お金の郵送はNG!現金を送る「現金書留」や「為替証書」などの郵送手段を紹介

「お年玉やご祝儀、入学祝いなどを直接持参できないため、お金を郵送したい」とお悩みではありませんか。そもそもお金は郵送してもよいのでしょうか。また可能ならば、お金の郵送にはどのような方法があるのでしょう。今回はお金の郵送の可否と併せて、現金以外でのお金の送付方法について解説します。

お金の郵送はNG!現金を送る「現金書留」や「為替証書」などの郵送手段を紹介

お金(現金)は普通郵便では送れない

お金は普通郵便では送れない

日本郵便株式会社の独占事業である郵便事業は、郵便法によって郵便物の種類・料金・取り扱いなどの基本的事項が定められています。同法第17条には、「現金又は郵便約款の定める貴金属、宝石その他の貴重品を郵便物として差し出すときは、書留(第四十五条第四項の規定によるものを除く。)の郵便物としなければならない。」とあり、普通郵便でお金を送付することを禁じています。

【引用】総務省:「郵便法(昭和22法律165)」第十七条(現金及び貴重品の差出し方)詳しくはこちら

郵便法第17条の違反について、特に罰則が定められているわけではありません。しかし、同法第84条1項に「不法に郵便に関する料金を免れ、又は他人にこれを免れさせた者は、これを三十万円以下の罰金に処する。」と規定があるように、意図的に郵便料金を免れようと書留郵便以外の方法でお金を送付した場合には罰金を科せられる可能性があります。

【引用】総務省:「郵便法」第八十四条詳しくはこちら

現金を直接郵送するなら「現金書留」を利用

お金を郵送するなら「現金書留」を利用

お金を送付できるのは、郵便局で取り扱っている現金書留のみです。現金書留には、お年玉を入れたポチ袋、ご祝儀・入学祝いを入れたのし袋や手紙を同封することもできます。

「書留」とは?

「書留」とは?

書留郵便とは、郵便物の引き受けから配達完了までの送達経過を記録し、相手先に届かなかった場合に、郵便窓口で申告した送付金額が賠償される郵便物です。また、付与された追跡番号を用いて、配達状況を確認することができます。

現金書留は窓口に持参する必要あり

現金書留はポスト投函ではなく郵便窓口へ持参し、引き受けてもらう必要があります。

現金書留の配達日は土日も可能だが、印・サインが必要

現金書留は土日祝日も配達してもらえますが、受け取り時に相手先の受領印もしくはサインが必要です。不在時には、投函される不在票を確認し、再配達の依頼もしくは保管している郵便局へ行けば受け取ることができます。

現金書留にかかる費用は1万円までは435円、それ以降は5,000円ごとに10円増

現金書留を送るには、重量分の定形・定形外郵便の料金のほかに現金書留料金を支払わなければなりません。また、現金書留専用封筒代として21円が必要になります(窓口で販売している現金封筒の大きさを超える場合は、専用封筒を使用しなくても現金書留とすることができます)。現金書留料金は送付金額が1万円までの場合は435円です。1万円超の場合は、5,000円増えるごとに10円が加算されます。

【参考】日本郵便株式会社:「書留」詳しくはこちら
【参考】日本郵便株式会社:「別紙1」(5)特殊取扱料金 ア料金額 詳しくはこちら

現金書留の補償額は最大50万円までなので要注意

現金書留は、受付に差し出す際に中に入っている金額を伝えることで、万が一損傷した・紛失した場合に補償をしてもらえます。この補償額(損害要償額)は50万円までです。送付金額の申告がない場合、補償してもらえるのは1万円までになってしまうため注意しましょう。ちなみに現金書留の送付金額の上限は、明確には定まっていません。しかし補償してもらえるのが50万円までであることを考えると、それ以上の金額を送付するのは避けた方が賢明です。

