バランスファンドとは?個別資産ファンドとの違いやメリット・デメリット
資産運用を始める際、何にどれくらい投資をしたらよいか迷うことはないでしょうか。今回は、あらかじめ複数の資産が組み合わされているバランスファンドについて解説します。個別資産ファンドを自分で組み合わせる方法と比較して検討してみましょう。

バランスファンドとは

バランスファンドとは、国内外の株式、債券、REIT(不動産投資信託)など複数の資産に分散投資する投資信託のことです。ひとつのファンドで少額から始めることができ、複数の投資対象・地域に投資できるため、資産分散によるリスク軽減の効果が期待できます。

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バランスファンドのメリット

ひとつの投資信託を選ぶことで、複数の資産に分散し資産形成できるため、初めて投資する方にとっては管理がしやすい商品といえるかもしれません。バランスファンドのメリットをみていきましょう。
分散投資によるリスクヘッジ
バランスファンドの魅力は、ひとつの投資信託で複数の資産に分散投資ができるため、収益のぶれ幅を低減できることです。
例えば、国内の株式のみで組成されている投資信託に投資した場合、国内の株式市場が暴落した際は投資額全体に損失の影響が及んでしまいます。「卵はひとつのカゴに盛るな」の投資格言があるように、ひとつの資産への集中投資は避けるのが賢明です。
その点、バランスファンドは株式やREITで値上がりを追及しながら、債券のような比較的安定した値動きの資産を併せ持つことで、お互いの値動きを補い合うことが期待できます。

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自動的にリバランスしてくれる
バランスファンドは「リバランス」が行われる商品がほとんどです。
リバランスとは、資産運用での資産配分が資産の価格変動により当初の割合から変わったとき、当初の割合に戻すことを言います。
資産配分が変わることで、リスクが想定以上に大きくなり、期待される成果を得られなくなることがあります。それを避けるため、上昇した資産を売り、比率の低下した資産を買い足し、資産配分を元の比率に戻します。これにより、ファンド全体のリスクも当初の水準に戻ります。長期運用において定期的なリバランスは運用成果の鍵を握ることになります。


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バランスファンドの中には、資産配分比率を固定して運用するファンドのほかに、リアロケーションといわれる資産配分比率を調整していくタイプのファンドもあります。
例えば、市場環境に応じて、資産の配分を変更するタイプのファンドがあります。景気好転が予想されるときは株式の比率を増やし、景気後退が予想されるときは株式の比率を減らすなど、相場の先行きを予想して配分割合を変更します。
また、リアロケーションの中には運用の経過年数に応じて、資産配分を積極運用型から安定運用型にシフトしていく「ターゲットイヤー型」と呼ばれるものや、変動幅を抑制するための投資手法を取り入れ、きめ細かい見直しの機能がついているタイプなど多数種類があります。
運用会社がリバランスやリアロケーションを行ってくれるタイプのバランスファンドは、投資家自らがバランスの見直しをする必要のない点がメリットでしょう。

少額から購入できる
株式を単元株で購入するには数万円からの資金が必要ですが、投資信託であればより少額の資金で様々な資産に分散投資ができます。
特にバランスファンドには、国内、先進国および新興国を含む海外の株式、債券、REIT、金など複数の資産に分散し、一銘柄で6資産や9資産など複数の資産に分散投資が可能なものもあります。さらに、金融機関によっては100円、高くても1万円程度から分散投資できる手軽さがメリットでしょう(金融機関により最低買付金額は異なります)。

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バランスファンドのデメリット

ただ、メリットばかりではありません。デメリットも踏まえて上手にバランスファンドを利用しましょう。
インデックスファンドより手数料が高い
バランスファンドは、個別資産のインデックスファンドよりも手数料(運用コスト)が高い傾向にあります。インデックスファンドとは、日経平均株価やダウ平均株価といった株価指数に連動した運用を目指した低コストで運用する投資信託です。
手数料には信託報酬も含まれます。インデックスファンドの信託報酬は0.1%以下の商品もありますが、バランスファンドの信託報酬は0.15%から1.5%(商品によっては2%強もある)程度が必要です。バランスファンドは、定期的なリバランスやタイプによってリアロケーションなどが行われ、その運用に手間がかかるので運用コストが高くなるでしょう。

