産税減額申告書
・リフォーム費用がわかる書類
・リフォーム後に交付された住宅性能評価書のコピー
・増改築等工事証明書
・住宅耐震改修証明書
・介護保険の被保険者証のコピー
・長期優良住宅の認定通知書のコピー
・補助金を受ける場合は金額がわかる書類
(※詳細は各自治体の固定資産税課等の窓口にお問い合わせください)

まとめ

まとめ

耐震リフォームやバリアフリーリフォームなど、一部のリフォームでは減税制度が利用できます。住宅ローンを利用しているか、その他適用要件を充たすかによって利用できる制度が異なるので、ご自身の状況に合った制度を選んでみてください。

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