「インフレマインド」になる!

スーパーに足を運べば、冷凍食品、缶酎ハイ、スナック菓子と、値上げのオンパレード。物価がどんどん上がっている今は、間違いなくインフレです。要はデフレの正反対の状態なので、デフレマインドのままでは世の中から取り残されてしまいます。では、今からどんな「インフレマインド」を養っておけばいいのでしょうか?

「インフレマインド」になる!

一時的では終わらない?値上げのオンパレード

「電気料金が去年の倍以上に跳ね上がった」「ガソリン代が高いから、車で外出する回数を減らしている」といった話を頻繁に聞くようになりました。スーパーに足を運べば、冷凍食品、缶酎ハイ、スナック菓子と、値上げのオンパレードです。

少し前までの日本では、信じられないような光景です。なにしろ、日本の経済はバブル崩壊後からデフレに陥り、以降30年間に渡り名目GDP(国内総生産)がほぼ横ばいで推移してきたのですから。
それもあって、「日本人にはデフレマインドが染みついている」との指摘があります。デフレマインドとは、簡単に言ってしまえば、出費を減らして生活必需品もなるべく安い値段で買うという節約志向であり、企業サイドからすれば安値を求める消費者に合わせて設備投資や人件費を抑え低価格の商品やサービスを供給する状態を意味します。
ミニマリストや100円ショップ、ファストファッションなどは、デフレ期を象徴するキーワードと言えそうです。

しかし、物価がどんどん上がっている今は、間違いなくインフレです。要はデフレの正反対の状態なので、デフレマインドのままでは世の中から取り残されてしまいます。特にこのインフレは、米国をはじめとする海外のインフレで輸入物価が上昇し、生産コストの高騰に耐え切れなくなった日本企業がやむなく値上げに踏み切ったという構図ですから、一時的なもので終わるとは思えません。

では、今からどんな「インフレマインド」を養っておけばいいのでしょうか?

資産運用においても欠かせないインフレ対策

まずは、ベーシックな資産運用の面から考えてみたいと思います。
デフレ時代はお金の価値が上がっていきますから、ボーナスなどまとまったお金が入った際、極論すればタンス預金にしたままでも損をすることはありませんでした。同じ10万円でも先に行くほど購買力が高まりますから、去年より今年の方がより質の高いもの、より多くのものが買えます。よって、無理に資産運用をする必要はなかったのです。

しかし、インフレ時代になると、そうはいきません。デフレ時代と逆にお金の価値はどんどん希薄化してきますから、資産運用においてもインフレ対策が欠かせません。

日本銀行が4月に発表した消費者物価指数(生鮮食品除く)の見通しは、2022年度が+1.8~2.0%となっています。この見通し程度の利息を取っていかないと、インフレで資産が目減りしてしまうことになります。
とはいえ、日本では当面マイナス金利政策が維持されますから、確定利付きの金融商品にはあまり期待できません。今年に入って個人向け国債(変動利率・10年)の適用利率がじわじわと上がってきていますが、それでも0.17%(5月募集分)です。

これに対し、長期的な視点でインフレに強いと言われるのが株式です。DC(確定拠出型年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している方なら、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)やTOPIX(東証株価指数)に連動する投資信託の比率を高めておくのもいいかもしれません。

大切なのはインフレ下でも現状の家計支出額を維持すること

さて、値上げラッシュを前に、誰でもやりがちなのが「買いだめ」です。スーパーでも、カートからあふれんばかりに缶詰やパスタ、缶酎ハイの箱などを積み上げている家族連れの姿をよく見かけます。

これについては最近ファイナンシャルプランナーの方を取材したときに「買いだめではインフレ下の家計をコントロールできません!」という厳しいご指摘をいただきました。
大事なのはインフレ下でも現状の家計支出額を維持することであり、買いだめは一時凌ぎに過ぎないというわけです。
その際、生活の質を落とさず家計支出を増やさないために有効な方法として教えていただいたのが、以下の2つです。

1つは、金券ショップを有効活用すること。
スーパーでの買い物用にはクレジットカード会社系のギフトカード、外食用にジェフグルメカードなどをディスカウント価格で仕入れておき、支払いの際にスーパーや飲食店のお得なクーポンや割引券と併用すれば、ほぼ物価上昇分がカバーできるといいます。金券ショップは東京都内であれば新橋や新宿といった“激戦区”ほどディスカウント率が高いとのこと。会社帰りに足を運んでみてはいかがでしょうか?

もう1つが、ふるさと納税で生活必需品をゲットすることです。
ふるさと納税は、住民税等の一部を自分で選んだ自治体に寄付の形で前払いすると、寄付額の3割の範囲内で返礼品がもらえるお得な制度です。
一例ですが、独身で給与収入が500万円の会社員だとしたら、制度が利用できる寄付の限度額はざっくり約6万~7万円になります。

ふるさと納税のサイトを見ていたら、寄付額6万円程度でお米5kgを12カ月に渡って届けてくれる自治体がありました。つまり、寄付するだけで1年分のお米代が浮いてしまうのです。
ふるさと納税は「自分へのご褒美」として活用される方も多いと思いますが、実際はお米に限らず、食用油や酒類、ティッシュ、紙おむつなど、生活必需品のラインアップも豊富です。

確かに上記のような物価上昇対策であれば、「安かろう悪かろう」の食材で我慢しなくても家計支出額が維持できるかも、と首肯した次第です。加えて、実はこうした発想こそが新しい「インフレマインド」なのではないかとも思います。

長期化するインフレに備えてマインドチェンジを

インフレマインドはデフレマインドの逆ですから、バブル期のようなド派手な消費行動を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、特に日本の場合、今のインフレは「スタグフレーション(インフレと不況が同時進行する状態)」に限りなく近く、若干異質です。

前述したように、このインフレは長期化すること必至です。マインドチェンジが「The sooner, the better.(早ければ早いほどいい)」ことは間違いなく、まずは上の2つから行動に移してみてはいかがでしょうか?

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