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自分で資産配分の調整ができない
バランスファンドは、定期的に組入銘柄の見直しや各銘柄の組入比率の調整を行う、または特定の資産に何%配分するなど、ファンドのルールに従って配分割合を決めてリバランスを行います。そのため、自分の考えでフレキシブルにリバランスしたい方にとっては、自分で調整ができないことにもどかしさを感じるかもしれません。
複数の個別資産ファンドを保有している場合には、“資産配分比率が最初の状態から1割以上ずれたら””相場の潮目が変わったとき”など変化に応じて自分で決めたタイミングでリバランスを行うことができます。
価格変動の要因がわかりにくい
バランスファンドは様々な資産に分散されているため、基準価額が変動した要因を把握しにくい点があります。
インデックスファンドのように日経平均や東証株価指数に連動している投資信託であれば、株価指数の動きをみることや経済環境と照らし合わせることで、基準価額の変動要因を推測することができます。
一方、バランスファンドは複数の資産や地域にわたり投資されているため、どのような要因で変動したか、その経緯を月次レポートなどで定期的に追っていく必要があります。
もっとも、どのファンドであれ投資先の状況を月次レポートで確認することは大切です。
個別資産ファンドとバランスファンドの違い

バランスファンドは前述の通り、ひとつの投資信託に投資することで資産分散が可能となり、リバランスもお任せできるものです。
バランスファンドを一つ保有する代わりに、個別資産ファンドを複数選び自分のオリジナルのポートフォリオを作りたいという方もいらっしゃるでしょう。個別資産ファンドを運用する場合、リバランスやリアロケーションを自分で行う必要があります。それをすることが負担にならず、必要なタイミングで実施できるかどうかがバランスファンド、または個別資産ファンドを選ぶポイントになります。
リバランスの操作は、上昇した資産を売り、比率の低下した資産を買い足すことで資産配分を元の比率に戻す行為です。個別資産ファンドでオリジナルのポートフォリオで運用しリバランスを実行するには、自らが作ったルールに則り判断することが求められます。難しさは伴いますが、市場環境と照らし合わせながら個別資産ファンドを運用することで投資を学びたいという方はチャレンジしてみてもよいかもしれません。

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バランスファンドを選ぶポイント

バランスファンドを選ぶポイントは、それぞれの資産をどのような配分で組み合わせているか、という点でしょう。資産配分によりリスク・リターンの大きさは異なるので、自分のリスク許容度に合った資産配分のファンドを選ぶことをお勧めします。
株式の配分が多くなればなるほど、リスク・リターンともに大きくなります。例えば、以下のような株式と債券の比率の異なる3種類のファンドの中から、自分の状況に合った選択をしてはいかがでしょうか。
1)株式:債券=7:3 の積極投資型
2)株式:債券=5:5 のバランス型
3)株式:債券=3:7 の安定重視型
運用期間や運用に対する考えが変わったタイミングで①から②へ、または②から③へとファンドを変更していくのもひとつの方法です。商品を変更する手間を省きたい方は、ターゲットイヤー型などで2050年、2060年など、運用のゴール年を定めて積極投資から安定運用にシフトしていくタイプのファンドを選んでもよいかもしれません。

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まとめ
複数の資産に分散投資するバランスファンドは、リスクを抑えた運用をひとつの商品で叶えたいという方に向いています。自身でリバランスのタイミングを判断し実行したい方は、個別資産ファンドを組み合わせてオリジナルのポートフォリオを作ってみるのもよいでしょう。
個別資産ファンド、バランスファンドのどちらにメリットがあるかではなく、どちらで運用することが自分に合っているのかという視点で選ぶことをおすすめします。
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