歴代のお札には動物が何匹登場した?想像上の動物もいる?

日本のお札には歴史上の偉人が多く印刷されていますが、偉人と共に動物も印刷されていることをご存知でしょうか?この記事では、歴代で何匹の動物がお札に印刷されていたのか、またそれはどのような動物だったのかをご紹介します。

歴代のお札には動物が何匹登場した?想像上の動物もいる?

動物は最初のお札(日本銀行券)から登場

動物は最初のお札(日本銀行券)から登場

福沢諭吉、野口英世など歴史上の偉人がデザインされているイメージが強い日本のお札ですが、これまでのお札には何匹もの動物が登場しています。実は1885年5月9日に日本で最初に発行された日本銀行券である「旧10円券」にも動物の絵が描かれていました。大黒天の絵が描かれていたことから「旧10円券」は「大黒札」とも呼ばれ、その大黒天の足元に「ネズミ」の姿が描かれています。

ちなみにこの「旧10円券」には面白い工夫がなされていました。紙質を強化するために、紙幣の製造にこんにゃくの粉が使われていたのです。しかしその結果、お札がネズミに食べられるという害が発生し、数年で新しいお札へと変更されました。ネズミが描かれたお札がネズミに食べられてしまうというのは、落語のような面白さがあります。

歴代のお札に登場した動物は8種類

歴代のお札に登場した動物は8種類

ネズミが描かれた「旧10円券」が発行された後も、いくつかの動物がお札の表や裏に描かれてきました。お札に登場した動物の数は、なんと8種類もいます。ここでは、どのお札に何の動物が描かれていたのかをご紹介します。

過去のお札とそのお札に描かれていた動物

お札 発行年度 描かれた動物
旧10円券 1885年 ネズミ
改造10円券・甲10円券 1890年・1899年 イノシシ
い5銭券 1944年
A1円券 1946年 ニワトリ
A10銭円券 1947年
C5,000円券 1957年 ライオン
D10,000円券 1984年 キジ
D1,000円券 1984年 丹頂鶴

【参考】日本銀行:「お金の話あれこれ」 ※詳しくはこちら

上記の表から、日本のお札にはいろいろな動物が描かれていたことがわかります。動物が描かれていた場所はさまざまで、お札の表に描かれることもあれば、裏に描かれることもありますし、中央に大きくデザインされたこともあれば、周りを縁取るようにデザインされたこともあります。

特に人々から人気のあったお札は、明治時代に使われ、イノシシが描かれていた2つの10円券「改造10円券・甲10円券」だったそうです。「改造10円券」にはお札の表にイノシシが描かれていたので「表イノシシ」、「甲10円券」にはお札の裏に描かれていたので「裏イノシシ」と呼ばれ、国民から親しまれていました。ちなみにイノシシが描かれることになった理由は、2つのお札に共通して使用されている肖像画の「和気清麻呂」という人物と関係があります。和気清麻呂は、奈良時代に活躍した官人で、ある伝説の持ち主です。それは、とあることから彼が暗殺されそうになったとき、イノシシの大群が押し寄せてきて彼を守ったというものです。このことからイノシシは和気清麻呂の守護獣として扱われるようになり、お札にも彼とともに描かれる運びとなりました。このようにお札にはその人物とゆかりがある動物が描かれることもあります。ゆかりを調べてみるのも面白いでしょう。

想像上の動物では「鳳凰」も登場

想像上の動物では「鳳凰」も登場

日本のお札には、想像上の動物である「鳳凰」も複数回登場しています。たとえば、現在わたしたちが使用している福沢諭吉の肖像が描かれた「E10,000円券」の裏面に、宇治平等院鳳凰堂の鳳凰像を元にした鳳凰の絵が描かれているのをご存知でしょうか?ほかにも昔のお札である「ろ10円券」などにも鳳凰が描かれました。

鳳凰は想像上の動物ではあるものの、古くから瑞兆(よいことが起こる前兆)として尊ばれていることや、日本が誇る世界遺産「平等院」にその像が据えられていることなどから、品格のあるふさわしい動物として頻繁に登場しています。鶴もそうですが、やはり吉兆や縁起の良い印象が強い動物が選ばれる傾向があり、それは架空の生き物でも例外ではないことがわかります。

通常のお札以外にはほかの動物も登場

通常のお札以外にはほかの動物も登場

日本では、通常のお札は「日本銀行」が発行しています。しかし日本銀行が設立される前や、貨幣を作るための材料が枯渇したときには、政府が日本銀行の代わりにお札を発行していました。そのときに作られていたお札にも、動物が登場しています。

明治元年の政府紙幣

1868年(明治元年)に発行された「明治通宝」と呼ばれるお札には、実在の動物では孔雀(くじゃく)と千鳥(ちどり)が、想像上の動物では竜が描かれていました。

昭和17年の五十銭紙幣

日中戦争が拡大し、金属不足に陥った1942年(昭和17年)には、貨幣の代わりとなる紙幣「50銭紙幣」が発行されました。このお札には鳶(トビ)が描かれていました。

おまけ:海外のお札に登場する動物

日本のお札だけでなく海外のお札にも、それぞれの国によってさまざまな動物がデザインされています。最後に海外のお札に登場する動物たちをご紹介しましょう。

南アフリカのお札

野生動物が多く生息する南アフリカでは、国民から親しまれているBIG5と呼ばれる5匹の動物、ヒョウ・ライオン・サイ・ゾウ・バッファローがお札にデザインされています。南アフリカのお札はSouth Africa Rand(ランド)というもので、動物はそれぞれ10/20/50/100/200ランドお札の裏面に、大きく印刷されています。国を象徴している動物が選ばれていることがわかります。

インドネシアの旧札

現在は発行されていませんが、インドネシアのお札にはオランウータンが描かれていました。紙幣は単色で印刷されることが多いですが、こちらのオランウータンは、緑をバックに体は茶色で描かれており、絵のようなカラフルさが特徴的です。なお、インドネシアを代表する動物のオランウータンですが、現在は森林開発などの影響によって絶滅危惧種に指定されています。

コスタリカのお札

コスタリカで使われているお札の裏面にも、動物がデザインされています。1,000コロン券にはオジロジカ、2,000コロン券にはオオメジロザメやカリビアンヒトデなど海の生物などがデザインされています。

ケイマン諸島のお札

ケイマン諸島のお札は、その諸島に生息する動物や植物が、お札の表裏両面に描かれています。魚やカメ、カニなど水族館のような美しさです。

まとめ

まとめ

日本や海外のお札に描かれている動物についてご紹介しました。紙幣に印刷される動物には、描かれている偉人と関係しているものや国を象徴しているものなどが選ばれる傾向があります。海外のお札にも同様の傾向が見て取れます。また、お札には、偉人や今回ご紹介した動物だけでなく建物、植物などさまざまなものがデザインされています。お手持ちのお札を一度観察してみても面白いかもしれません。2024年に発行予定の新紙幣のデザインも確認してみても楽しいでしょう。

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