年金がさらに上乗せされる?「企業年金」の仕組みを解説

老後の生活設計に不可欠な退職金制度。このうち、退職金を一時金ではなく、年金として受け取れる制度が企業年金です。国民年金や厚生年金という公的年金とは異なり、企業の福利厚生に含まれる退職金制度のひとつです。勤務先に企業年金の制度があれば、公的年金に上乗せして受け取ることができます。

年金がさらに上乗せされる?「企業年金」の仕組みを解説

企業年金はどんな仕組み?

企業年金はどんな仕組み?

企業年金は、従業員に対する退職金として企業が積み立てをします。企業によっては、従業員が掛金を上乗せすることもできます。
積み立てられた資金は、その企業の資産とは分けて管理され、その資金を運用して、従業員の退職時に年金として給付を開始します。給付される期間や、給付のしかた(一時金との併用など)などは「年金規約」で定められています。

公的年金と企業年金の違い

ここで、公的年金と企業年金の違いを確認してみましょう。
老後に受給する公的年金は、老齢基礎年金、老齢厚生年金で、法人の事業所には加入が義務付けられています。一方、企業年金は各企業の任意の福利厚生制度なので、制度が導入されていない企業もあります。

また公的年金の保険料は、企業と従業員(被保険者)が折半して支払いますが、企業年金は、原則として企業が支払います。

給付については、公的年金は受給している人が死亡すると、その時点で終了しますが、企業年金は、最長20年などのように一定期間支払われるものや、一生涯年金が支払われるものなど、いくつかのパターンがあります。

企業年金には、いくつかの種類がある

企業年金には、いくつかの種類がある

(1)確定給付企業年金(DB)

原則として企業が掛金を積み立て、企業が資金の管理・運用をし、従業員の受給開始年齢となったときに年金として給付するものです。
掛金の運用状況にかかわらず、あらかじめ受け取れる年金額が確定していることから、「確定給付型企業年金」と呼ばれます。したがって、運用の責任は企業が負うことになります。確定給付型企業年金には企業型、規約型、総合型があります。

(2)企業型確定拠出年金(企業型DC)

一方、企業が掛金を毎月拠出し、従業員自身が資産の運用を行う制度を「企業型確定拠出年金」といいます。
企業型DCは、従業員が預金、年金保険、投資信託などの金融商品を選択してその資金を運用し、60歳から70歳までの間に、年金または一時金で受け取ります。受け取る金額は運用の成果によって増減し、その責任は従業員自身が負います。
また「マッチング拠出」といって、従業員も掛金を上乗せすることができる場合があります。1年間の掛金の上限額は、マッチング拠出分とあわせて、前述のDBの制度がない場合は66万円、DBの制度と併用している場合は33万円です。なお、厚生労働省が2022年度に拠出限度額を55,000円へ引き上げるとの報道が出ているため(2020年12月1日時点)、今後の動向も確認しておきましょう。

マッチング拠出について、詳しくはできるならやるべき?「マッチング拠出」のメリット・デメリットの記事もチェック

(3)中小企業退職金共済(中退共)

独自の退職金制度を持つことができない中小企業が対象の制度です。掛金は企業が積み立てし、従業員は上乗せできません。60歳以上で退職するなどの要件を満たせば、年金として受給することができます。その際は、退職した従業員が直接中退共本部に請求します。

企業年金にまつわる疑問を解消

企業年金にまつわる疑問を解消

中途退職した場合、企業年金はどうなる?

DBや厚生年金基金は、あくまで退職金制度ですので、基本的には一時金での受け取りとなりますが、要件(勤続年数や退職時の年齢)を満たせば、年金として受給することができます。この要件を満たさない場合は、個人型DC(iDeCo)などに移換することもできます。なお、企業型DCの場合は、60歳未満で退職するとiDeCoに移換します。

転職による退職の場合は、転職先にDBや企業型DCの制度があれば、そこに移換することもできます。
ただしDBの場合は、その会社に制度があり、かつ規約に「移換することができる」旨の規定が記載されている場合のみ移換が可能となるので、注意が必要です。

中退共の場合は、一時金のみの受取りとなります。転職先に中退共の制度があれば、移換することも可能です。

自分が企業年金に加入しているかどうかを確認するには?

自分が企業年金に加入しているかどうかを確認するには?

在職中の方は、勤務先の退職金・企業年金の担当者に確認してみましょう。制度の詳細については年金規約で確認できます。DBの場合、現時点の企業年金の原資は社内システムで確認できることがあります。DCの場合は、運営管理機関のウエブサイトで確認できます。中退共の場合は、勤務先から従業員に配布される「加入状況のお知らせ」で確認できます。

企業年金はいつからもらえる?

「DBは60歳から」などのように、受け取る年齢を年金規約で定めていますので、確認してみてください。
「DCは60歳から(加入期間が通算10年以上の場合)70歳までの間」に受給を開始します。なお、2022年からは、受給開始年齢の上限が75歳に引き上げられます。

企業年金も繰上げ受給や繰下げ受給はできる?

DBは年金規約で繰下げ受給を定めることができますので、実際どのようになっているかを確認してみましょう。ただし、繰上げ受給の制度はありません。

まとめ

まとめ

企業年金は働いている期間と受給する期間を合わせると、非常に長い付き合いになります。したがって、その間に転職などで働き方が変化したり、企業年金制度の変更や廃止にともなって、移換手続きを行うケースも出てきます。また、DCでは運用商品の選択や運用環境によって、受け取れる年金額が変化します。企業年金に加入している人は、公的年金を補完する制度であることを改めて認識し、ご自身の制度に関心を持ちましょう。

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