退職金はいくらもらえる?退職金の計算方法と注意点など

退職金にはまとめてもらえる退職一時金だけでなく、いくつか種類があります。勤続年数だけでなく、退職時の役職や退職理由によっても左右されることがあります。退職金の制度によって異なる計算方法や、受け取り時にかかる税金の金額を計算する方法をご紹介します。

退職金はいくらもらえる?退職金の計算方法と注意点など

まずは知ろう!退職金の仕組み

まずは知ろう!退職金の仕組み

ひと言に退職金と言っても、実はその種類は1つだけではありません。ここではその仕組みや種類について、ご紹介します。

退職金は会社によってありなしが決まる

多くの企業で退職金制度を定めていますが、実は法律上、設定する必要は必ずしもありません。
就業規則や退職金規定で退職金を設定するかどうかは、企業によって異なります。
もともとは定年まで同じ企業で働き続ける終身雇用制度を前提に、勤務年数が長いほど多くもらえる退職金制度が普及しました。
現在ではさまざまな働き方が広がっているため、制度を設けない企業も少なからず存在しています。

主な退職金は4種類

主な退職金の種類は、大きく分けると一時金と企業年金に分けられますが、一時金と企業年金には、「退職一時金」「退職金共済」「確定給付年金」「確定拠出年金」の4種類があります。

退職一時金の計算方法

退職一時金の計算方法

退職一時金の計算方法は、主に4つあります。どの計算方法を採用するかは企業が定めています。

基本給連動制

基本給連動制は、退職時の基本給に、勤続年数によって設定した支給係数をかけて計算します。中にはその時の役職や、退職理由が自己都合か会社都合かを加味して計算する企業もあります。
退職理由が会社都合の場合に出る退職金を100%とした場合、自己都合の場合は80%に設定している企業が多いようです。

基本給連動制の場合で、計算してみましょう。
例えば支給係数を勤続10年で10、20年で20、30年で30とします。
さらに自己都合の退職として、最後に0.8を掛けて合計を出してみます。

■基本給連動制の退職金の一例

・基本給30万円/勤続10年
30万円×10×0.8=240万円

・基本給45万円/勤続20年
45万円×20×0.8=720万円

・基本給50万円/勤続30年
50万円×30×0.8=1,200万円

別テーブル制

別テーブル制は、勤続年数だけでなく、役職を考慮した計算方法です。
勤続年数ごとに基本給とは別の退職金基準額を設定します。さらに、一般社員なら1、課長なら1.2といった役職に応じた係数と、退職理由(自己都合か会社都合かなど)と組み合わせたテーブル(表)を作成し、それを基に計算します。

勤続年数と役職を考慮し、自己都合の場合でシミュレーションしてみます。

■別テーブル制の退職金の一例

・勤続10年(基準額100万円)/一般社員(1)/自己都合退職(0.8)
100万円×1×0.8=80万円

・勤続20年(基準額200万円)/課長(1.2)/自己都合退職(0.8)
200万円×1.2×0.8=192万円

・勤続30年(基準額300万円)/部長(1.5)/自己都合退職(0.8)
300万円×1.5×0.8=360万円

定額制

定額制では、役職や基本給などは考慮されず、勤続年数によってあらかじめ決められた額が支払われます。
就業規則や退職規程によって確認ができます。

ポイント制

ポイント制は、勤続年数や職能ポイントなど、さまざまなポイントを付与して退職金を計算する方法で、勤続年数に応じた1年あたりのポイントや役職などの階級によって1年あたりのポイントを付与していきます。
ポイントの単価を設定し、勤続年数や役職などの階級のポイントを合算して計算していきます。

例えば1ポイントの単価が1万円で、1年ごとに20ポイント、その他役職に応じて一般が5ポイント、主任が20ポイント、係長が30ポイントという様なポイント制の会社では、以下のような計算になります。

■ポイント制の退職金の一例

・勤続10年(200)/一般職10年(50)/自己都合退職(0.8)
(200+50)×1万円×0.8=200万円

・勤続20年(400)/一般職10年(50)主任10年(200)/自己都合退職(0.8)
(400+50+200)×1万円×0.8=520万円

・勤続30年(600)/一般職10年(50)主任10年(200)係長10年(300)/自己都合退職(0.8)
(600+50+200+300)×1万円×0.8=920万円

退職金共済

退職金共済

退職金共済は、あまり資金が潤沢でない中小企業を中心に広まった制度です。自社内で退職金を積み立てておくのが難しい企業の場合に、外部の機関を使って退職金を積み立てておくというものです。
外部積み立て先として一般的なのは、厚生省の独立法人である独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共)などです。
毎月掛け金を納付して積み立てし、退職時にはこの外部積み立て先から退職金が支払われます。

