硬貨や紙幣はどのような素材からできているの?お金の豆知識をご紹介

日本の貨幣に使われている素材は全部で5種類あり、それらの組み合わせによって6種類の貨幣が製造されています。紙幣の素材は日本特産のミツマタと、マニラ麻です。この記事では、現在私たちが使っている通貨や昔の通貨、外国の通貨がいったい何でできているのか、お金の素材に関するトリビアをご紹介します。

硬貨や紙幣はどのような素材からできているの?お金の豆知識をご紹介

硬貨は金額によって違う素材が使われている

硬貨は金額によって違う素材が使われている

現在使われている日本の硬貨は、以下の6種類です。

・1円玉
・5円玉
・10円玉
・50円玉
・100円玉
・500円玉

これらの硬貨は、アルミニウム・銅・スズ・亜鉛・ニッケルという5つの素材の組み合わせによって作られています。ここでは、日本の貨幣を造っている独立行政法人造幣局のデータを元に、その素材や重さ、大きさを紹介し、使用されている素材の特徴を解説します。

1円硬貨の素材

項目  データ
素材 アルミニウム
重さ 1.0g
大きさ 20.0mm

1円玉は、アルミニウム100%でできています。アルミニウムの主な特徴は軽い、加工がしやすい、コストが安いことです。また空気中で自然に膜を作るため、錆びにくいという特性もあります。何万人という人の手に触れ、長い間使用されても、錆びづらいのはこの特性のためです。1円玉以外にアルミニウムが使われている代表的なものとして、アルミホイルやアルミ缶、窓のサッシ、自動車などが挙げられます。ちなみに、1円玉以外の硬貨には共通して材料に銅が使われています。これは銅に強力な殺菌作用があるためです。しかし1円玉に銅を使用すると1円という価値を超えてしまうため、安価なアルミニウムが使用されています。

5円硬貨の素材

項目  データ
素材 黄銅(銅60~70%・亜鉛40~30%)
重さ 3.75g
大きさ 22.0mm

5円玉の黄金色は、銅と亜鉛で作られる「黄銅」と呼ばれる素材によるものです。黄銅は適度な強度と延性を持ち、加工しやすい金属として知られています。黄銅はカメラや時計の部品、金管楽器、金属雑貨などに用いられ、金に似た色合いであることから金の代用品としても使用されています。

10円硬貨の素材

項目  データ
素材 青銅(銅95%・亜鉛4~3%・スズ1~2%)
重さ 4.5g
大きさ 23.5mm

10円玉は銅に亜鉛とスズを混ぜた「青銅」と呼ばれる素材でできています。青銅はブロンズとも呼ばれ、奈良の大仏なども青銅で作られています。10円玉が本来の銅に近い赤茶色をしているのは、スズと亜鉛が含まれる割合が5%と少ないからです。

50円硬貨の素材

50円硬貨の素材

項目  データ
素材 白銅(銅75%・ニッケル25%)
重さ 4.0g
大きさ 21.0mm

50円玉は銅にニッケルを混ぜて作られる「白銅」という素材でできています。これは100円玉と全く同じ材料です。しかし50円玉と100円玉は重さや大きさが異なり、さらに判別しやすいよう50円玉には穴(孔)もあけられています。白銅にはある程度の酸や海水に触れても腐食せず、高温(250℃以上)にも耐えるという特徴があります。

100円硬貨の素材

項目  データ
素材 白銅(銅75%・ニッケル25%)
重さ 4.8g
大きさ 22.6mm

100円玉は、先述の通り白銅でできています。もともと100円は銀で作られたものが流通していましたが、銀が不足し価格が高騰したことから、色合いが似ており銀の代用品として使われる白銅へと素材が変更されました。白銅は貨幣のほかに、フルートなどにも使用されています。

500円硬貨の素材

項目  データ
素材 ニッケル黄銅(銅75%・亜鉛12.5%・ニッケル12.5%)
重さ 7.1g
大きさ 26.5mm

500円玉は銅と亜鉛、ニッケルを混ぜ合わせた「ニッケル黄銅」と呼ばれる素材でできています。100円玉に黄色味を足したような500円玉の色合いは、亜鉛によって生まれているのです。この500円玉は2021年上期に生まれ変わり、新500円玉は周りがニッケル黄銅、中心部が白銅の2色(バイカラー)になりました。

【参考】造幣局「現在製造している貨幣」詳しくはこちら

紙幣の素材には特殊な和紙が使われている

紙幣の素材には特殊な和紙が使われている

続いて紙幣に使用されている素材を紹介します。紙幣に使われている和紙は、普段手にするようなコピー用紙とは異なる手触りをしています。これは、紙幣がパルプから作られているのではなく、「ミツマタ(三椏)」や「マニラ麻」といった植物繊維から作られているためです。

ミツマタは日本の特産植物で、名前の由来は枝が3つに分かれていることです。春先にきれいな黄色の花が咲きます。そんなミツマタの繊維には虫がつかず、丈夫で、さらに透かし加工もしやすいという特徴があります。柔軟で光沢を持っているため、紙幣の材料にぴったりなのです。


マニラ麻はバショウ科の植物で、その繊維はロープや紅茶のティーバッグなどに使われています。ミツマタとともに補助原料として使われており、耐久性を高め、独特の風合いを加えます。

特殊なインキも日本の紙幣の特徴

日本の紙幣には和紙だけでなく、インキも特殊なものが使われています。これは偽造防止のためです。紙幣に使われるインキは、顔料とワニスなどを配合して作られます。独特な色合いを持っており、さらに傾けたときの角度によって色が変化して見えるような機能も持ち合わせています。

【参考】国立印刷局「お札の特長」 詳しくはこちら

昔はお金の素材が現在と異なっていた

昔はお金の素材が現在と異なっていた

今は5種類の素材によって貨幣が造られていますが、昔は貨幣に使用される素材が大きく異なっていました。

江戸時代に使われていたのは、金貨・銀貨・銭貨(銅)の3つです。金貨は主に江戸で、銀貨は主に大阪で使われていました。昭和32(1957)年から昭和33(1958)年まで発行されていた100円玉も銀貨でできていました。

また、実際に発行には至らなかったものの、1945年に粘土と石を使用した貨幣(陶貨)も製造されました。粘土と石を貨幣に使用したのは、戦時中で金属の使用を制限していたためです。しかし発行前に終戦を迎えたため、陶貨は流通することなくほとんどが粉砕されました。

日本と外国でもお金の素材が異なる

日本と外国でもお金の素材が異なる

外国の紙幣は、日本のものと大きく異なります。オーストラリア、ニュージーランド、ベトナム、チリなど20か国以上の国々では、「ポリマー紙幣」と呼ばれるプラスチック製の紙幣が使われているのです。
留学や海外旅行で外国の通貨に触れる際は、質感や色合いの違いを確かめてみても面白いかもしれません。

まとめ

日本の貨幣に使われている素材は全部で5種類あり、それらの組み合わせによって6種類の貨幣が製造されています。紙幣の素材は日本特産のミツマタと、マニラ麻です。昔の通貨や外国の通貨に使われる素材と比べると、さまざまな違いがあります。
今回はお金の素材についてご紹介しましたが、ほかにもお金に関するトリビアはいろいろあります。お金への興味が湧いたら、ぜひいろいろと調べてみてください。

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