【参考】日本郵便株式会社:「書留」詳しくはこちら
【参考】日本郵便株式会社:「オプションサービス」詳しくはこちら

「為替証書」を郵送してお金を送る手段もある

「為替証書」を郵送してお金を送る手段もある

「為替証書」は現金の代わりとして利用される証書のことで、正式名称は「郵便為替証書」です。為替証書は現金ではないので普通郵便での送付が可能ですが、受取人は直接現金を受け取るのではなく、為替証書と引き換えに郵便局で現金を受け取らなければなりません。
為替証書には「普通為替」と「定額小為替」の2種類があります。普通為替は送付金額がそのまま表示される普通為替証書が発行されますが、定額小為替は送付金額に応じて、50円〜1,000円までの12種類の定額小為替証書が発行されます。

自分で金額を決めるなら「普通為替」、定額なら「定額小為替」

「普通為替」「定額小為替」の違いは、自分で金額を決定できるかどうかです。普通為替は、1枚につき10万円までの金額を自分で自由に決めることができる一方、定額小為替は、12種類の定額小為替証書を組み合わせて現金を渡します。例えば、800円だと500円と300円を組み合わせて800円を作ります。

為替証書には発行手数料がかかる

また、為替証書の発行には発行手数料がかかります。普通為替の場合、為替証書1枚あたり送付金額5万円未満なら437円、5万円以上なら662円です。定額小為替の場合、1枚あたり100円(全金種共通)がかかります。つまり800円を送る場合、定額小為替を利用した方が手数料を安く抑えられるので、送りたい金額によって使い分けると良いでしょう。

【参考】ゆうちょ銀行:「料金一覧:貯金・為替」為替 振出し料金(為替証書1枚につき)詳しくはこちら

取り扱いは平日の窓口のみ、有効期限もあるので注意

遠方にある自治体の住民票を取り寄せる際に、手数料を普通為替・定額小為替で送るように指示されることがあります。どちらの為替証書も、販売がゆうちょ銀行もしくは郵便局の貯金窓口に販売が限られており、コンビニでは購入できません。また、販売は平日の郵便局の営業時間内に限られており、夜間・土日に利用できるゆうゆう窓口でも取扱いはされていないため、注意が必要です。
なお、受け取った普通為替・定額小為替の有効期限は、どちらも発行日から6ヶ月です。有効期限が過ぎた場合は、為替証書の再発行請求が必要です。また発行日から5年間、再発行請求もしくは現金への引き換えがない場合は、為替金の受け取りができません。

「普通為替」で送る方法

ゆうちょ銀行もしくは郵便局の貯金窓口で、送付金額の現金に為替証書発行手数料を添えて申込みます。送付金額が表示された普通為替証書が発行されるので、所定の受取人欄に受取人の名前を記入し、受取人宛てに送付します。

「定額小為替」で送る方法

普通為替同様に、ゆうちょ銀行もしくは郵便局の貯金窓口で、送付金額の現金に為替証書発行手数料を添えて申込みます。送付金額に応じた定額小為替証書が発行されるので、所定の受取人欄に受取人の名前を記入し、受取人宛てに送付します。なお、同一の金種を100枚以上購入する際は、事前にゆうちょ銀行もしくは郵便局へ伝えておきましょう。

【参考】ゆうちょ銀行:「定額小為替」詳しくはこちら

現金郵送にこだわらないなら銀行振込や個人間送金ができるアプリも

現金郵送にこだわらないなら銀行振込や個人間送金ができるアプリも

手間をかけずに現金を送付する方法のひとつとして、銀行振込やインターネットバンキングがあります。ATMやインターネット経由で振り込めば、わざわざ郵便局に出向く必要がありません。
また、LINEのスマホ決済サービスの「LINE Pay」やPayPay などのQRコード決済アプリの送金機能なら、個人間送金をすばやく行うことも可能です。

まとめ

現金を送付する方法は、郵便局取り扱いの現金書留のみです。現金書留以外の郵便で現金を送付することは法律で禁止されているため、違反した場合には罰金を科される可能性もあります。現金にこだわらないのであれば、現金を為替証書に変えて送付したり、銀行振込や個人間送金ができるアプリを利用したりして送金することも可能です。ただし、現金書留であれば万が一の場合に補償が受けられるため、安心なのは間違いないでしょう。本当に郵送が必要なのか手間も考えながら送金方法を決めましょう。

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