薬剤師の年収・預貯金額はどれくらい? 預貯金を増やすためにすべき事

薬剤師を取り巻く環境が変わっていく中で、薬剤師の預貯金額、収入や待遇について解説します。医療制度の見直しによる薬局や薬剤師のあり方などを踏まえて、薬剤師の将来性について考えてみましょう。自分のライフプランと現在・今後の収入に応じて、NISAやiDeCoの資産形成方法も活用してみてください。

薬剤師の年収・預貯金額はどれくらい? 預貯金を増やすためにすべき事

薬剤師の年収と預貯金額の推計

薬剤師の年収と預貯金額の推計

それでは、薬剤師の年収はどのくらいでしょうか。
厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査によると、薬剤師(平均41.1歳・平均勤続年数9.1年)の年収は583万3,900‬円となっています。すべての職業に従事する人(平均43.7歳・平均勤続年数12.3年)を対象にした平均年収は496万5,000円で、薬剤師の年収は比較的高い水準となっています。

薬剤師の年代別の平均貯蓄額を示したデータはないため、まず一般的な年代別の平均貯蓄額から、推計してみます。同じく厚生労働省の令和4年国民生活基礎調査によると、1世帯あたりの平均貯蓄額は1368.3万円です。

下記の表は、同世代の年収と貯蓄額の比率を当てはめて、年代別の薬剤師の貯蓄額を推計したものです。あくまで推計にはなりますが、50〜59歳以外では年収が高水準にあるため貯蓄額もそれだけ多いと推測できます。

全職種と薬剤師の年収と貯蓄額(推計)比較

年齢区分 全職種
平均年代別
年収
全職種
平均年代別
貯蓄金額
薬剤師の
年代別年収
薬剤師の
推計貯蓄額※
29歳以下 372万
8,000円
245万
1,000円
451万
8,000円
約297万円
30~
39歳
483万
9,000円
717万
8,000円
583万円 約865万円
40~
49歳
553万円 925万
8,000円
635万
9,000円
約1,065万円
50~
59歳
588万
9,000円
1,248万
4,000円
688万
5,000円
約1,459万円
60~
69歳
423万
1,000円
1,738万
8,000円
566万
8,000円
約2,329万円
70歳以上 322万
4,000円
1,594万
7,000円
557万
7,000円
約2,759万円

※薬剤師の推計貯蓄額は下記の方法で独自計算し、計算結果の小数点第四位を四捨五入したもの
※薬剤師の年代別年収×(全職種平均年代別貯蓄額÷年収)=薬剤師の推計貯蓄額

【参考】厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」 詳しくはこちら
【参考】厚生労働省「令和4年 国民生活基礎調査の概況」 詳しくはこちら

薬剤師資格とその仕事

薬剤師資格とその仕事

薬剤師になるためには、原則として薬学系の大学を6年かけて卒業する事で、国家試験の受験資格が取得でき、2日間の日程で実施される試験を受験します。2019年3月に実施された試験ではおよそ7割が合格しています。
厚生労働省の2018年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況によると、就職先は薬局が6割近くを占め、病院等の医療施設19%、製薬会社等が13%となっています。

【参考】厚生労働省「平成30年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」詳しくはこちら

薬剤師の将来性は

薬剤師の将来性は

薬剤師の職業としての将来性はどうなのでしょうか? 薬剤師は幅広い知識をもつ薬のプロフェッショナルです。医薬分業が進む中で、薬剤師に求められるものはより多くなっていくと考えられます。ドラッグストアの積極的な出店もあり、薬剤師不足はしばらく続きそうです。
また、ITが薬剤師の仕事を奪うのではないかという議論もありますが、すでにIT化や機械化は薬剤師の仕事場では進んでいます。そうした流れに対応して、患者が求める事に寄り添った対応をする薬剤師は、まだまだ必要とされる存在だと思われます。

【参考】日本経済新聞「ドラッグストア、再編第2幕へ 規模7兆円超えも、成長に減速感 薬剤師の人手不足も後押し、地域すみわけの構図も崩れ」 詳しくはこちら

預貯金を増やすための工夫は将来を考える事から

預貯金を増やすための工夫は将来を考える事から

薬剤師の収入はほかの職業と比較すると高い水準にありますが、それだけに貯蓄額を増やしやすいといえるでしょう。
現在、独身であれば、結婚をするのか、またその時期はいつなのか。すでに結婚をしているのであれば、子供はどうするのか、教育はどのようにしていこうと考えるのか。また、住まいはどうするのか。将来のライフプランを考える事が必要です。

今の収入と今後の収入をイメージして、人生の大きなイベントを想定してみます。マイホームや保険は大きな支出となりますし、趣味や楽しみに使うお金も確保しなければなりません。そうした自分の人生の設計図を描いたうえで、どのくらいのお金が今後必要なのかをイメージしていきます。

財形貯蓄や積立定期等を利用する手も

単純に収入を預貯金に回す以外にも、手元の預貯金を増やすためにはさまざまな方法があります。もし、勤務先の企業が毎月の給与から一定額を天引きして金融機関に送金を行う財形貯蓄制度を導入しているなら利用を検討してみてはいかがでしょうか。財形貯蓄にはいくつかの種類があり、商品によって金利や税制面の違いがあるので、勤務先で確認してみてください。

また、勤務先が財形貯蓄を導入していない場合は、自動振替で自身の口座から積立をする自動積立定期預(貯)金や、満期期間の定めがある固定金利型で元本保証の「スーパー定期」等を利用して着実に増やしていく事を考えてみましょう。

長期的な資産形成も必要

薬剤師として収入にある程度余裕ができた時は、長期的な資産形成を考えてみてはいかがでしょうか。

低金利が続き、銀行口座に貯金しているだけでは思うようにお金が増えない時代です。いわゆる「老後2,000万円問題」等、将来的な資金について備えるのは、早いうちからに越した事はありません。

国は数年前から「貯蓄から資産形成へ」と呼びかけると同時に、さまざまな制度変更で私たちの資産形成をバックアップしようとしています。
株式や投資信託等の売買益や配当金等が非課税になる「つみたてNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)」や、掛金の所得控除・運用益の非課税等の優遇がある「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」が代表的ですが、将来に備えて、こうした制度の利用を検討してみるのも1つの手です。

NISAは2024年から新NISAへと制度が生まれ変わります。新NISAでは投資枠が拡大し、非課税期間も無制限になる等、より使いやすい制度になります。知識がなく不安という方は、信頼できる金融機関の担当者等に相談してみるのもよいでしょう。

まとめ

医療制度の改革や高齢者の増加をはじめとした社会環境の変化により、薬剤師の役割・活躍の場所も広がりをみせています。薬剤師はほかの職業と比較して、多くの収入や貯蓄があるという利点があります。着実に、貯蓄をしていくと同時に、将来を見据えた資産運用にもチャレンジしていきましょう。

ご留意事項
  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
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