貯金と投資の割合はどれぐらいが良い?収入などからみる適正割合

年々、お金を貯めるだけの貯金だけでなく、貯めたお金を増やすための投資への関心が高まっています。しかし、投資を始めるにしても、どれくらいのお金を投資に回せばいいのか分からない人も多いでしょう。ここでは年齢や収入に応じた貯金と投資のバランスを考えます。

貯金と投資の割合はどれぐらいが良い?収入などからみる適正割合

貯金と投資の割合を決める前にまずは役割をおさらい!

貯金と投資の割合を決める前にまずは役割をおさらい!

貯金と投資(資産運用)の割合を考える前に、まずは貯金と投資、それぞれの役割をおさらいしてみましょう。

貯金の役割

「貯金」とは郵便局や農協などのようにもともとは公的な金融機関にお金を預けることを言います。民間の銀行などに預ける場合には「預金」と言いますが、この記事ではいずれも貯金とします。
以前は預貯金でも金利の高い時代がありましたが、現在では、お金を増やすというよりもお金を貯めるというイメージでしょう。また、必要な時にすぐに使えるお金を一時的に預けておく場所でもあります。

投資の役割

「投資」は、貯めた資金を運用することでお金を増やす役割が主になります。具体的には株や投資信託など、いわゆるリスクのある商品を購入することです。
投資は短期的に大きな利益が得るものと思われる方もいますが、短期的な収益を狙うのは投資ではなく、投機というギャンブルに近い考え方です。

正解はないが、貯金と投資に回す金額を決めるポイントはある

正解はないが、貯金と投資に回す金額を決めるポイントはある

貯金を投資に回す金額や割合は、年齢や年収などの状況によって異なり、一概に正解といえるものはありません。では、どういったポイントで考えれば良いのでしょうか。

年齢

まだ収入の少ない若い世代の場合は、収入に対して支出の比率も多くなるため、貯金できる額も少ないという傾向があります。
しかし、将来のための準備期間が長くあり投資には時間的なメリットもあることから、少額からでも投資を始めると良いでしょう。少額での投資であればリスクも少なく、経験を積むこともできます。

30代に入ると、ある程度収入も増えていくことが考えられます。また、結婚で家族が増える方もいるでしょう。これからのライフプランに沿って貯金と併せて投資についてもしっかりと考える時期です。

40~50代では、住宅ローンの返済や子供の教育費など支出も増えてくる年代です。この時期は貯蓄に回すお金も思ったようにできないことも多くなりがちですが、老後の準備を考えるとできるだけ投資に回すことも大事です。

収入

収入が多くなれば、貯金や投資に回せるお金も多くなります。しかし、収入が多い分支出も多く、思ったより預貯金ができていないこともあるでしょう。
できれば収入の多寡にかかわらず、目安としてまずは毎月の給与の3~6ヶ月分を、万が一の際にすぐに引き出せる貯金として持っておきましょう。それ以外のお金は、結婚や車の購入など10年未満に使う予定があるお金と、10年以上先に目的のあるお金に分けて投資に回すのも1つの方法です。

年齢/ライフプラン別!貯金と投資のバランスの考え方

年齢/ライフプラン別!貯金と投資のバランスの考え方

ここからは年齢、ライフプラン別にもう少し具体的に考えてみましょう。

【20代】まずは貯金の確保と少額でも早めの資産運用を

20代は一般的に、まだ収入も多くない世代です。投資に回せる額も少ない時期ではありますが、できれば少しずつでも投資に回せるようにしたいものです。
老後の生活が65歳からと考えた場合、現在25歳であれば、あと40年という長い期間があります。
仮に2,000万円を準備しようとすると、貯金だけの場合は毎月約4万2,000円を積み立てていく必要があります。一方、仮に5%の運用利回りが期待できる投資商品で積み立てを行った場合は、毎月約1万3,000円で済むことになり少額の投資でも将来は大きな資産となる可能性があります。

ただし、まずは生活費の3~6ヶ月分は貯金に回しておきたいところです。その場合は、20万円/月の収入であれば、60万円~120万円の準備ができれば、それ以外は投資に回す余裕があるといえます。

※20代の平均貯金額について、詳しくは【最新】20代の貯蓄額の平均・中央値はどのくらい?貯蓄の方法や始め方についても紹介の記事もチェック

【30代】収入が増えればリスクの小さい定期預金の選択肢も

【30代】収入が増えればリスクの小さい定期預金の選択肢も

30代になればある程度収入も増え、貯蓄に回せるお金も少しずつ増えてくることが考えられます。また、先程の給与の3~6ヶ月分の準備ができていれば、投資の割合を増やしていくことも視野に入れましょう。

例えば、30歳で月収が30万円、既に180万円の預貯金がある方は、貯蓄に回すお金をほぼ投資に回せることになります。しかし、10年未満にお金を使う目的があれば、その分は投資ではなく、定期預金などリスクが小さく利回りが少しでも良いものに預ける、という方法があります。
すでに貯金180万円あり、月に5万円の貯金ができるのであれば、2万5,000円ずつを定期預金と投資に回しても良いと考えられます。

※30代の平均貯金額について、詳しくは【最新】30代の平均貯金額は?将来の結婚や住宅、教育に備えた貯金方法も解説の記事もチェック

【40代】教育費や老後を見据えたバランスを

40代となれば子供も大きくなり、教育費の準備や住宅ローンの支払いもあるなど、貯蓄に回すお金が少なくなっているかもしれません。
教育費は、子供が生まれた時から投資で準備しておくと、比較的ゆとりを持ちながら準備ができる可能性もあります。
そう考えると、40代になる頃には、給与の3~6ヶ月分の貯金や10年未満に使うお金はもう少し利回りが良くリスクの小さい定期預金などで準備しておき、それ以外は教育費や老後資金などの準備として運用に回せるとよいでしょう。
30代の頃と比べ収入も増えているでしょうから、預貯金の割合も多めにしておく必要があります。
月収40万円であれば、いざという時にすぐに使えるお金として240万円ほどの貯金をしておきたいところです。また、老後はまだ先と感じるかもしれませんが、老後の準備にも投資に回すお金を増やしておく必要がある時期とも言えます。

※40代の平均貯金額について、詳しくは【FP監修】40代の貯金額はいくら?男女から既婚独身まで様々なケースを紹介の記事もチェック

【50代】本格的な老後に向けてしっかりと準備を

【50代】本格的な老後に向けてしっかりと準備を

50代の方は、子供が大学生や独立をしているということも考えられます。この時期に、貯蓄があまりできていなく、これからご自身の老後資金の準備を始めようとすると、積立額を多くしなければいけません。できればこの時期までにある程度の資産形成ができていることが望ましいでしょう。
まだ十分に老後資金の準備ができていないという場合には、できるだけ投資にお金を回していくことも考えるべきです。

※50代の平均貯金額について、詳しくは50代の平均貯蓄額の平均・中央値は?老後の資金は足りるのかの記事もチェック

まとめ

長期で考えた場合、年代や収入に応じた貯金と投資の組み合わせで資産形成を行うのも有効な方法のひとつです。貯金額と投資金額の割合に絶対的な正解はありません。ご自身のライフスタイルや年齢・収入に鑑みて、無理のないバランスを取りながら資産を増やしていくのが望ましいでしょう。

ご留意事項
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