外貨預金で使われる「TTS」「TTB」との違いをFPが解説!

外貨建ての金融商品の購入や海外旅行先で買物をするには、円からその国の通貨(外貨)への換金が必要です。逆に、外貨建て商品の資産や外貨を国内で使うには外貨から円への換金が必要です。この換金時に使われる為替レート「TTS」「TTB」とはどのようなものなのか。そして計算方法や換金時に気を付けるポイントについても解説します。

外貨預金で使われる「TTS」「TTB」との違いをFPが解説!

「TTS」「TTB」とは?

「TTS」「TTB」とは?

外貨の売買の基準となる「TTM」

外貨の売買の基準となる数値がTTMです。TTMとは、「Telegraphic Transfer Middle rate」の略で、「仲値(なかね)」とも呼ばれています。

TTMは各金融機関がそれぞれ任意に設定しています。外国為替相場と同じように、常に変動している金融機関もあれば、決まった時間に発表した金額をその日のTTMとしている金融機関もあります。

このTTMに金融機関の手数料が加えられ、以下の「TTS」「TTB」が算出されます。

外貨の販売価格「TTS」

TTSは、金融機関が顧客に外貨を売る時のレートです。「Telegraphic Transfer Selling rate」の略でTTMに為替手数料をプラスした金額がTTSになります。

例えば、TTMが1米ドル110円、円から米ドルへの為替手数料が1円だった場合、TTSは1米ドル111円となります。

外貨の買取価格「TTB」

TTBは、金融機関が顧客から外貨を買い取る時のレートです。「Telegraphic Transfer Buying rate」の略でTTMから為替手数料を差し引いた金額がTTBになります。

例えば、TTMが1米ドル110円、米ドルから円への為替手数料が1円だった場合、TTSは1米ドル109円となります。

TTS、TTBの設定方法

TTS、TTBのTTMとの差額(為替手数料)を同額にしている金融機関が多いのですが、「TTMとTTSの差は50銭、TTMとTTBの差は1銭」といったように、TTSとTTBで異なる為替手数料を設定している金融機関もあります。
また、同じ金融機関であっても、外貨預金、外貨両替、トラベラーズチェック※など、利用するサービスによってTTS、TTBが異なる場合や、利用者の口座の残高や取引状況に応じた優遇レートの設定、キャンペーンによる割引がある場合もあります。

※トラベラーズチェックは2021年9月1日現在、国内では販売されておらず、利用、換金(買取)のみとなっています

このように、金融機関だけでなく、利用するサービスや利用者の取引状況、タイミングなどによってTTS、TTBは変化する可能性があるので、外貨の換金時には都度、TTS、TTBを確認するようにしましょう。

「TTS」「TTB」はなぜ重要?

「TTS」「TTB」はなぜ重要?

TTS、TTBは手数料を含んだレートになっているため、外貨建て商品で運用した場合の損益や、海外旅行などで使う外貨やトラベラーズチェックなどの換金の際の受取額に影響があります。

例えば、TTMが1米ドル110円の時に円から米ドルへ換金し、TTMが1米ドル111円の時に米ドルから円に換金したとします。TTMで計算した場合、1米ドル当たり1円の利益になります。

しかし、実際の売買のレートであるTTS、TTBで計算してみます。円から米ドル、米ドルから円の為替手数料をそれぞれ1米ドル当たり1円とすると、1米ドルを111円(110+1)で購入し、110円(111-1)で売却することになり、1円の損になります。

表 TTS、TTBを考慮した為替差損の例

円→米ドル米ドル→円円建て差損
TTM 110円TTM 111円1円
TTS 111円TTB 110円▲1円

このように、外貨建ての商品の損益等を円建てで考える場合は、ニュース等で流れる外国為替相場やTTMの数値ではなく、取引をする金融機関のTTS、TTBが重要であることがわかります。

「TTS」「TTB」を考慮した損益の計算方法

「TTS」「TTB」を考慮した損益の計算方法

TTS、TTBを考慮した損益の計算方法を具体的な例で紹介します。

<前提条件>
 ・商品:米ドル建て定期預金
 ・預入期間:1年
 ・金利:年利3%
 ・預入金額:10,000米ドル
 ・預入日/満期日のTTM: 109円
 ・円から米ドル、米ドルから円への為替手数料:それぞれ1円
   ・TTS:110円
   ・TTB:108円
   *為替差益、利息に対しての税金等は考慮しない

 預入時に必要な円:110円/米ドル×10,000米ドル=1,100,000円
 利息:10,000米ドル×3%=300米ドル
 満期日の円建て資産額:10,300米ドル×108円/米ドル=1,112,400円
 利益:1,112,400円 − 1,100,000円=12,400円

もし、円建てで金利3%の金融商品があった場合は、次のようになります。

1,100,000円×(1+3%)=1,133,000円
利益:33,000円

この計算例から、外貨の売買にはコストがかかり、損益に影響があることがわかります。
また、上記の例でも、為替が変動し円高になっていれば、利益が出ない可能性もあります。

まとめ

まとめ

預金は元本割れしないイメージがあります。しかし、外貨預金は、外貨建てそのものでは元本割れしていなくても円に換算した時に、為替の変動とTTS、TTBのレートにより元本割れする可能性があります。一般的に金利は円建ての預金より外貨預金の方が高い傾向にありますが、金利だけでなく、為替の変動や利用する金融機関のTTS、TTBなども考慮して、預け先や投資先を考えるようにしましょう。

ご留意事項
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