ファンドラップとは?投資の専門家に資産運用を任せるサービスを解説

ファンドラップとは、投資の専門家が資産運用を代行をしてくれるサービスです。物価が上がっていることやお金の価値が相対的に下がったことで、資産を現金保有することに不安を覚えている方も多いでしょう。今回は、投資の専門家に資産運用をお任せできるファンドラップのサービスや、投資信託やロボアドバイザーとの違いを紹介します。

ファンドラップとは?投資の専門家に資産運用を任せるサービスを解説

ファンドラップとは?

ファンドラップとは?

ファンドラップとは、顧客一人ひとりの運用スタイル、リスク許容度に応じて、運用方針をお互いで取り決めて、その方針に沿ってファンドの選定や配分を決めて運用してくれたり、あらかじめ用意した運用パターンから、お客様に合うスタイルのものを提案してくれたりするサービスです。
国内外の株式や債券などに投資する投資信託を組み合わせた複数のポートフォリオの中から、ヒアリングを元に自分に合ったものを提案してくれます。また、投資環境に合わせてファンドの組み入れ比率の変更や、組み入れファンドの見直しも行ってくれ、資産運用をトータルで代行してくれます。

ファンドラップのサービスの特徴

ファンドラップのサービスの特徴

ファンドラップには、5つの特徴があります。
・投資の専門家が資産運用を代行してくれる
・「投資一任契約」で資産運用を一括して行ってくれる
・分散投資、長期投資でリスクに備えた資産運用ができる
・自分に合った資産運用ができる
・最低投資金額や手数料が決まっている

投資の専門家が資産運用を代行してくれる

ファンドラップで資産運用を行ってくれるのは、投資の知識や経験が豊富な専門家です。投資を始める一連の流れは、口座開設、商品の選定、購入ですが、投資初心者の方にはハードルが高いものです。数多くある金融商品の特徴やリスクを把握し、選択、運用状況に応じて商品の見直しも必要です。

ファンドラップであれば、自分の投資方針を踏まえながら、専門家のアドバイスを受けたり、資産運用を代行してもらったりすることができます。

「投資一任契約」で資産運用を一括して行ってくれる

ファンドラップでは、投資一任契約を結びます。投資一任契約とは、顧客が金融機関に金融商品の運用に関する投資判断の全部又は一部を一任するとともに、その判断に基づき売買を行う際に必要な権限を委任する契約のことです。
専門家やAIが顧客のニーズに合ったポートフォリオを提案してくれるサービスはありますが、管理や運用までを代行してくれるサービスは少ないでしょう。利用開始後に行う手続きは基本的にないため、時間も手間も節約できます。

分散投資、長期投資でリスクに備えた資産運用ができる

分散投資、長期投資は投資の基本ですが、どこまでリスクを許容するかは人それぞれ異なるでしょう。資金を一つの金融資産に集中させると、大きな利益が期待できる一方で、大きく損をしてしまう可能性も高まります。また、過度にリスクを抑えた運用では、目標金額に達しない可能性もあります。

ファンドラップでは、専門家がさまざまな投資信託を組み合わせたポートフォリオを作成してくれるため、自分のリスク許容度にあった運用が期待できます。

自分に合った資産運用ができる

資産運用を始める際、多くの人が特に難しいと感じるのは、リスクとリターンのバランスです。リスクやリターンは数字で表されているものの、専門知識がなければ自分に適したバランスを見つけるのは難しいでしょう。
想定以上のリスクを取ってしまい、日々運用成績にハラハラすることは避けたいものです。ファンドラップであれば、専門家のヒアリングを受けるだけで、投資目的やリスク許容度に合ったポートフォリオを作成してもらえます。

また、投資環境は日々変わるため、定期的にポートフォリオを見直す必要があります。ファンドラップでは、顧客が依頼せずとも、専門家が適宜ファンドの見直しや入替を行ってくれます。

最低投資金額や手数料が決まっている

ファンドラップは、最低投資金額や手数料が決まっています。
最低投資金額は多くの金融機関で300万円程度となっています。

手数料は、サービスの対価である投資一任報酬と、サービスを通して投資する投資信託の信託報酬に分けられます。金融機関によって異なるものの、投資一任報酬は預けた資産の時価評価額に対して年率1.5~2%が相場です。

