薬剤師の年収・預貯金額はどれくらい? 預貯金を増やすためにすべきこと

医療制度の見直しで薬局や薬剤師のあり方が注目されています。薬剤師を取り巻く環境が変わっていく中で、薬剤師の預貯金額、収入や待遇はどうなっているのでしょうか。

薬剤師の年収・預貯金額はどれくらい? 預貯金を増やすためにすべきこと

薬剤師の貯蓄額は全体平均よりも高い水準

薬剤師の貯蓄額は全体平均よりも高い水準

転職サービスの「doda」が2012年に行った22歳~34歳を対象にした職種別の貯蓄額調査によると、薬剤師の貯蓄額は450万円となっています。同じ調査で算出されたすべての職種での平均貯蓄額は338万円となっていて、薬剤師の貯蓄額は比較的高い水準にあることがわかります。

【参考】ビジネスパーソンの貯蓄事情2012年 詳しくはこちら

薬剤師の年収も比較的高く

薬剤師の年収も比較的高く

それでは、薬剤師の年収はどのくらいでしょうか。
厚生労働省の平成30年賃金構造基本統計調査によると、薬剤師(平均38.6歳・平均勤続年数7.6年)の年収は543万5,900‬円となっています。すべての職業に従事する人(平均42.9歳・平均勤続年数12.4年)を対象にした平均年収は497万2,000円で、薬剤師の年収は比較的高い水準となっています。

薬剤師の年代別の平均貯蓄額を示したデータはないため、まず一般的な年代別の平均貯蓄額から、推計してみます。同じく厚生労働省の平成28年国民生活基礎調査によると、1世帯あたりの平均貯蓄額は1031.5万円です。

下記の表は、同世代の年収と貯蓄額の比率を当てはめて、年代別の薬剤師の貯蓄額を推計したものです。あくまで推計にはなりますが、50〜59歳以外では年収が高水準にあるため貯蓄額もそれだけ多いと推測できます。

全職種と薬剤師の年収と貯蓄額(推計)比較

年齢区分全職種
平均年代別
年収
全職種
平均年代別
貯蓄金額
薬剤師の
年代別年収
薬剤師の
推計貯蓄額※
29歳以下396万
9,000円
154万
8,000円
459万約179万円
30歳~
39歳
478万
6,000円
404万
1,000円
565万
9,000円
約478万円
40歳~
49歳
561万
5,000円
652万
7,000円
612万
3,000円
約718万円
50歳~
59歳
605万
4,000円
1,051万
2,000円
607万
4,000円
約1,055万円
60歳~
69歳
397万
4,000円
1,339万
4,000円
540万円約1,820万円
70歳以上330万
4,000円
1,263万
5,000円
549万
5,000円
約2,101万円

※薬剤師の推計貯蓄額は下記の方法で独自計算し、計算結果の小数点第四位を四捨五入したもの
※薬剤師の年代別年収×(全職種平均年代別年収➗貯蓄額)=薬剤師の推計貯蓄額

【参考】厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査 結果の概況 詳しくはこちら
【参考】厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査の概況 詳しくはこちら

薬剤師資格とその仕事

薬剤師資格とその仕事

薬剤師になるためには、原則として薬学系の大学を6年かけて卒業することで、国家試験の受験資格が取得でき、2日間の日程で実施される試験を受験します。2019年3月に実施された試験ではおよそ7割が合格しています。
厚生労働省の2016年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況によると、就職先は調剤薬局やドラッグストアが6割近くを占め、病院などの医療施設19%、製薬会社などが14%となっています。

薬剤師の将来性は

薬剤師の将来性は

薬剤師の職業としての将来性はどうなのでしょうか? 薬剤師は幅広い知識を持つ薬のプロフェッショナルです。医薬分業が進む中で、薬剤師に求められるものはより多くなっていくと考えられます。ドラッグストアの積極的な出店もあり、薬剤師不足はしばらく続きそうです。
また、ITが薬剤師の仕事を奪うのではないかという議論もありますが、すでにIT化や機械化は薬剤師の仕事場では進んでいます。そうした流れに対応して、患者が求めることに寄り添った対応をする薬剤師は、まだまだ必要とされる存在だと思われます。

【参考】日本経済新聞「ドラッグストア、再編第2幕へ 規模7兆円超えも、成長に減速感 薬剤師の人手不足も後押し、地域すみわけの構図も崩れ」 詳しくはこちら

預貯金を増やすための工夫は将来を考えることから

預貯金を増やすための工夫は将来を考えることから

薬剤師の収入は他の職業と比較すると高い水準にありますが、それだけに貯蓄額を増やしやすいといえるでしょう。
現在、独身であれば、結婚をするのか、またその時期はいつなのか。すでに結婚をしているのであれば、子供はどうするのか、教育はどのようにしていこうと考えるのか。また、住まいはどうするのか。将来のライフプランを考えることが必要です。

今の収入と今後の収入をイメージして、人生の大きなイベントを想定してみます。マイホームや保険は大きな支出となりますし、趣味や楽しみに使うお金も確保しなければなりません。そうした自分の人生の設計図を描いた上で、どのくらいのお金が今後必要なのかをイメージしていきます。

財形貯蓄や積立定期などを利用する手も

単純に収入を預貯金に回す以外にも、手元の預貯金を増やすためにはさまざまな方法があります。もし、勤務先の企業が毎月の給与から一定額を天引きして金融機関に送金を行う財形貯蓄制度を導入しているなら利用を検討してみてはいかがでしょうか。財形貯蓄にはいくつかの種類があり、商品によって金利や税制面の違いがあるので、勤務先で確認してみてください。

また、勤務先が財形貯蓄を導入していない場合は、自動振替で自身の口座から積み立てをする自動積立定期預(貯)金や、満期期間の定めがある固定金利型で元本保証の「スーパー定期」などを利用して着実に増やしていくことを考えてみましょう。

長期的な資産形成も必要

また、収入にある程度余裕ができた時は、長期的な資産形成を考えてみてはいかがでしょうか。
低金利が続き思うようにお金が増えない時代です。いわゆる「老後2,000万円問題」など、将来的な資金について備えるのは、早いうちからに越したことはありません。
国は数年前から「貯蓄から資産形成へ」と呼びかけると同時に、さまざまな制度変更で私たちの資産形成をバックアップしようとしています。
株式や投資信託などの売買益や配当金などが非課税になる「つみたてNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)」や、掛金の所得控除・運用益の非課税などの優遇がある「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」が代表的ですが、将来に備えて、こうした制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。知識がなく不安という方は、信頼できる金融機関の担当者などに相談してみるのもよいでしょう。

まとめ

医療制度の改革や高齢者の増加をはじめとした社会環境の変化により、薬剤師の役割・活躍の場所も広がりを見せています。薬剤師は他の職業と比較して、多くの収入や貯蓄があるという利点があります。着実に、貯蓄をしていくと同時に、将来を見据えた資産運用にもチャレンジしていきましょう。

ご留意事項
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