奨学金の繰り上げ返済は本当にメリットばかり?こんな人は繰り上げ返済の検討を

学生時代に借りた奨学金、毎月一定額を返済する方法が一般的ですが、実は一定額をまとめて返済したほうがおトクなケースがあるのをご存知ですか? 今回は奨学金の繰り上げ返済する方法やそのメリット、注意点について解説します。

奨学金の繰り上げ返済は本当にメリットばかり?こんな人は繰り上げ返済の検討を

奨学金の繰り上げ返済とは?

奨学金の繰り上げ返済とは?

奨学金制度には大きく分けて「貸与型」と「給付型」の2つがあります。給付型は返還が不要なのに対し、貸与型の場合は、原則として卒業後一定期間内に貸与された全額を返済しなければなりません。例えば、独立行政法人日本学生支援機構から、毎月3万円の奨学金を4年間(48ヶ月)にわたって貸与され、総額144万円を卒業後に月賦で返済する場合、返済回数は156回、返済期間は13年間となります(2020年6月現在)。

返済方法は奨学金制度ごとに様々ですが、最も一般的なのは毎月一定額を口座振替で返済する方法です。毎月の返済額も借りた奨学金の総額や返済期間によって異なり、1ヶ月あたり数千円の返済で済む場合もあれば、数万円になってしまう場合もあります。

このほかにも「年に2回」「年に4回」など返済回数を選べるようにしているケースもありますが、いずれの場合も、当初選択した回数に分けて、定められた期間内に全額を返済していくのが原則です。ただし、卒業後、生活に余裕ができた場合やまとまった現金を用意できた場合などに、一定期間分をまとめて返済したり、全額を一気に返済したりすることを認めている奨学金制度もあり、これを「繰り上げ返済」と呼びます。

奨学金を繰り上げ返済するメリットとは?

では、奨学金を繰り上げ返済する実質的なメリットとは、どのようなものなのでしょうか?
それは、ずばり「返済総額を少なくできること」。つまり繰り上げ返済することによって、当初の計画通りに返済した場合に比べて、返済総額が少なくて済む場合があるということです。

ただし、このメリットを享受できるのは、原則として奨学金の中でも有利子の奨学金を借りている人のみ。というのも、貸与された奨学金に利息が課されている場合、返済額は「元本+利息」だからです。つまり、返済期間が長くなればなるほど、元本にかかる利息の支払が増えるわけですから、繰り上げ返済をして返済期間を短縮すればするほど、結果として返済総額を抑えることができるというわけです。

繰り上げ返済は将来のライフプランにも影響する

もうひとつのメリットは、奨学金を繰り上げ返済することによって、浮いた月々の支払分を、他の支出にまわせるということ。例えば、これまで奨学金の返済のために月々3万円を支出していた人の場合、繰り上げ返済で浮いた3万円を教育費や住宅ローンの返済に当てることができ、今後のライフプラン、マネープランを考えやすくなります。奨学金の返済はいわば過去のための支出ですが、子どもの教育費や住宅ローンの返済に係る支出は未来のためのもの。奨学金の繰り上げ返済は、より余裕ある未来のための有意義な支出だと言えるのではないでしょうか。

繰り上げ返済するには、どうすればいい?

では、実際に繰り上げ返済をするには、どのような手続きが必要なのでしょうか。

これも各制度の規定によって異なりますが、奨学金の運営事務局に文書で繰り上げ返済を希望する旨の申請をし、その後、各制度の規定にしたがって手続きを進め、期日までに残額の一部、または全額を返済する方法が一般的です。
なお、卒業後一定期間は返済ができない「据え置き期間」が設けられている場合や、繰り上げ返済の申請に期限が設けられている場合(「返済希望日の2ヶ月前まで」など)があるので、注意が必要です。

引き落としのタイミングなどにも注意が必要

また、実際に繰り上げ返済をするにあたっては、その資金を口座に入れておくタイミングにも注意が必要です。繰り上げ返済分も口座振替で支払う場合、所定の口座振替日(毎月25日など)に繰り上げ返済分が引き落とせないと、翌月扱いになってしまい、翌月の引き落とし日までの利息がかかってしまいます。

なお、全額ではなく一部のみを繰り上げ返済した場合は、当然ながら残額に対する利息が生じることになります。奨学金の返済には制度ごとに細かい規定があり、個人が正確な返済総額を算出したり、繰り上げ返済した場合・しなかった場合の差額を算出したりするのは難しい場合も。「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、事務局の担当者に返済金額や返済にかかる規定の内容をしっかり確認し、納得した上で手続きを進めるようにしてください。

繰り上げ返済、しないほうがいい人は?

このように、貸与型で有利子の奨学金を返済中の人にはメリットの大きい繰り上げ返済ですが、すべての人におすすめできるわけではありません。

繰り上げ返済はあくまで余裕があるときに

特に、今現在の生活に余裕がない人や他に必要な支出がある場合は、無理をして繰り上げ返済を優先させる必要はないでしょう。例えば、留学や資格取得の費用など、将来のための投資ともいえる費用を削ってまで繰り上げ返済をするのは得策とはいえません。
また、奨学金の利息は他のローン(住宅・自動車ローンなど)に比べて低く設定されていることがほとんど。奨学金の繰り上げ返済をしたがために、自動車など生活に必要な高額商品を購入する資金がなくなり、別途ローンを組むことになっては元も子もありません。

繰り上げ返済は、あくまでも経済的に余裕があり、臨時収入が入ったときや他に優先させるべき支出の予定がないときに検討することをおすすめします。特に結婚や出産など大きなライフイベントを間近に控えている人は急な出費が発生することが多いので、繰り上げ返済で手元資金が減っても問題ないかどうか、慎重に検討した上で判断してください。

まとめ

貸与型で有利子の奨学金を借りている場合、繰り上げ返済をすることによって支払期間を短縮すれば、利息の支払いを減らすことができます。また、奨学金返済に充てていたお金を他の用途に使うことができ、ライフプランを立てやすくなるというメリットも期待できます。生活に余裕ができた人、他に優先すべき支出がない人は、繰り上げ返済を検討してみるとよいでしょう。

繰り上げ返済の手続きは各奨学金制度の規定にしたがって行いますが、返済額や口座振替日など返済に係ることでわからないことがあれば必ず事務局に直接確認し、納得した上で手続きを進めるようにしてください。

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