金融機関によっては、長期保有割引があります。

ファンドラップのメリット

ファンドラップのメリット

ファンドラップのメリットは3つです。
・投資の専門家に資産運用をお任せできる
・自分に合った投資先を提案してもらえる
・分散投資・長期投資が可能

ファンドラップを利用する一番のメリットは、専門家に資産運用をお任せできることでしょう。専門家のヒアリングを受けるだけで、投資先を選定してもらえます。運用開始後は、投資環境の変化に合わせて資産配分の見直しも行ってくれます。

ファンドラップでは、専門家が複数の投資先を組み合わせたポートフォリオを作成します。
日本株式や日本債券、外国債券、REITなど、投資対象を分散させることで、リスクの軽減が期待できます。短期的に大きな利益を得たいというより、長期投資で利益が出る可能性を高めたいという方に向いているでしょう。

ファンドラップのデメリット

ファンドラップのデメリット

ファンドラップのデメリットは3つです。
・最低投資金額が数百万円
・信託報酬に加え、投資一任報酬も掛かる
・投資の方針や運用成績は担当者次第

ファンドラップを利用する場合、最低投資金額の相場は300万円程度です。退職金や相続財産など、まとまった金額を保有している人には向いていますが、まずは少額から始めたい人にとってはデメリットに感じるポイントです。

ファンドラップでは投資する投資信託の信託報酬に加え、投資一任報酬が掛かります。資産運用に掛かる時間よりも、手数料を節約したい人にとってはデメリットに感じるでしょう。

ファンドラップには顧客のヒアリングを行い、ポートフォリオを提案する担当者と、ファンドを運用する担当者がいます。それぞれ、その道の専門家ではあるものの、投資に対する考え方や知識の深さには個人差があります。

ファンドラップを利用する流れ

ファンドラップを利用する流れ

ファンドラップは利用開始までたった3ステップです。必要な持ち物や解約方法についても併せて確認していきましょう。

金融機関に行く

ファンドラップは、信託銀行などの金融機関にて契約します。店頭での相談には予約が必要な場合があります。
金融機関によって最低投資金額や手数料などは異なります。また手数料の安さだけでなく、金融機関の信頼性も吟味した上で金融機関を選定しましょう。

申し込む

店頭でファンドラップのサービス内容や特徴を確認した後、専門家によるヒアリング・運用スタイルの提案を受けます。提案内容に納得した場合は、申し込みとなります。申し込みには投資信託口座の開設が必要です。

入金

投資信託の口座を開設したら入金を行います。「運用開始の◯営業日前まで」というように期日が設定されているので注意してください。運用方針や運用状況に応じて、追加の入金をすることも可能です。

利用開始

入金が完了したら正式に利用開始となりますが、利用開始後にすることは、基本的にありません。ヒアリングの際に伝えた運用方針に沿って運用を行ってくれ、運用状況は定期的に報告されます。

申込時の持ち物

申し込みの際には、本人確認書類(運転免許証等)、印鑑を持参してください。既に投資信託口座を持っている場合は、同じ届出印が必要です。投資信託口座を持っていない場合は、マイナンバー(個人番号12ケタ)が確認できる、個人番号カード等も持っていきましょう。

解約したい場合

解約方法は、金融機関によって異なります。運用開始日の3か月後の応当日から、毎営業日申し込めます。解約手続きには1か月程度掛かる場合もあります。

自分は利用すべき?ファンドラップが向いている人の特徴

自分は利用すべき?ファンドラップが向いている人の特徴

ファンドラップは自身で運用・管理する手間が掛からないため、知識が少ない投資初心者や、資産運用に時間や手間をかけたくない人に向いています。

また、ファンドラップでは、投資環境に応じて、ポートフォリオの資産配分を変更してもらえます。投資に慣れている人でも、例えば退職金のようなまとまった収入のあるタイミングでは、ファンドラップを利用すると、リスク許容度にあった分散投資を行えるメリットがあります。金額が大きければ、その分管理に手間も時間も掛かります。ポートフォリオのバランスが崩れ、気づかぬうちに過度のリスクを取ってしまう可能性もあります。まとまった資金の資産運用は専門家に任せるのも一つの選択肢でしょう。

