【放置NG】iDeCoの転職後の手続き・注意点!退職後や企業型確定拠出年金についても解説

iDeCo加入中に転職した場合、転職先によって手続きが異なるので注意が必要です。変更手続きを放置すると、引落しが停止される可能性もあります。この記事では、早見表を使ってiDeCo加入者の転職後に必要な手続きを転職先のパターン別に解説、退職後や企業型確定拠出年金の加入者の注意点も紹介しています。

【放置NG】iDeCoの転職後の手続き・注意点!退職後や企業型確定拠出年金についても解説

そもそもiDeCoとは?

そもそもiDeCoとは?

iDeCoとは、正式には「個人型確定拠出年金」といいます。年金には、国民年金や厚生年金などの「公的年金」と国民年金基金や確定拠出年金などの「私的年金」があります。
私的年金の確定拠出年金には、iDeCoの「個人型確定拠出年金」と勤務先の企業が掛金を拠出してくれる「企業型確定拠出年金」があります。

iDeCoは、公的年金に加入している20歳以上60歳未満の個人が任意で加入することができ、自分で掛金を拠出・運用します。掛金と運用益は60歳以降に受け取れる上、掛金の全額が所得控除の対象となり、運用益は非課税になるといった税制優遇のメリットが大きいでしょう。

公的年金に加えて老後の資産形成のためにiDeCoに加入する人は増えていますが、企業型確定拠出年金に加入している場合、iDeCoに加入できない場合もあります。また、iDeCoをはじめ、年金制度は改正が行われることがあるので現在の制度内容や今後の動きなどの情報収集が重要でしょう。

iDeCo加入中に転職することになった!手続きなどは必要?

iDeCo加入中に転職することになった!手続きなどは必要?

iDeCo加入中に転職した場合、転職先によって手続きが異なるので注意が必要です。

転職先に企業型確定拠出年金(※注1)がなくiDeCoにのみ加入する場合や、企業型確定拠出年金があってiDeCoとの併用が認められている場合は、iDeCoを継続することになるでしょう。その際は、運営管理機関(金融機関)で国民年金の被保険者種別、又は登録事業所の変更の手続きが必要となります。

転職先が企業型確定拠出年金を導入しており、iDeCoとの併用が認められない場合は、iDeCoの加入者資格が喪失してしまいます。iDeCoの資産を企業型確定拠出年金への移換する手続きが必要になります。

2022年10月よりiDeCoの内容が改正され、企業型確定拠出年金とiDeCoの併用の条件も変更となるため、こちらの記事も確認してみてください。

(※注1)企業型確定拠出年金とは、勤務先の企業が掛金を拠出し、加入者(従業員)が自己責任で年金資産の運用を行う制度を指します。

転職後の手続きが複雑で面倒...放置するとどうなる?

転職後の手続きが複雑で面倒...放置するとどうなる?

iDeCoの加入資格状況に変更があった場合に変更手続きを忘れると、引落しが停止される可能性があります。

掛金は後から支払えないため、引落しが停止されている期間は掛金に対しての税控除が受けられません。また、掛金の停止期間は拠出期間にカウントされないため、拠出期間が短くなり、iDeCoを一時金で受け取る場合の退職所得控除が少なくなるというデメリットがあるでしょう。

掛金額にも注意が必要です。転職先の年金制度によっては、iDeCoの掛金の上限額が変わる可能性があります。掛金の上限額を超えてしまった分は返金されるものの、返還事務手数料が差し引かれるでしょう。

転職先の年金制度上、iDeCoに加入できないにもかかわらず継続加入してしまった場合、加入者資格の喪失届の提出や掛金の返金などの手続きが必要になります。

加入しているiDeCoの運営管理機関(金融機関)にもよりますが、手続きを放置すればするほど煩雑になり、不利益を被ることもあるので放置しないようにしましょう。

転職後に必要な手続きはどれ?

【早見表】iDeCo加入者が転職する場合の手続き

iDeCo加入者が転職後に行う手続きを以下で解説します。なお、詳細な手続きは転職先の人事・労務等の担当者に確認してください。

転職先に企業型確定拠出年金がありiDeCoとの同時加入ができる場合

転職先の企業型確定拠出年金とiDeCoとの同時加入ができる場合は、iDeCoの運営管理機関に加入資格状況の変更を届け出てください。

なお併用する場合、iDeCoの拠出限度額の上限が変わることに注意しましょう。勤務先の企業の年金制度が企業型確定拠出年金のみであれば、iDeCoの拠出限度額は月額2万円となります。企業型確定拠出年金に加え、企業年金制度(確定給付企業年金や厚生年金基金など)がある場合のiDeCoの拠出限度額は月額1万2,000円です。

企業型確定拠出年金とiDeCoの同時加入が認められている場合でも、iDeCoの拠出を停止して企業型確定拠出年金のみに加入することも可能です。
iDeCoの資産は企業型確定拠出年金に移換するか、移換せずに運用指図者としてiDeCo内で資産を管理するかを選択できます。

転職先に企業型確定拠出年金がありiDeCoとの同時加入ができない場合

iDeCoの運用を中断し、現金化して転職先の企業型確定拠出年金に移換します。転職先の企業に「個人別管理資産移換依頼書」を提出してください。

移換後はiDeCoの加入者資格を喪失します。加入者の資格を喪失した理由及び喪失年月日を証明する書類をiDeCoの運営管理機関に提出してください。

なお、2022年10月より、加入者が企業型確定拠出年金でマッチング拠出(※注2)を利用していなければ、基本的にiDeCoと企業型確定拠出年金に同時加入が可能になります。

(※注2)マッチング拠出とは、企業型確定拠出年金の会社掛金に本人が掛金を上乗せ拠出することができる制度です。

転職先に企業型確定拠出年金がない場合

転職先に企業型確定拠出年金がなくiDeCoのみ継続加入する場合は、運営管理機関にて国民年金の被保険者種別、又は登録事業所の変更を行ってください。

また、転職先に確定給付企業年金制度があり、確定拠出年金の個人別管理資産の受入れが認められている場合は、iDeCoの資産を転職先の確定給付企業年金(※注3)へ移換することができるでしょう。移換の可否は企業によって異なります。

(※注3)確定給付企業年金とは、会社が拠出・運用・管理・給付まで行う企業年金のことです。

公務員、自営業、無職、学生、専業主婦・主夫になる場合

会社を退職し、自営業、無職、学生、専業主婦・主夫になる場合、iDeCoに継続加入できます。継続加入のための手続きは退職後に加入する国民年金の種類によって異なるため、詳しくは現在加入しているiDeCoの運営管理機関に確認してください。

企業型確定拠出年金が自動移換となった場合の対処法!

企業型確定拠出年金が自動移換となった場合の対処法!

企業型確定拠出年金の加入者が転職し、移換手続きをせず6か月以上放置すると、国民年金基金連合会に資産が自動移換されてしまいます。自動移換の際には、商品が解約され現金化されます。手数料がかかるだけでなく、受給可能年齢が遅くなることもあるため、注意しましょう。

自動移換後は、iDeCoの運用指図者又は加入者になるか、転職先の企業型確定拠出年金に移換すれば運用を再開できます。条件を満たせば脱退一時金を受け取ることも可能です。

まとめ

まとめ

iDeCo加入後に転職などをする場合は、手続きが必要です。転職先の年金制度によって手続きが異なるため注意が必要です。

人生の転機は何かと慌ただしいものですが、うっかり手続きを忘れてしまうと不利益を被ることもあります。転職先の年金制度の内容や最新の年金のしくみについて理解を深めておきましょう。

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