中退共の場合、毎月の掛け金は5,000円~3万円まで16種類あります。企業は勤続年数により、掛け金を設定します。
下記のとおり勤続年数に応じた退職金をシミュレーションしてみます。なお、政令で定める利率は1%です。

・勤続10年
掛け金5,000円×120月=60万円
+利率1%=63万2,800円

・勤続20年
掛け金5,000円×240月=120万円
+利率1%=133万3,300円

・勤続30年
掛け金5,000円×360月=180万円
+利率1%=210万6,550円

【参考】中退共 基本退職金額表 詳しくはこちら

確定給付年金・確定拠出年金

確定給付年金・確定拠出年金

確定給付年金

確定給付年金とは、厚生年金適用事業所の事業主が単独若しくは共同して行う年金制度で、事業主(使用者)と労働組合(または過半数を代表する者)が給付の内容をあらかじめ定め(労使合意)、運用リスクは事業主が負います。

事業主が信託会社や生命保険会社などと契約を結び、母体会社の外部で年金資産を管理・運用し、給付を行う「規約型」と、母体会社と別の法人格を持つ企業年金基金を設立し、年金資産を管理・運営し給付を行う「基金型」があります。

確定給付年金の大きな特徴は、有期年金や終身年金で受け取ることができ、運用の良し悪しにかかわらずあらかじめ決められた額が給付されるということです。金額はご自身で勤務先の年金制度を確認する必要があります。

確定拠出年金(DC)

確定拠出年金とは、加入者ごとに拠出された掛金を加入者が自ら運用し、運用結果によって給付額が決まる年金制度です。確定拠出年金はDC(Deifned Contribution Plan)と略され、企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)があります。企業型DCには、企業が拠出する掛け金に、従業員自身が掛け金を上乗せする「マッチング拠出」という制度があります。

給付額は運用結果によって、決まりますが計算方法は以下のようになります。

・勤続10年目
掛け金1万円×120月=120万円+運用損益

・勤続20年目
掛け金1万円×240月=240万円+運用損益

・勤続30年目
掛け金1万円×360月=360万円+運用損益

退職金にも税金がかかる!場合によっては要確定申告

退職金にも税金がかかる!場合によっては要確定申告

退職金は税法上「退職所得」と呼ばれ、所得税課税の対象となります。
あらかじめ勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、「退職所得控除」を受けることができますが、「退職所得の受給に関する申告書」を提出しない場合は、一律20.42%の金額が所得税額及び復興特別所得税額として徴収されます。

退職金にかかる税金はいくら?

それではどれくらいの税金がかかるのか、確認していきましょう。
課税対象となる退職金は、以下の式で計算することができます。

(収入金額(源泉徴収前)-退職所得控除額)×1/2

この計算式にある「退職所得控除額」は、勤続年数によって2種類の計算式が用意されています。

・勤続年数が20年以下の場合の退職所得控除額
40万円×勤続年数(80万円未満の場合は80万円)

・勤続年数が20年超の場合の退職所得控除額
800万円+70万円×(勤続年数-20年)

※勤続年数は端数繰り上げで、10年1カ月の場合は11年です。

課税対象となる退職金の金額を求めたあとは、下記の表に照らし合わせて税率と控除額が確認できます。

退職金にかかる税率と控除額一覧表

課税退職所得金額所得税率控除額
1,000円から1,949,000円まで5%0円
1,950,000円から3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円以上0.454,796,000円

【参考】退職金にかかる税金|国税庁HP 詳しくはこちら

税額は、(課税対象となる退職金の金額×所得税率-控除額)に復興特別所得税2.1%もかかりますので102.1%を掛けて求めます。整理してシミュレーションしてみましょう。

退職金にかかる税金を実際に計算してみよう!

勤続18年で退職金が1,500万円だったと設定します。まずは課税対象となる退職金の金額を求めます。

(収入金額(源泉徴収前の金額)−(40万円×勤続年数))×1/2=(1,500万円−(40万円×18年))×1/2=390万円

390万円が課税対象の場合、表を確認すると所得税率は20%です。

(390万円×20%-42万7,500円)×102.1%=35万9,902.5円

1円未満の端数は切り捨てなので、所得税額は35万9,902円です。

さらに住民税10%も課税退職所得金額にかかってきますので、

390万円×10%=39万円

所得税35万9,902円+住民税39万円=74万9,902円となります。

「退職所得の受給に関する申告書」を出していないと確定申告が必要

もし退職金受け取り時に、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合は、確定申告を行うことによって同じように控除を受けることが可能です。

まとめ

まとめ

退職金は誰もが同じように受け取れるものではなく、種類も企業によってさまざまです。どの制度を使っているかにより、同じ勤続年数・基本給でも、受け取ることのできる退職金は変わってきます。まずは自社の就業規則などを確認するとともに、手続きについても確認していくようにしましょう。

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