投資信託との違い

投資信託とは、顧客から集めた資金を一つにまとめ、運用の専門家が国内外の複数の株式や債券等に投資・運用する金融商品を指します。
ファンドラップとは、顧客一人ひとりの投資方針に基づき、投資信託(ファンド)を組み合わせた資産配分を提案するサービスです。
投資信託を利用して資産運用する際には自分で投資信託を選定する一方で、ファンドラップでは投資信託の選定を専門家に任せられるという違いがあります。

手数料体系も異なります。投資信託の手数料は、購入時に支払う購入時手数料と、運用管理手数料である信託報酬、解約時の信託財産留保額です。
ファンドラップの手数料は、サービスに対する投資一任報酬と、サービスを通じて投資するファンドの信託報酬から成ります。金融機関によって異なるものの、投資信託の信託報酬は年率0.0~2.0%が相場です。

最低投資額も異なります。金融機関によるものの、投資信託は1000円から、ファンドラップは300万円からが相場となります。

ロボアドバイザーとの違い

ロボアドバイザーは、投資銘柄選定アドバイス型と投資一任型の2つに大きく分けられます。投資一任型では、ロボアドバイザーに投資対象の選定から運用管理まで任せられますが、投資銘柄選定アドバイス型は、ロボアドバイザーの助言に基づき顧客が投資対象を決め、管理します。ファンドラップの場合は、投資対象の選定から運用管理まで全て専門家に任せることができます。

ファンドラップが専門家と対面で相談しながら進めるのに対し、ロボアドバイザーは、ネット上で自分の情報や条件を回答する点が大きな違いでしょう。

ファンドラップとロボアドバイザーの手数料は、サービスに対する投資一任報酬と、サービスを通じて投資する投資信託の信託報酬に大別されます。投資一任報酬の相場は、ロボアドバイザーが年率1%前後、ファンドラップが年率1.5~2%前後となります。
最低投資金額の相場は、ロボアドバイザーは1,000円から、ファンドラップは300万円からが相場となります。

さらにもう一歩!ファンドラップの疑問を深掘り

ここまでファンドラップについて説明しましたが、投資初心者の方やもう少し深く知りたいという方も多いかもしれません。さらに一歩踏み込んで、ファンドラップの疑問を解決してきましょう。

ファンドラップの担当者・投資の専門家ってどんな人?

ファンドラップを利用して、どんな人が自分の大切な資産を運用するのか気になるポイントでしょう。
担当になる人は、証券会社や信託銀行で株式や債券から生命保険、事業承継まで幅広いソリューションの取り扱い経験者が多いです。ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を持っていて、ライフプランも踏まえた資産運用やリスク管理のスペシャリストが担当します。

大きな損失がでたらどうするの?

専門家に任せていれば、必ずしも資産が増えるとは言い切れません。自身の運用方針やリスク許容度に合わせて提案してくれ、資産運用を代行してもらいますが、ファンドラップを利用するかしないかは、自分で判断するものです。
資産運用の知識がない、自分で運用する時間がない人向けのサービスですが、担当者の治安内容に納得した上で契約するようにしましょう。

大きな損失が出た場合、担当者を責めることはできません。リバランスを行ってどのように運用していくか説明を聞いた上で、損失をカバーできる方法を検討しましょう。

ファンドラップは何年くらい運用してもらうもの?

ファンドラップの運用期間は、人によってそれぞれです。ある程度の目標金額から数年の目安をつけている人もいれば、使う予定がないため利用し続けるという人もいます。

リスク分散させながら、長期的に運用することが目的なので、損失が出たからすぐに解約することはおすすめできません。運用成績が悪い時こそ専門家の提案を聞いて、運用を任せることができるのがファンドラップのメリットです。

まとめ

まとめ

ファンドラップは、専門家に資産運用をお任せできるサービスです。専門家に相談するだけで、投資先の選定から運用管理まで全て代行してもらえます。直接相談できる点もメリットです。ただし、最低投資金額の目安は300万円程度と高額であることや手数料がかかることは知っておきましょう。

資産運用に興味があるものの調べる時間がない、退職金や相続財産などまとまった資産を現預金のまま眠らせているといった人にメリットのあるサービスです。興味を持った人は、信託銀行などでファンドラップの利用を相談してみてはいかがでしょうか。

ご留意事項
  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は執筆時点のものです。また、本稿は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者及び三菱UFJ信託銀行が保証するものではありません。
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