海外赴任や留学でも使える「海外口座」とは?

海外の銀行口座があると、現地の通貨をすぐに引き出せるため、海外赴任者や留学生などには大変便利です。海外口座はそのほかにも、分散投資や高金利などのメリットがありますが、外国語ができなければ開設が難しいなどのデメリットもあります。そこで、国内にいながら海外口座を開設する方法なども併せてご紹介していきます。

海外赴任や留学でも使える「海外口座」とは?

海外口座とは?外貨預金と何が違う?

海外口座とは?外貨預金と何が違う?

海外口座とは、海外に本店がある銀行の口座です。諸外国で非居住者向けに預金サービスを提供できるバンキングライセンスを有するオフショア銀行のことを指し、いわゆる富裕層向けプライベートバンクとは区別されます。

現地通貨を預金するという点では、外貨預金と混同されがちです。しかし、海外口座の場合は現地通貨を現地口座、外貨預金の場合は外貨を日本の金融機関の口座に預金するため、現地で外貨預金を引き出して使うことはできません。

海外口座を保有していると、現地でその地域の通貨をすぐ引き出せるため、海外に長期滞在している場合に便利なのはもちろん、ほかにもさまざまなメリットがあります。

海外口座のメリット

海外口座のメリット

海外口座を保有している場合のメリットは、以下の通りです。

・海外で預金を引き出せる
・分散投資になる
・海外の魅力的な金融サービスを利用できる

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海外で預金を引き出せる

前述したように、現地の通貨をすぐに引き出せるので、特に長期滞在の予定がある人や頻繁に海外出張や旅行に行く人には大変便利です。

分散投資になる

海外口座では必然的に外貨での積立となるので、円以外の資産を保有することにもなり、分散投資になるでしょう。日本円の価値が下がっても、ドルなどの外貨を保有していることで、リスクヘッジできます。日本の金融機関でも外貨積み立ては可能ですが、外貨は1,000万円までの預金が保護される預金保険の対象外となります。

海外の魅力的な金融サービスを利用できる

そのほか、日本の金融機関にはないサービスを受けることも可能です。日本は超低金利が続いているため、預金していても利息は微々たるものですが、海外口座ではかなり高金利のものも存在します。また、日本国内の金融機関では取り扱いのない商品に投資できるなどのメリットもあります。

一方で、メリットばかりではなくデメリットもあるので確認しておきましょう。

海外口座のデメリットやリスク

海外口座のデメリットやリスク

海外口座は良いことばかりではありません。開設には時間や手間がかかりますし、以下のようなデメリットもあります。

・英語などの外国語ができなければ開設が困難
・国や銀行ごとに税金などのルールが異なる
・口座維持費がかかる
・為替リスクが存在する
・日本在住の場合は、日本の税法が適用される

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英語などの外国語ができなければ開設が困難

銀行口座の開設は、原則本人がおこなわなければなりません。当然、海外の銀行では英語やその土地の言語で手続きがおこなわれるため、言葉の壁が大きな障害になります。特に近年では通訳の介入が認められないことも多いので、ある程度の言語力がなければ、海外口座の開設は難しいでしょう。口座開設後の運用やトラブル発生時にも、英語や現地語で対応しなければなりません。

国や銀行ごとに税金などのルールが異なる

また、税金などのルールは国ごとに違いますし、銀行独自のルールなども異なります。意図せず脱税などのトラブルに発展しても、知らなかったでは済まされません。税金問題以外にも、日本の銀行とは違い、半年間など比較的短期間でも取引がなければ口座が凍結されることもあるようです。そのほか解約時などに関して独自のルールを設けている場合もあるので、事前にしっかり確認しておきましょう。

口座維持費がかかる

海外口座には比較的金利が高いというメリットはあるものの、口座を維持するための管理料がかかることが多いです。銀行によってこの維持費は異なり、場合によっては金利よりも口座管理料のほうが高く、結果的に損をすることも考えられます。一定額以上の預金があれば維持費がかからない場合もあるので、維持費がどれくらいかかるのかは必ず確認しておきたいところです。

為替リスクが存在する

また外貨建ての預金となるため、為替リスクも存在します。特に高金利の海外口座であれば、破綻のリスクも高くなることを考慮しなければなりません。そのため、安易に高金利という理由だけで海外口座を開くのは危険です。

日本在住の場合は、日本の税法が適用される

ちなみに海外口座(オフショア口座)は「税金がかからない」と誤解している人がいますが、これは間違いです。日本国内に住んでいる人は、どの国に保有している資産であっても報告義務がありますし、利息で得た金利には税金がかかります。このため、税金を逃れるためだけに海外口座を開設するのは意味がないので、注意しましょう。

海外口座の作り方

海外口座の作り方

海外口座を作るには、主に3つの方法があります。

(1)海外の銀行窓口で直接開設手続きをする
(2)日本にある海外銀行の支店で開設する
(3)国内でネットや日本にある代理店を通して開設する

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基本的には、直接海外に出向き現地の銀行で手続きします。国によって必要な書類は異なりますが、代表的なものは以下の通りです。

海外口座開設に必要な書類など

・本人確認書類(パスポート、国際免許証など)
・現地での住所を確認できるもの
・ビザ、外国人登録証など
・バンクリファレンス
・現金、クレジットカード

出典 

バンクリファレンスとは、現在日本で取引をおこなっている銀行から発行してもらう証明書です。海外口座の開設は年々厳しくなっており、このバンクリファレンスを求められることも増えています。日本の銀行では発行してもらえないこともあり、その場合は代わりの書類が必要になるため、必ず確認しておきましょう。

日本の銀行の海外支店で口座を作る手段もあるが注意も必要

また、日本にある海外銀行の支店で口座を作るという方法もあります。しかしこの場合、海外では使えないこともあるので、注意が必要です。たとえば中国や香港の銀行の支店が日本にありますが、ここで開設した口座は日本国内でしか使えません。

国内で海外口座を作るには、インターネットや代理店を利用するという方法があります。たとえばイギリスの銀行では、オンラインで非居住者向けの国際口座を開設することが可能です。

一例として、三菱UFJ銀行は、アメリカのユニオンバンクやタイのアユタヤ銀行と提携を結んでおり、日本語で案内を受けながら国内で海外口座を開設できます。言葉の不安が解消されますし、細かなルールを把握できるなど、さまざまな面で安心できるでしょう。

【参考】三菱UFJ銀行「海外口座ご紹介サービス《カリフォルニアアカウント・プログラム》」詳しくはこちら

まとめ

まとめ

海外口座は、現地ですぐに現地の通貨を引き出せる・分散投資になる・高金利を享受できるなどのメリットがある場合があります。しかし開設するには時間や手間がかかりますし、自分で手続きする場合には言葉の壁もクリアしなければならず、為替変動などのリスクも考慮しなければなりません。
海外口座を開設するには、現地で手続きをおこなうほかにも、日本国内にある代理店を利用する方法もあります。ご自身で手続きするのが不安な場合は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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