転職で損する退職金について知っておきたい5つのこと

転職する際に忘れずに行いたいのが、退職金についての確認です。「転職でも退職金がもらえるのか」「転職すると退職金は減ってしまうのか」など気になっている方は多いのではないでしょうか。そこで本記事では、主に転職を検討している方を対象に、退職金について知っておくと良いことについてご紹介します。

転職で損する退職金について知っておきたい5つのこと

そもそも退職金の仕組みは?

そもそも退職金の仕組みは?

退職金とは、退職した従業員に対して企業が支給する後払い賃金のことです。多くの大企業で導入されていますが、退職金の支払いは法律上義務づけられているものではありません。つまり、退職金制度は各企業の自由裁量で設置されている賃金なのです。

支給額や支給要件などに対しても法的な縛りはなく、細かな規定も企業ごとに異なります。そのため、自社の退職金制度の詳細を知りたい場合は、就業規則や賃金規定などを確認しましょう。

退職金の算出方法は?

退職金の算出方法は一般的に、以下の4つの方法に区分できます。

1. 基本給連動制

退職時の基本給を算定基礎額に置いて、そこに勤続年数や退職事由などの係数を掛け合わせて支給額を計算します。

2. 定額制

勤続年数のみを考慮して一定額を支給します。

3. ポイント制

勤続年数や役職、退職事由、人事考課などにポイントを設定し、その総合ポイントとポイント単価を掛け合わせて支給額を決定する方法です。

4. 別テーブル制

役職に応じて算定基礎額を設定し、そこに勤続年数や退職事由などの係数を掛け合わせて支給額を計算します。

いずれの場合も、退職金額の多寡は勤続年数の長さが大きく影響しています。多くの場合は、勤続年数が長ければ長いほど退職金の額は上がるといえます。

また、退職事由も退職金額に影響を与える大きなポイントです。基本的には自己都合の退職よりも会社都合の退職の方が退職金額は上がりやすく、支給要件も緩和される傾向があります。

退職金の支給時期や支給方法は?

退職金の支給時期や支給方法は?

退職金は退職後、上記の算出方法で支給額を決定された後に支払われます。支給開始時期の目安としては、1ヶ月~半年くらいを想定しておくとよいでしょう。ただしこの期間は会社によって差異が大きい上、「退職金共済」などの中間組織を挟んでいる場合は時間がかかることが多いので注意が必要です。

また、退職金は主に「一時金受け取り」と「年金受け取り」の2通りの支給方法があります。一時金受け取りは退職金の総額を一度にすべて支給する方法で、年金受け取りは退職金を「企業年金」として分割して受け取っていく方法です。

企業によってはこの2つを組み合わせ、退職金のうちの一定割合を最初に支給し、残った分を年金として支給していく方式を採用しているところもあります。

退職金に関する注意点

退職金に関する注意点

退職金に関する注意点としては、どのようなポイントが挙げられるでしょうか。続いては、転職の際に注意するべき退職金の考え方について解説していきます。

退職金が少なくなる場合

前述のとおり、基本的に退職金は「勤続年数」と「退職事由」によって大きく左右されます。つまり、転職の理由がリストラなどの会社都合によるものではなく、自らの希望である場合、退職金の支給額は下がってしまいます。もちろん、勤続年数の面から見ても、同じ企業で定年まで勤めた人よりも支給額は低くなるのが一般的です。

退職金がない場合もある

退職金の支払いは、法律で義務づけられているわけではありません。そのため、なかには退職金制度を設けていない企業もあるので注意が必要です。厚生労働省の中央労働委員会による2019年の調査結果では、退職金制度を設置していない企業は9%存在します。

【参考】中央労働委員会:「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査(調査結果の概要)」詳しくはこちら

さらに、この割合は調査対象企業を中小企業に限定すると増加する傾向にあります。たとえば、東京都産業労働局による2018年の調査では、退職金制度を設置していない中小企業は24.2%存在すると報告されています。
【参考】東京都産業労働局:「中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)」詳しくはこちら

自社の退職金制度の有無について知りたい場合は、就業規則や賃金規定などを確認しましょう。

退職金がもらえないケース

退職金制度があっても、支給条件や退職事由によっては退職金がもらえないケースもあります。特に注意が必要なのは、企業が退職金の支給条件に一定の勤続年数(最低勤続年数)を設けている場合です。

中央労働委員会による前掲調査を見ると、会社都合退職の場合は最低勤続年数を1年未満に設定している企業が52.9%なのに対して、自己都合退職の場合は50.3%の企業が3年以上を最低勤続年数と設定しています。
【参考】中央労働委員会:「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査(調査結果の概要)」詳しくはこちら

また、競合他社への転職に対して制限を設けている企業もあり、そうした場合は退職金の額や支給の有無に影響が出る場合もあります。その他、不祥事を起こしたり、就業規則に著しく反する行いをしたりして懲戒免職処分を下された場合は、退職金がもらえないケースも考えられます。

退職金でのトラブル

退職金でのトラブル

退職金を巡って、企業と従業員のあいだでトラブルが発生する場合もあります。以下では、退職金の支払いに関して起こる代表的なトラブルについて解説します。

退職金の未払い

企業が倒産したり、著しい業績不振に陥って資金支払い能力がなくなったりした場合、本来もらえるはずの退職金が支払われないケースが起こりえます。

厚生労働省はこうした状況に陥ってしまった労働者に対して、「未払賃金立替払制度」という救済策を用意しています。この制度は、賃金が支払われないまま自社が倒産してしまった労働者に対して、本来支払われるはずだった賃金の一部を行政が立て替え払いしてくれるというものです。

もし自社が倒産してしまい、退職金をもらい損ねてしまった場合は、最寄りの労働基準監督署に相談してこの制度の利用を申請しましょう。

退職金制度があるのにもらえなかった

企業と従業員の認識の違いによって、退職金の減額や不支給がトラブルに発展する場合があります。例えば、就業規則違反などによって懲戒免職処分を受けて退職した場合などは、こうしたトラブルが多発しやすいです。

厚生労働省によれば、一定の事由があれば、企業が規定の退職金を減額したり不支給したりすることは認められます。しかし、それはあくまでも、該当の労働者がこれまでの功績を帳消しにしてしまうほどの過失をおこしてしまった場合に限られます。

つまり、解雇の理由が退職金を支給しないほど重大なものなのかどうかという点で認識の違いが生まれる場合があるのです。

【参考】厚生労働省:「退職金不払い」に関する具体的な裁判例の骨子と基本的な方向性」詳しくはこちら

退職金の減額や不支給に納得がいかない場合は、最寄りの労働局に相談してみることをおすすめします。この場合、労働調整委員会による斡旋を受けて労働者と企業のあいだで解決の方途を探ることになるでしょう。

まとめ

まとめ

この記事では、転職の際に注意すべき退職金のポイントについて解説しました。一般的に退職金の支給額は、勤続年数と退職事由によって大きく変わります。特に勤続年数が3年未満の場合は、半数近くの企業が退職金を支払わないように制度を設計しているので、注意が必要です。退職金の有無や支給額の算定方法などを知りたい方は、自社の就業規則などをしっかり確認しましょう。

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