退職金がもらえない会社もある?その場合の将来設計とは

会社に勤めていても必ずしも退職金がもらえるとは限りません。会社の方針、自分の辞め方などによっては退職金が発生しない場合もあります。退職金を必ずもらえるものと想定していると、将来的に計画が狂う可能性も出てくるでしょう。退職金の仕組みを理解したうえで、安心できる人生設計を立てることが大切です。

退職金がもらえない会社もある?その場合の将来設計とは

そもそも退職金とは?

そもそも退職金とは?

退職金とはその名の通り、会社を辞めるときにもらえるお金のことです。退職金は会社から一括で支払われる場合と年金として将来的に支給されるケースとに分かれます。さらに、企業によっては毎月の給料や賞与の中の一部を退職金として積み立ててくれています。このような場合、企業や退職金の種類によって扱いは変わりますが、「退職金掛金」や「確定拠出年金」などの項目が給料明細に記載されているので、確認してみましょう。

退職金は離職率低下のために設けられたシステムという面もあります。会社は、有能な人材を手放したくはありません。しかし、実力のある社員ほど転職によるキャリアアップを検討したり、独立開業を目指したりする傾向にあります。退職金があれば、長期的に人材を会社に留めておきやすくなります。一方、ベテラン社員に対しては早期退職を促すきっかけにもなるでしょう。「家計が苦しいから働き続けなくてはならない」という社員の不安を払拭させられ、様々な人生の選択肢について考える余裕を与えることができます。

退職金は必ず払ってもらえるものではない?

退職金は必ず払ってもらえるものではない?

注意したいのは、退職金は国から定められた制度ではないという点です。あくまでも社員と会社との取り決めなので、社則が設けられていなければ会社を辞めてもお金はもらえません。

実際に、退職金制度の有無についてのデータがあります。平成30年度のデータでは、企業規模ごとの退職金を出している割合は以下の通りになりました。

・従業員数1000人以上 92.3%
・従業員数300~999人 91.8%
・従業員数100~299人 84.9%
・従業員数30~99人 77.6%

【参考】:厚生労働省 平成30年就労条件総合調査 退職給付の支給実態 ※詳しくはこちら

そして、すべての企業で退職金を出している割合は80.5%でした。つまり、約2割の企業は退職金制度を設けていないことになります。なお、過去の裁判例によると、退職金を支払う義務が生じるのは以下の3つの条件を満たした場合です。

1. 社員が退職する際に、退職金と見なされる金銭の受け渡しが、長期間にわたって何度も行われていた実績がある
2. 退職金をはっきりと条件から外していない
3. 会社と雇用者の間で、退職金についての意識が共通していた

ただし、いずれも曖昧な条件ではあるので、これらにあてはまっていたからといって「絶対にもらえないとおかしい」とまでは言い切れないでしょう。

退職金がない会社は悪い会社?

退職金がない会社は悪い会社?

長時間労働による過労死など、労働条件の悪いブラック企業の問題がよく取り上げられています。では退職金が支払われない会社は、ブラック企業なのでしょうか。もちろん、退職金の有無も議論すべきテーマの1つといえます。結論からいうと、退職金の有無だけでブラック企業だと決めつけることは困難です。そのほかの労働条件が充実していれば、むしろ優良企業とさえいえるケースもあるからです。

そもそも会社にとって、退職金を用意するのは絶対条件ではないと理解しておきましょう。あくまでも従業員と理想の関係を築くうえで、必要だと思う場合のみ制度化されているのが現状です。

従業員の在籍期間中、勤務の実績や会社の業績を基本給やボーナスで還元してくれているなら十分に公正だといえます。また、多くの企業が社則や契約書で退職金についての条件を説明しています。「支払うと言っていたにもかかわらず約束を反故にされた」という場合以外では、退職金がないことでクレームを出しても認められないでしょう。

退職金がない会社でも払ってもらえる可能性があるって本当?

退職金がない会社でも払ってもらえる可能性があるって本当?

入社当時は退職金制度がなかったにもかかわらず、後から払ってもらえるようになるパターンもあります。

個別の交渉をした

全従業員に対して交付されている社則にも例外はあります。もしも経営陣と個別で交渉し、認められたなら退職金を払ってもらえる可能性も出てくるでしょう。特別な事情を抱えていたり、会社に大きな功労を残していたりする社員は交渉に応じてもらいやすくなります。

社則が変わった

在籍中に社則そのものが変わった場合、社則に応じて退職金をもらえる可能性があります。ただし、退職金がどの程度支給されるのかは確認が必要です。

応募要項に記載されていた

求人サイトや求人票に「退職金あり」とはっきり書かれていた場合、会社には支払いの義務が生じます。応募数を増やしたいばかりに実際とは違う条件を書いていたなら、まぎれもない違法行為に該当するからです。

明確な規則はなくても共通理解があった

社則で明言されていないとき、会社は退職金を出し渋ることがあります。しかし、記載の有無だけでなく、労働条件では「共通理解」も重要視されます。もしも「退職金はもらえる」と従業員が感じており、会社もそのようにふるまっていたのなら、会社も完全に拒否しにくくなります。すでに退職金を払ってもらった退職者がいるなどの前例があれば、請求は通りやすいでしょう。

退職金がない会社で働く場合の将来設計とは?

最初から合意の下で退職金の出ない会社に就職していたなら、退職金を退職後の生活費に充当できないため、退職後に必要な生活費は自分で準備しなければなりません。3つのポイントを押さえたうえで、ライフプランを設計しましょう。

年金

第一のポイントとなるのは「年金」です。公的年金には国民年金(基礎年金)と会社などに勤めている際に加入する厚生年金があります。厚生年金に加入した期間や受給を受ける年齢によって受け取れる金額が人によって異なります。実際に自分がどれだけの金額を受け取ることになるのか把握することが大切です。

貯蓄

老後の生活で非常に重要なのが貯蓄です。退職後、どれだけの生活費がかかるのか一度計算をしてみましょう。年金や資産運用による収入など、退職後に見込まれる収入が少なくても十分な貯蓄があればそれを充てることで生活を維持することができます。もし十分な貯蓄が無ければ、継続して働くことを考える必要も出るでしょう。貯蓄の作り方には資産運用や貯金がありますが、それらは安定した収入がある時期から始める必要があります。運用や貯金で貯蓄額を増やすためには早めの計画と取り組みが重要です。

資産運用

現金預金の比率が5割を超すとされる日本では、元本割れなどのリスクがあることからなかなか広まりませんが、資産運用を家計金融資産に組み込むことで、退職後に必要な生活費を生み出せる可能性はあります。25歳から100万円を年間運用利回り1.2%で定年となる65歳まで年複利運用した場合、約60万円の運用益が出ます。1年単位で見ると1万2,000円程度とわずかな額ですが、コツコツ続けることが何よりも重要です。早くから始めることが大きな利益につながるため、20代からのスタートが資産形成に有利に働きます。

【参考】:三菱UFJ信託銀行株式会社 手元の100万円をふやすには? ※詳しくはこちら

まとめ

退職金制度は働くすべての人の生活を保障するシステムとはいえません。会社の制度などによって、自分が受けとれない可能性もあるということを知っておく必要があります。老後の生活のことを考えるのであれば、退職金以外に、資産運用など複数の方法を考えて、できるだけ早く始めるのがおすすめです。

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